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企業情報

安全への取り組み

安全上のトラブルと傾向分析

(1) 発生件数の内訳 (2) 安全上のトラブルについての自己分析 (3) 安全上のトラブルの概要とその対策

(1) 発生件数の内訳(2006年10月1日〜2007年3月31日)

(*1) JALI JAA JAZ JTA JEX JAC JAIR HAC RAC 合計
被雷や鳥の衝突などによる航空機の損傷 29 1 1 2 0 2 3 0 0 38
内訳 被雷 11         1 3     15
鳥などの衝突 5     2           7
そのほか 13 1 1     1       16
システムの不具合 32 0 6 0 1 3 1 0 0 43
内訳 エンジン 18(*2)   5(*3)   1(*4) 1 1     26
  操縦系統 4                 4
  着陸装置 4         1       5
  そのほか 6 0 1 0 0 1 0 0 0 8
非常時に作動する機器などの不具合 2 1 0 1 0 0 1 0 0 5
規定値を超えた運航 1 0 0 3 0 1 0 0 0 5
機器からの指示による急な操作など 45 2 0 2 1 3 3 1 0 57
内訳 航空機衝突防止装置作動 37     2 1 3 3 1   47
  そのほか 8 2               10
そのほか 9 0 2 0 0 1 0 0 0 12
合計 118 4 9 8 2 10 8 1 0 160
(*1) JALI 日本航空インターナショナル JAA 日本アジア航空
  JTA 日本トランスオーシャン航空 JAZ ジャルウェイズ
  JEX ジャルエクスプレス JAC 日本エアコミューター
  J-AIR ジェイ・エア HAC 北海道エアシステム
  RAC 琉球エアーコミューター  

(*2) 鳥の衝突によるエンジン損傷7件、外部異物吸入によるエンジン損傷2件を含む
(*3) 外部異物吸入によるエンジン損傷1件を含む
(*4) 外部異物吸入によるエンジン損傷1件

(2) 安全上のトラブルについての自己分析

合計160件のうち、33件(全体の約21%)は、被雷や鳥などの衝突、外部の異物吸入などの外的な要因によって発生した航空機の損傷やエンジンの不具合でした。 また、52件(全体の約32%)は、航空機衝突防止装置(TCAS)の指示(*5)による操作と対地接近警報装置(GPWS)(*6)の警報による操作です。TCASの指示は、下の図の具体例のように、通常の管制指示に従った正常運航においても相手機との位置や速度関係によって作動することがあり、GPWSは地形の特性などによって作動することがあります。いずれのケースでも適切に対処できており、深刻な事態につながるものはありませんでした。 残る75件(全体の約47%)は、航空機の機器やシステムが不具合を起こしたものです。これらのトラブルについては、発生した要因(潜在要因を含む)を分析し、再発防止を図るために対策を立てています。

(*5) 航空機衝突防止装置の指示

航空機衝突防止装置(TCAS)の指示(RA)とは、TCASが周囲を飛行する航空機が定められた距離よりも接近してきたと判断した場合、運航乗務員に危険を知らせ、操作を自動的に指示するものです。 JALグループでは、BN-2Bを除く全機にTCASを装備しています。

(具体例)航空機Aが高度31,000フィート(約9,300メートル)を巡航中であったのに対し、航空機Bは30,000フィートで水平飛行に移行する予定で上昇中でした。しかしTCAS装置は、航空機Bが水平飛行に移る予定であることまでは認識できないため、航空機Bがそのまま上昇を続けて航空機AとBが接近してしまう可能性を排除するべく、安全上指示を行います。

(*6)対地接近警報装置(GPWS)の警告

対地接近警報装置(GPWS)は、航空機が地面や海面に近づいた場合に運航乗務員に警報を発する装置です。この装置をさらに発展させ、ほぼ全世界の地形や空港の位置と周辺の障害物を記憶したE-GPWS(Enhanced GPWS)がありますが、JALグループでは全機にE-GPWSの装備を完了しています。

