
子どもたちに美しい地球を残したいと願う、山田光男機長。

山田機長の言葉をまっすぐに受け止める子どもたち。
4月3日午後6時30分。北海道札幌市の時計台ホールに約200人の親子連れが集まりました。彼らが見つめるのは、前方の大きなスクリーンとボーイング767の山田光男機長。空からの視点で伝えられる環境問題に、みんな真剣な顔で聞き入っています。
これは、JALがボランティアで行っている出前講座「そらいく」。空から地球を見つめ続けてきたパイロットが、環境問題の大切さを子どもたちに伝える取り組みです。
「ボーイング747は燃料1リットルで何メートル飛ぶでしょう?」
この問いに客席の子どもたちは「8メートル?」「わかんない」など口々に答えます。機長が「答えは80メートル。飛行機は意外と燃費がいいんです」と正解を話すと、「当たった!」など感嘆の声が。飛行機について、地球環境について伝えたい。そんなパイロットの想いと子どもたちの興味・関心が結びついた瞬間です。
空から見た環境問題も深刻です。例えば、北極圏の氷。1980年頃の、北極は真っ白な氷に閉ざされた世界でした。しかし今年1月に撮影された写真で、氷が解け、広い海面に1年氷が浮かんでいる様子を見て衝撃を受けました。このほかにも、砂漠化が進んでいるモンゴルの大地、海水温上昇で生態系が変わった珊瑚礁の海など、山田機長は、コックピットで気がついたリアルな環境問題を次々に子どもたちに伝えていきます。

砂漠化が進むアジアの大地。
「燃料効率化プロジェクト」の取り組みも子どもたちの関心を集めました。最も燃料効率の良い高度を選ぶ、逆噴射しないなど、パイロットの工夫で燃料を節約するというものです。整備部門では上空で付着した塵などを機体から洗い流すことで燃費を良くする工夫を、客室部門はなるべく軽い食器を利用して機体を軽くするなど、JALの飛行機に関わる全てのスタッフが環境問題に取り組んでいます。
この話を聞いた子どもたちも、「うちの車は天ぷら油で走ってるよ!」「学校にはビオトープがある」「飛行機ってリサイクルできるの?」など、素朴な想いを口に出してくれます。
私たちは、地球が生み出す豊かな環境をかりて飛んでいます。だからこそ、この「そらいく」を通じて子どもたちと交流し、この美しい地球を次世代へ残す方法を考えていきたいと思っているのです。
- → 空から見た地球の環境についてお話しします。JAL出前講座「そらいく」
- → 全国各地で開催している「そらいく」の活動報告は「そらエコ便り」をご覧ください
- → 「空のエコストーリー(ラジオCM)」をフォトムービーでご覧いただけます

地球環境セミナーを一部の機長で開催しており、その拡大版として「そらいく」が生まれました。「そらいく」で大切にしているのは、空から見た、実際に感じたことを伝えることです。アジアの上空を飛んでいますと、砂漠化した大地が延々と広がっており、地球環境問題が深刻であることを実感します。最近も、北極圏の氷がすっかり溶け出している映像を見て、驚愕しました。「美しい地球を次世代に残したい。残すためには何をすべきか」と考えるきっかけになった地球環境の変化を伝えたいと思っています。逆に子どもたちから教えられることもあります。水道で手を洗っている時に、隣で洗っていた子どもから「そんなにジャージャー出したらダメだよ。水は鉛筆1本分」と注意されたことがあります。実際に洗ってみると、鉛筆1本分の細さで充分に手は洗えるんです。こうした触れあいを通じて、お互いの環境意識を高めあいたいと思います。また、実際の取り組みとして、私は通称「チームもったいない」と呼ばれる「燃料効率化プロジェクト」に所属しています。我々パイロットの努力で消費する燃料を減らせないかと2006年に立ち上げたチームです。燃料効率のいい経路や高度を選ぶ、タキシング中はエンジンを切る、逆噴射を極力使わないなど、操作上の工夫で3%、消費燃料を減らすことができました。美しい地球と空を次世代に残すため、今後も努力を続けていきたいと思います。
「そらいく」の事務局を務めています。「そらいく」とは、「空からの視点で育てる」と、全国どこへでも「そら行くぞ!」という気持ちを込めて名づけました。私が担当しているのは、主に講座の資料作成とスケジュール管理です。資料の作成では、講師である機長の考えや経験が上手く伝わるように心がけています。どの企業も地球環境問題に取り組んでいますが、JALは地球を空から見ているというところに特徴があります。「そらいく」を聞く子どもたちにも、地球環境問題をグローバルにとらえてもらえるよう、機内から撮影した写真を多く使い、地球環境の変化を肌で感じていただけるよう努力しています。また、呼んでいただいた学校や街の方に関心を持っていただけるように、その地域の画像を取り入れるなどの工夫もしています。うれしいのはやはり、子どもたちからの反応ですね。文集を送ってくれるクラスもありました。中には「『そらいく』が環境問題について考えるきっかけになった。友達にも伝えたい。自分も何か行動を起こしたい」といった内容の文章もあり、励みになっています。機長は勤務時間外でやっていることなので、月に2回程度しか講座を開くことはできませんが、これからも全国の子どもたちに向けて、空からみた環境問題を伝えていきたいと思います。
「そらいく」の司会進行と機器の操作を担当しています。印象に残っているのは、初めて「そらいく」を行った中国・大連の子どもたち。キラキラした瞳で話を聞き、積極的に質問をする姿勢に感動を覚えました。私たちの仕事の向こう側にこういうお客さまがいらっしゃることを思うと、通常業務の糧にもなります。毎回バージョンアップしているので、見どころは“全部”です。夢は日本全国に足跡を残すこと。「そらいく」をきっかけに、環境問題はもちろん、飛行機の仕事にも興味を持っていただければと思います。




