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プレスリリース


 1999年10月29日
 第99060 号

平成12年3月期(第50期)中間決算


日本航空(株)は、本日(10月29日)の取締役において、第50期中間決算を承認いたしました。

詳細につきましては添付の「中間決算短信」をご参照ください。

(1)     経 営 方 針

 

 当社は、「安全運航の堅持」と「良質なサービスの追及」を前提として、安定的に利益を計上し得る体制を構築し、「株主」「お客様・社会」「社員」「企業基盤」への四者還元体制を確立していくことを経営の基本方針としております。

 今中期計画におきましては、JALグループを強い市場競争力のある有機的結合体としての企業グループに再生させるため、JAL本体の機能再編・グループの再構築を通して、グループの連結経営力を強化してまいります。具体的には、航空事業のオペレーター機能について、国際線はJALウェイズ、国内線はJALエクスプレスの最大限の活用を軸とした効率的運営を目指し、JAL本体は基幹路線運営を担うとともにグループ全体を統括する「持株会社的位置付け」を目指します。

 コーポレートガバナンスに関しましては、意思決定の迅速化、戦略決定責任と執行責任、年度会社業績への責任の明確化をはかるべく、取締役数の大幅な削減、相談役制度の廃止、執行役員制の導入、取締役・執行役員の1年任期制を今年度より実施しております。また、グループ総体としての一貫した経営戦略を実行するため、戦略的な経営情報システムの構築、監査機能の充実等によるJAL本体のグループ統括機能を一層強化してまいります。

 経営指標につきましては、平成13年度までに1株当り利益(EPS)10円以上、総資産利益率(ROA)2%以上の達成を目標としておりますが、収入単価の下落が続くなど、従来の施策の延長線上では目標達成に予断を許さないため、抜本的な枠組みの改革をベースとして、営業費用削減の一層の深化・前倒しと、情報化の進展にも対応したマーケティングの推進、販売体制の再構築などにより、最大限の収入確保を図ってまいります。その一環として、平成12年度より、旅客販売、貨物事業、整備の3部門に社内カンパニー制を導入することとし、また、旅客販売部門の一部については販売会社を新たに設立することといたしました。これらにより、更なる事業責任の明確化、コスト競争力の強化をあわせて推進してまいります。

 また、株主重視策の一環として、株主の皆様に対して年4回の株主通信の発行を開始するなど、情報開示の強化を図っております。

経 営 成 績

 

@ 当上半期の概況

当上半期のわが国の経済の動向を見ると、個人消費は緩やかに回復してきましたが、収入の低迷などにより、このところ足踏み状態にあります。一方、企業収益は持ち直しつつあり、業況判断は依然厳しいものの改善の傾向が見られます。

こうしたなか、当社の国際線需要は、旅客、貨物ともに、通貨危機に端を発した経済混乱から復調しつつあるアジアを中心に好調で、米国・アジア間を中心とした日本通過需要と合わせて全体的に良好に推移しました。また、国内線需要も、旅客では特定路線において新規航空会社の参入の影響を受けたものの、旅客、貨物ともに先行きの国内景気の回復の兆候も見られ、前年同期を上回りました。

このように需要は回復基調にあるものの、一方では低価格志向が定着している状況のもとで、お客様の利便性向上と収支改善を図るために、国際線では、自社運航による路線開設、増便を行うとともに、コードシェア便による路線網を拡充し、国内線においても低需要路線は機材の小型化・減便・運休や子会社への路線移管を行う一方、幹線の充実に努めてまいりました。

この結果、国際線、国内線を合わせた旅客、貨物等の総輸送量は前年同期比6.9%増の612,028万トン・キロとなりましたが、国際線・国内線旅客ともに収入単価は依然低下傾向が続いており、営業収益は前年同期比2.6%減の5,993億円となりました。

一方、営業費用については、あらゆる費用の見直しを行いコスト削減に努め、前年同期比3.1%減の5,692億円となりました。

これにより、営業利益は300億円、経常利益は187億円となり、63億円の中間利益を計上いたしました。

【国際線旅客】

需要は、日本の景気回復軌道が徐々に見え始めたこと等により、日本発韓国線、グアム・サイパン線、中国線等が好調で、米国発アジア行を中心とした日本通過需要と合わせ、全体的に良好に推移いたしました。クラス別では、エコノミークラスの需要は大きく伸びましたが、業務渡航低迷に加えてご利用クラスの移行の影響で、ファーストクラス、エグゼクティブクラスの需要が減少いたしました。

