このページの本文へ移動

環境問題に関する社外との連携

基本的な考え方

国際航空から排出されるCO2削減の議論は国際民間航空機関(ICAO)に委ねられています。全世界で排出される温室効果ガスの約2%が航空分野から排出されており、ICAOは2020年から航空機からのCO2排出量の頭打ち(CNG2020*1)、単位輸送量あたりのCO2排出量の年率2%の効率化を2050年まで継続するという目標を掲げています。国際航空運送協会(IATA)も同様に2020年からCO2排出量の頭打ち、単位輸送量あたりのCO2排出量の年率1.5%の効率化を2020年まで継続し、2050年には2005年対比CO2排出量の半減という目標を掲げています。 JALは、ICAOやIATAなどにおける議論に長年参画し、国際航空分野における気候変動への対応に貢献してきました。現在ICAOでは、CO2削減の長期目標策定に取り組んでいますが、その議論の中心的役割を担っている日本政府と連携し、本邦航空会社としての役割を果たすべく、議論に参画しています。

日本国内では、政府のカーボンニュートラル2050宣言以降、グリーン成長戦略の打ち出しなど、CO2削減に向けた動きが加速していますが、国内航空分野においても官民一体となった取り組みが進められています。JALは、国土交通省が主催する運航・空港などの領域ごとのCO2削減に向けた検討会に個社として参画していますが、業界団体である定期航空協会の幹事会社としても、2030年に向けた本邦航空業界のCO2削減目標検討やSAF(代替航空燃料)の活用、国内における良質で安価な炭素クレジットの組成などに向け、さまざまなステークホルダーと連携して取り組んでいきます。

また、生産・流通・加工を含めた食料システムの温室効果ガス排出量は輸送よりも多く世界全体の21~37%にもなると推定されていることから*2、JALグループでは運航における排出だけでなく、機内やラウンジで提供するお食事についてもさまざまなステークホルダーと協力し、食材の生産も含めたサプライチェーン全体の排出量削減に取り組んでいます。

*1 Carbon Neutral Growth 2020:2020年以降は航空機から排出されるCO2を削減しながら成長を目指す施策

*2 「温室効果ガスフラックスに関するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)特別報告書」(2019年8月)

外部組織における取り組み

ICAO(International Civil Aviation Organization)における取り組み

ICAOでは国際航空分野における気候変動対策を含む環境保全および長期計画策定について、議論および対策が進められています。日本は1956年以降、今日に至るまで連続してICAOの理事会メンバー国に選出されています。そのなかで、JALグループは政府アドバイザーとして環境に対するさまざまな制度設計に貢献しています。具体的には、2021年以降、国際線を運航する航空会社に対して、2019年のCO2排出量を超過した分についてCO2排出権の購入などを義務付ける制度であるCORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)の制度設計・改定議論への関与、CO2クレジット制度およびSAF(代替航空燃料)制度設計への関与、ならびにCO2削減の長期計画策定への助言を行っています。各々の素案を作成するワーキンググループやタスクグループへは毎回出席しており、年次の環境保全会議のステアリング会議、3年ごとに開催される環境保全会議、ICAO総会へもすべて参加しています。また、ICAOの途上国支援策のCORSIAのキャパシティ・ビルディングについても、東南アジア諸国を中心とする政府支援に協力しています。 JALグループはこれからも国際航空分野における気候変動への対応に関し、積極的に取り組んでいきます。

IATA(International Air Transport Association)における取り組み

IATAはICAOの動きを受け、さまざまな目標を定めています。JALグループはIATAにおける環境およびサステナビリティに関する施策の方針決定に貢献しています。

AAPA(Association of Asia Pacific Airlines)における取り組み

JALは、アジアの航空会社14社で構成する業界団体であるAAPAのメンバーとして、年1回の社長会、年4回の理事会、下部組織の委員会であるEWG(Environmental Working Group)の年2回の定例会議のほか、適宜開催される電話会議に参加しています。とくに気候変動への対応は業界を挙げて取り組むべき課題であり、省燃費機材、運航の工夫、SAF(代替航空燃料)などCO2排出量削減に向けた手法について加盟各社で意見交換し、課題解決のために取り組んでいます。なかでもJALは2050年までのネット・ゼロエミッションを表明している立場として、SAFの安定的な供給に向けた働きかけなどを行っていきます。

