CSR 奇跡のお米の物語

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津波の跡に人知れず芽吹いた3株の稲。すべては、そこから始まった。奇跡のお米の物語(ストーリー)大槌(おおつち)復興米 お米さん、初めまして貴方は何処から流れてきたのですか。よく無事で、そして塩害の中我が家の玄関に生き延びてくれましたね。背は低く、やせてこそおりましたが、その姿はがれきの中に一際、凛としてましたよ。言葉にならない感動で涙がとめどなく、こぼれ落ちました。私は、菊池 妙 と申します。貴方には、復興米と、名付けましたよ。お互い助かった命を大切に明るくゆっくり、ゆっくりで、いいのです。転んでは起き、又、転んでは起き生きていきましょうね。秋には、貴方の子孫が黄金の実を付け生まれますように沢山の方達が努力してくださっています。力強い希望の証を授けてくださってありがとうございました。(菊池妙さん作)

「奇跡のお米」とも呼ばれる、岩手県の「大槌復興米」。
2011年秋、津波の跡に穂を実らせた3株の稲から始まったこのお米の物語は、震災によりつらい思いをされた大槌町の皆さまを大変勇気づけたそうで、町の復興のシンボルにしようと、たくさんの方々の協力により増やされてきました。

JALでは、東北応援の一環として、2014年11月、12月の2か月にわたり、国内線ファーストクラスご夕食で、この「大槌復興米」(平成26年産新米)をご提供します。

奇跡のお米の物語を通じて、復興に懸命に取り組む大槌町をはじめ被災地に皆さまの思いが多くの方に届きますように…。

玄関跡に芽吹いた稲

 2011年3月11日、岩手県大槌町安渡(あんど)地区に住んでいた菊池妙さんは、それまでに経験したことのない揺れに、津波が来ると判断してすぐに避難。幸いご自身は助かりましたが、津波によりご自宅は倒壊しました。
 基礎だけ残ったご自宅跡を訪れては、泣き暮らしていた同年10月半ばのある日。玄関脇に3株の痩せた稲が、それでも力強く実っているのを見つけました。この地区にはもともと水田はなく、どこかから流れ着いた籾(もみ)が人知れず芽吹き、そして稲穂をつけていたのです。
 菊池さんは、津波を乗り越えて凛と立つその稲の姿に胸を打たれ、「うれしくて、涙がボロボロ出ました」と当時を振り返ります。

右写真/この物語のスタートとなる3株の稲を見つけた菊池さん。
ページ上部の詩は彼女が詠んだもの。

大槌復興米、初めての実り
 岩手県沿岸部の被災者の方々を支援する『遠野まごころネット』を介してこの話を聞いたのが、地元のボランティア団体。そこで彼らは、『大槌復興米』と名付けられたこの3株の「ひとめぼれ」を大槌の復興のシンボルとして育て、増やしたいと考え、翌2012年春には立派な苗へと育てました。そして、ひょっこりひょうたん島のモデルといわれる、大槌湾に浮かぶ蓬莱島(ほうらいじま)をかたどった小さな田んぼにその苗を植え、夏の暑さの下では、水の管理や草取りなど毎日つきっきりで世話を続け、やがて秋には可愛い田んぼいっぱいの収穫を迎えることができました。
2年がかりの”おにぎり”

 そして迎えた2013年春。前年に収穫した5・4キログラムの籾から育てられた苗は、新たに借りた広い用地に、田起こしや代(しろ)かきなどの準備を経て植えられました。6月までは日照りの続く水不足、その後は一転、梅雨の長雨、豪雨、日照不足など厳しい天候が続きましたが、たくさんのボランティアやスタッフの頑張りにより美しい稲穂をつけ、9月末には大勢の人たちが集い、賑わうなかで稲刈りを行いました。
 こうして、3株の稲から始まった奇跡のお米の物語は、2年を掛けて387・5キログラムもの籾として結実。11月上旬に行われた『まごころ収穫祭2013』で、ついに大槌復興米として、初めて炊き上げられたのです。

 待望の2年がかりのおにぎりを味わった菊池さんは、言います。
「ススキのように痩せた稲が、皆さまの温かい心と協力によって力強く背を張り、量を増し、こんなに多くの実りとなりました。正直なところ、奇跡が生んだお米がかわいそうな気もして、噛んでおにぎりを食べられないとも感じますが、こうして近くへ遠くへと羽ばたき、多くの方の元へ届けられるまでに至ったこの稲は、幸せだったのだとも思います。あの津波のあとに、私たちはこのお米から生きる勇気をもらいました。そしてこのお米を応援してくださる人の輪も、広がってきました。
 3株の稲から始まった大槌復興米が、人と人や、大槌町と各地とを結ぶ絆となり感無量です」

小さな命をt繋いでいく

 今年は、大槌町だけでなく、遠野やそのほかの地域でも大槌復興米を育て始めました。津波を乗り越えて芽吹いた”たった3株の小さな命”は、菊池さんをはじめ、地元の皆さんやボランティアに見守られながら次の世代に繋げられています。そして、地域を越えて広がっています。 この先もその力強い命の連鎖が、多くの人々を勇気づけていくことでしょう。

被災地研修を通じた繋がり

 JALグループは、被災地での研修プログラムにて、2014年5月より大槌町を訪れています。そこで、遠野まごころネット代表から震災当時のお話を伺ったり、『はーぶの郷』で農作業のお手伝いをさせていただくなかで、大槌復興米のことを知りました。

 これからも続いていくこの奇跡のお米のストーリー。私たちも、その一端を紡ぐことができたら…、そして、多くの方々にこのストーリーを知っていただくお手伝いができたら…。そんな思いから、2014年11月からの2カ月間、国内線ファーストクラスのご夕食として、今秋収穫された大槌復興米を、現地の皆さまの思いとともにお届けします。

右写真/今年の大槌復興米の実り。
遠野まごころネット臼澤理事長(右)とJAL東北支店志田

写真提供・協力:遠野まごころネット