路線運営面では、4月に名古屋〜グアム線、5月に大阪〜シカゴ線を開設するとともに、東京〜ダラス線、東京〜ラスベガス線を増便いたしました。また、コードシェア便として、4月にはJALマイレージバンクとの提携を開始したキャセイパシフィック航空と大阪〜香港線、名古屋〜香港線を、カナディアン航空と東京〜バンクーバー線の運航を開始したほか、アメリカン航空と5月に計28路線のコードシェア便の運航を開始し、その後も段階的に路線便数を拡大しており、当期末には世界最大級のコードシェア網を構築する予定です。また、6月にブリティッシュエアウェイズと包括提携の一環として、マイレージサービスの提携を開始するなど、お客様の利便性向上を図り、路線網や便数の拡大を行ってまいりました。

運賃面では、今年4月に発売5周年を迎えたJAL悟空運賃は、個人旅行を志向するお客様の増加に応える形で、安心・割安な割引運賃としてご好評をいただいております。当期には、5周年を記念した特別企画<スペシャル悟空>、航空券の発券期限を1週間短縮し、市場を反映した価格を設定した<前売り悟空21>と<前売り悟空35>、ハワイへの家族旅行向けに割安な運賃を設定した<ファミリー悟空21>を新たに販売し、さらにアメリカン航空とのコードシェア便運航開始に合わせ<前売り悟空21>の行き先に新たに22都市を追加する等、JAL悟空運賃を一層利用しやすいものとし、需要喚起に努めてまいりました。

販売面では、好調なラスベガス線での「JALラスベガスキャンペーン」をはじめとして、観光需要の喚起を目的に、リゾート路線、欧州路線やアジア発日本向け路線等での各種キャンペーンを展開いたしました。また、5月には当社グループ会社により会員制総合旅行ウェブサイト「eトラベル(イートラベル)」のサービスを開始し、インターネット上でのオンライン予約とクレジットカード決済による航空券等の購入を可能といたしました。

この結果、旅客数は前年同期比10.2%増の632万人となりましたが、ご利用クラスのエコノミークラスへの移行等による収入単価の下落が大きく、収入は前年同期比3.0%減の3,074億円にとどまりました。

【国際線貨物】

輸出需要については、通貨危機に端を発した経済混乱から復調してきている東南アジア向け貨物、及び夏場以降の米州線需要の盛り上がりに支えられ、前年実績を上回りました。

輸入需要についても、パソコン等の堅調な出荷に支えられた東南アジア線をはじめ、各路線とも概ね好調に推移いたしました。

事業運営面では、当期は、運休していたアトランタ線貨物便の運航を4月から再開いたしました。これに合わせて米国南東部向けトラック転送サービス「ニューサウスネットワーク」の拡充、マイアミにおける当社貨物ターミナルの移転・拡張を実施し、同地域および中南米発着貨物需要に柔軟にお応えしてまいりました。また、6月に米州地区内の貨物販売・運送体制を集約し、お客様のニーズに対して統一的かつ迅速な対応を可能にすると同時に、米州線貨物便スペースをより効率的に活用できる体制を整えました。また、成田地区において、昨年の輸出貨物部門に引き続き、輸入・上屋業務、受託社輸出貨物、国内貨物の各分野においても品質管理や品質保証システムに関する国際標準規格「ISO 9001」の認証を取得いたしました。

この結果、輸送量は前年同期比8.6%増の208,420万トン・キロとなりましたが、収入は為替の影響等により前年同期比3.2%減の675億円となりました。

【国内線旅客】

需要は、特定路線において新規航空会社の影響を受けたものの、国際線同様に景気の底打ち感に後押しされたことや、新幹線需要からの取り込み等もあり、大都市間を結ぶ路線を中心に、全体的に好調に推移いたしました。

路線運営面では、当期は関西空港の発着枠の拡大を利用して、4月に関西から羽田、沖縄、札幌への各路線を増便するとともに、福岡〜名古屋線を増便してビジネス需要の獲得を図るほか、名古屋〜鹿児島線の増便、昨年開設した福島〜札幌線の通年運航を実施して、お客様の利便性の向上に努めました。加えて、大阪(伊丹)と長崎、熊本、大分を結ぶ各路線をJALエクスプレスへ移管するとともに、同社及び日本トランスオーシャン航空からのウェットリースを拡大するなど、グループ航空会社の生産資源を最大限活用して、グループ全体での効率的な路線運営に努めてまいりました。

