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プレスリリース


 1999年03月16日
 第99021 号

「健全で強いJALグループ」への再生ビジョン


〜1999-2001年度中期計画〜

弊社は昨年1030日に、今後のJALJALグループの経営課題()とその対応の基本方針を策定しました。

これは、世界的な航空業界の変化・転換と、長期・深刻化する日本経済・アジア経済低迷の渦中にあって、JALグループを再生させ、収益性と社会性の両面を具備した「健全で強いJALグループ」を創るために、経営課題遂行の考え方を明確化したものです。

19992001年度中期計画」は、昨年1030日策定の方針に基き、透明性・公正性・戦略性・迅速性・国際性の視点を全ての分野に透徹させ、経営課題への取り組みをさらに深化・発展させるとともに、JALグループ経営の全体構想を取りまとめたものです。

弊社は、この「19992001年度中期計画」を、単に現状からの脱却を模索する計画としてではなく、経営課題達成によって私たちが目指すJALグループの将来ビジョンを明確に示し、その目標に向けて新たな改革の出発を告げるものと位置付けております。そして、この計画に基づき、世界の航空界におけるグローバル化の進展を視野に入れ、市場の視点に立ちながら、生産体制・サービスをも含めて全ての面で、国際競争力あるグローバルな企業体質を、スピードを上げて作り上げていきたいと考えております。

今後とも、皆様のご理解とご支援をお願いします。

以 上

 

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経営課題は「経営の基本姿勢」「営業施策」「コスト施策」「機材関連施策」「財務体質強化施策」「関連事業運営施策」「組織・人事運営施策」の7つの柱から成ります。

JAL NEWS 98062号「健全なJALグループを目指して」)

 

別紙:「健全で強いJALグループへの再生ビジョン・19992001年度中期計画」

 

【別紙】

「健全で強いJALグループ」への再生ビジョン

1999-2001年度中期計画〜

 

 

1.経営の基本姿勢

(1)安全

 安全運航は航空会社の基盤であり、JALグループ全体で安全に対する緊張感を常に保ち、安全に関する迅速な報告・対応と情報の共有化をはじめ、安全への取り組みを更に強化する。

a.航空法改正による安全規制の見直しを着実にフォローアップする。

b.機能強化型地上接近警報システム、新航法システム等の新技術の導入・拡張に

  より、安全運航対策を一層充実する。

c.2000年問題について、引き続き社内「2000年問題委員会」にて取組みを継続

  し、各国管制機関、空港等の社外における対応状況の把握、不測の事態が発生

  した場合の社内バックアップ策を策定し万全の対応を図る。

d.広く弊社の安全情報を提供して一層の信頼を獲得すべく、情報開示の一環とし

  て安全情報のインターネット等による開示を実施する。

(2)株主重視と経営指標

 株主重視を一層強めつつ、長期的な視野から株主への継続的還元を行なえる経営状況を作り上げるため、以下の経営指標を設定すると共に株主サービス体制を強化する。

a.経営指標(決算指標)

 @ 1株当り利益(EPS:Earnings per Share)  10円以上

 A 総資本利益率(ROA:Return on Asset)   2%以上

  (注)当社は有利子負債の大きい企業であることから、株主資本利益率

   (ROE:Return on Equity)よりROAを指標にすることが適切である。

  ちなみに、上記ROA目標はROEでは10%を目標にするのに相当する。

b.株主業務室を独立した部に改編し、IR(インベスターリレーションズ)の強化を図る。

c.経営状況等に関する情報提供を四半期毎に行う。

(3)社会的責任

 社会的信頼の回復に努めると共に企業の社会性に一層配慮する。

a.反社会的活動に対しての毅然たる対応と、不断の自己点検を継続する。

b.業務監理部に総合監査機能を付与して、社内業務遂行の一層の適正・透明・効

  率化を図る。

c.地球温暖化、廃棄物、騒音等の環境問題には、弊社機装工場での「ISO14001」認証取得により

  蓄積されたノウハウも活用し、JALグループ全体で前広に対応していく。

(4)役員体制・経営会議

 時代、市場環境の激しい変化に適切に対応するため、意思決定の迅速化、戦略決定責任と執行責任、年度会社業績への責任の明確化を図るべく、役員体制等を以下の通り改革する。

a.取締役数を削減し、執行役員を導入する。(99年6月の株主総会後、現在の常勤取締役28名が13名となり、

  社外取締役2名を加え合計15名となる。)

b.取締役・執行役員の任期は1年とする。

c.従来の「常務会」に替え「経営会議」を置き、取締役、常勤監査役および社長の指名する執行役員によって、

  経営の重要な事項について方針・戦略を決定する。

d.新年度開始時(99年4月1日)から新体制とする。

e.相談役制度を廃止する。

f.JALグループ各社においても、JAL本体に準じた改革を行なう。

(5)JALグループ経営

 JAL本体については、機能組織における責任の明確化、並びにその機能に最適な組織運営体制を作り上げるべく、分社化、社内カンパニー制を推進する。

 同時に、連結決算重視への会計基準の変更など企業グループとしての総合力がますます重視される中で、JALグループの総合的な事業力強化を図っていくために、将来に向けて目指すべきグループ事業運営の全体構想(ビジョン)を明らかにし、それに向けた施策を講じて行く。

