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2000年03月14日 第00015 号 ![]() 「健全で強いJALグループ」連結経営ビジョンの実現へ〜 2000-2002年度中期計画 〜![]() |
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日本航空は 1999年3月16日、「『健全で強いJALグループ』への再生ビジョン・1999-2001年度中期計画」(以下「再生ビジョン」)を策定しました。これは、JALグループの抜本的な改革の出発を告げるものと位置付けられ、グループ経営の全体ビジョンを取りまとめたものです。その後 1年、企業を取り巻く環境が加速度的に変化する中、旅客販売体制の強化を目指した「潟Wャル・セールス・ネットワーク」及びJALグループ航空会社全体の生産性向上を目指した中での「JALウェイズ」の設立、グループ国内事業戦略上の新たな役割を担う低騒音小型機ジェット(50席)の導入を決定する等、弊社は計画に基づき着実に改革を推進してまいりました。その一方で激変する時代の速度に遅れないよう、なお一層の改革と戦略を推し進めていく決意を新たにしました。今般、安全運航の確保と市場に根ざしたサービスの提供を大前提に、この激変する時代を先取りし、グローバルで高品質な企業グループとして、お客様・社会から選ばれる JALグループを創っていくための改革と戦略を取りまとめた「2000-2002年度中期計画」を策定いたしました。本中期計画において、 1999年度から適用される連結決算重視の会計基準変更など、企業の評価がグループを単位として行なわれ、グループとしての総合力がますます重視される中、弊社は「再生ビジョン」を深化させ、JALグループ連結経営を推進します。その上で、今後も成長が見込まれる航空需要において、市場ニーズへの迅速な対応による最大限の収支とキャッシュフローを目指し、経済のグローバル化の進展の中で、長期的視野に立った戦略と柔軟な戦術、eビジネス・カンパニーとしての取り組みを含めた施策を織込んで策定したのがこの計画です。JAL グループでは、計画を着実に実行に移すことで、グループ一体となったシームレスで高品質なサービスをお客様・社会に提供してまいります。今後とも、皆様のご理解とご支援をお願いします。以 上
別紙:「健全で強い JALグループ」連結経営ビジョンの実現・2000−2002年度中期計画
[別紙] 「 2000-2002年度中期計画」〜 「健全で強いJALグループ」連結経営ビジョンの実現へ 〜1.経営の基本的取り組み (1)安全 安全運航は航空会社の基盤であり、JALグループ全体で安全に対する緊張感を常にもって不断の取り組みを行なう。 a.航空法改正(2月施行)による安全規制の見直しに的確かつ円滑に対応する。 b.運航におけるグループ内相互活用の拡大に伴い、グループとしての安全管理機能の強化を図る。 また、整備グループ各社を含めた整備部門カンパニー制によって、グループ整備部門が一体となって安全に取り組む体制を構築する。 c.機能強化型地上接近警報システムの装備拡大、新航法システムの装備改修促進、 ヒューマンファクター要素を踏まえた安全のためのリソースマネージメント等により、ハード・ソフト両面で安全対策を強化する。 d.行政・空港当局とも連携して、ハイジャック防止等のための保安体制の強化を図る。 (2)サービス 規制緩和やグローバル化の進展によって、お客様の選択肢がますます広がる中で、選ばれるJALグループとなるために、マーケットに密着してお客様のニーズに的確に応えるサービスを提供する。 a.新たな運賃制度(航空法改正による運賃届出制)により運賃設定の自由度が増したことを活用し、 お客様へご提供するサービスの選択肢を広げる。 b.グループ一体となった高品質なサービスを提供する。 c.お客様の消費動向の変化に敏感に対応し、多くのお客様がより容易に eビジネスの活用を含めて取り組む。 (3)株主重視と経営指標 株主重視を一層強めつつ、長期的な視野から株主への継続的還元を行なえる経営状況を作り上げるため、JALグループに関し以下の経営指標を設定すると共に株主サービス体制を強化する。 a. グループ経営指標(決算指標) @ 1株当り利益(EPS:Earnings per Share) 10円以上A 総資本利益率(ROA:Return on Asset) 2%以上b. グループ経営指標を達成する中間目標として「路線単位でキャッシュフローベースの資産効率」を測る社内指標 ( CFROI:Cash Flow Return on Investment)を設定し、「CFROI 10%以上」とすることを目指す。