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羽田国内線ネットワークの本来的な絵姿(2001年10月)

空港制約なかりせば、1999年度の国内線は、機材の小型化等で、
発着回数30万回、23地方路線で84便増

はじめに

 現存する首都圏空港容量不足が、地方を含めた我が国全体の社会・経済生活発展のための長年のボトルネックであり、その早期抜本的な解決は喫緊の国家的課題であると言われて久しい。
 国際線の容量不足解消については、今や、来年の成田暫定平行滑走路の完成により、現実・具体的なものとして一応の目途が立った。しかしながら、1986年の航空規制緩和政策導入以来、今日に至るも慢性的に不足している羽田の国内線容量については、その再拡張案が2000年10月に設置された「首都圏第3空港調査検討会」の検討遡上に上ったことにより、ようやく、容量不足の解消策が具体的に検討されるようになった。
 羽田空港を沖合に拡張して、予想される首都圏空港容量不足に対応しようという案は、既に1950年代後半にも検討されていた。しかしながら、当時は東京上空の騒音問題、東京港湾機能との調整問題、そして土木技術上困難という問題との関係で断念され、その結果、次善の策として成田空港が建設されたのである。(この辺りの経緯も含め、羽田・成田両空港の相互依存関係はカレンツ2001年春号(NO.83)「羽田再拡張後の羽田・成田空港棲み分け論について」で詳論)
 今日議論されている羽田再拡張問題について、当時の状況と大きく変わった点は以下の3点と思われる。第1の点は、1978年に、騒音問題との関係で羽田空港を「国内線専用空港」と位置付けていた東京都が、東京上空の開放によって千葉県と航空騒音の負担を分かち合うと共に、羽田空港の再拡張により羽田を再び国際化したい、と唱え始めたことである。第2点は、東京都は東京港港湾管理者でもあることから、海上交通の安全確保を大前提とする羽田再拡張と港湾機能との調整の可能性が高まってきたことである。第3点は、土木技術の進歩により、技術上の問題は解決可能になっていることである。
 2001年8月に出された定期航空協会の提言「21世紀にふさわしい空港整備と財源のあり方について」は、羽田空港の容量不足は航空輸送に大きな制約(ボトルネック)となっており、それが解消されれば;
・「競争促進による運賃の低下および利便性の向上」、
・地方の「既存空港の発着回数増による便当たり空港使用料の低減」、
 等々、
が期待できる、としている。
 2001年2月17日付け日本経済新聞の社説は「・・・消費者が(昨年の航空法改正による)本当の自由化の恩恵を享受するには、この国内競争をさらに促進しなければなら(ない。)・・・政府は昨年末から羽田再拡張の検討を開始した。目的はもちろん、国内の競争促進の徹底だ」と述べている。 (羽田の容量不足と競争促進との関係は、既出カレンツ2001年春号(NO.83)11ページ「1986年以来、羽田の空港容量不足は国内線の競争促進と利用者利便向上を阻害」の章に詳述)
 これまで、日本の航空会社は、羽田発着枠の絶対的不足のために1986年以前の規制時代と基本的には変わっていない羽田の発着枠シェア構造の中で、自らの責任と能力で自由に運航便数を増やすことが出来なかった(資料-(1)「日本の混雑空港における発着枠シェア(国内線)」参照)。国内線総旅客の約60%が利用している羽田空港の容量不足が解消されれば、航空会社が路線ごとの競争状況、収益状況等を見ながら自由に事業展開することは確実であり、定期航空協会や日経新聞社説が述べているように、航空会社間の競争は一層促進され、これまで発着枠制約により困難であった航空機サイズの小型化等によって、羽田と地方空港を結ぶ路線の運航便数は飛躍的に増大することになろう。
 日本の国内総生産の4割が集中する首都圏と地方を結ぶ航空路線の拡充は、地方の方々の経済・文化・社会生活にとって切実な問題である。われわれ航空会社も、羽田空港の発着枠増がなされるたびに、多くの地方自治体から羽田路線の新規開設や増便を強く要請されるが、配分される発着枠不足のために、その要望に十分応えられていない(要望状況は既出カレンツ2001年春号(NO.83)12ページ「羽田国内路線拡充に対する地方の切実な声」を参照されたい)。
 羽田の再拡張は、羽田の再国際化のみならず、未だ不十分な国内線市場の一層の競争促進と、増便による羽田地方路線の一層の拡充を初めて可能とするものである。
 本稿では、1999年度の羽田国内線ネットワークが、もし空港制約なかりせばどのようなものになっていたかを、枠制約と航空機座席数・運航便数との関係を実例で明らかにした上で、1999年度の羽田空港利用旅客数・航空機座席数・運航便数の実績と幾つかの前提に基づいて、その一つの絵姿を紹介したい。本稿が、羽田の再拡張実現後の羽田国内線ネットワークをイメージする際の参考になれば幸いである。



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