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機体全般 airframe general
(1) 設計寿命の目標 design service life goal
(2) フェイルセーフ構造 fail-safe structure
a.リダンダント構造 redundant structure
b.二重構造 double structure
c.バックアップ構造 back-up structure
d.ロード・ドロッピング load dropping structure
(3) 安全寿命設計 safe life design
(4) 構造・強度 structure and strength
(5) 多様な構造 varied structure
a.サンドイッチ構造 sandwich construction
b.ハニカム・サンドイッチ構造 honeycomb sandwich structure
c.一体構造 integral structure
1. 関連用語
(1)設計寿命の目標(design service life goal)
 民間輸送機は主要構造に大修理や改造を加えない寿命(service life)を,20年として設計されている。747LR(長距離型)を例にとると,総飛行時間が6万時間,離着陸回数(サイクルと呼ぶ)が20,000回となる。このような設計目標を保証するため後述の構造試験が行われるほか,試験用の部分胴体に故意にクラックを入れて構造のフェイルセーフ特性を確認する試験も実施し,それらの結果を生産中の機体にも反映させ,必要な構造の補強を行う。747が就航して約20年後の1990年6月現在で,世界のジャンボ・フリートをながめてみると,設計寿命目標が6万時間/2万サイクルであるのに対し,高稼働機は8.2万時間/2.7万サイクルとなっている。一方,ダグラスの民間輸送機3種に関しては図1-3-5に示すように,1995年3月現在でDC-9のある高稼働の機体は,それぞれ驚異的な総飛行時間とサイクル数を示している。これらの運用実績から分かるように,よい整備を続けるならば民間輸送機の実際の寿命は,機体構造の設計目標よりも経済的要因で決まるものといい得るであろう。その大きな寄与をもたらしたのは,フェイルセーフ構造を取り入れた構造設計の進歩と優れた整備技術にある。
図1-3-5 ダグラス輸送機の飛行実績(1995年3月現在)
747SP機の風洞試験
(2)フェイルセーフ構造(fail-safe structure)
 一つの部材が破壊しても,その破壊が構造体に大きな影響を与えることなく安全に飛行を継続できるようにするもので、フェイルセーフ構造の基本型としては,次のものがある。
図1-3-6 フェイルセーフ構造の考え方
a. リダンダント構造(redundant structure)
 複数以上の部材からなり,それぞれの部材は荷重を分担して受け持ち,一つの部材が破壊しても,その部材の分担荷重は数多くの他の部材に分配させるので,構造全体としては致命的負担とはならない。
b. 二重構造(double structure)
 一つの大きな部材の代わりに2個以上の小さな部材を結合して,同等もしくはそれ以上の強度を持たせる。この場合,クラックが発生しても部材の合わせ面でくいとめられる。
c. バックアップ構造(back-up structure)
 ある部材が破損したら,その予備部材が代わって荷重を受け持つような構造。例として客室ガラスがある。
d. ロード・ドロッピング構造(load dropping structure)
 構造のどこかが壊れると,もうその種の荷重がかからないようにする構造。
(3)安全寿命設計(safe life design)
 第1世代のジェット輸送機の誕生を契機として,いいかえれば1952年10月と1953年3月の2回にわたるコメット機の悲惨な事故の反省により,機体構造にフェイルセーフ設計およびセーフライフ設計の二つの考え方が初めて明確に導入された。その後,万一,構造物が破損してもフェイルセーフ荷重以下であれば安全に飛行できるフェイルセーフ設計の考え方が徐々に優位を占めるようになっていった。現在ではほとんどがフェイルセーフ設計を採用するに至っている。ただし現在でも,着陸装置などはセーフライフ設計を採用している。たとえば,エアバスの場合は5万回の着陸回数を保証しており,そのため25万回の疲労テストを実施しているという。
(4)構造・強度(structure and strength)
 構造試験の章で飛行中にかかる荷重について解説してあるが,飛行機の強度を決めるうえで重要なことは,(1)上向きまたは下向き突風および操縦(たとえば大迎角引き起こし)によって働く最大荷重と,(2)運用中に働く大小さまざまの荷重のパターンである。最大荷重は機体の静的強度を決めるために考慮され,制限荷重に対して構造に有害な変形を生じたり,構造部材に弾性限界を超えて永久変形を生じないように強度が決められる。また,制限荷重の1.5倍の終極荷重に対しても3秒間は破壊しない強度を持たせるように規定されている。上記の(2)については,長距離運航と短・中距離運航を比較すると,同じ総飛行時間であっても荷重の作用する頻度や時間に差のあることから繰り返し荷重として考慮される。機体構造はこの繰り返し荷重に耐え得る疲労強度を持っていなければならない。
