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大気 atmosphere
1. 大気 atmosphere
(1)対流圏 troposphere
(2)圏界面 tropopause
(3)成層圏 stratosphere
(4)標準大気 standard atmosphere
国際標準大気 ISA:International standard atmosphere
●ジェット・ストリーム Jet stream
2. 悪天候 significant weather
(1)乱気流,タービュランス turbulence
a.建物や地形の影響によるもの
b.空気の対流によるもの
c.風のシア,ウィンド・シア wind shearによるもの
●晴天乱(気)流 CAT:clear air turbulence
d.航空機の翼端渦によるもの
●ウェーク・タービュランス wake turbulence
e.エア・ポケットによるもの air pocket
1.大気(atmosphere)
 地球を取り巻く気体の総称。組成は,水蒸気を除いた乾燥空気で考えれば,地上約30kmまではほぼ窒素78.08%,酸素20.95%,アルゴン0.93%,炭酸ガス0.03%となっている。大気の構成は大略次のように分けられる。
(1) 対流圏(troposphere)
 地表面から(対流)圏界面までの大気の下層部。高度が高くなるにつれて気温が低下し,そのために対流を生じ,対流や地形などの影響で気流の乱れがある。
(2) 圏界面(tropopause)
 対流圏と成層圏の境界面。高度は対流圏と同様,緯度により異なる。地球上を東西に飛行する場合は大きな影響はないが,東京−アンカレッジのように南北に飛行する場合には,晴天乱気流CATとの関係で飛行性能や快適性に影響を受けやすい。
(3) 成層圏(stratosphere)
 対流圏の上部にあり,高度11,000mから約50,000mまでの範囲とされているが,上限については定説がない。また気温も約32,000m以上になると上昇する。この領域では,雲はほとんどないが,成層圏の下部には晴天乱気流が存在するので,必ずしも静穏とはいいきれない。
(4) 標準大気(standard atmosphere)
 航空機の性能を比較する場合,一定の標準になるような大気状態を決める必要がある。初めは各国それぞれに決めていたが,現在では,ICAOの国際標準大気(ISA:international standard atmosphere)を使っている。この場合,海面上(高度0)のとき,地上の気圧1013.25hPa。地上の気温15℃。地球の重力加速度980.66p/sec2
 気温の変化率は−6.5℃/km(高度0〜11km),0℃/km(高度11〜20km),+1.0℃/km(高度20〜32km)と定められており,したがって,高度11〜20kmでは,−56.5℃と一定値になっている。
ジェット・ストリーム(Jet stream)
 中緯度(30〜50度)の対流圏上部あるいは成層圏下部に環状に見られる,非常に強い西風の部分。ジェット気流には,寒帯前線ジェット気流,亜熱帯ジェット気流,偏東風ジェット気流とがあるが,前二者がジェット機の常用高度に現れ,運航に最も関係が深い。ジェット気流の位置は季節によっても大きく変動し,冬期に最も南約25度付近に下がり最も強く,夏期は約45度付近ぐらいまで北上し弱くなる。飛行する場合は,これを利用するかどうかで所要時間および熱料消費に著しく影響を受けるため,追い風は極力利用し向かい風を避けるような経路が設定される。
図2-1-4 大気圏の様相
2.悪天候(significant weather)
 航空機の運航に著しい影響を与えるような気象現象。雷雨,台風,中程度以上の悪気流,晴天乱(気)流,顕著な山岳波,中程度以上の着氷現象,ひょう,広範囲の砂塵嵐,広範囲の霧,および雪や雨など。
(1) 乱気流,タービュランス(turbulence)
 乱気流は原因によって,次のように分類できる。
a. 建物や地形の影響によるもの
 高層ビルや山などの障害物によって地表近くの気流が乱された場合に発生する。山によって発生する乱気流は山岳波といい,航空機の運航上,特に注意が必要である。富士山のような独立峰に強い風が吹き付けたときは,風下側に強い山岳波が発生し,時として山の高さの1.5倍の高さまでおよぶことがある。
b. 空気の対流によるもの
 地表面の温度差による局地的な上昇気流がある。さらに前線による上昇,下降気流もある。これらは多くの場合雲を伴うので,パイロットはある程度乱気流の存在を予測することができる。このうち顕著なものは積乱雲であり,これは乱気流のほか,ひょうや雷を伴っており,航空機にとって危険である。
c. 風のシア,ウィンド・シア(wind shear)によるもの
 水平または垂直方向に風向または風速の差があることで,一般的に前線面あるいはジェット気流の周囲に発生することが知られている。このうち後者を晴天乱(気)流と呼んでおり,雲を伴わないので予測することが困難である。
図2-1-5 ウインド・シア
晴天乱(気)流(CAT:clear air turbulence)
 ほとんどが,地球の中緯度(30度〜50度)の対流圏と成層圏の境界の,圏界面によく発生するジェット気流の周辺に存在するウィンド・シア(特に高度に対する風速変化)によるものである。このため30,000ft前後の高高度で発生することが多く,このような高度を飛行するジェット旅客機が就航するようになってから注目されるようになった。ただジェット気流との関連が深いといっても,ジェット気流が常にどこでも晴天乱気流を伴うものではなく,ジェット気流の左側,しかも曲がりくねった寒帯ジェット気流付近で発生する傾向がある。
 晴天乱気流による振動は,雲の中で経験される乱流によるものより周期が短く,ちょうど砂利道を走る自動車のような感じである。ただしジェット気流に伴う晴天乱気流と,強い風が高山に当たって発生する山岳波が組み合わさるとかなり強いものになる。発生域の規模は幅が10〜40nm(20〜70km),厚さは500〜2,000ft(150〜600m)程度といわれている。
 晴天乱気流の探知方法として,主に二つの方法が研究されているが,いずれもまだ完全に実用化される段階には至っていない。その一つは赤外線を使う方法である。乱気流は気温の水平方向の温度変化が大きいところで発生することが多いため,航空機に赤外線晴天乱気流探知機を搭載して飛行方向前方の温度を測定するものである。もう一つはレーダーを使う方法である。レーダーはもともと雨が降っている所や雲を構成している水滴分布を探知するものであるが,乱気流が存在するような所では空気の密度に大きな変化があって,このような層に電波が当たった場合も散乱屈折の程度が変化することを利用したものである。
d. 航空機の翼端渦によるもの
 航空機の翼の上下面の圧力差によって発生する渦で,ウェーク・タービュランス(wake turbulence)という。渦の大きさは航空機の重さ,速度,翼の形などによって異なるが,発生後数分間持続し,しかも目視できないため,大型機のすぐ後を飛行する小型機は注意を要する。一般に翼端渦は航空機飛行後2〜3分間存在するとされ,この間,徐々にその高度を下げる。後曳き渦(trailing vortex)ともいう。
e. エア・ポケット(air pocket)によるもの
 大気中に気流の変化で下向きの気流が生じることをいい,飛行機がこの中に入ると急激に高度が下がる。地形や地表の状態によって生ずることが多いが,雲,晴天乱気流,飛行機の航跡などによっても引き越こされ,前者は予測ができるが後者は予測しにくく,機体や乗客に被害をおよぼすことがある。
航空機がいかに近代化されても雲は大きな脅威。強大な上昇気流や下降気流,そして乱気流や雷といった自然現象を目前にしたら,航空機はただ逃げるしかない

 
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