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航空輸送産業に与える燃油価格高騰の構造的な影響について(2005年11月)

6.航空燃油価格高騰に対する日本の航空会社の対応状況
 

 日本の航空会社は以上のような燃油価格高騰による急激な経営環境悪化の中で、事業構造の見直し、人員・人件費などの各種コスト削減や、燃油使用量節減といった諸施策を鋭意実施している。ちなみに、日本航空は2005年度、航空燃油価格1バレル54米ドルを前提に、人件費効率化・低収益路線の改廃などの構造改革で370億円、役員報酬・人件費の見直しを含む緊急施策で430億円など、計1,000億円以上の収支改善を計画・実施している。

  しかしながら、昨年来の航空燃油費の高騰は各社の企業努力の範囲をはるかに超えているため、やむなく、国際線・国内線のお客さまには「燃油特別付加運賃」、国際貨物の荷主の方には「燃油サーチャージ」を明確な「廃止条件」を付して設定し、透明性ある形で燃油価格高騰の一部をご負担いただいている。例えば、日本航空の国内線旅客運賃の場合、燃油価格が60米ドル台前半であった昨年の10月、燃油価格が40米ドルに下がれば廃止することを条件に、路線に応じ、お一人様200円または300円の付加運賃(2005年1月から発効)を設定した。

  しかしながら、航空燃油価格は10月に入っても、同3日には84.4米ドルを記録するなど70米ドル強から80米ドル強の間で推移しており、価格が1米ドル上がれば約50億円の費用増となる日本航空はさらなる追加的対応を迫られている。

  一方、今まで述べてきた石油製品の逼迫する需給状況と地球環境保全意識の世界的な高まりを踏まえれば、航空燃油の効率的な消費とCO2排出量の一層の削減に最大限の努力をすることは、今日の航空会社にとっては今や国際的な社会責務とも言えよう。その最も有効な実行手段は、既存の航空機を最新の技術革新の成果が結晶されている新しい航空機に更新することである。2発エンジンの中型航空機同士で比較しても、間もなく登場する最新型B787のCO2排出量と燃油消費量は、既存B767-300の約2割減とのことである(ボーイング社公表数値)。石油製品の新たな価格体系が形成されつつある今日、最新型航空機の導入は、航空会社経営にとっても新たな航空燃油価格体系への最も有効な対応策の1つである。日本の航空会社の航空機平均機齢は外国航空会社に比べ高く、早期の航空機更新は喫緊の経営課題となっている。

  2009年度中の羽田再拡張を控えている日本の航空会社は、今後の需要増への適切な対応、機材の小型化による利用者利便の向上、最新型航空機導入による旅客サービス向上と国際競争力強化ということのためのみならず、既述の国際的社会責務に応えるためにも、定期航空協会の参加社だけで2006年度から2010年度までの5年間に約130機の新しい航空機の導入を計画している。その総投資額は約1兆5,000億円、年平均約3,000億円という大規模なものである。

  日本の航空輸送産業は高度な公共性を具備し、投資回収が長期にわたる巨大装置産業であることに加え、とりわけ国際航空市場で激しい競争にさらされている。しかも、日本の産業の中でも、航空輸送産業は経常利益率の極めて低い産業であることは既述のとおりである。リース債務なども含む実質有利子負債総額も、2004年度実績でJALグループ、ANAグループ合わせて3.4兆円にまでなっている。現在、日本の航空会社による航空機などの設備投資資金に対しては、政府系金融機関による長期の債務保証あるいは融資制度があり、航空会社はかかる制度をフル活用しながら今日に至っている。航空燃油価格が今後も相当の期間高止まりすると見通されている中、かかる金融制度の重要性と必要性はこれまで以上に増すものと言わざるを得ない。





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