シベリアでは、多い年で2000万ヘクタール、つまり日本の面積の約半分の森林が火災で燃え、大量のCO2が大気に放出されています。たとえば1ヘクタールのシベリアタイガが燃えると、放出される炭素量に換算すると約40トンにもなります。ところが、周囲の森林が1年かけて吸収できる量は1ヘクタールあたりわずか0.4トン。したがって燃えた面積の100倍の広さの森林がなければ、放出されたCO2は取り返せない計算になります。また、地面が燃えた後は、地上の木がなくなって、土壌呼吸によってCO2が数十年間にわたってどんどん出てきます。さらに数十年から数百年たつと凍土が溶け出して、そこからメタンガスが出てくる。それらをすべてカウントすると、実はシベリアタイガは火災の影響を受けると、吸収源どころか温暖化ガスの放出源になってしまうわけです。
それを食い止めるためには、まず森林火災を抑止することです。しかし、シベリアタイガ地域は、日本の面積の約20倍もあって人の力ではとても火災の起こった場所を探すことはできません。最も有効なのは人工衛星を使う方法です。現在は、NASAが打ち上げた衛星を使って火災を検知していますが、ときどき不具合が生じて誤認識が起こります。それを防ぐためには、地面の情報と衛星の情報を重ね合わせて調整しなければなりません。地上の情報収集は、地面を歩いて集める方法と航空機を使う方法があります。森林防火隊など地上部隊がカバーしきれないところを航空機を使うと広域的なデータがとれますから、航空機によるモニタリングというのは非常に役に立ってくれる。さらにJALの欧州便は、同じ航路を定期的に飛ぶというメリットがあります。長期間にわたって同じ場所の変動を見ることができるため、私たちの研究が非常に進むんですよ。 |