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リチウムイオン・バッテリーの特徴

今日では、多種多様なバッテリーが存在します。ボーイング社は777型機など、これまでの航空機にはニッケルカドミウム・バッテリーを使用してきましたが、787型機で初めてリチウムイオン・バッテリーを採用しました。

大型航空機のメインバッテリー、補助動力装置用バッテリーにリチウムイオン・バッテリーを採用するのは787型機が世界初ですが、ボーイング社としては、これまでも、人工衛星や火星探査車など、宇宙分野で使用してきた実績があります。

リチウムイオン・バッテリーはニッケルカドミウム・バッテリーと比較して、

  • 高電圧、高電流が得られる
  • 同じ性能で比較した場合、小型で約30%軽量(携帯機器に利用されることが多い)
  • 長寿命(充放電可能回数がニッケルカドミウム・バッテリーの約2倍)
  • 種々の電気特性が優れている(急速充電が可能、充放電の繰り返しによる充電容量の低下がない、使用しない時の電圧低下が少ない)

などのほか、

  • エネルギー密度が高い
  • 有機溶媒を使用しているため、高温で発火する
  • 振動や衝撃、外力、変形などによって短絡(ショート)を起こす

などの特徴があることから、多重の安全対策が施されています。

787型機にリチウムイオン・バッテリーが採用された理由として、小型・軽量だけでなく、短時間に大量の電力を必要とする補助動力装置の始動や発電機による電源が供給できない場合のブレーキ動力として最適であることなどがあげられます。また、リチウムイオン・バッテリーは、ニッケルカドミウム・バッテリーと同等の安全性が確認されております。

リチウムイオン・バッテリーの構造

従来の電池と同じように、リチウムイオン・バッテリーは、プラス(+)極、マイナス(-)極、電解液(電解質)の3つの要素から構成されています。

787型機に使用されているリチウムイオン・バッテリーには、

  • プラス(+)極: アルミ+リチウムを含む化合物
  • マイナス(-)極: 銅+炭素系材料
  • 電解液(電解質): リチウムイオン(Li)が溶け込んだ有機溶剤

が使用されています。

図:リチウムイオン・バッテリーの構成要素

こうして作られた電池を「セル」と呼んでいます。航空機や自動車、住宅用蓄電装置に使用する際は、このセルを数個~数百個直列につなぎ、高電圧が得られるようにしています。このセルが過熱すると、内部の電解液が蒸気(煙)となりセルは壊れます。また、この時に電解液が蒸気(煙)となり、セルの外に噴出します。

787型機のリチウムイオン・バッテリー

787型機では、青く塗られたバッテリーケース内に、セルが8個収められています。セル1個は約4ボルトの電圧があり、これを8個直列に接続することで、バッテリーとしては32ボルトの電圧出力を得ています。また、バッテリーには、セルの他に、セルの電圧やバッテリーの温度を監視、制御するための電子回路が内蔵されています。

図:バッテリーの内部構造

また、バッテリーの電圧を監視、制御している装置は、バッテリーの充電装置にも組み込まれています。

図:バッテリー充電器

この結果、787型機のリチウムイオン・バッテリーにおいては、バッテリー、充電器に内蔵された計4重の監視、制御用電子回路で、過剰な充電(過充電)を防止し、セルの過熱を防いでいます。

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