c. 1999年10月より発行されている「Community@JAL(株主通信)」の内容に連結情報を加える等、その内容の充実を図る。(4)企業市民としての役割強化 社会に開かれた透明性のある企業を目指す。 a.反社会的活動に対しての毅然たる対応と、不断の自己点検を継続する。 b.環境会計という環境問題への企業としての取り組みを数値化する試みを導入する。 c.安全運航情報等の各種情報提供を更に充実させる。 d.サービス面・ハード面をはじめとするバリア・フリー化に積極的に取り組み、開かれた社会作りに貢献する。 (5)戦略機能の強化 激動・グローバル化の時代にあって、経営の的確かつ迅速なグループ戦略判断をサポートする機能を強化する。 a. グローバル化を視野に入れた経営戦略機能を強化する。b. BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)への積極的な取り組みが必要であることから、eビジネス戦略・IT戦略を統括する機能を強化する(「e-JAL」化の推進)。 (6)提携戦略 世界の航空業界で、自らの強みを最大限発揮できる最適ポジションを確立する。また、国内航空他社とも産業競争力強化・コスト効率化に資する協力を積極的に行なう。 a.当社の経営における、2社間提携とグローバル・アライアンスの効果について早急に結論を出す。 b.国内航空他社とも、施設・生産体制等の面で、他交通機関への対抗力強化も含めて、協調分野の拡大に引き続き取り組む。 (7)産業政策 航空産業の事業基盤強化を図ることが、国の重要な産業政策であるという理解を各方面から得るべく強く働き掛ける。 a.公的負担の国際標準化を視野に入れた更なる軽減 b.羽田空港の処理容量の更なる拡大等による首都圏空港容量不足の早期解消 c.成田暫定滑走路運用開始後の本邦企業発着シェアの拡大 d.訪日観光需要拡大による航空・観光産業の振興 (8)21世紀に向けて 創立50周年を2001年に迎える弊社は、新たな世紀を開くスタートと捉え、未来へのグループ・ビジョンを策定し、またグループ・アイデンティティーの強化を図る。 a.JALグループが四半世紀後に目指す長期的な企業グループ像を策定するため、 新たな時代の中心的な担い手となるグループ若手社員によるプロジェクトチームを設置する。 b.グループ・アイデンティティー強化に向け、社内外へのメッセージ発信を行なうとともに、 グループとしてのマーケットへの訴求力を高める。
2.グループ経営の推進 − 各分野における取り組み −(1)連結経営システム グループを有機的に結び付けて連結経営を有効に機能させ、グループ価値を最大化するための仕組みを、いわばグループの神経系として張り巡らせる。 a.連結予算を編成し、プランの段階からのグループ収支・キャッシュフロー最大化を図る。 b.連結収支状況を年度途中においても適宜オンラインで把握するシステム(「JALグループ連結経営システム」)を導入し、 グループ経営判断が迅速・的確に下せる体制を構築する。 (2)客体別機能 マーケットを重視し、お客様の視点に立ったCS(カスタマー・サティスファクション)を徹底し、お客様重視の観点からのサービス向上を図る。特に、予約→空港→機内→空港というお客様との接点の全体がシームレスな一つの商品を形作っていることから、この各ポイントにおいて高品質のサービスを提供できるよう、グループが一体となって取り組む。 a.旅客事業 @2000年4月より旅客販売社内カンパニー及び(株)ジャル・セールス・ネットワークの運営を開始し、 マーケティング総合力の強化、多様化するマーケットニーズへの積極的な対応を図る。 Aeビジネス化を積極的に推進し、多様化する市場・顧客ニーズに迅速に対応する。 b.貨物事業 @2000年4月より自己完結的で機動的な対応を目指して貨物事業社内カンパニーとその中に位置付けられる 貨物社内販社の運営を開始するとともに、分社化の検討を行なう。 Aサプライ・チェーン・マネジメントに伴う顧客ニーズに積極的に対応していくとともに、販売チャネルの多様化、 eビジネス戦略の強化による貨物情報サービスの付加等にも取組み販売基盤の強化を目指す。 (3)整備機能 a. 2000年4月より整備グループ各社を含めた整備部門社内カンパニーの運営を開始し、本邦内における整備機能については、グループの整備部門が一体となって安全に取り組む体制を強化する。 b.整備に関わるグローバルアライアンスの動向をにらみつつ、的確な対応を図るとともに、部品に関わるサプライチェーンマネージメントの 強化等により整備の効率化を目指す。 (4)空港・市内ハンドリング機能 a. 空港及び市内における各種ハンドリング機能については、分社・委託化をさらに徹底するとともに、空港運営のグループ一体化を図る。b.同業他社との生産体制面での協力により効率化を図れる分野・地点を追求・拡大する。 (5)間接業務機能 グループ各社の間接業務を集約することにより、効率的体制を一層強化する。 a.サポートセンター 航空事業に関わる分野の関連会社について、各分野の中心会社をサポートセンターと位置づけて、 各分野における作業手順の確立、教育等各種業務を集中化する。 ランプハンドリング、航務業務、国内線旅客運送サービス、国際線旅客運送サービス、等。 b.業務集中化センター 専門分野毎のセンターを置き、各社の業務を集約あるいはサポートする。 経理センター、資金センター、教育訓練センター、総務センター、法務相談センター、 情報化センター、人材センター、リースセンター、保険センター。 (6)中核会社計画 ホテル事業、機内食事業、商事流通事業、情報システム事業、人材派遣事業等の事業分野については、中核会社を定めて同一分野の会社群を有機的に結合して分野強化を更に図り、適格性を有する会社は円滑に株式公開を推進する。 (7)組織・人事 a.人員については、採用・配置・育成等を含め、各企業単体ではなくグループ全体として必要な施策を講じる。 b.2001年度末までにグループ地上職全体(約36,000名:98年度末)として10%の効率化を目標としてきたが、 諸施策を更に推し進めることで、2002年度末までにグループ人員4,200名の削減(98年度末対比)を行ない、 グループ全体としてより効率的な体制を築く。 c.採用業務や人材派遣等を集中化し、グループ内で人員のより有効な活用を図る。
3.事業計画 (1)事業規模 総需要が年平均3〜5%増と想定される中で、JALグループ全体では、2000〜2002年の各年、前年対比で座席キロベース、有効トンキロベースともに、平均2%の輸送力増を計画する。 (2)生産体制 想定される需要の拡大に対しては、JALグループ航空会社それぞれの生産資源を最大限活用することによる機材稼動の向上、生産資源の高需要路線へのシフト、他社提携の推進によるネットワークと供給の確保、外部生産手段の導入等、多様な手段で対応する。これにより、2002年度におけるJALグループ全体の配置総機数は1999年度と同数の172機とすることを基本とするが、マーケットの状況等に応じて増機を含め柔軟に対応する。更に機材面では、安全に係る新技術あるいは低騒音化等の環境対策にも積極的に取り組む。 (3)事業運営 本中期計画では従来以上にグループ航空会社一体となった運営を推進し、グループ全体の最大効率と収益性を追及する。また、羽田新B滑走路完成を契機とする増枠、成田二期暫定滑走路完成をビジネスチャンスと捉え、羽田発着路線の充実、成田発東南アジア、ミクロネシア路線等の増便・開設に加え、国内ネットワークの拡充についても検討を行なう。 a.JALウェイズ コスト競争力活用の観点から、アジア・太平洋路線のオペレーションの弊社からの移管ペースをさらに加速させる。 b.日本アジア航空 日台路線の運航を担う位置づけを継続しつつ、現在進めている効率化施策をさらに拡大・推進する。 c.JALエクスプレス 2000年度中にB737全8機の移管を完了し、更にB737の増機及びB767の早期移管を検討する。 d.日本トランスオーシャン航空 沖縄地区の中核会社として位置付け、沖縄地区での関連各社との有機的連携を強化する。 また、路線運営においては引き続き沖縄発着路線を発展強化することとし、そのため、 B737-200型からB737-400型への機材更新を順次行い、生産体制の強化を図る。 e.ジェイエア 2001年度に50席の低騒音小型ジェットCRJ-200を2機導入し、需要規模等から見た適合路線に投入することにより、 グループ国内事業戦略上の新たな役割を担う。
(4)収支計画 JALグループ全体で、2000年度以降販売体制の再構築等による最大限の収入確保等により安定的に利益を確保できる収支構造に転換し配当を継続するとともに、できるだけ早期にEPS 10円達成を目指す。 (5)資金計画 機材投資抑制と収支改善等により、2001年度までに有利子負債事業キャッシュフロー比率を10%以上とし、2002年度までに連結有利子負債を約3,500億円以上圧縮(98年度末対比)する。 以 上
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