CSR JAL Happy Eco Project 特別企画
MISIA Special Interview

MISIA×JAL JAL Happy Eco Project 特別企画 MISIA Special Interview 1.名誉大使の役割と活動とは? 2.名誉大使として訪れた場所で感じたことは? 3.「生物多様性」を意識し始めたのはいつごろ? 4.「生物多様性」を守るためにまず始めることは何? 5.「Child AFRICA」「mudef」を通じて思うこと。 6.今年訪問した南アフリカは? 7.新曲「ライフ・イン・ハーモニー」& DAVID FOSTER 8.COP10 そして、これから。

  • Q1:COP10も間もなく開催ですが、名誉大使としての具体的な役割や活動を教えてください。

名誉大使としての主な役割は、『生物多様性』とは何かを、より多くの方々に知ってもらう事、COP10が行われる事を知ってもらう事、そして『生物多様性』についての知識と意識を持ってもらえるように、アーティスト・シンガーMISIAとして伝える事だと思っています。

私は学者でも、政治家でも、生物多様性の専門家でもありません。だからこそ、難しい形ではなく、専門知識がない人と同じ目線で、関連する国際会議やイベントなどを通じて『生物多様性』の重要性を訴えられたらと思います。

名誉大使としてのオフィシャルな活動以外でも生物多様性に関する取り組みを独自に行っています。
今年1月には、これまでの活動をさらに広げるために、一般財団法人mudefという団体を立ち上げているのですが、そこでは、SATOYAMA BASKETというサイトを設置しました。来ていただいた方に、生物多様性とは何かを学ぶ事が出来るようにしています。
私自身が、生物多様性について学ぶため、現状を知るために視察に行っているのですが、その様子を映像や文章で伝えていますので、是非見て頂きたいです。

トークショウやライヴでも普及活動をしています。7月に行った『星空のライヴY』では、河口湖や長崎、大阪でのライヴが野外で行われ、自然を感じてもらいながら、生演奏で音楽をお送りし、音楽を楽しんで頂く中で、生物多様性を感じてもらおうという取り組みをしました。また、Biodiversityの普及活動の一環で、mudefでBiodiversity Bandを制作しました。収益は、国連を通して生物多様性保全のための活動に寄付されています。

  • Q2:名誉大使としての活動の中で、今年訪問した場所(土地)、人々とのふれあいの中で気づいたこと、感じたことを教えていただけますか?

3月に名誉大使に就任してから、これまでに対馬、屋久島、能登半島、黒姫高原を訪問しました。
視察の様子は、SATOYAMA BASKETで紹介させていただいているので、ぜひ見ていただければと思います。

日本列島自体、北海道から沖縄まで多様な生き物が暮らしています。高低差が大きいことや火山が多いこともあり、非常に豊かな植生があり、そして島国であることから、固有種も多い。日本では動植物の75%が固有種なんですね。

黒姫高原では、人工林は、途中で放棄せず、きちんと人が手を加え、森に空間を作り、光が差し込むようにするなど、管理していく必要があると聞きました。その空間に花や植物が生まれ、虫や鳥、動物がやってきて、多様性が生まれるからです。健康な森には様々な種類の木や動植物がいます。実際に、その森では、たくさんの生きものによる音があふれ、風を感じられました。

視察を通じて、いろいろな場所を訪れ、対馬のツシマヤマネコのように、多くの生きものが絶滅の危機に直面していることを知りました。日本は国土の7割が森に覆われているといわれるように、一見自然が壊れていないように見えますが、よく見ると森が人工林で、同じ種類の木しかなかったり、里山が荒廃しています。開発や外来生物、昔からの伝統的な里山などが失われたことで、生物多様性の損失が懸念されています。日本は、ホットスポットと呼ばれていて、豊かな生態系と同時に危機的な状況にあります。

でも視察に行って地元の方にお話を聞いていくと、決して自然を壊したいと思っている訳ではなくて、自分たちの生活と、どうやって折り合いをつけていけば、この環境が守られていくのかというところが一番のネックになっているということを感じました。

自然と、どうやって上手に折り合いつけて、どこで握手をして生きていくかということを話しあう大切さを感じています。

  • Q3:生物多様性ということば自体を知っていても、内容までを理解している人はまだ少ないのが現実ですが、ご自身が生物多様性を意識されたのはいつ頃からでしょうか?

