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縦安定(longitudinal stability)
機首の上下方向の動き,すなわちピッチングに関する安定性であり,飛行機がある迎え角で釣り合って飛行しているときに,何らかの原因によって釣り合いがくずされて,迎え角が変化した場合,元の姿勢に戻ろうとする性質である。この縦安定は一般的に,水平尾翼の働きによって得られている。縦安定は重心の位置に大きく影響され,重心が後方にあると安定性は悪化し,逆に前方にあると安定性は向上する。
図1-2-18 縦の静安定
図1-2-19 飛行機の縦安定
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横安定(lateral stability)
飛行機の左右の傾き,すなわちローリングに関する安定性のこと。機体がロールを起こしたとき,自然に元の釣り合い位置まで戻る性質である。飛行機には,直接傾きを戻す力は働かないが,傾くと結果として,横滑りを生じる。この際,主翼に上反角があると,滑った方の翼に大きな揚力が生じ,傾きに対する復元力が働く。これを上反角効果(dihedral
effect)という((5)バンク角参照)。このような場合,横安定は正であるという。
図1-2-20 飛行機の横安定
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方向安定(directional stability)
機首の左右方向の動き,すなわちヨーイングに関する安定性のこと。飛行機が横滑りを起こしたとき,機首方向を変化させ,気流の方向と機首方向を一致させる性質で風見安定(weather-cock
stability)とも呼ばれる。方向安定は一般に垂直尾翼の働きによって得られる。
なお,図1-2-23ではNo.1エンジンが不作動となり,そのままでは機首を左へ向けようとするが,方向舵を右へきって垂直安定板に働くモーメントで釣り合わせている状態を示す。
図1-2-21 方向の静安定
図1-2-22 飛行機の方向安定
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横滑り(side-slip)
機軸と飛行方向とが一致しない場合,その現象を横滑りと呼び,このとき前後軸と飛行方向とがなす角を横滑り角という。横滑りは,旋回時に補助翼と方向舵とのバランスがとれていないときなどに発生するが,横風成分があるときの飛行時などでは,故意に横滑りを生じさせることによって飛行方向を調整するためにも利用されている。
なお,横滑りを起こすと,図1-2-22のように飛行機に当たる気流と垂直尾翼との間には,ある迎え角が生じるので,垂直尾翼には機体の向きを気流の方向に向けようとする揚力が発生し,その結果,機体が気流に向くことによって横滑り角が減少するという効果が生じる。
図1-2-23 飛行機の方向安定
図1-2-24 飛行機の横滑り
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バンク角(bank angle)
図1-2-24のように飛行機がロールし,機体の左右軸と地面との間に角度を生じた場合,これをバンクといい,水平面に対する角度をバンク角という。バンク角の大きさは,釣り合い旋回を行う場合に非常に重要なものであり,旋回時のバンク角が小さすぎると機体は旋回の外方向に横滑りを起こし,また大きすぎると内方向に横滑りを起こす。
なお,機体がロールしバンク角を生じると,図1-2-24のように,揚力の分力によって横滑りが誘起され,この横滑りと主翼の上反角の効果によって,左右の各主翼の実質的な迎え角が変化し,左右各主翼の揚力に差を生じる。このため,機体は最初のロールとは逆方向にロールすることになり,最終的にはバンク角を減少させる効果が生じる。
また,主翼に後退角がある場合も上反角と同じ効果があり,現代の高速ジェット機のように,主翼に大きい後退角を持った機体では,通常の上反角と後退角の相乗効果によって,横安定がよくなりすぎる場合がある。このような場合は主翼に負の上反角,すなわち下反角をつけて操縦性を確保することがある。
図1-2-25 ロールによる復元
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トリム(trim)
飛行機がある高度,速度,フラップ角およびエンジン出力などの諸条件のもとで飛行している場合,操縦翼面に働く空気力を調整し,前後,左右,上下の3軸に関して重心まわりのモーメントをゼロにすると,パイロットは操縦桿やラダー・ペダルなどの操縦装置に力を加えることなく,そのままの状態で飛行を続けることができる。このように,飛行機に作用する空気力,エンジン出力などをすべて釣り合わせ,操縦力をゼロにすることを「トリムをとる」という。
トリムをとるには,操縦翼面に取り付けられたトリム・タブという小翼を微調整する従来方式のほか,大型ジェット機のように,油圧や電気などの動力により操縦翼面自体の中立位置を調整することでトリムをとる方式もある。 |