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離陸 take-off
1.離陸速度 take-off speed
 (1)離陸決定速度:ブイ・ワン V1:take-off decision speed
 (2)ローテーション速度:ブイ・アール VR:rotation speed
 (3)安全離陸速度:ブイ・ツウ V2:take-off safety speed
2.離陸推力,離陸出力 take-off thrust,take-off power
3.必要離陸滑走路長 required take-off field length
 (1)離陸距離 take-off distance
 (2)加速停止距離 accelerate-stop distance
 (3)離陸滑走距離 take-off roll, take-off run
4.横風離陸 cross-wind take-off
5.関連用語

 離陸とは,航空機が飛行のための動作を開始してから,地表面を離れて規定の性能で上昇を始めるまでの間の一連の操作と機体の運動を総称したもの。離陸の安全を確保するため,この間の性能には種々の条件が設けられており,離陸に先立ってそれらのすべてを満足させるようにプランを立てなければならない。
 離陸性能は,航空機の性能の一つとして極めて重要なものであり,その良否は航空機自体の評価に大きな関係を持っている。離陸性能はまた,巡航性能と相反する性質を持っているので,その両立は航空機設計上の難問とされている。
 離陸に関係する航空機の性能は,離陸時の重量があらかじめ決められているとすれば,(1)離陸に必要とする距離,(2)離陸速度,(3)地表面から離れた後の上昇性能,の三つから成っている。航空機の中でも特に輸送機は,他の機種よりも安全性が強く要求されているので,離陸滑走中に装備エンジンのうちの1台が停止する,という状況を前提として性能が設定されている。
 この性能設定の前提となる飛行機の運動は,飛行機が滑走路の端末部でエンジンを離陸推力まで加速させ離陸滑走を開始することから始まり,輸送機の場合は,まず速度V1(離陸決定速度)に達する。もし,この速度に達する以前にエンジンまたはその他の重大な故障が発生した場合は離陸操作を中止し,直ちにエンジンを絞ってブレーキをかけ滑走路上で停止させる。逆に上記の重大な故障が速度V1を超えた後に生じた場合は離陸を続ける。ジェット輸送機では速度VR(ローテーション速度)で操縦桿を引いて機首を引き起こし,地面から離れる操作を開始する。規定の角速度で機首を引き起こされた飛行機は,リフトオフ速度(浮揚速度VLOF)で地面を離れ,加速を続けながら離陸面上35ft(10.7m)の地点で速度V2(安全離陸速度)に達する。
 いずれにしても,離陸滑走を開始した地点から離陸面上の規定の高度を通過するまでの水平距離を離陸距離と呼んでいる。
 上昇率が正を指示した後,着陸装置を引き上げ,速度V2を保って(注:全エンジン作動の状態であれば速度はV2+10〜15ktに達している)上昇を続け,ジェット機では離陸面上400ft(120m)の高度に達するが,機が浮揚してから着陸装置を引き上げるまでの間を第1段階(ファースト・セグメント)といい,その後上記の400ftの高度に達するまでの間を第2段階(セカンド・セグメント)という。
 高度400ftに達してから短時間の水平飛行に移り,所定の速度に加速した後フラップを引き上げ始め,さらに上昇する。フラップを完全に引き上げ,規定の高度1,500ft(450m)に達して所定の上昇性能が得られると離陸の最終段階(ファイナル・セグメント)が終了し,機は定常上昇に移る。
 離陸経路における上記の各段階で達成されるべき上昇性能(上昇勾配)は法規により表2-2-1のように定められているが,気温や飛行場の標高が高くなるとエンジン推力が低下し,機の上昇勾配が法規上の要求を下回ることもあるので,その場合は離陸重量を減らして,規定の上昇性能が得られるようにしなければならない。また滑走路の延長上に障害物がある場合は,それを安全に越えるため,上昇性能により離陸重量が制限される。
 以上は性能設定の前提となっている飛行機の運動で,速度V1の直前で1つのエンジンが停止することが仮定されている。しかし,通常はエンジンが停止することはないので,上昇性能は上記の値よりもはるかに良く,また着陸装置やフラップを上げる高度も高い。