運賃面では前期末から「特売りきっぷ」の対象路線、対象便を大幅に増やし、9月からは往復利用でお得な「スーパー特売り」を主要路線・便に拡充して、ますます厳しさを増す他社、他輸送機関との競争に積極的に対応してまいりました。

販売面では、CD−ROMを利用して各企業のパソコンで当社便をご予約いただける「JALオンライン」を今年6月に本格的に全国展開して、ビジネスマーケットでの利便性向上を図るとともに、観光需要喚起を目的として「沖縄キャンペーン」、「北海道キャンペーン」を実施したほか、東京ディズニーランドへの「JALマジカルファンタジーツアー」を展開して地方発需要の獲得にも努めました。また、人気アーティスト「GLAY」のメンバーを機体に描いた「GLAY JUMBO」を7月から9月中旬までの間運航し、ご好評を得ました。

この結果、旅客数は前年同期比2.6%増の1,053万人となりましたが、ますます激化する競争により収入単価の下落が続き、収入は前年同期比2.4%減の1,426億円となりました。

【国内線貨物】

需要は先行きの景気回復の兆候も見られ前年同期を上回りました。特に宅配貨物が好調に推移し、生鮮貨物についても一部で天候不良の影響を受けたものの、全体で前年を上回りました。

当期は、市場における競争がますます激化するなか、地道な販売活動により各路線の需要底上げに努めました。

この結果、輸送量は前年同期比6.7%増の13,107万トン・キロとなり、収入は前年同期比2.2%増の102億円となりました。

【その他】

郵便収入や附帯事業収益等のその他の収益は、前年同期比0.7%減の714億円となりました。

A 下半期の見通し

わが国の経済は、平成1146月期のGDPの伸びが当初の予想を上回り、各種の政策効果の浸透などにより緩やかな改善が見られますが、今後についてはまだ予断を許さない状況が続くものと考えられます。

当社においては、旅客、貨物ともに輸送量はアジア線を中心に増加が見込め、また国際線旅客については、円高等に後押しされた観光を中心とした需要の増加が期待できます。しかしながら、収入面については、低価格志向が定着しているなかで、ファーストクラス、エグゼクティブクラス需要の早急な回復は望めず、大幅な改善を見込むことは難しい状況にあります。また、一方では原油価格の上昇など今後懸念される要因もあり、当社を取り巻く企業環境は引き続き厳しい状況が予想されます。このため当社は、このような収入単価の低下が続くなか、JALグループ全体として安定した利益が確保できるよう、需要に応じた路線、便数の見直しや、低コスト運航を行う当社グループ会社への一部路線の移管を行うとともに、一層のコスト削減及び、販売競争力の強化に努めてまいります。

当社といたしましては、今後とも「安全運航の堅持」と「良質なサービスの追求」を前提に、安定的に配当を継続できる強固な経営体質の確立を目指し、株主の皆様のご負託にお応えしてまいりたいと存じますので、今後ともご理解とご支援の程お願いいたします。

 

 

コンピューター西暦2000年問題への対応状況について

(1)対応状況

a.取り組み方針

当社では「2000年問題」を経営上の重要課題であると認識し、2000年時点で安全且つ円滑な航空機の運航及び充実したサービスをお客様に提供することが当社の使命であると考えており、自社の航空機、システム等に関して万全の取り組みを実施しております。また、各国の管制当局の対応状況についても関係各機関から情報入手に努めております。

b.取り組み体制

航空機についてはメーカーであるボーイング社が1994年より、調査を開始しており、当社でも整備部門が19973月より定期的に連絡を取り合うとともに自社独自の調査を行っております。

また、各国の管制や空港の対応状況は国際民間航空機構(ICAO)や国際航空輸送協会(IATA)が昨年来、調査を行っており、当社としてはIATAの調査に協力すると共に情報の入手に努めております。