 

2.JALグループ経営の全体構想(ビジョン)

(1)基本的な考え方

 強い市場競争力のある有機的結合体としての企業グループに再生させるため、JAL本体の機能再編・JALグループの再構築により、グループの連結経営力を強化する。また、グループ総体としての一貫した経営戦略を実行するため、戦略的な経営情報システムの構築、監査機能充実等によるJAL本体のグループ統括機能を一層強化する。

(2)航空輸送機能

.国際線  JAZ(ジャパンエアチャーター、社名変更予定)のコスト競争力を一層活用するため、99年度中にJAZを定期航空会社化し、

        東南アジア・オセアニア・太平洋リゾート路線を順次移管する。

.国内線  JEX(JALエクスプレス)の最大限の活用を図るべく、B737を早期にJEXに移管する(2000年度中を目途)。

        B767も極力早期にJEXに移管し、より効率的な運航体制を構築する。

.貨物事業 機動的な事業対応を可能とすべく、社内カンパニー化を目指す(99年度中を目途)。

(3)販売機能

 CS(カスタマー・サティスファクション)の考え方を徹底し、お客様の視点に立った商品作り・サービスを進める。

a.旅客事業

 @ マーケットに密着した顧客ニーズ対応と商品作り、情報化の進展に対応した販売方式への転換を図る。

 A 営業系関連会社を含むJALグループ各社の総合力結集による販売体制の強化を図るため、当社販売部門の販売会社化を含め、

   新たな販売体制の具体策を99年度上期中に策定する。

.貨物事業

 @ サプライ・チェーン・マネジメントの進展に伴う顧客ニーズへ積極的に対応していくとともに、情報システム基盤の強化を図ること

   により、販売体制を強化する。

 A 99年度中を目途に、販売部門を販売会社化し、販売力強化を図る。

(4)整備機能

 安全運航の確保を大前提として、JAL本体整備機能の社内カンパニー制も視野に入れつつ、既に委託・外注している整備関連会社群との有機的結合を図る。また整備品質に関する監査・監視機能を十分確保した上で、整備委託拡充を進める。

(5)空港関連機能

 空港における各種取扱業務は、分社・委託化を更に徹底して推進する。

(6)間接業務機能

 グループ統括機能を除く各種間接業務については引き続き委託・外注化を推進する。

(7)資金・経理機能

「経理センター」を99年4月に、「資金センター」を2000年4月に新設する。これらによりJALグループ全体の資金調達・運用機能と経理機能を集約し、グループとしての有利子負債削減・キャッシュフローの改善・資金効率向上を図るとともに、事務効率の向上を図る。

(8)独立ビジネス領域

 ホテル・商事流通・機内食・情報システム等の独立ビジネス領域については、中核会社を定めて同一分野の会社群を有機的に結合して分野強化を図り、適格性を有する会社は株式公開を行う。

(9)組織・人事・福利厚生

a.グループ全体の生産性向上と最適な雇用形態の組合わせを追求し、グループ内の人材活用、人材の流動化等の課題に対応する。

b.JAL本体で、業務の見直し、組織のスリム化等を一層推進することにより、従来計画の「2001年度までに地上職(国内地上社員

  及び海外現地雇用地上社員)約2,300名削減」を極力前倒しで実施する。

c.上記b.を含め、JALグループ全体の地上職約36,000人を2001年度までに10%削減し、グループ全体としてより効率的な体制を築く。

d.加算年金制度について、年金基金の運営状況を踏まえ制度の健全性を維持する観点から、予定利率の見直しを含め給付と負担の

  あり方についての見直しを検討する。

10)対外活動

 航空利用者利便の向上、航空会社全体の国際競争力強化、内需拡大と日本に対する国際理解促進のために、以下の点につき、理解と支持を求める。

a.首都圏空港容量不足を早期に解消すること。

b.成田二期後の本邦企業の発着枠シェアを、世界における自国企業シェアのレベルへ引き上げること。

c.公的負担を一層国際標準化すること。

d.訪日外国人増加のための、国際観光の積極的振興を図ること。

 

3.事業計画

(1)事業規模

JALグループ全体で、機材稼動向上等現有機材の有効活用により、19992001年の各年平均で座席キロベース2%、有効トンキロベース3%の輸送力増を計画する。

(2)機材計画

JALグループ全体で、「機材調達方式の見直し」「機種構成の見直し」を図る一方で、「機材稼動の向上」と「路線リストラの徹底」により、2001年度配置総機数を前回中期計画(98年3月17日策定)から15機削減し(導入12機減、退役3機増)、98年度並みの151機とする。

(3)収支計画

 JAL本体において、従来2000年度実施としていた「97年度対比単位輸送力当費用10%削減」を99年度に前倒し実施する。また、販売体制の再構築等による最大限の収入確保等により、期間中の各年経常利益300億円程度を目指す。

(4)資金計画

JALグループ全体で、機材計画見直しと事業キャッシュフローの改善等により、連結有利子負債を97年度末の1兆5千億円から2001年度末には1兆4千億円とする。

 

 

以  上

 

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