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日本の航空界の現況と国の航空・財政政策への期待(2003年4月)

第一章 米国メガキャリアの経営危機

 世界のグローバルアライアンスの中核的存在であるユナイテッド航空をはじめとする米国のメガキャリアは、「9.11テロ」の後遺症と景気低迷に伴う需要減、並びに激烈な競争下での収入減によって、倒産の危機をも含む深刻な経営危機に陥り、この危機はイラク戦争の勃発で深刻度を一層増している。既に、2002年当期損失32億ドルのユナイテッド航空は、米国連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)適用会社として再建途上にあるが、倒産の危機すら報じられるようになっている。

 米国の航空会社は91年の湾岸戦争以降の経営危機時に、レイオフなどにより固定費を大幅に削減するリストラを実施したため、91年にはパンナム航空とイースタン航空が倒産したものの、その後の航空需要の回復と相まって経営状況は急速に改善し、93年以降は日本の航空会社の営業利益率を大幅に上回るようになった。99年に入るや、労働組合は「過去10年ほどの賃金凍結」や「賃金切り下げ」を取り戻すとして、大幅な賃上げを含む労働条件の改定を求めるストライキなどを展開した。大手各社では、景気の減速により既に9.11テロ以前より経営が悪化し始めていたにもかかわらず、2001年9月11日までの間に、大幅な賃上げなどを内容とする労使間合意が成立した。9.11テロ以降の急激な収入減が事態を悪化させることにはなったものの、以上の経緯で高騰してきた人件費が現在のメガキャリア経営危機の大きな構造的要因の1つになっていると言えよう。The AVMARK Aviation Economistの2002年10月号によれば、2002年の収入に占める人件費の比率は、ユナイテッド航空50%、アメリカン航空49%、USエア48%、デルタ航空46%、ノースウェスト航空41%の高率となっている。米国市場で黒字経営を果たしているサウスウェスト航空は36%、ジェットブルー航空は26%にとどまっている。ちなみに、1991年度のJAL収入に占める人件費の比率26.3%は、2001年度には19.8%に低下しているが、外注費を含めた当該比率もほぼ今やジェットブルー航空並みと推定される。(資料1「米国航空会社の営業収入に占める人件費比率(2002推定)」参照)


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