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横操縦の能力(lateral control capability)
飛行中に,補助翼/スポイラーを操作すると,機体の前後軸を中心として左右いずれかの方向にローリング・モーメントを生じる。そのモーメントの大きさをローリング・モーメント係数(C1)と表し,C1と操縦輪の操作量(回転角−度)との関係を着陸形態のDC-10-30とDC-8-62について表したものが図1-2-33である。DC-8では着陸装置を下げとした以後はスポイラーも一緒に作動するので,その場合の特性が点線で示されている。この図が示す操縦輪の操作量に対するC1の大きさにより横の操縦の応答性が評価できるが,操縦輪の同じ変位量に対しC1がはるかに大きいことにより,DC-10ではDC-8よりも横の操縦性が優れていることがわかる。
図1-2-33 横操縦の能力
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テームネス(tameness)
多発機が飛行中に臨界発動機が不作動となった状態で,方向舵を使用せず補助翼/スポイラーの操作のみで機を操縦できる能力を「テームネス」(注:操縦のしやすさの意)と呼び,大型機の横/方向の操縦性の指標とすることがある。この場合,機速が低くなるほど大きく操舵する必要があるが,そのときの操縦輪の変位量(最大操舵量に対する%で表す)と機速の関係で評価する。図1-2-34は,比較的軽い重量でフラップを離陸形態とした,747SPとDC-10-30のテームネスを対比したものである。これから,速度が小さくなるとより大きな操舵量が必要となることがわかる。また,DC-10は747SPに比べ,操縦輪の変位量が小さくてすむことがわかる。
図1-2-34 テームネス特性
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ダッチロール・モード(dutch roll mode)
横および方向の動安定特性を知るためダッチロール・モードがあり,パイロットが故意にダッチロールを起こさせ,元の安定した飛行状態に戻るまでの減衰特性を調べる飛行試験がある。多くのジェット機はダッチロールを防止するヨー・ダンパーを装備しているが,この場合はヨー・ダンパーをオンおよびオフとした条件でテストする。巡航形態で失速速度の1.4倍の飛行速度にトリムされた大型輸送機(C-5A)で,ゆっくりと方向舵を動かしダッチロールを起こすと,結果的に生ずる機の振動,つまり横滑りとロールは時間経過とともに図1-2-35のように減衰する。この場合は,ヨー・ダンパーオフの条件で約10秒の周期で軽やかに減衰しながら,約5サイクルで完全に減衰している。一方,ヨー・ダンパーオンの場合は,方向舵が中立位置に戻ってからヨー・ダンパーが働き始め,その後は極めて良好に減衰しつつ1.5サイクル(10秒の周期)で横滑りが完全に減衰している。なお図1-2-35の上段は,ダッチロールを起こさせた時の方向舵による入力を示す。
図1-2-35 ダッチロール特性
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ジー(G)
物体が静止しているときには,その物体には,重力による力が作用する。この力が重量である。一方,加速運動中の物体には,重力のほかに,遠心力などの力も作用するので,結果的には,これら両方の力を合わせた力が作用している。加速運動中の物体に働くこの力(合力)と,静止しているときに働く力(重量)との比をGと呼んでいる。
たとえば,旅客機がスムーズに巡航しているときは,加速運動ではないので,1Gの飛行であり,そのときに乗客が感じる体重は,ふだんの体重そのものである。一方,ジェットコースターで下に凸の部分を通過する場合には,身体が下に押し付けられる感じがするが,これは,1Gより大きな加速度が作用しているからであり,体重が増えたかのように感じる。逆に,上に凸の部分を通過する場合には,体重が減って身体が浮き上がる感じがするが,これは,作用する加速度が1Gより小さくなっているからである。このように,ふだん感じている加速度を基準にして,感じる体重が増加する場合のGをプラスのG,感じる体重が減少する場合のGをマイナスのG,ということもある。
なお,民間機の離着陸時の前後方向のGは,自重その他の条件によっても異なるが,およそ0.3〜0.5G程度の値となっている。また,接地時の垂直方向のGは1.2〜1.3G程度(通常に働いている重力に加え0.2〜0.3G)の値となっている。 |