お恥ずかしながら、生物多様性という言葉を知ったのは、ここ数年です。生物多様性を考えるきっかけは、2007年にアフリカに行った際に訪れたある村で、開発による湖の汚染によって、それまでの自給自足の暮らしが困難となり、貧困に陥ってしまうという話を聞いたことが始まりでした。貧困問題に、環境問題が結びついている事があるという事実を知った瞬間でした。

生物多様性は、環境問題や開発問題に取り組む際に、とても大きな鍵となる概念だと思います。もしも、生物多様性の重要性を認識した上での開発であったならば、回避出来た問題もあったのではないかと思うからです。
貧困に陥ると、教育を子どもが受けられなかったり、母子保健が不十分になったりして、子どもの将来にも影響します。生物多様性の損失は、あらゆる問題につながっています。当たり前のことなのですが、私たちは衣食住の全てを自然に頼っています。しかし近代化がされた私たちの生活では、そのことが、なかなか見えてきません。

環境省の調査で、生物多様性という言葉を聞いたことがある方は、4割なのだそうです。しかし、例えば、昨日食べた夕食は何だったか思い出してほしいんですが、お米や肉、魚、野菜などたくさんの種類のものを食べていることに気づきます。また、日本人が大好きな豆腐や納豆、お味噌やお醤油の原料である大豆など、多くの食品が海外から輸入されています。輸入なしに日本は生きていけないのですが、同時に、輸出している国の環境や生態系を壊している可能性もあります。

病気になると飲む風邪薬も、現在は遺伝子研究と切り離せないのですが、その遺伝子の多くが、途上国で採取されています。地元の人たちが価値を知らずに提供してしまい、結果としてその地域の多様性が失われることも、大きな問題になっています。

生物多様性は身の回りの自然だけではなくて、世界中のあらゆる地域と密接にかかわっています。私たちのライフスタイルが、地球の環境に大きな影響を与えています。今、生物多様性は、私たちのライフスタイルを見直さなければ、守れない時代にあります。そのことへの意識を持つことが必要です。

  • Q4:「自然との共生」と言われますが、自然環境と人間が生活の中でうまくつきあうのは、難しいこともあると思います。自然環境を守るため、生物多様性を未来に持続するために、私たちが身近なことから何かを始めるとしたら、それは何だと思われますか?

知識と意識を持つこと、そして、まずは自分の周りのことに目を向けることが大切だと思います。
名誉大使として視察を重ねた後、じゃあ、東京はどうなっているんだろう、と考えました。自分の身の周りのことを知らない事ってあります。たとえば東京でスズメが減っているといわれていますが、なぜなのか。意識するといろいろなことに気づきます。

東京に住んでいると、自然が少ないといわれますが、東京自体は中心に皇居や明治神宮などがあったり、非常に緑がある街です。住んでいる地域でも神社には鎮守の杜がありますが、あの鎮守の杜も生物多様性の宝庫だったりします。是非、生物多様性がある場所を訪ねてみてください。私も最近気づいたのですが、そこは、とても気持ちが良く感じる場所です。生物多様性がある中で育った食べ物も、美味しいですよ。
自分の身近な環境や、ライフスタイルについて考えること、そして自分にできることは何か考えること、いろいろな方の意識が今、求められています。

  • Q5:アフリカの子どもの教育環境づくりを支援する取り組み「Child AFRICA」や、今年はmudef(ミューデフ)という、飢餓や貧困の撲滅や初等教育の普及等、2015年までに達成すべき国際的な目標「ミレニアム開発目標(MDGs)」の達成を支援する一般財団法人の設立にも関わっていらっしゃいます。またそれが、今のCOP10名誉大使としての活動に大きく影響していると思いますが、こういった活動を始められたきっかけ、また、始められてからご自身が特に感じていることなどがあれば教えてください。

2005年に「ほっとけない世界のまずしさ」というキャンペーンに参加しました。貧困の撲滅を掲げる世界的なキャンペーンだったのですが、その後、活動を続ける上で、貧困問題の現状を知りたいと思うようになりました。そんな時、U2のボノさんにお会い出来る機会があったんです。その時、「実際にアフリカに行くべきだ」とのアドバイスをいただき、背中を押され、2007年にケニアに行きました。