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(3) 安全上のトラブルの概要とその対策

安全上のトラブルの概要とその対策についてご報告します。いずれのケースにおいても、要因を分析し、必要な対策を立案して実行しています。

被雷や鳥の衝突などによる航空機の損傷 計38件
  • 22件は被雷(15件)や鳥などの衝突(7件)による外的な要因によって発生したものです。
  • そのほかの主な事例としては、エンジン取り付け部カバーの一部のクラック(ひび)が6件ありましたが、飛行への影響はありませんでした。対策として点検の強化と強化型カバーへの交換などを実施しました。
システムの不具合  計43件
  • エンジンのトラブルについては、鳥や異物の吸引による損傷が11件ありました。そのほかの主な事例としては、着陸時にエンジンの逆噴射装置が作動しない事例が13件ありましたが、原因に集中した傾向はなく、個別に定期的な検査や部品交換などの対策を実施しました。また、離陸後にエンジンのコンプレッサーの不調により引き返した事例がありました。分解検査の結果、コンプレッサーの汚れのため内部の気流に乱れが発生したことが原因であると推定されており、コンプレッサーの分解洗浄など必要な処置を実施しました。
  • 操縦系統のトラブルについては4件あり、そのうち2件は、主翼スラット(高揚力装置)を動かすケーブルの一部が損傷していたものです。ケーブルの素線の腐食が原因であり、対策として使用時間の長いケーブルを交換しました。また、自動操縦が手動操縦へ切り替わった事例がありました。昇降舵の駆動装置へ浸入した防除雪氷液が上空で凍結したことが原因であり、対策として防除雪氷液の機体内部への浸入を防止する改修を実施しました。
  • 着陸装置のトラブルについては、離陸後に脚または脚収納室ドアが格納されたことが計器表示で確認できなかったために引き返した事例が4件ありました。そのうち、前脚を格納位置でロックできなかった事例については、油圧を切り替えるバルブの不具合が原因であり、対策として使用回数の多いバルブを交換するとともに、今後は定期的な交換を実施するよう検討しています。そのほかの3件については、センサーや脚収納室ドアのロック装置の不具合による誤表示でした。ほかに、着陸時にタイヤ内部が高温となったため、内部の空気を逃がすバルブが開いてタイヤ圧が低下した事例が1件ありました。対策として関連する部品(ブレーキ系統など)の交換を実施しました。
  • 電源系統のトラブルについては、4つある配電系統のうちの1つに電源が供給できない事例が2件ありました。いずれも発電機制御装置の偶発的な故障であり、メーカーからもさらなる対策などは不要であるとの確認を得ています。
非常時に作動する機器などの不具合  計5件
  • 客室ドアに関係するトラブルが2件ありました。1件は訓練飛行中に左側後方ドアが完全に閉じていないことを示す計器表示があったものです。機体メーカーでの製造時のボルト締結不良が原因でした。機体メーカーであるボーイング社に是正を求めています。ほかの1件は、ドア操作に力を要し時間がかかった事例ですが、ドア操作を補助するシステムの一時的な不具合と推定されています。そのほか、巡航中に非常脱出信号が作動した事例では、機材の不具合は発見されておらず、客室内での目撃証言から乗客(子供)のいたずらではないかと推定されています。
規定値を超えた運航 計5件
  • 飛行中、左右燃料タンク内の燃料量のバランスが一時的に制限値を超えた事例が2件ありましたが、飛行への影響はありませんでした。燃料量のバランス確認が遅れたものと考えられ、運航乗務員に対して注意喚起いたしました。
  • また、上昇中一時的にエンジンの排気ガス温度が制限値を超過した事例が1件ありましたが、検査の結果、エンジンには不具合のないことを確認しました。これは大気の温度の逆転層の影響を受けて発生したものと推察しています。
機器からの指示による急な操作など 計57件
  • 52件は航空機衝突防止装置(TCAS)の指示による操作と対地接近警報装置(GPWS)の警報による操作です。TCASの指示は、通常の管制指示に従った正常運航においても相手機との位置や速度関係によって作動することがあり、GPWSは地形特性などによって作動することがあります。いずれのケースでも適切に対処できており、深刻な事態につながるものはありませんでした。(詳細は本紙のp.8・9をご覧ください)
  • 客室内の天井からの一時的な煙発生により引き返した事例がありますが、蛍光灯用電圧安定器内部の素子が、過大な電流が流れたために焼損したのが原因であり、対策として改良型安定器に交換することとしました。
  • 後部貨物室の火災警報装置が作動し、消火装置を使用した事例については、後部貨物室を通る主翼防氷用のエアダクトから漏れた空気が流出して、貨物室内で巻き上がったほこりが火災警報装置を作動させたのが原因であり、対策として新たに定期的な検査項目を設けました。(詳細については、本紙のp.6をご覧ください)
そのほか 計12件
  • 前方客室ドア上方に複数の軽微なへこみが確認された事例が2件ありました。いずれも旅客搭乗橋の一部が機体と軽く接触した痕跡と推定されています。機体当該部に補強板を取り付ける修理を実施しました。
  • 部品取り付け上の不具合が9件ありましたが、その主なものは以下のとおりです。
    • 1)エンジンからの振動を減衰させる緩衝装置に、サイズがわずかに異なるボルトを取り付けた事例がありました。サイズの差がわずかであったため、見誤った可能性が高いと考えられ、対策として当該ボルトに関する注意事項をマニュアルに記載しました。
    • 2)左側前方2箇所のスライドラフトが入れ替わっていた事例がありました。機体製造時に、機体製造メーカーが間違った作業指示をしたことが原因と考えられています。機体製造メーカーでは取り付け作業と記録を二重に確認することとしました。
    • 3)貨物室の消火剤ボトル2個を入れ替えて取り付けた事例がありました。機体構造検査のために取り外した2個のボトルの再取り付け時に、位置を間違えて取り付けたことが原因です。対策として、取り付け位置を容易に判別できるよう、消火剤ボトル自体に位置表示を行うとともに、関連マニュアルに取り付け位置に関する注意喚起を記述しました。
    • 4)そのほか、前方の貨物室に異なった部品番号のコンテナ固定ロックを装着した事例、異なった部品番号のエンジンの回転計を装着した事例などがありましたが、いずれも部品交換時の確認不足が原因と考えられるため、部品交換時の部品番号確認を強化することとしました。
  • 離陸直後、飲み物コンテナがギャレイ後方の壁に損傷を与えた事例が1件ありました。コンテナ搭載時にロックをかけ忘れ、客室乗務員の確認でも見過ごされた可能性があることから、搭載作業担当部門および客室乗務員に対して文書で注意喚起しました。

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