| a. |
建物や地形の影響によるもの:
高層ビルや山などの障害物によって地表近くの気流が乱された場合に発生する。山によって発生する乱気流は山岳波といい,航空機の運航上,特に注意が必要である。富士山のような独立峰に強い風が吹き付けたときは,風下側に強い山岳波が発生し,時として山の高さの1.5倍の高さまでおよぶことがある。 |
| b. |
空気の対流によるもの:
地表面の温度差による局地的な上昇気流がある。さらに前線による上昇,下降気流もある。これらは多くの場合雲を伴うので,パイロットはある程度乱気流の存在を予測することができる。このうち顕著なものは積乱雲であり,これは乱気流のほか,ひょうや雷を伴っており,航空機にとって危険である。 |
| c. |
風のシア,ウィンド・シア(wind shear)によるもの:
水平または垂直方向に風向または風速の差があることで,一般的に前線面あるいはジェット気流の周囲に発生することが知られている。このうち後者を晴天乱(気)流と呼んでおり,雲を伴わないので予測することが困難である。
図2-1-5 ウインド・シア
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晴天乱(気)流(CAT:clear air turbulence):
ほとんどが,地球の中緯度(30度〜50度)の対流圏と成層圏の境界の,圏界面によく発生するジェット気流の周辺に存在するウィンド・シア(特に高度に対する風速変化)によるものである。このため30,000ft前後の高高度で発生することが多く,このような高度を飛行するジェット旅客機が就航するようになってから注目されるようになった。ただジェット気流との関連が深いといっても,ジェット気流が常にどこでも晴天乱気流を伴うものではなく,ジェット気流の左側,しかも曲がりくねった寒帯ジェット気流付近で発生する傾向がある。
晴天乱気流による振動は,雲の中で経験される乱流によるものより周期が短く,ちょうど砂利道を走る自動車のような感じである。ただしジェット気流に伴う晴天乱気流と,強い風が高山に当たって発生する山岳波が組み合わさるとかなり強いものになる。発生域の規模は幅が10〜40nm(20〜70km),厚さは500〜2,000ft(150〜600m)程度といわれている。
晴天乱気流の探知方法として,主に二つの方法が研究されているが,いずれもまだ完全に実用化される段階には至っていない。その一つは赤外線を使う方法である。乱気流は気温の水平方向の温度変化が大きいところで発生することが多いため,航空機に赤外線晴天乱気流探知機を搭載して飛行方向前方の温度を測定するものである。もう一つはレーダーを使う方法である。レーダーはもともと雨が降っている所や雲を構成している水滴分布を探知するものであるが,乱気流が存在するような所では空気の密度に大きな変化があって,このような層に電波が当たった場合も散乱屈折の程度が変化することを利用したものである。 |
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| d. |
航空機の翼端渦によるもの:
航空機の翼の上下面の圧力差によって発生する渦で,ウェーク・タービュランス(wake turbulence)という。渦の大きさは航空機の重さ,速度,翼の形などによって異なるが,発生後数分間持続し,しかも目視できないため,大型機のすぐ後を飛行する小型機は注意を要する。一般に翼端渦は航空機飛行後2〜3分間存在するとされ,この間,徐々にその高度を下げる。後曳き渦(trailing
vortex)ともいう。 |
| e. |
エア・ポケット(air pocket)によるもの:
大気中に気流の変化で下向きの気流が生じることをいい,飛行機がこの中に入ると急激に高度が下がる。地形や地表の状態によって生ずることが多いが,雲,晴天乱気流,飛行機の航跡などによっても引き越こされ,前者は予測ができるが後者は予測しにくく,機体や乗客に被害をおよぼすことがある。
航空機がいかに近代化されても雲は大きな脅威。強大な上昇気流や下降気流,そして乱気流や雷といった自然現象を目前にしたら,航空機はただ逃げるしかない
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