ケニアでは首都のスラムや、都会から離れて自給自足で暮らす村などに行きましたが、そこで彼らの豊かな歴史や文化、生活に触れる中で、非常に教わることが多くありました。子どもたちの学校に行ったときは、子どもにとって、学校は学ぶ場であり、ときには暴力から逃れるための場所であり、また生きるために必要な知識を学ぶところでもありました。また、学ぶことで、自分が貧困から脱出したり、自分の健康を守ったり、生活状況を改善させるなど、学ぶことが、生きるために大切な手段でもあることを知りました。

教育の大切さを知る中で、もっときちんと向き合い、活動をするために、また貧困問題を学び続け、アフリカのこと、子ども達のことをもっと知るために、Child AFRICAの活動をスタートしました。今回の名誉大使のお話は、これまでのChild AFRICAの活動を評価していただいたからだと聞き、嬉しかったです。

今年5月は、Child AFRICAの活動をさらに発展させて、賛同していただいたアーティストの方などと一緒に、一般財団法人mudefを立ち上げました。「音楽とARTが世界をデザインする」との考えから、音楽とARTを通じて、子どもの教育や、生物多様性などを含めた、世界の様々な問題に取り組むことを目指しています。

活動の中で感じることは、貧困問題でも、生物多様性の問題でも、『世界中と共に生きている』ということを忘れないで日々を過ごしていく大切さです。あらゆることが繋がり合っています。

知ったことを伝え合うことの大切さも感じます。これも、貧困問題でも、生物多様性の問題でも感じる事なのですが、コミュニティーがしっかりしている所は、問題を解決する力が大きいです。音楽やライヴ、家族や友達、仕事仲間などのコミュニティーをこれまで以上に大切にしたいと思うようになりました。

  • Q6:今年は南アフリカで開催されたワールドカップにも行かれていますが、南アフリカは特に治安の悪さや貧困が問題となっています。実際に行かれていかがでしたでしょうか?

南アフリカW杯でのFIFA公式アルバム「Listen Up!」に「MAWARE MAWARE」が収録されたことから、6月にライヴをするために南アを訪れました。治安が悪いと言われている場所にも行きましたが、特に怖い思いはしませんでした。都市部は非常に発展していて、これまで訪れたアフリカのどの国よりも、圧倒的に経済的に豊かだと思いました。ただ、格差の大きさは感じました。スラムでは青年層の失業率が70%。スタジアムに行った際、若い人たちがとても嬉しそうに仕事をしていたことが印象的でした。仕事は生き甲斐にも繋がりますね。

またエイズ孤児と呼ばれる子どもが増えていることも、深刻な問題です。「Listen Up!」の売り上げの一部は、FIFAの「20 Centres for 2010」オフィシャルキャンペーンを通して、アフリカ全土に20の「Football for Hope」センターを設立するという取り組みに寄付されています。
ケープタウンにあるセンターに行ったのですが、サッカーを教える他、集まった子ども達のHIV/エイズ検査や蔓延防止教育、またカウンセラーも行われています。またコミュニティーとしての役割もあり、ダンスをしたり、子ども達がそこで映像のノウハウを学んだり、学校が終わってからの時間帯で犯罪に巻き込まれてしまう事が多いので、学校が終わった後の学童保育の役割も持っていました。アフリカには多くの問題が存在しますが、その問題を解決しようという動きがあるのもまた事実です。

  • Q7:新曲「ライフ・イン・ハーモニー」はMISIAさんご自身が作詞され、生物多様性のメッセージが込められているということですが、具体的にはどのような想いが込められているのでしょうか?また、プロデュースはDAVID FOSTERさんで、LAでレコーディングをされたとのこと。いかがでしたでしょうか?
    (FOSTERさんはJALとも関わりが深く、JALオリジナルソングを作曲・プロデュースしてくださっています。)

DAVID FOSTERさんとのレコーディングは、本当に素晴らしかったです。子供の頃から、彼が作る音楽を聴き、感動してきました。その方と音楽をご一緒出来ることは本当に光栄です。正直に言いますと、最初はとても緊張しました。けれど、DAVIDさんは自宅に招いてくださり、家族で歓迎してくださり感激しました。その自宅にあるスタジオでレコーディングしたのですが、空が見えるスタジオで、その庭にハチドリが訪れ、まさに生物多様性を感じる中でのレコーディングで、とても気持ち良く歌わせて頂きました。曲のアレンジも歌詞とリンクしていて、とても気持ちが入りやすかったです。

