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着陸装置 landing gear
  前輪式 nose-wheel landing gear
(1) 前脚 nose landing gear
(2) 主脚 main landing gear
(3) 操向装置 steering system
操向輪 steering wheel
操向作動筒 steering actuator
●シミーダンパー shimmy damper
(4) 緩衝支柱 shock strut
緩衝装置 shock absorber
●オレオ式緩衝装置 oleo-pneumatic shock absorber
●アップロック uplock
 ダウンロック downlock
(5) 車輪とタイヤ wheel and tire
●タイヤ tire
●プライ ply
(6) ブレーキ系統 brake system
ディスク・ブレーキ disk brake
(7) アンチスキッド装置 anti-skid control system
(8) オートブレーキ autobrake system
(9) 非常用ブレーキ emergency brake
(10) パーキングブレーキ parking brake

 航空機が離着陸したり地上滑走する際に使われる装置で,油圧を利用したブレーキや操向装置および脚の上げ/下げに伴う装置を含んでいる。現代の民間輸送機のほとんどが陸上機で,車輪を使用した前輪式(nose-wheel landing gear)の着陸装置をもち,この場合は前脚(nose〔landing〕gear)と主脚(main〔landing〕gear)に分けられる。着陸装置は着陸時の衝撃荷重を吸収する緩衝装置(shock absorber),脚柱(landing gear strut),地上滑走をするための車輪(wheel),操向装置(steering system),ブレーキ系統(brake system)などから成っている。空気抵抗を減らすため飛行中は引き込み式(retractable)にした機種が多い。
図1-4-14 747の着陸装置

