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航空機材料 aircraft material
1. 金属材料
(1)アルミニウム合金 aluminum alloy
超ジュラルミン super duralumin
超々ジュラルミン extra super duralumin
アルクラッド材 alclad
(2)マグネシウム合金 magnesium alloy
(3)チタニウム合金 titanium alloy
(4)低合金鋼 low alloy steel
a.クロムモリブデン鋼 chromium molybdenum steel
b.ニッケル・クロムモリブデン鋼 nickel chromium-molybdenum steel
(5)ステンレス鋼 stainless steel
(6)耐熱合金 heat resisting alloy
超合金 super alloy
2. 非金属材料
(1)プラスチック材 plastic material
テフロン teflon
(2)ガラス繊維 glass fiber
(3)合成ゴム synthetic rubber
3. 複合材料 composite material
強化プラスチック FRP:fiber reinforced plastics
強化ガラス繊維強化プラスチック GFRP:glass fiber reinforced plastics
●脆性 brittleness
4. 関連用語

 航空機に使用される材料は大別すると金属材料,非金属材料,複合材料に分けられるが,いずれも軽量で強力な,あるいは加工性や耐熱性に優れるなど,航空機の要求する特性に沿って発達してきた。

1.金属材料
 現在の航空機の機体構造用材料の主体は金属材料で,それもアルミニウム合金で占められている。機体構造のうちジェット排気の当たる部分や,アフターバーナーの周辺にはチタニウム合金やステンレス鋼などが使われている。マッハ2以上の高速になると空力加熱によって,従来のアルミニウム合金では強度が低下してしまうため,これ以上の高速機になるとチタニウム合金やステンレス鋼を構造材として使用する必要があり,現在,世界最速のマッハ3の軍用機SR-71では,機体構造の93%にチタニウム合金を使っている。しかし,チタニウム合金で400℃,ステンレス鋼でも650℃ぐらいが使用上の限界であり,それぞれマッハ3か4が限度であるため,これ以上の高速機にはエンジン関係に使われているような耐熱合金が必要となってくる。
図1-3-25 高度・速度と使用材料の関係
(1) アルミニウム合金(aluminum alloy)
 アルミニウム合金は,比重が軟鋼の1/3と軽く,比強度が高いため,航空機の外板や構造部などに広く用いられている。1910年代以来,展伸用と鋳造用など各種の合金が開発され,最近の代表的なものとしては2024アルミ合金(アルミ以外の主な成分はCu4.5%,Mn0.6%,Mg1.5%),7075アルミ合金(Zn5.6%,Cu1.6%,Mg2.5%,Cr0.3%)があり,いずれも引っ張り強さに優れた高力アルミ合金である。前者を別名超ジュラルミン(super duralumin),後者を超々ジュラルミン(extra super duralumin)と呼ぶ。これらを外板として用いるときは,板材の両面に純アルミニウムの薄い層を熱間圧着して被覆し,耐食性を増している。これをアルクラッド材(alclad)という。さらに777では,7055,7150,C188など種々の新しいアルミ合金が,胴体外板,客室床,胴体キールビーム,胴体縦通材,主翼上面,主翼上面外面,主翼桁に採用されている。(図1-3-26参照)
図1-3-26 航空機用金属材料の比重,引っ張り強さ,比強度
図1-3-27 比強度と温度の関係
(2) マグネシウム合金(magnesium alloy)
 比重が1.8と,アルミ合金の2/3しかなく実用合金中もっとも軽いため,あまり荷重がかからないで適度の板厚を要するような舵面に使われる。しかし耐食性に乏しいため,長期間使用することを前提としている民間輸送機では,わずかに鋳物として,クルーガー・フラップやギアボックスなどに使われているのみである。
(3) チタニウム合金(titanium alloy)
 アルミニウム合金に比べて重さは1.6倍であるが,引っ張り強さは2倍も強く特殊鋼並みで,かつ耐食,耐熱性が優れている。原料が高く,加工もむずかしいため当初は耐熱材料として少量が使われていた。最近では加工法も進歩したため,構造部材やボルト,さらには客室の床板にまで多用されており,747では設計中に増大した重量を削減するため,従来は鋼で製作していた部分をこのチタニウム合金に代えて,成功を収めている。
(4) 低合金鋼(low alloy steel)
 炭素鋼(carbon steel)に炭素以外の金属元素を少量(8%以下)添加して強靭性を向上させた鋼。強靭鋼また高張力鋼とも呼ばれ,その主なものは次の2種である。
a. クロムモリブデン鋼(chromium-molybdenum steel)
 代表的なものにAISI4130(米国鉄鋼規格)があり,ボルト,継手,脚部品,エンジン部品などに用いられている。
b. ニッケル・クロムモリブデン鋼(nickel chromium-molybdenum steel)
 クロムモリブデン鋼とともに,航空機に多用されている。AISI4340が代表的で靭性に富み高強度に調整可能で,現在使用されている航空機材料のうちでは比強度最大の部類に属する。そのため,きわめて高強度を要する脚,大型部品,エンジン部品などに使用されている。
(5) ステンレス鋼(stainless steel)
