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航空輸送産業に与える燃油価格高騰の構造的な影響について(2005年11月)
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航空輸送産業に与える燃油価格高騰の構造的な影響について(2005年11月)
1.航空機の燃油消費具合
時間価値を相対的に重視する社会のニーズに応えるため、高速で、かつ地球の重力に逆らってお客さまと貨物を輸送する航空機は、大量の燃油を消費せざるを得ない輸送機関である。航空機の燃油消費具合をイメージしていただくために、ある前提を置いて仮想的な計算をしてみる。
(
資料1−1「航空機の燃油消費具合――路線別、機種別」
)
例えば、東京から1万200キロの彼方にあるロンドンに、約13時間でお客さまと貨物を輸送するジャンボジェット機B747-400(エンジン4発)の総消費量は16万6,000リットル、200リットルドラム缶にして約830本、60リットル燃料タンクの普通乗用車であれば約2,800台分の燃油を消費する。費用換算すると、燃油価格が1バレル30米ドルの場合約340万円、これが80米ドルに跳ね上がると3倍弱の約920万円になる。飛行距離920キロの羽田から札幌に行くB747-400(国内線用)の場合はドラム缶約70本、普通乗用車約220台分の燃料である。費用換算すると、国内線の場合は1キロリットル当たり2万6,000円の航空機燃料税があるため、燃油価格が30米ドルで約60万円、80米ドルで約2倍の110万円ほどになる。ロンドン行きのお客さまの場合、1人当たりドラム缶3.6本もの燃油を消費する。なお、同一の気象条件、同一の旅客数・貨物量を2発エンジンのB777-300で輸送する場合は、その燃油消費量はおおよそ20%削減される。
次に、同じ性能の航空機が、同じお客さま数と貨物量を搭載して東京からロンドンに行く場合(長距離国際線)と、札幌に行く場合(国内線)のキロメーター当たりの燃油消費量を比較してみる。
(
資料1−2「長距離国際線と国内線の単位距離当たり燃油消費量比較」
)
1キロメートル当たり燃油消費量は、国際線用のB747-400の場合、ロンドン行きは16.3リットル、札幌行きは14.8リットルである。基本的には札幌行きには国内線用B747-400が就航しているが、この場合の消費量は14.4リットルである。従って、ロンドン行きの航空機は札幌行きよりも10%から13%も多く燃油を消費していることになる。この相異を考えてみるに、まず、国際線用機材は国内線用機材より重い機内食用・娯楽用機器や装置などが装備されている。このことに加え、国際線の機内で提供する食事、飲み物の重量も国内線よりケタ違いに大きく、搭載燃油を除いた国際線の機体重量は国内線よりはるかに大きい。航空機の搭載燃油量は、概念的には機体重量自体の移動距離をかせぐために必要な燃油量とその燃油を運ぶために必要な燃油量で構成されている。離陸時の総機体重量に占める燃油の割合は、ロンドン行きの場合35.3%、札幌行きの場合は4.6%ないしは4.7%と、ロンドン行きが圧倒的に大きい。これはロンドン行きのような長距離国際線の航空機は機体重量自体が重い上に、燃油自体を運ぶための燃油を国内線の場合よりも相対的に多く搭載している結果である。従って、一般的には運航距離の長い国際線事業は、国内線事業に比べ航空燃油をより多く消費している。
以上のことから、燃油を大量に消費する航空機を基幹生産手段とする航空輸送産業(その中でも国際線事業)は、燃油価格高騰の影響を最も受ける産業の1つであると言えよう。
(はじめに)
1.航空機の燃油消費具合
2.航空燃油価格高騰が国際線事業と国内線事業に与える収支上の影響
3.航空会社の営業費用に占める航空燃油費の割合
4.原油精製製品における航空燃油の独歩高傾向と高止まり見通し
5.航空会社収支に及ぼす航空燃油価格高騰の構造的な影響
6.航空燃油価格高騰に対する日本の航空会社の対応状況
(おわりに)
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