自社内の対応としては19958月から情報システム室を中心に保有するコンピュータシステムを対象とした取り組みを開始し、19986月には「2000年問題プロジェクトチーム」を設立して、機器や設備、サービスなども調査対象に含めた取り組みを全社的に実施してまいりました。更に19992月にはそれまでの対応策のフォローアップに加えて、問題が発生した場合のバックアップ策の策定を図る等を目的として、社長を委員長とする「2000年問題委員会」を設立し全社で対応を進めてまいりました。

c.対応進捗状況

ボーイング社でマイクロチップを含め搭載されている全てのコンピュータや機器の調査が終了しており、当社でもその調査結果に基づいた対応を完了しています。また、先日航空局と国内航空3社で行われたデモフライトにおいても航空機の安全性が確認されております。

国内の管制、空港に関してはデモフライトでも実証されたように万全の対応が取られており問題無いと判断しております。また海外においても各国が積極的に対応しており、年末までには対応が完了するものと考えております。

当社では自社の2000年問題への対応範囲を(1)情報システム室が管理及び保有するコンピューター機器、ソフトウェア、(2)各部門が管理するマイクロチップを内蔵する機器、設備や各部門が管理するPC等、(3)当社が業務を行って行くために必要なグループ会社や取引先の2000年対応調査、として作業を進めてまいりました。

上記(1)の内、旅客・運航系などの基幹システムは本年6月までに全ての対応とテストを終了しております。(1)のその他のシステムや(2)に関しても基本的に本年10月末までに対応を完了させております。

(3)の内、グループ会社に関しては当社が作成した2000年対応ガイドラインを提示するとともに、日本航空グループとして統一された手順で2000年対応の強化を図っており、進捗状況の把握も適時実施しております。さらに取引先やサービス提供元の2000年対応状況の調査結果は危機管理計画に反映しております。

(2)対応のための支出金額等

1998年度末までに主要コンピュータシステム関連で約10億円が支出されております。本年度はさらに17から20億円の社外支出が見積もられております。これらの支出は主要コンピュータシステムのソフトウェア改修やハードウェアの交換費用のみであり、その他個々のシステムや自社人件費などは未集計です。

これらの費用は1999年度以降の計画にすでに組み込まれており、これらの費用が将来の業務や業績に重大な影響を及ぼすことはないと予想しております。

(3)危機管理計画

当社では2000年問題に対しての万全な取り組みを更に補完するために、危機管理計画を19996月に策定済みであります。

危機管理計画策定にあたっては2000年問題に起因する問題の発生を次のように想定し、航空機の運航やお客様へのサービスを提供する業務毎に基本的には手作業での対応となるために@事前準備、A当日の確認作業、B問題発生時の対応策と連絡経路、体制等を策定しており、さらに今後年末に向けて各部門で教育・訓練を行い万全の体制で臨みます。

@ 航空機に関してはメーカーのチェックや913日に実施されたデモフライト等から、安全性について確認がなされております。

A 国内の航空管制や空港施設に関しては対応が完了しており、安全性に係る問題の発生は想定されません。海外の航空管制や空港に関しても、対応が進んでおり、また、当日適用される危機管理計画に従って運航することで安全性が確認されておりますが、一部地域については社会インフラ等も含め対応状況が未確認であるため、局所的な問題の発生を想定します。

なお、当日の運航に関しては、万が一の不測の事態に対処できるよう、ICAOならびに各国の管制当局が策定した危機管理計画に基づき、あらかじめ飛行間隔を空ける等の措置を講じております。

B 社内のコンピュータ・システムやマイクロチップを内蔵する機器についても万全の対応を行ってきておりますが、一部地域についてはネットワークやシステムの基盤となる社会インフラ等の対応状況が未確認であるため、局所的に個別の業務システム・ネットワーク、マイクロチップ内蔵機器等が機能しないケースを想定します。

C 業務委託先、サービス提供元や取引先での対応漏れ等により、結果的に当社の業務に局所的な影響が出ることを想定します。

個別業務別に問題の発生が想定される日には社内各部署において十分な体制で対応致します。

特に1231日から1月1日かけては各業務毎に対策班を設置するとともに、全社の情報収集・問題発生時の迅速な判断と対応を行うために本社に対策本部を設置し関係機関との連絡体制をとるなど、万全の対応を取ります。

尚、本計画は今後も取引先の対応状況や国内外のインフラ、運航環境等の対応状況に応じて適時見なおしてまいります。





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