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日本アジア航空 平成13年3月期(第26期)決算
日本アジア航空(社長 五十嵐 修)は、このたび第26期(平成12年4月1日〜平成13年3月31日)の決算を取りまとめました。
【営業概況】
当期においても、当社は創業以来の安全運航を引き続き堅持し、真心のこもったサービスの提供に努めて、日台間の交流・交易の拡大に貢献しました。
当期の日本経済は個人消費が伸び悩むなか、前半は輸出と企業の投資意欲に支えられて回復基調を取り戻しましたが、後半にはアメリカ経済減速の影響などから急速に停滞感が拡大しました。これまで全般的には順調な成長軌道を保ってきた台湾経済についても、株価の低迷やアメリカの景気悪化の影響等により、不透明感が広がりました。
当期における当社の旅客需要は、一昨年9月21日の台湾大地震以来低迷を続けていた日本人需要が本格的に回復し、台湾発の需要についてもほぼ前年度並みを確保したことから、前期を大きく上回りました。
貨物については、前半は台湾での半導体やパソコンなどの生産拡大に伴う日本発の製造装置や部品、台湾発の製品など前期以来の旺盛な需要が続きましたが、後半に入りアメリカ経済の急下降とともに、かげりが見られるようになりました。
この結果、旅客・貨物の輸送量は前期比108%の3億76百万トンキロ、営業収益も前期比114%の568億55百万円と前期実績を大幅に上回りました。一方営業費用は燃油費の高止まりにもかかわらず、効率化による管理費などの費用の削減が順調に進んだことから前期比108%の527億23百万円にとどめることができ、営業利益41億32百万円、経常利益42億83百万円を確保しました。
旅客部門
当期の日本人総需要は、台湾中部地震の影響から徐々に回復し、第2四半期より前年を大幅に上回り、その後も順調な伸びを示しました。
この結果、年間総旅客数は史上最高となりました。一方、日台間の外国人総需要は、好調であった前期に引き続き堅調に推移しました。
当社の日台間路線についても、総需要と同様に徐々に回復し、順調に需要を伸ばしました。日本人需要は前年を、上期は3%、下期は56%、通期では27%上回り、総需要を上回る伸びを獲得致しました。旅客数は80万人と89年度の81万人に次ぐ高実績でした。
一方、外国人需要については、下期に台湾の景気の停滞感から前年を6%下回り、通期では3%の減少となりました。この結果、日本人及び外国人を含めた需要では、前期を12%上回りました。
台湾=香港線需要については、下期には大幅に回復したこともあり、通期では前年比22%増の結果となりました。
当社では、堅調な外国人需要を維持するとともに、日本人需要の早い回復を目指し、積極的な販売促進企画やキャンペーンの展開により、更なる増収を目指しました。日本地区では「なーるほど!近くて近いね 日本と台湾」をスローガンに、台湾の魅力を積極的に告知するとともに、「必携ガイド&クーポンBOOKキャンペーン」を展開しました。また台湾地区では、「沖縄クーポンBOOKキャンペーン」「関西クーポンBOOKキャンペーン」を展開して日本各地の魅力を宣伝・告知し、日本への旅客誘致に努めました。
以上の結果、年間の有償旅客キロは26億68百万旅客キロ(前期比113%)、旅客収入は386億19百万円(前期比118%)となりました。
貨物部門
日本発台湾宛総需要については、世界的なパソコン、携帯電話等の電子機器需要増大により、台湾におけるパソコン、液晶モニター、IC等の生産が拡大し、それに伴い日本から半導体製造装置、パソコン部品等の輸出需要が増加したことから、特に上期において前年比30%以上の大幅な伸びを示しました。しかしながら、アメリカの景気減速を機にパソコン等の販売に陰りが出始め、台湾における生産調整、設備投資削減等の影響で、下期に入ると伸び率が急激に鈍化しました。この結果、通期での総需要は前年比9%増となりました。
当社は、適宜貨物臨時便を投入し、半導体製造装置等大型貨物の積極的取込みを実施し、輸送物量を前期比4%増としたものの、他社も貨物便供給量を増やし、一段と競争が激化し需要シェアは3ポイント低下しました。
台湾発日本宛総需要については、上期においてノートブック型パソコン、液晶モニター、IC等のドライ貨物が前年比30%増、生鮮貨物は鮪が不振だったものの活鰻が倍増するなど好調な出荷が見られました。
下期に入り、ドライ貨物はパソコン等の出荷減により増加率は下落しましたが、鮪は若干上向き、活鰻も引き続き好調を維持し、年間での総需要は前期比19%増となりました。
当社は、貨物臨時便等による積取りを強化し、輸送物量は前期比3%増の実績となりましたが、秋頃からアメリカ宛貨物需要の減少に伴い、他社の日本宛貨物獲得攻勢が強まるに従い競争が激化し、需要シェアは5ポイント下落しました。
