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わが国の「産業競争力強化戦略」と基幹空港整備(2002年7月)

基幹航空交通インフラ整備とその利用コスト(着陸料等)の軽減は国家的課題

はじめに

 2002年4月、スイスに本部を置く「国際経営開発研究所」(International Institute for Management Development)は、「世界の国別競争力年鑑2002」(World Competitiveness Yearbook2002)を発表した。1993年には世界で第2位であったわが国の国際競争力は、ついに49か国・地域中30位(昨年26位)までに急落し、昨年28位であった韓国にも追い越された(2002年27位)。

資料(1)「わが国の国際競争力ランキングの推移」 (図1-2図1-3 参照)

 1997年以降、我が国の国際競争力が急落していく中で、この国際競争力をいかに回復させるかの論議が経済界、政府で高まり、1998年、経団連はその提言(後述)の中で、日本の「高コスト構造是正は産業競争力強化の出発点」と断定した。また、2002年6月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」も、「我が国の高コスト構造、非効率で硬直的な財政支出・・・の存在は、我が国の生産性を長期にわたり低下させ、企業や人々の様々な創造的活動の妨げともなっている」、と述べている。
 海の港の整備を司る国土交通省港湾局は、「国民生活の安定と産業再生(国際競争力の強化、空洞化回避)に向けた」「(政府の)経済活性化戦略を達成するための港湾政策」として、港湾サービスの24時間化や港湾利用料金低減化などにより、「いつでも、より速く、より安く、より確実に(、)を目標に国際競争力のある(港湾)サービス、コスト水準を実現」しようとしている(2002年6月、経団連における国土交通省港湾局長講演資料)(太字、下線は筆者)。そして、国土交通相の諮問機関である国土交通政策審議会の港湾分科会は、2003年度から始まる次期港湾整備長期計画の作成にむけた中間報告案の中で、国際コンテナ運送拠点としての競争力を高めるため、施設の使用料などの港湾コストを現在より3割低減する目標を掲げた。

 現在、国土交通政策審議会の航空分科会においては、2003年4月以降の空港整備が審議されている。ここで審議されている事項は、実質的には少なくとも今世紀前半の空港整備のあり方を決めることになるものと思われる。ANA、JAS、スカイマーク、北海道国際航空、JALなどを会員とする定期航空協会(以下、定航協)もこの分科会のヒアリングを4回受けた。日本の着陸料などの空港使用料が外国に比べて割高であることは今や世界周知の事実となっている。中部経済連合会・名古屋商工会議所は、同じ今回の航空分科会ヒアリングにおいて、連名で、「3つの国際拠点空港(成田、中部、関西)は、どのような経営形態であろうと、それぞれが着陸料の低減など(アジア諸国の国際拠点空港との)競争力強化のために最大限の努力をすることを期待するが、その努力だけではおのずから限界があり、国際的に高い水準にある着陸料の大幅な低減までは期待できない。高い着陸料は内外価格差の助長に繋がるものであり、日本経済の国際競争力強化の観点からも、3つの国際拠点空港はこれまでの事業スキームや空港整備特別会計の予算枠にとらわれることなく、追加的な新たな財源を投入することも視野に入れながら、重点的に整備していただく必要があると考える」、と述べている。公共事業としては極めて珍しい、徹底したコスト管理で実際の事業費が当初事業予定費7680億円を下回ることになると報じられている中部国際空港建設を全面的にバックアップする中部経済団体の意見は、それなりの重みを持っているものと言えよう。
 今回の分科会で、我が国の産業競争力強化の観点からも、航空分野において港湾同様、着陸料などの引下げによる航空交通インフラ利用コスト軽減の方向性と方策が示されることを期待したい。

資料(2)「着陸料の国際比較」 (図2-1図2-2 参照)

 本稿では、今現在、経済界や政府において検討されているわが国の「産業競争力強化戦略」と基幹空港整備との関係について論じると共に、世界の航空会社を会員としている国際航空運送協会(以下、IATA)が、我が国の「国際拠点空港の上下分離民営化方式案」や1978年の開港以来一貫して世界一高い「成田空港着陸料」についてどのように受け止めているか、についても紹介したい。そして最後に、「今後の空港整備・財政政策の重要課題」、「空港民営化の目的」、「空港民営化と着陸料等に対する公的規制」、「国際拠点空港の民営化方策」、「関空2期」に関し、先のヒアリングで開示された定航協の考えを紹介したい。

総合経営企画室部長 金 成 秀 幸



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