JAL's SKY: SPECIAL INTERVIEW SKYWARD 掲載記事

JAL's SKY Special Interview SKYWARD 2018年11月号

新たな挑戦に向かって 浅田 真央 ASADA MAO

2017年4月に引退を発表した浅田真央さんは今、
全国の小さなスケートリンクを巡っている。
「誰も観たことがないようなショーに挑戦することで、多くの人に感謝の滑りを届けたいんです」。
そう微笑む真央さんの、今とこれから。

宙を舞うその時間が、驚くほどに長い。すっと伸ばした指先にまで、確かな意志が込められていることが見て取れる。間近に観る浅田真央さんの滑りは、しなやかで力強く、息をのむほどに美しかった。ここは、札幌市の月つきさむ寒体育館スケート場。真央さんは今、全国のスケートリンクを巡る旅の途上にいる。
「昨年4月に引退した時には、私自身、もうスケートとはお別れするつもりでいたんです。ちょうど8月に大きなアイスショーがあったので、その場で感謝の滑りをお届けできたら、それで満足だなって。ただ、ショーを終えてみると、『まだまだ演技を観たい』『これまでスケートを観る機会がなかった』という方がたくさんいることがわかりました。もっと身近に楽しめるショーがあれば、より多くの方に感謝の滑りが届けられるかもしれない。そう思ったことが、今回のツアーの始まりでした」

 多くの人に感謝を届けたいーー。
その思いは「浅田真央サンクスツアー」を形づくるさまざまな要素に表れている。例えば、会場には普段から氷が張ってあるアイスリンクを選択。チケット価格を抑えることで、家族3〜4人でも気軽に行ける親しみやすいショーを目指した。また、真央さんがこれまで演じたプログラムをメドレー形式でつなぐアイスショーでは、振り付けやキャスティング、演出、衣装選びなどにも真央さん自身が手探りで挑戦する。
「まったく新しいショーをゼロから作り上げる感覚だったので、先も見えなかったし、毎日ただただ必死でした(笑)。でも、実際に全国のリンクを巡っていると、そんな苦労は忘れてしまいますね。ショーがスタートして気付いたのは、小さなお子さんやご高齢の方がたくさん来てくださっていること。コンパクトな会場なので客席の表情がよく見えるんですよ。『スケートをライブで初めて観た』という方も本当に多くて、皆さんの笑顔を見ていると『挑戦してよかった』って心から思います」

真央さんにとっても初経験となる大きなチャレンジ。その背景には、ある一つの出来事があったという。「実は8月のアイスショーが終わって『これからどうしよう』と悩んでいた時期に、以前から憧れていた『JALホノルルマラソン』に参加することが決まったんです。それで、トレーニングのために走るようになったら、止まっていた気持ちが少しずつ前に進んでいって。何事も動き出さないと始まらないし、私はやっぱり挑戦が好きなんだと思えるようになりました。そんな経験も含め、今の私だからできることを、多くの方に伝えていけたら幸せですね」

01. 月寒体育館スケート場で練習する真央さん。同館での公演には2日間(4公演)で約1万人が来場。「追加公演の機会があれば、どこへでも行ってみたい」と意欲を燃やす。
02. 地元の子どもたちを対象にしたスケート教室も行われた。

●あさだ まお
1990年、愛知県生まれ。5歳からフィギュアスケートを始め、2005年に世界ジュニア選手権で優勝。シニアデビューした'05〜'06シーズンには、GPファイナルを制覇。以来、3度の世界選手権優勝や'10年のバンクーバー五輪銀メダル獲得など、トップスケーターとして活躍。'17年4月に現役引退し、'18年5月からは自身がプロデュースするアイスショー『浅田真央サンクスツアー』をスタート。

文/吉原徹 撮影/興村憲彦

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