(1)前脚(nose landing gear)
 胴体前方下部に取り付けられ,受け持つ荷重は全体の10%と少ないが,地上走行中の方向を操作する操向(steering)装置があり,重要な役割を持っている。
図1-4-16 ノーズランディングギヤとドア
(2)主脚(main landing gear)
 ふつう航空機では,機体の重心近くに左右2本の主脚を持っていて,荷重の90%近くを支えている。747のような大型機では左右に2本ずつ,計4本の主脚を持っている。DC-10,MD-11では,3本の主脚を持っている。
(3)操向装置(steering system)
 地上走行(taxiing)中に機体の方向変換をする装置で,ふつうは前脚に装備される。操縦室内にある操向輪(steering wheel)を回すと,油圧の力が前脚の操向作動筒(steering actuator)に加わり操向するようになっている。747の場合は,前脚のほか主脚のボディ・ギヤも,前脚が左右いずれかに約20°切られると,油圧が働き,左右最大13°まで転向するようになっている。777では,左右それぞれの主脚に6本の車輪を装備しているので,地上旋回時にタイヤに無理な力が加わるのを防止するため,前脚が10°以上切られると主脚の2個の車輪も比例して回転しはじめて,前脚70°にて主脚は最大8°転向する。また機長,副操縦士席側にある操向輪(ティラーという)によって,前脚は70°まで切ることができるが,ラダー(方向舵)ペダルでも前脚を左右7°まで切ることができる。
図1-4-15 777の主脚操向装置
3軸になった777の主輪
シミーダンパー(shimmy damper)
 操向車輪(前輪)は,高速走行時,車輪のアンバランスや路面の凹凸によって,小刻みな激しい首振り振動(シミー)を生じやすい。シミーダンパーは,この発生を防止する装置。
(4)緩衝支柱(shock strut)
 緩衝装置(shock absorber)ともいう。機体が着陸するときに受ける衝撃荷重や地上滑走時の振動荷重を吸収して,直接機体構造に悪影響をおよぼさないようにする装置。代表的なものにオレオ緩衝支柱がある。
オレオ式緩衝装置(oleo-pneumatic shock absorber)
 シリンダーとピストンから成る。シリンダー内に油と圧縮ガスが封入されていて,シリンダー内に設けられたオリフィスを油が通るときに流体摩擦エネルギーが消耗されることによって衝撃を吸収する。
アップロック(up lock)
 離陸して脚を上げた後,機体の動揺や振動で脚が下がるのを防止する固定装置。大型機では脚格納扉にも取り付けられている。アップラッチ(up latch)ともいう。DC-10,MD-11では,アップロックの固定装置はなく,飛行中は常時,脚上げの油圧が加わって脚上げ状態を保っている。油圧がなくなった時は,脚は脚格納扉で受け止められる。また,脚下げの状態を固定する装置をダウンロック(down lock)という。
(5)車輪とタイヤ(wheel and tire)
 車輪はホイール(wheel)とタイヤ(tire)から成っている。ホイールは,タイヤとともに回転するので車軸とホイール間にはベアリングが入っている。また,各ホイールには3〜4個のフューズプラグが取り付けられ,ブレーキの過熱などでタイヤ内の空気圧が異常に高くなったとき,フューズが溶けて圧力を逃がすようになっている。ホイールの材質はアルミ合金またはマグネシウム合金である。
タイヤ(tire)
 層状に重ね合わせたバイアスのプライコードとトレッドラバーおよびビードからできている。航空機用の場合,高速,高荷重および広範囲の環境温度変化のもとに使用される関係で,接着性,熱の発散性が優れ,強度の高い材料(天然ゴム,ナイロン)が使われている。ジェット輸送機のほとんどがチューブレスタイヤを用いており,トレッドパターンは円周方向に溝をつけたリブパターン,もしくはそれを若干修正したものが採用されている。大型ジェット機では,100〜170回の離着陸でタイヤは摩耗してしまうので,タイヤに要する費用の関係から,摩耗したトレッドを削り落とし,新しいトレッドラバーを加硫して焼き付けるリキャップ(re-cap)を行うのが常識になっている。異物による傷さえ受けなければリキャップは5〜7回程度は可能である。777では,低発熱,耐摩耗等,安全で経済的に利点のあるラジアルタイヤが使用されている。
プライ(ply)
 タイヤの断面を見ると,内側部分にゴムで覆われた斜め織りのナイロン布が数層入っていて,タイヤの空気圧に耐えるようゴム部分を補強している。かつては,10プライのタイヤといえば,強力人絹布が10枚重ねられていることを意味していたが,最近のナイロンプライは,強力人絹布プライより強力になっており,タイヤ上に表記されているプライ数は,布の枚数を表すのでなく,タイヤの強さ(ply rating)を表すようになっている。(図1-3-21参照)
図1-3-21 ラジアル・タイヤ(左)とバイアス・タイヤの構造対比
(6)ブレーキ系統(brake system)
 着陸装置のホイールには,着陸滑走距離の短縮,地上走行中のスピードコントロールおよび任意の位置で停止するためのブレーキを装備している。ブレーキの種類は,油圧によってコントロールされるディスクブレーキ(disk brake)が一般的である。小型機では,自動車のディスクブレーキと同じように,シングル・ディスクブレーキ(single-disk brake)が多く用いられているが,ジェット輸送機ではマルチプル・ディスクブレーキ(multiple-disk brake)が用いられている。構造としては,数枚のローターディスク(rotor disk)がホイールに固定され車輪とともに回転し,一方ステーターディスク(stator disk)はローターディスクの間に交互に入っていて,これらは脚構造に取り付けられていて回転しない。ブレーキはこの二つのディスクを必要に応じて油圧で密着させ,その摩擦によって制動が働くようになっている。従来はスチール製のディスクブレーキが使用されていたが,最近では軽量化のためカーボン材で作られたディスクブレーキが採用されるようになった。カーボン材の採用により,スチール製に比べて40%重量が軽減され,寿命はスチールの3〜5倍のランディング回数まで延びるといわれている。
 なお,最近の短距離ジェット輸送機では,ブレーキを強制的に冷却するため,小型のファンをホイール内に装着したものものある。
(7)アンチスキッド装置(anti-skid control system)
 飛行機が着陸接地後,ブレーキを強く踏みすぎると,車輪の回転が止まってスキッド(滑り)を起こし横滑りしたり,タイヤが片減りして危険となる一方,制動距離もかえって延びてしまう。この装置は,かりにブレーキを踏んだまま着陸しても,また急ブレーキをかけたとしても,自動的にブレーキの効きを調整し,滑りを防止するように,車輪の回転速度および減速率を感知して,最も効果的なブレーキ圧が加わるようにブレーキ圧調整弁を電気的に制御するものである。
図1-4-17 アンチスキッド・ブレーキの制御系
(8)オートブレーキ(autobrake system)
 1978年頃から上記のアンチスキッド系を含むオートブレーキ装置がジェット輸送機に装備されるようになり,滑りやすい滑走路の場合でも安定した制動効果が得られ,横風着陸のときでもパイロットが方向維持に専念できるようになり,運航安全の向上に大きな利得を与えている。この場合,着陸前にパイロットがオートブレーキ選択スイッチをオンにし,3段階の減速度(4ft/S2, 7ft/S2, 10ft/S2)から滑走路状態に適応したもの(通常は最小でよい)を選択すれば,接地後ブレーキペダルを踏むことなく車輪ブレーキが自動的に働く。通常は速度が約60ktでペダルを踏みこむとオートブレーキはオフになり,ペダルブレーキに切り替わる。
(9)非常用ブレーキ(emergency brake)
 ブレーキの油圧系統に故障が生じた場合,油圧にかわって高圧ガスによりブレーキを作動させる非常用ブレーキで,約3,000psi(200気圧)に加圧された窒素ガスが用いられている。ただし,第3世代のジェット輸送機(747など)以降の機体では,ブレーキに供給される油圧系の冗長性を強化し,上記の非常用ブレーキは装備していない。777では,ノーマル・ブレーキ・システムの他に,アルタネイト・ブレーキ・システムとリザーブ・ブレーキ・システムと呼ばれるブレーキ・システムがあり,3つの異なる油圧系統が使用されている。
(10)パーキング・ブレーキ(parking brake)
 駐機中に機体が不意に動き出さないようにするためのブレーキで,油圧(3,000psi=200気圧)でブレーキを固定している。ブレーキペダルを踏んでパーキング・ブレーキレバーを引くと,レバーによってスイッチが働き,パーキング・ブレーキ系統の油圧をロックし,ブレーキのかかった状態を保持するようになっている。

 
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