以上の結果、有償貨物トンキロは1億26百万トンキロ(前期比100%)、貨物収入は87億6百万円(前期比112%)となりました。
その他の部門
郵便収入は前期比90%の1億70百万円、手荷物収入は前期比
102%の1億59百万円、付帯事業その他の収入につきましては前期比103%の92億を、それぞれ計上いたしました。
当社が対処すべき今後の課題
当社は来期から東京線のダイヤの組み替えと機材の大型化及び大阪線の増便によって、利便性の向上と供給座席数の増加を図ることにしています。更に機内居住性の向上を目指して、座席の改修などの検討を行います。貨物便についても定期便を1便増便するとともに、需要動向に応じて臨時便を積極的に運航して供給力の強化を図ります。
また、日本航空(株)を中心とするグループ経営強化施策に積極的に参加します。来期より国内の旅客販売部門は(株)ジャル・セールス・ネットワークへの完全移管、貨物販売部門はマーキュリー・インターナショナル(株)への委託を開始して、販売体制の強化を図ります。間接部門においても、業務のグループ内集約化など引き続き効率化を進めていきます。
2002年度には成田第2滑走路の供用開始が予定されており、台湾側各社の成田への移転と増便などによって一層の競争激化が予想されます。当社もこうした状況に備え、第2滑走路からの増便などを計画するとともに、これまで日台間路線で築き上げてきた実績をもとに、営業力の強化と効率化の推進等を進め、一層の経営基盤強化に努めていく所存です。 |
第25期及び第26期決算比較
科 目 |
25期 (平成11年度) |
26期 (平成12年度) |
差 異 |
営業損益の部 |
営業収益 |
49,731 |
56,855 |
7,124 |
事業収益 |
49,731 |
56,855 |
7,124 |
営業費用 |
48,875 |
52,723 |
3,848 |
事業費 |
36,689 |
40,119 |
3,430 |
一般管理費等 |
12,185 |
12,603 |
417 |
営業利益 |
856 |
4,132 |
3,276 |
営業外損益の部 |
営業外収益 |
214 |
592 |
377 |
営業外費用 |
547 |
440 |
-106 |
経常利益 |
522 |
4,283 |
3,760 |
特別損益の部 |
特別利益 |
152 |
― |
-152 |
特別損失 |
560 |
3,470 |
2,909 |
税引前当期利益 |
114 |
813 |
699 |
法人税、住民税及び事業税 |
242 |
550 |
308 |
法人税等調整額 |
192 |
-322 |
-515 |
当期利益 |
-320 |
586 |
906 |
前期繰越利益 |
131 |
97 |
-34 |
過年度税効果調整額 |
-2 |
― |
2 |
税効果適用に伴う特別償却準備金取崩高 |
599 |
― |
-599 |
当期未処分利益 |
407 |
683 |
275 |
(注)決算値は百万円未満切り捨て表示 |
第26期営業実績
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第25期 (平成11年度) |
第26期 (平成12年度) |
前期比 (%,P) |
有償飛行時間 |
(時間) |
17,175 |
17,161 |
99.9 |
有償旅客数 |
(人) |
1,324,120 |
1,501,329 |
113.4 |
有償旅客キロ |
(千) |
2,366,813 |
2,668,236 |
112.7 |
有効座席キロ |
(千) |
3,507,856 |
3,518,705 |
100.3 |
座席利用率 |
(%) |
67.5 |
75.8 |
+8.4P |
有償トンキロ |
(千) |
348,783 |
376,099 |
107.8 |
有効トンキロ |
(千) |
496,727 |
497,401 |
100.1 |
重量利用率 |
(%) |
70.2 |
75.6 |
+5.4P |
有償貨物トンキロ |
(千) |
126,619 |
126,230 |
99.7 |
(注1)本表には、自社機並びに賃借機等のすべての実績を含む。
(注2)座席利用率・重量利用率の比率欄には、差(P)を表示した。 |
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以 上 |
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