 クロムを多量(11%以上)に含有した鋼の総称。耐食性のみならず,強度も高く,かつ高温低温特性に優れているため重要な構造材。最近,ステンレス鋼の中で多く航空機材料として用いられているのは,15-5PHである。これは耐腐食性や疲労特性に優れ,従来の17-7PHなどに代わって使用されるばかりでなく,低合金鋼の代替としても広く用いられている。
(6) 耐熱合金(heat resisting alloy)
 650℃以上の高温度で耐食性および高温強度の優れた合金の総称,超合金(super alloy)とも呼ばれる。ジェット・エンジンはタービン入り口ガス温度が高いほど効率や比推力がよくなるため,燃焼室やタービン,排気系統には主として耐熱合金が使われており,ジェット・エンジンの進歩は,これら耐熱合金の開発にかかっているといえる。現在,主として使われているのはニッケル基とコバルト基の耐熱合金であり,1,200℃程度まで耐えることができる。747のJT-9Dエンジンでは,燃焼室関係にニッケル基(ハステロイ系),タービン関係にニッケル基(インコネル系),コバルト基(ステライト系)などの耐熱合金が使用されている。
2.非金属材料
(1) プラスチック材(plastic material)
 軽く,着色成形が容易,電波透過性がある,電気や熱の絶縁性がよいなどの特徴があるため,現代の航空機では,窓ガラス,客室内装材,レドームなど広範囲に使用されている。種類も多く,アクリル系や塩化ビニール系などのほか,最近では耐火性の強いアロマティック・タイプ・ポリアミド,ポリカーボネートなどが客室内装用として多用されている。このほかテフロン,シリコンなども使われている。テフロン(teflon)はハロゲン化エチレン樹脂の一種で,四フッ化エチレンを高圧重合して作った物質につけられたアメリカのデュポン(Du Pont)社の商品名。機械的性質,化学的性質,電気的性質に優れ,また,耐熱性のあることが特徴。航空機の通信系統,電気系統(絶縁テープ,絶縁部品,電線の被覆),油圧系統(バックアップリング・シール),機体構造部(テフロン・ラインド・ベアリング:Teflon lined bearing)の部品に用いられ,さらに用途が広がっている。
(2) ガラス繊維(glass fiber)
 無アルカリのEガラス,高強度のSガラス,高弾性率のMガラスなどがあり,GFRP(ガラス繊維強化プラスチック glass fiber reinforced plastics)の補強繊維として使用される。また綿状としたグラスウールは,防水処理を施したナイロンの袋に詰め,厚さ5〜10cmのマット状に成形し,インシュレーション・ブランケットと称して,機体外板と内張りの間に入れる防音・断熱材として使用される。
(3) 合成ゴム(synthetic rubber)
 天然ゴムに比べて耐候性,耐熱性,耐油性,耐薬品性が優れている。航空機用としてはガスケット・パッキング,ホース,ダクトの結合カップリング,防水シートなど多方面に使用されている。航空機用タイヤには一般に天然ゴムが使用されているが,これは,ゴム弾性,引裂強度,耐摩耗性等の機械的性質に優れているからである。
3.複合材料(composite material)
 異質の材料を組み合わせることによって,単一材料では得られない大きな比強度特性を持った材料。強化プラスチック(FRP:fiber reinforced plastics)は,ポリエステルやエポキシを繊維材料で固めた代表的複合材料である。このうちガラス繊維(glass fiber)を使ったガラス繊維強化プラスチック(GFRP:glass fiber reinforced plastics)が主翼フィレット,フェアリング,舵面,レドーム,翼端,客室床面などに広く用いられている。最近は比弾性率,比強度の大きいカーボン繊維(carbon fiber)や,ボロン繊維(boron fiber)とプラスチックとを組み合わせた先進複合材としてCFRP,BFRPなどが実用化され,米国の航空機メーカーとNASAの協同開発により,大型輸送機の一次構造(例:垂直安定板)へこれらの複合材を適用する研究も行われている。図1-3-28に示すように,777ではCFRPが,水平,垂直尾翼をはじめ広範囲に使用されている。
脆性(brittleness)
 外力を受けたときの,変形する能力の小さい性質,つまり脆さのこと。脆性は通常衝撃試験でその値の大小が比較される。また,このような性質をもった鋳鉄のような材料を脆性材料という。
図1-3-28 777の複合材使用部位
4.関連用語
腐食疲労(corrosion fatigue)
 環境によるコロージョン(corrosion)の発生と,繰り返し荷重による疲労の相互作用の結果として起こる材料疲労の一形態。この場合,その材料は単に空中で同一の繰り返し応力を与えた場合よりも早く,また低い繰り返し応力レベルでも疲労破壊を起こすことが多い。腐食を受けた部分が応力集中源として働き,同時に繰り返し応力によって,腐食作用が結晶粒界に浸透しやすくなる結果と考えられている。
浸食(erosion)
 金属と電解液となりうる液体とが,互いにある速度で運動すると,液体中に電流が発生し金属の表面を浸食していく現象。油圧機構のコントロール・バルブのように,非常に細いすきまを高圧の作動油が流れる場合に発生するエロージョンは,油圧系統の内部リークの原因となる。一方,浸食されやすい金属では,空気中の雨滴や小さなチリの衝突によっても一種のエロージョンが発生することがある。プロペラやジェット・エンジンのファンブレード,あるいは翼の前縁などが発生しやすい場所である。

 
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