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首都圏空港容量の抜本的早期拡大を(1999年8月)

はじめに

 近隣アジア諸国における大規模国際空港建設・整備計画は、各国の「国内外航空会社の集中で競争を促進し、 旅客サービス向上と地域発展を達成しようとする総合的な国家戦略」(下注)の下で、着々と進められている。 98年にはクアラルンプール、香港で新空港が完成し、99年から2004年にかけては、上海、ソウル、バンコック、シンガポールで、 新空港建設等により、空港処理能力が大幅、且つ一挙に拡大される。(図1参照)

(注) 「大アライアンス時代のアジアの空港と日本」屋井教授:「航空と文化」1999年春季号)

 一方、絶対的な空港容量不足が続いている日本の首都圏では、国際空港機能を担う成田が、暫定平行滑走路建設という形ではあるが、 2002年での処理能力拡大に向け、具体的に動き出した。また、現行の慢性的な羽田空港の容量不足も、新B滑走路完成に伴う 空港処理能力向上で一時的には改善されるものと思われる。しかしながら、いずれにせよ、成田、羽田の両空港とも21世紀初頭には、 容量限界に達するものと予測されている。

 従って、現状のままでは、既に始まっているアジアにおける国際空港ハブ機能の日本から近隣アジア諸国への転移が加速し、 世界の人・情報・物の動きの中で、我が国が大きく取り残され、我が国の国際的地位の一層の低下が懸念される。 このような国際環境の中で、首都圏空港容量を抜本的に拡大することは、日本が世界の政治・経済の場で活躍・貢献するために 必要な基本的社会インフラの整備に他ならない。国際空港間競争を既に視野に入れている既述近隣諸国との関係では、 首都圏空港容量の抜本的拡大は時間との戦いであり、そのための具体的施策を羽田空港の再沖合展開案を含め早急に検討・決定し、 国家プロジェクトとして、具体的、且つ強力に推進する必要がある。日本政府による景気浮揚策の継続的実施が、 国内のみならず世界から期待されている今日、当国家プロジェクトへの投資は、まさに21世紀の日本を見据えた戦略的国家投資で あると確信する。

 以上の基本認識を踏まえ、本稿では、今日の航空界の国際潮流の中で、首都圏空港容量の抜本的拡大が、

(1) 中・長期的には、質・量の両面で、日本の航空輸送・航空機製造産業構造をも日本の経済力と市場規模に相応しいものに変革・強化し、
(2) その結果、我が国の利用者利便向上と、日本全体の国益増進にも貢献する、
 との考えについて、首都圏空港容量、世界における我が国航空市場の規模、我が国航空会社の運航能力(下注)などを相互に 関連付けながら、述べていきたい。
(注) 本稿でいう「運航能力」とは、航空会社がどれだけの数の航空機を運航できるか、という能力を意味し、 その代表的基本要素は、市場での需給関係から、航空会社が保有する運航乗務員と航空機の数と考えている。



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