航空事故・重大インシデントの概要とその対策
過去に発生した事例と、その後の対策をご説明します。
2013年度
航空事故
航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災などの事態が該当し、国土交通省が認定します。
2013年度は、航空事故はありませんでした。
重大インシデント
航空事故には至らないものの、事故が発生するおそれがあったと認められるもので、滑走路からの逸脱、非常脱出、機内における火災・煙の発生および気圧の異常な低下、異常な気象状態との遭遇などの事態が該当し、国土交通省が認定します。
日本航空2362便、エンジン内の出火
概要
2013年5月6日、JAL2362便(大分空港発/伊丹空港行き、ジェイエア運航)が、伊丹空港着陸後、スポットに向けて地上走行中に、右エンジン内で出火する事例が発生しました。本事例は、国土交通省により「発動機防火区域内における火炎の発生」に該当するとして、重大インシデントと認定されました。なお、お客さまおよび乗員に怪我はございませんでした。
原因究明など
本件は国土交通省運輸安全委員会による調査が行なわれ、その結果が2015年2月26日付けで公表されました。報告書によると、右エンジンの燃料供給配管と14番燃料噴射ノズルを接続するBナットが緩んだため、その部分から漏れた燃料がエンジンの熱により発火し、発動機防火区域内で火災が発生したものと推定されています。Bナットが緩んだことについては、Bナットの締め付け力が不足していたため、エンジンの振動などにより徐々に緩みが発生した可能性が考えられますが、緩みの原因を特定する事はできませんでした。
対策
運輸安全委員会の勧告を受け、ジェイエア(運航会社)では、以下の対策を行っています。
- 同型機全機のエンジンのBナットにスリップマークを表示し、定期的にマークのずれの有無を確認。
- 全運航乗務員に対し、基本操作に忠実かつ常に最悪の状況を想定したオペレーションの重要性について周知するとともに、認識の徹底を図るため安全意識向上研究のディスカッションを実施。
- 全運航乗務員に対し、防火システムに関する座学訓練、およびシミュレーターによる実技訓練を実施。