taitle


項目で探す方はこちら



用語で探す方はこちら


体験学習はこちら


書籍の情報はこちら

 

21世紀の輸送機
(1) 超大型旅客機
(2) 超大型貨物輸送機
a.スパンローダー機 spanloader aircraft
b.フラットベッド機 flying flatbed
(3) 新超音速旅客機 ASST:advanced supersonic transport
(4) 極超音速旅客機 HST:hypersonic transport
(5) NASP X-30研究機

 21世紀初頭に現実的な問題となるのは,やはり超大型・超高速の輸送機であろう。

(1) 超大型旅客機
 旅客機が超大型(現在の2倍以上のペイロード)になるかどうかは,その時代の各路線のニーズいかんによる。旅客機は,漫然と大型化してゆくよりは,運航頻度(frequency)を多く,運用時間を昼夜兼行にした方が,乗客にとって便利であることはいうまでもない。
 しかしながら,増大する航空需要と空港能力の限界を解決する方策として,超大型旅客機計画が具体化してきた。ボーイング社は747の胴体延長型,エアバス社は新設計の総二階型機を2000〜2002年頃にもデビューさせる計画である。
超大型旅客機A3XX
(2) 超大型貨物輸送機
 旅客機と違って,貨物機には超大型(現在の2〜4倍のペイロード)になるべきニーズはある。従来の陸上・海上の輸送機関より少し速いだけでも需要を拡大できることは,確実視されている。このため現在もあるような貨物機の大型化ばかりでなく,素早く積み降ろしできるような変わり型の貨物機も研究されている。
a. スパンローダー機(spanloader aircraft)
 貨物を主翼両端から翼内に積み込む形式の超大型機。離着陸はエアクッション・システムで,水面からでも未舗装地でも発着できる。300tのペイロードを6,000km運ぶことを前提にすると総重量は550tになる。これを従来形態の設計で同等のペイロードを運ぶ輸送機と比べると,スパンローダー機は構造重量で46%軽く,燃料は2倍多く積める。
スパンローダー輸送機
b. フラットベッド機(flying flatbed)
 陸上トラックの荷台のように,輸送機の胴体部を低床式にして貨物を搭載する形式の超大型機。モジュール化した大型コンテナや,かさばる貨物を空港で積み降ろすのに便利。ペイロードは450t。貨物室ばかりでなく,旅客室モジュールへの発展も考えられている。
フラットベッド輸送機
(3) 新超音速旅客機(ASST:advanced supersonic transport)
 コンコルド超音速旅客機の退役が予想されるころまでに,ひとまわり大きい第二世代SSTを登場させたいという研究が,各国で進められている(表1-1-2)
 新超音速旅客機は,東京〜ニューヨーク間を約4時間(現在の747型は約14時間)で飛ぶといわれ,地球上の各地点間が同じ日のうちに結べる地球1日交通圏化ができあがる。ASSTは機体・推進システムとも在来型機の技術の延長線上にあり,開発に着手すれば2000年初めの実現は可能と考えられている。
 ヨーロッパメーカーの場合は,マッハ2.0,250席,航続距離10,000kmの仕様で研究中。アメリカはNASAを中心にマッハ2.4,300席,航続距離9,250kmで研究している。
 アメリカ・ボーイング社は,マッハ3.0〜3.5を目指している。
表1-1-2 新・旧超音速機の例
(4) 極超音速旅客機(HST:hypersonic transport)
 マッハ5〜6の大型超音速旅客機については各国とも調査段階で,実現に至るまでかなりの変化が予想される。もし実現すれば東京〜ニューヨーク間を約2時間に短縮し,地球上の2地点間を1日で往復でき,地球1日往復交通圏を確立することができる。
 フランス・アエロスパシアル社で1987年に発表したAGV(avion a grande vitesse)計画は,マッハ5〜5.5,150席,航続距離12,000〜15,000kmで,運用開始目標2000年。
 一方,アメリカではNASAが1986年10月に,HSCT(high speed commercial transport)計画について,ボーイング社およびマクダネルダグラス社と研究契約を結んだ。これに基づいてボーイング社などはマッハ3クラスのSST,マクダネルダグラス社は,マッハ5クラスのHSTについて研究を行っている。1986年2月に米大統領が一般教書のなかで述べた「新オリエント・エクスプレス」計画はこのHSCTをさすものと見られる。
 しかしマッハ5以上の大型HSTは,機体の構造・材料および推進システムについて,従来にない新技術が必要であり,2020年以前に実現できる可能性は低い,という意見もある。
極超音速宇宙航空機(NASA/ロッキードの構想)
(5) NASP X-30研究機
 米国防省とNASAとの共同のNASP(national aero-space plane:米国宇宙航空機)計画は,米・国防高等研究所計画局(DARPA:Defense advanced research project agency)を中心に,国家プログラムとして推進組織がつくられ,1986年1月に正式にスタートした。これは,米国内のさまざまな部門で行われてきた宇宙と航空にまたがる革新的機種(軍用・民間とも)の開発を統合し,その先導機としてX-30研究機を製作しようというものである。
 これによって得られる技術とデータは,やがて(1)普通の滑走路からの水平離着陸で地球周回,低軌道まで行えるような宇宙機(ASP)と,(2)ワシントン〜東京間を2時間以内で飛べるような極超音速旅客機(HST)との双方の実用化に役立たせようというねらいである。すなわち「技術・経費・運用の面で,現用機より優れた宇宙輸送システム,軍用機,民間機の実現に役立つような極超音速機の基盤となる技術を開発し,実証すること」を前提とし,その具体的目標は「米国が,軍用または民間用の,軌道への輸送や大気圏内の極超音速持続飛行ができる機体をつくるのに必要な技術を開発してX-30で実証すること」である。したがってX-30は,新オリエント・エクスプレスやHSCTとは直接関連はもたないが,21世紀の輸送手段について重要な示唆を与える先導機として注目してよい。
 X-30は,乗員2名,全長30〜45m,離陸重量90t程度といわれる。広範囲の速度で飛行するため,3種類のエンジンが予想されている。離着陸からマッハ5のあいだはエアターボ・ラムジェット(ATR:air turbo-ramjet),マッハ4〜25のあいだはスクラムジェット(scramjet),そして軌道上昇用のマッハ15〜30で使うロケットエンジンである。これらのエンジンと燃料は,すべて従来と異なるため,別に開発しなければならない。また機体の方も,大気圏内の極超音速巡航では,機体の温度上昇も激しく部分的には3,200℃にもなろうと予想され,構造・材料ともに新しい技術が必要である。
 開発スケジュールでは,1993年の技術審査を経て,以後2機のX-30を設計製作し,初飛行は2000年以後と予定されている。
X-30研究機
極超音速旅客機構想(アメリカのオリエント・エクスプレス)
川崎重工業で研究中の極超音速機(模型)

 
JAL-航空券 トップ 目次