ワンワールド アライアンスおける取り組み

JALグループは、2020年6月、2050年までのCO2排出量実質ゼロを目標に掲げました。JALグループが加盟するワンワールド アライアンスにおいても、2020年9月、加盟13社(当時)全社が2050年までのネット・ゼロエミッションを表明しました。アライアンスメンバー内においても、CO2排出量削減が航空会社として重要な課題であるとの共有認識のもと、環境負荷低減に向けた取り組み内容を協議しています。

国土交通省の検討会への参画

JALは、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、空港の再エネ拠点化および空港の各施設・車両からのCO2排出削減などの具体的な検討を通じて日本の空港の脱炭素施策を整理することを目的とする、国土交通省「空港分野におけるCO2削減に関する検討会」に参画しています(オブザーバー参加)。
また、航空機運航全般のCO2排出削減のための取り組みを、これまで以上に加速・推進すべく、グリーンリカバリー(環境に配慮した危機からの回復)の観点から日本の航空関連事業者の国際競争力強化も視野に入れ、日本の運航分野の取り組みの方向性について、総合的・複合的な検討を行うため、国土交通省「航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会」にも委員として参画しています。航空会社として、CO2の削減に向けたSAF(代替航空燃料)の安定供給と価格の低廉化・空港における給油施設などのインフラ、環境に関する国際ルールづくりへの関与などについて積極的な働きかけを行っています。

運輸総合研究所における取り組み

2021年のCORSIA制度開始に向け、同制度で使用可能な低炭素航空燃料の制度面等について調査するとともに、海運分野などの航空分野以外の輸送業界にも周知啓発を図ることを目的とした、運輸総合研究所の研究活動、航空分野などにおけるCO2削減の取り組みに関する調査と周知啓発に委員会メンバーとして参画しています。

定期航空協会における取り組み

国内の航空各社が加盟する業界団体である定期航空協会において、JALグループは業界の窓口として、加盟国内航空会社の意見集約、ICAOやIATAからの情報提供といった役割を果たすだけでなく、経団連のCO2、廃棄物、プラスチック削減等の環境施策に対する業界団体としての方針策定を行っています。例えばこれまでの取り組みとして、「2020年度のCO2排出原単位を、2005年度対比で21%削減する」という目標に対し、対処方針の作成を行いました。
また、PCB*実態調査や空港ごとのNOx排出量推算など、政府からの依頼事項に関する対応も行っています。
当社社長赤坂が会長を務め、CO2排出量削減、SAF(代替航空燃料)導入など業界を挙げて取り組みを推進しているほか、2021年3月には、業界横断的な環境課題への対応の検討・推進のために開催された定期航空協会第1回環境委員会において、当社経営企画本部長が委員長を務め、SDGs対応、CO2排出量削減、SAF導入推進に向けた業界としての方向性を定めました。

* Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた主に油状の化学物質です。電気機器の絶縁油や塗料・印刷インキの溶剤など、さまざまな用途で利用されていましたが、慢性的な摂取により徐々に蓄積され人体にさまざまな症状を引き起こすことが報告されたことから、現在は製造・輸入ともに禁止されています。

CO2排出量削減に向けて

環境省支援事業の参画

JALグループは、2018年に、環境省が主管する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」へ参画し、国際エネルギー機関(IEA)、および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などを参照して、今世紀末までの平均気温上昇が「4℃未満」と「2℃未満」の2つのシナリオを設定し、2030年の社会を考察しました。詳しくは、気候変動への対応をご覧ください。

