Safety 原因の洗い出しと講じられた対策

対策を講じる際の基本的な考え方

プロジェクトチームは、洗い出した約100項目の原因を、1つ1つ詳細に分析、評価したところ、約20項目については、「理論上は起こりうるが、現実的には起きえないもの」、もしくは「既に対策が講じられているもの」であることを確認しました。
そこでプロジェクトチームは、残る約80項目の原因に対策を講じました。つまりこれは、想定しうるあらゆる原因を網羅した対策になっています。後日、運輸安全委員会によって当社事例、もしくは国内他社事例の原因が特定された場合でも、既に対策は講じられていることになります。同時に、バッテリーからの発煙、熱損傷など、いかなる不具合にも対応した対策となっています。

図:バッテリー不具合に至ると想定される原因を洗い出した

バッテリー不具合に至ると想定される原因を洗い出した

図:洗い出されたすべての原因に対策を講じた

洗い出されたすべての原因に対策を講じた

洗い出された約80項目の原因

不具合発生のメカニズム

今回、当社ならびに国内他社で発生したバッテリー不具合は、青く塗られたバッテリーケース内に収められている「セル」と呼ばれる8個のリチウムイオン・バッテリーのなかの1個が何らかの理由で過熱したことから始まったことが解明されました。

図:ボーイング社が分析したバッテリー不具合発生のメカニズム

ボーイング社が分析したバッテリー不具合発生のメカニズム

2階層におよぶ対策

今回、ボーイング社が講じた全18項目の対策は、多階層の防護構造となっています。すなわち、1層目の対策として「1個のセルの発熱防止対策」を講じたにも関わらず、万一1個のセルが過熱状態になったとしても、その過熱状態を周囲のセルへの伝播させない「セル間の伝播に対する対策」(2層目)が過熱の拡大を止める構造となっています。

図:2層目の対策

この2層目の対策により、バッテリーシステムの信頼性は、さらに改善されます。

想定外を想定した3層目の対策

今回の対策策定にあたってボーイング社は、想定されるあらゆる原因を洗い出しました。ボーイング社は、さらに「想定外を想定」し、万一の場合でも発生した煙が操縦室や客室内へ流入したり、バッテリーが設置されている電気室で火炎が発生するのを防止するため、3層目の対策を追加しました。

図:万一2層におよぶ対策でも周囲のセルが過熱状態になってしまった場合、煙が機内に漏れ出すバッテリー不具合に至らせない対策(3層目)

万一2層におよぶ対策でも周囲のセルが過熱状態になってしまった場合、煙が機内に漏れ出すバッテリー不具合に至らせない対策(3層目)

具体的にはバッテリー全体をステンレス製の強固な容器に格納し、電気室のほかの機器からバッテリーを完全に隔離しました。万一、バッテリー内の1個のセルが過熱状態となり、さらに周囲のセルまでが過熱状態となって煙が発生した場合でも、その煙は容器内に閉じ込められ、新設した専用配管を通じて、直接機外に放出されるため、操縦室や客室内に煙が漏れ出すことはなくなりました。また、このステンレス製の容器は密閉されていますので、仮に火炎が発生しても容器内は酸素が不足し、自然に鎮火することになります。

写真:バッテリーケース全体を格納するステンレス製容器

バッテリーケース全体を格納するステンレス製容器(展示用模型)
ステンレス製(緑色)の容器のなかに、バッテリーケース(青色)が入る。高圧にも耐える。容器周囲の白いケーブルは電気配線。容器内の煙を機外に排出する配管は、容器の背面に取り付けられる。

ボーイング社が講じた多階層の不具合防止対策