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航法システム navigation system
(1)パフォーマンス・マネジメント・システム PMS:performance management system
(2)フライト・マネジメント・システム FMS:flight management system
(3)慣性航法装置 INS:inertial navigation system
(4)慣性基準装置 IRS:inertial reference system
(5)全地球航法装置 GPS:global positioning system
(6)将来航空航法システム FANS:future air navigation system
(1)パフォーマンス・マネジメント・システム(PMS:performance management system)
 パフォーマンス・マネジメント・システムを簡単にいえば,コンピューターが飛行条件に応じて燃料効率を最適とするように計算を行い,そのデータを基に自動操縦装置(autopilot system)と自動推力調整装置(autothrottle system)を介して航空機を自動的にコントロールするシステムである。
 上昇においてPMSは,航空機の重量に応じた最適上昇速度を計算し,この上昇速度を正確に保持するよう昇降舵すなわち迎え角をコントロールすると同時に,所定の推力設定を行うよう推力調整レバーをコントロールする。巡航においては,飛行条件(重量,高度,風など)に応じた最適な速度,またはパイロットが指定した任意の速度を保持するように,推力調整レバーだけでなく,ピッチ(すなわち迎え角)も変化させてコントロールする。すなわち突風などにより速度が速くなると,PMSは迎え角を増加させるよう昇降舵をコントロールし,機体を若干上昇させ速度を減少させる。逆に速度が遅くなると迎え角を減らし,機体を若干降下させて速度を増す。この高度変化が,ある許容量(747では約±120ft)を超えると,初めて推力レバーを動かして速度の保持を自動的に行う。このように短周期的な速度のズレをピッチ変化のコントロールで補正するため,推力調節レバーの動きが最小限に抑えられ燃費が向上するわけである。
 降下においては,あらかじめ三次元の降下目標地点のデータ(緯度,経度,高度)をコンピューターに与えておくと,最適な降下開始地点を計算し,さらに航空機をこの最適地点から自動的に降下させ,この地点と降下目標地点とを結ぶ燃料効率上最適な経路を通過させることができる。
 なお日本航空では,PMSを747(−300までの現有型)とDC−10に装備している。
(2)フライト・マネジメント・システム(FMS:flight management system)
 フライト・マネジメント・システム(FMS)は,PMSの機能をさらに充実・拡大させ,離陸から着陸までの全飛行領域にわたって飛行管理(航法,操縦,推力調整,誘導など)を自動的に行うシステムである。特にFMSのコンピューターは,航法データベース(navigation data base)と呼ばれる大量の航法用データ(空港,滑走路,スポット,航空路,飛行ルート,ILS/VOR/DMEなどの航行援助施設,空港ごとの出発/進入方式などの情報)を記憶しており,パイロットはいつでもそれらのデータをCDU(control display unit)を介して取り出すことができる。出発に際し,飛行計画に沿って離陸滑走路からの出発方式を含む到着地までの飛行コースを設定すると,水平面内の航法(lateral navigation:L-NAV)および高度方向の航法(vertical navigation:V-NAV)に関する情報が提供される。これらの航法情報は,飛行経路に合わせてコンピューターが自己の蓄えている航法データを次々と引き出し,それに基づいて機を誘導していく。これに必要なVOR−DME局などの選局もパイロットの手を煩わすことなく,飛行計画に沿って自動的に選局される。またこれらの航法情報はCDU上に文字で表示されるのみでなく,電子飛行計器システム(EFIS)のCRT上に地図として表示されるので,自機の位置関係が容易に把握できる。なお,FMSは767,A310以降に開発された航空機では標準装備となっている。
図1-5-13 FMSを使用した飛行パターン
図1-5-15 FMSのコントロール・ディスプレイ・ユニット
(3)慣性航法装置(INS:inertial navigation system)
(4)慣性基準装置(IRS:inertial reference system)
 INSでは機械式のジャイロ・ジンバルによって支えられた水平安定板(プラットホーム)を使用していたが,767,A310以降に開発された航空機ではレーザージャイロを使用したセンサーを直接機体に取り付け,従来の機械式水平安定板に相当するものを,高速コンピューターの計算により求める方式の慣性基準装置(IRS)が装備されている。レーザージャイロには,従来のジャイロと異なり回転コマがなく,二つの反対方向に回転するレーザービーム間の周波数変化により角速度を検知する。
図1-5-16 レーザージャイロ
(5)全地球航法装置(GPS:global positioning system)
 Global Positioning System(GPS)は米国の高精度な航法用衛星を利用して,航空機の正確な位置と時間を計算するシステムである。今後,主要な航法機器として活用が期待され,GPSを利用した各種航法装置の開発が進められている。
 GPS衛星は,高度約20,000kmの6つの軌道上に各4個・合計24個が配置されており,地球上のどのような地点からも常に最低4個の衛星が捕捉できるようになっている。
 GPS受信機は,衛星からの電波を受信し,電波の伝播時間と衛星の軌道情報を受け取る。これらのデータから,衛星からの距離と衛星の位置を知り,自機の位置を計算する。通常,3個の衛星からの距離がわかれば位置は計算できる。しかし,GPSの場合は,受信機の時計を衛星の時計に合わせるための補正が必要なことから,4個の衛星が位置計算に必要になる。
 GPSから得られる位置の精度は,従来のINS,IRSより高いが,より高精度の位置情報を得るために補強システムの開発が進められている。これにより将来はGPSを使った着陸システムも可能となる。
図1-5-17 GPS衛星
(6)将来航空航法システム(FANS:future air navigation system)
 Future Air Navigation System(FANS)は,今後予想される航空需要の伸びに対応し,飛行空間の有効活用とさらなる安全性の向上を目的として,人工衛星やデータ通信などの新技術を利用した,新しい航空交通管制,航法システムである。
 システムが実現し,将来(future)という名前がそぐわなくなってきたため,最近では,CNS/ATM(communication, navigation, surveillance/air traffic management)という用語で呼ばれる。
 CNS/ATMという呼称からもうかがえるように,FANSは,いくつかの機上システムが組み合わされたものの総称である。747-400を例にとると以下のようになる。
図1-5-18 FANS概念図
図1-5-19 FANS装備

通信(Communication)
衛星通信システムおよびVHF通信システムを用いたデータ通信を,従来の音声通信の代わりに用いて航空交通管制が行われる。
フライトマネージメントシステムに,管制官・パイロットデータ通信(CPDLC:controller/pilot data link communication)と呼ばれる,管制官とパイロット間の航空交通管制上の通信を規格化したプロトコルが組み込まれる。
バックアップとして衛星通信システムによる音声通信がある。

航法(navigation)
フライトマネージメントシステムに,GPSによる位置情報を利用する機能が追加され,より精度の高い航法が可能となる。

監視(surveillance)
フライトマネージメントシステムに,一定時間間隔で地上に自動的に位置および飛行情報を伝達する機能が追加される。これを地上の管制機関が利用することにより,洋上航空交通管制を行う。(自動従属監視ADS:automatic dependent surveillance)

 このように,FANSの中心的な役割は,フライトマネージメントシステムが担っている。GPSによる高精度の位置情報に基づいてフライトマネージメントシステムが作成したデータを,衛星通信システム・VHF通信システムを介して地上と送受信することにより,従来,音声通信で行われてきた航空交通管制通信を,より効率よく行うことができるようになる。

 
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