機体およびテクノロジーメーカー、大学との協業

ICAOやIATAを通じて、燃料効率に優れた航空機への継続的な更新や機体および搭載物の軽量化、運航の効率化、整備作業による燃費改善について、メーカーとともに取り組んでいます。燃料効率の向上と環境への影響の低減のため、水素航空機や電動航空機などのゼロ・エミッション新機種について航空機メーカーからヒアリングを行い、技術的課題解決に向けて協業しています。
また、JALグループ社員を大学に派遣し、水素航空機などの新技術の研究に参画しています。

将来の管制に関する産官学連携の取り組みへの参加

国土交通省航空局は、将来の航空交通システムをより安全に効率的なものにし、気候変動などの世界共通の課題にも対応するため、「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン」(CARATS*)を立ち上げています。CARATSは産官学が協力する取り組みで、JALグループもその一員として活動に積極的に参画しています。具体的には、飛行データの研究者への提供、フライトシミュレーターによる実証検証への協力、航空局や研究者との意見交換などを行っています。
CARATSに関する詳しい内容は、国土交通省のホームページ別ウィンドウで開くをご覧ください。

* Collaborative Actions for Renovation of Air Traffic Systemの略

ルート計画技術の向上

航空機の運航においては、飛行距離を短縮することが排出するCO2の削減につながります。JALグループでは国内外の航空交通管制当局と連携を図り、一定の制約のもと、気象条件などにより飛行ルートを自由に設定し飛行するUPR(User Preferred Route)による運航を採用しています。詳しい内容については日々の運航での工夫をご覧ください。

SAF(代替航空燃料)の普及拡大への取り組み

JALグループは、2050年までのCO2排出量実質ゼロに向け、2030年には全燃料の10%をSAFに置き換え、CO2総排出量を2019年度比で90%に抑えることを目指しています。海外では、SAFの製造を行う米国のベンチャー企業であるFulcrum BioEnergy Inc.への出資を行っています。

日本国内では、Green Earth Institute株式会社の技術的サポートのもと、公益財団法人地球環境産業技術研究機構が開発した微生物を用いたバイオプロセスを使用し、国内の施設にて約1年3カ月かけて国内初となる国産SAFを完成させました。2021年2月4日、衣料品の綿から国内の技術のみで製造した、日本初の国産SAFを国内線定期便に初めて搭載しました。 加えて、2021年6月17日には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオジェット燃料生産技術開発事業」において、JAL は、三菱パワー株式会社/東洋エンジニアリング株式会社/株式会社 JERA の3 社、および株式会社 IHI が各々製造した国産 SAF 計 3,132 リットル(混合率 9.1%)を既存のジェット燃料に追加搭載し、フライトを実施しました。前者は木くず、後者は藻を原料とし、2 種類の SAF を同じ便に搭載したのは世界初の試みでした。

また、JALグループは、日本国内で SAF 搭載を普及させていくために、さまざまなステークホルダーをつなぎ、製造・供給体制を構築することに加え、持続可能な価格帯で活用できるようにすることにも貢献していきます。その取り組みとして、廃棄プラスチックなどから、日本で SAF を製造・販売することについての事業性調査を国内企業と共同で実施しています。SAFの開発・普及についてはSAF(代替航空燃料)の開発促進と活用をご覧ください。

排出量取引への対応―JALカーボンオフセット

JALグループでは、環境保護、温暖化の防止に関心の高いお客さまからの声にお応えして、ご搭乗いただく航空機が排出するCO2をオフセットできる選択肢として、「JALカーボンオフセット」をブルードットグリーン株式会社の協力の下、提供しています。詳しくは、「JALカーボンオフセット」をご覧ください。