 翼や胴体の主要構造部はすべて上記の強度を満足するように設計されている。
(5)多様な構造(varied structure)
a. サンドイッチ構造(sandwich construction)
 引っ張りや圧縮に強い表面板で,せん断性のある軽量のコア材(心材)をはさんで,一体構造としたもので,大きな曲げ剛性も得られる軽構造として航空機の床板,外板,フラップなどに多用されている。表面板としては,ふつうアルミニウム合金が多いが,最近ではFRP(強化プラスチック)やチタニウム合金を使っているものもある。コア材としてはハニカム,バルサ,発泡材があるが,現在ではハニカム材が主流を占めている。
b. ハニカム・サンドイッチ構造(honeycomb sandwich structure)
 サンドイッチ構造の代表的なもの。心材(コア)として六角形の蜂の巣(ハニカム)状の箔を使用するところから,この名が付けられた。1938年頃からすでに開発されていたが,実用化されたのは1950年頃からで,初期のものは表面板にアルミニウム合金板、心材もアルミニウム合金箔(厚さ0.015〜0.05mm)を使ったアルミハニカムであった。しかしその後,心材として紙,FRP,プラスチックなどが使用されるとともに,表面板も金属以外のFRPやプラスチック板が使われるようになって,ハニカム構造の用途が広範囲なものとなり,現在の航空機には不可欠の材料となった。また初期の頃は平面形状のものしか製作できなかったが,その後,曲面形状やテーパ形状のものも製作可能となり,さらに現在では,フレックス・コアの開発により球面状のものも製作できるようになっている。747では,主翼付け根のフィレット,尾翼外板の一部,フラップ,スポイラーを含む各操縦翼面,レドームなどにアルミやFRPのハニカムを使っており,客室内の天井,側壁,隔壁,扉などにも耐火性の優れたアロマティックタイプ・ポリアミド・ハニカムを使用している。
ハニカム・サンドイッチ構造材
c. 一体構造(integral structure)
 別々の部品を結合して作られた構造に対して,一つの素材から一体成形された構造のこと。ふつう外板と縦通材は,鋲により結合されるが,要求性能の増大とともに,剛性向上,重量減少,工程簡略化,部品数減少を目的として,外板と縦通材を厚い型材から一体で削りだす技術が開発された。小骨や隔壁も同じ技術により外板と一体で作ることは可能であるが,フェイルセーフ上の問題や,製作費が高いことから,それほど普及していない。
1.関連用語
機体(airframe)
 ふつうは,航空機の胴体(fuselage),主翼(wing),尾部(empennage),操縦装置(control system),着陸装置(landing gear)を合わせた総称で,動力装置(power plant),および装備品(accessory)は除く。
主要構造部分,一次構造部分(primary structure)
 飛行荷重,地上荷重,与圧加重の伝達を主要に受け持つ構造部。主翼,胴体,尾翼,操縦翼,操縦装置,着陸装置,ナセル,パイロン,エンジン取り付け金具,主要取り付け金具,その他,上記定義に該当する部分が含まれる。
二次構造(secondary structure)
 主たる荷重を伝達しない構造部分で、たとえば,フェアリング(fairing),ノーズレドーム(nose radome),主翼前縁および後縁部,着陸装置格納扉などがある。
隔壁(bulkhead)
 航空機の機体の仕切り壁,あるいは構造。エンジンと機体を分離する防火壁には耐熱性の強いステンレス鋼,チタン合金材料が使用される。
パイロン(pylon)
 ジェット機では主翼または機体とエンジンを懸垂結合する構造部分をいう。製造会社によっては,ナセル・ストラット(nacelle strut)と呼ぶこともある。
フィフス・ポッド(5th pod)
 機体外部(ふつうは翼下)にエンジンを吊るして輸送する装置。ポッドというのはさや(豆)のような形状からきた言葉。4発エンジン機では,フィフス(5番目)だが,3発機ではフォース(4番目)ポッドとなる。なお双発機にはこのような装置はない。
ビード板(beaded sheet)
 あまり力がかからない飛行機の薄板構造部分は,薄板にプレス加工で凸形や凹形のふくらみを付ける。重量軽減や部品数を少なくできるため,機体内部の貨物室隔壁,各種カバーなどに使用されている。
フェアリング(fairing)
 機体表面の凸出部の空気抵抗を減らすための流線形をした覆い,および主翼と胴体の取り付け部分の干渉抵抗を減らすための整形部分のこと。軟質のジュラルミン材やFRP製のハニカムなどで作られている。

 
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