基本的に自由に歌い、時々DAVIDさんが、さり気ないアドバイスをくださり、そのアドバイスで歌ってみると、とても歌がドラマティックになるという魔法に驚きながらの作業でした。厳しい一面もある方のようですが、とても紳士的で、優しく、ユーモアがあり、常に人への気配りを忘れない、そんな方でした。

歌に込めた具体的なメッセージですが、ここに歌詞を全て載せてしまう事になりますので、是非、一度聴いて欲しいです。

先日、石川県の神子原と言う棚田を視察に行った際、現地の方が
『自然界には"害虫"という虫も、"雑草"という草もありません。全ての命に、生まれて来た意味があり、役割があるんです。人間がそれを知らないだけなんです。もっと私たちは自然のことを知らなければいけませんね。』
と言われていた事が、とても印象的でした。表現している言葉は違いますが、この歌も、そんな繋がりを感じてもらえばと思っていたので、とても共感しました。

MISIA×FOSTER コラボ曲『LIFE IN HARMONY ライフ・イン・ハーモニー』情報はこちら

  • Q8:COP10について、また、音楽や国連などこれからの活動において、MISIAさんが大事にされていこうと思われていることがあればお願いします。

COP10では、是非、発展性のある話し合いがなされることを願っています。私たちの命を守って欲しいです。

これからの活動についてですが、やはり音楽を通じて伝えていきたいです。以前共演したユッスー・ンドゥールというセネガルの歌手の方に「歌は言語です」と言われました。歌そのものが人の心に届く言語であり、伝える力になると。その力を大切に、活動していければと思っています。

MISIA Profile

1998年「つつみ込むように…」でデビュー以来、「Everything」「逢いたくていま」など数々の名曲を発表し、活躍するアーティスト。
2005年よりG-CAP (Global Call to Action Against Poverty: 貧困をなくすためのグローバル・コール)の日本版キャンペーンに参加。
2008年のTICAD W(第4回アフリカ開発会議)の際にはU2のボノ、ユッスー・ンドゥールらとともに貧困撲滅を訴えるイベントに参加。
2008年には「Child AFRICA(チャイルド・アフリカ)」設立。
国際機関と協力をして、途上国の子どもたちを取り巻く教育の問題を中心に支援活動を行うなど、世界的視野のもとでの社会貢献活動にも注力している。
2010年3月 これまでの功績を認められ、国連本部より生物多様性条約の会議(COP10)の名誉大使に任命された。

Information

  • MISIA×FOSTER コラボ曲『LIFE IN HARMONY ライフ・イン・ハーモニー』 収録
    『DAVID FOSTER Presents LOVE,AGAIN』 CD2010年9月15日発売

    DAVID FOSTERは、全世界で5億枚を売り上げ、最もホットな世界No.1ヒット・プロデューサー。今秋10月、遂に16年ぶりの来日公演を行います。それは、シカゴのピーター・セテラ/ナタリー・コール/大ブレイク中のシャリース/ルーベン・スタッダードら豪華ゲスト・ヴォーカリストを率いた奇跡の来日公演。
    この来日を記念したアルバム『Love Again』には、マドンナ×マイケル・ジャクソン史上初の同時収録、ホイットニー・ヒューストン、セリーヌ・デイオン、アンドレ ア・ボチェッリ、ナタリー・コール&ナットキング・コール、ピーター・セテラ、トニ・ブラクストン、チャカ・カーン、シェリル・リン、オリビア・ニュート ンジョンetc…フォスター代表作を網羅、ビッグ・アーティストの大ヒット曲ばかりをコンパイル。
    そして、日本を代表する歌姫"MISIA"と夢のコラボ曲【LIFE IN HARMONY ライフ・イン・ハーモニー】がボーナストラックで収録されています。
    LOVE, AGAIN 超豪華コンピレーションCD(CD2枚組 全34曲収録)WPCR-13934/5 ¥3,480 (税込)

  • MISIA 『星空のライヴVI ENCORE 2010 International Year of Biodiversity』 2010年10月20日発売

    初回生産限定盤には、特典として新曲『LIFE IN HARMONY』のCDが付いています。 DVD+CD/4,935円(税込)