その他

航空会社ならではの気候変動研究への協力

〔JALの取り組み〕
JALは、1993年から気象庁気象研究所、日航財団(現在の公益財団法人JAL財団)とともに大気観測を開始し、2005年からは国立研究開発法人国立環境研究所、株式会社ジャムコが加わった「CONTRAILプロジェクト」として現在まで活動を続けています。収集されたデータは国立環境研究所を通じて公表され、世界中でさまざまな研究に役立てられています。詳しくは航空機による大気観測 - CONTRAILプロジェクトをご覧ください。

〔J-AIRの取り組み〕
J-AIRのエンブラエルE170/E190を用いた東北大学との大気観測も実施しています。1979年から実施しているこの取り組みは、温室効果ガスの観測としては日本最長のデータレコード、航空機を利用した温室効果気体の観測としては世界最長のデータレコードとなっています。詳しくはJ-AIRの機体を用いた大気観測をご覧ください。

植物由来の代替肉の採用

近年、欧米諸国を中心にベジタリアンやヴィーガンの方だけでなく、健康面に配慮し、意図的に肉の摂取を控え、植物由来の代替肉を選択する方も増加傾向にあります。JALでは米州発ファーストクラスの機内食にBeyond Meat社(本部米国 カリフォルニア州エル・セグンド)のプラントベースドミートである「ビヨンドバーガー」を採用しています。同社では、生産に際し放出されるCO2などの温室効果ガスが、通常の畜産と比較し90%、水の消費が99%、森林伐採面積が93%削減されるなど、環境面・資源面において代替肉が優れているとしています。
また、機内食のコラボレーション・シェフである田中 佑樹氏(伊勢すえよし)の提案を受け、現在日本発の一部の国際線で、代替肉の原料に使われる粒状の大豆たん白を、独自の調理方法で鶏そぼろの鶏肉に仕立て、動物性原材料を一切使用しないお野菜中心のメニューを、ベジタリアンでないエコノミークラスのお客さまにもお選びいただけるようにしております。
植物由来の代替肉の採用は、気候変動、限られた資源の有効利用、健康、動物福祉という4つの世界的な社会課題の解決につながると考えており、今後も最新のトレンドや社会状況、マーケット情報を注視しつつ、環境などに優しい新食材の採用に取り組んでいきます。

持続可能な未来の機内食の開発

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界ではわずか12種類の農作物と5種類の動物性食品が、全食品供給の75%を占めています。この偏りは、栄養バランスの偏りによる健康への影響だけでなく、気候変動、また病害虫への弱さ、生物多様性の損失などの問題をもたらすといわれています。
JALグループでは、植物性食品だけで構成された「未来の50の食材」を参考に、世界的食プロデューサー狐野扶実子氏監修のもと、持続可能な機内食を開発し、ビジネスクラスの一部の路線でご提供しています。この「未来の50の食材」は、生産段階での温室効果ガスの排出量、環境負荷、気候変動や病害虫への耐性、栄養価、生産することでの土壌の回復性や農地面積抑制などの観点から、予見される人口増加*で懸念されている飢餓などをはじめとした世界の食料問題の解決を目指して、ユニリーバ社が英国WWF(世界自然保護基金)と共同で公表した食材のリストです。
今後も機内食の開発にあたり、おいしさに配慮するだけでなく、さまざまな社会課題の解決に向け、「未来への持続的な機内食」への挑戦を続けていきます。

* 国連の「世界人口推計2019年版データブックレット」では、2050年に97億人にもなると予想されています。

国連食料システムサミット別ウィンドウで開く」(FSS:Food Systems Summit(フードシステムサミット))とは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成のためには持続可能な食料システムへの転換が必要不可欠だという、グテーレス国連事務総長の考えに基づき開催される国連主催のサミットです。JALグループはこの趣旨に賛同し、持続可能な食料システムの転換に向け、自らが実施していく取り組みをコミットメントとして出しています。

他の輸送モードとの連携

JALグループでは、鉄道などの他の輸送手段との連携によりお客さまの利便性を向上させるMaaS*に取り組んでいます。

* Mobility as a Serviceの略で、すべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念。

ページの先頭へ移動