747-400の離陸
表2-2-1 離陸経路の上昇性能(上昇勾配)
図2-2-1 通常の離陸方式

1.離陸速度(take-off speed)
 離陸に際して,静止出発点から加速して離陸を終了するまでの速度の総称。飛行機が出発位置から滑走を始めて地面を離れるときの速度を指すこともある。輸送機においてはV1,VR(タービン機のみ),V2から成り,離陸操作の安全の確保,離昇後の上昇性能などを考慮し,離陸重量,フラップ下げ角,外気温度・気圧高度,最小操縦速度などの諸条件に基づいて決定される。飛行機の重量が軽いとき,フラップ角が大きいとき,外気温度・気圧高度が低いときには,離陸速度は小さくなる。たとえば,747-400の離陸速度は,離陸重量800,0001b(363t)のときV1=153kt,VR=169kt,V2=181ktとなる(海面上標準大気状態,フラップ20度)。
(1)離陸決定速度:ブイ・ワン(V1:take-off decision speed)
 輸送機が離陸滑走を開始した後,装備してあるエンジンまたはその他に重大な故障が発生したとき,離陸を中止するか,あるいは継続するかを判定し,その操作を開始する速度。ただし,V1は臨界発動機が不作動となったときの速度に,パイロットが認識して離陸中止の減速手段をとるまでの間に増加する速度を加えることになっている。
(2)ローテーション速度:ブイ・アール(VR:rotation speed)
 ジェット輸送機の導入に伴って設けられた速度で,離陸滑走を開始したのち,この速度(VR)に達したら,操縦桿を引いて機首の引き起こしを開始する速度。
(3)安全離陸速度:ブイ・ツウ(V2:take-off safety speed)
 飛行機が地面を離れ,安全に離陸が続けられる速度。輸送機が離陸滑走中に一つのエンジンが停止しても,離陸距離の末端(離陸面上の規定の高度―35ftの地点)において到達すべき速度で,失速速度に十分な余裕を持たせて設定される。
2.離陸推力,離陸出力(take-off thrust, take-off power)
 地上または飛行中に,決められた制限使用時間(通常は最大5分間,10分間認められている飛行機もある)以内で連続して使用が許される最大出力で,航空機の離陸または着陸復行のときに使用される。旧型のタービン・エンジンには離陸時に水噴射(または水・メタノール噴射)を行って出力を高める方式のものがあり,この場合はウエット(wet)出力と呼ばれる。水噴射を行わない場合はドライ(dry)出力と呼び,それぞれ区別されることがある。
3.必要離陸滑走路長(required take-off field length)
 民間輸送機がある特定の外気温度,大気圧(気圧高度),フラップ角,エンジン出力,滑走路方向の風速成分,滑走路の傾斜の諸条件のもとに,ある重量で離陸しようとする場合,与えられた条件の下ではどの程度の長さの滑走路が必要かを示す距離の表し方で,安全性を重視する民間輸送機独特の離陸性能の表示法である。
 必要離陸滑走路長は,全エンジン作動の場合の離陸距離の115%に相当する滑走路長,速度VEF(注:エンジン故障速度)でエンジンが1基不作動になった場合の離陸距離(1エンジン不作動の離陸滑走路長と呼ぶ),および加速停止距離の三つの路長のうち最も長い路長を採ることが規定されており,利用できる滑走路の長さがこの路長より短い場合は,ペイロードなどを減らすことにより,利用できる滑走路の長さと必要離陸滑走路長とが等しくなるか,それより短くなるように離陸重量を軽くしなければならない。
 上記の1エンジン不作動のときの離陸続行の距離と加速停止距離が等しくなるようにした場合を釣り合い滑走路長と呼ぶ。しかし,飛行場の立地条件によっては,滑走路末端の延長上にクリア・ウェイまたはストップ・ウェイ,あるいはこの両方を加えることにより有効な離陸滑走路長を伸ばし,釣り合い滑走路長の考え方に基づいて算出した離陸重量よりも大きな場合を,不釣り合い滑走路長による離陸と呼ぶ。
図2-2-2 必要離陸滑走路長
(1)離陸距離(take-off distance)
 飛行機が,離陸開始地点から離陸滑走を開始し,規定の高度に達する地点までの水平距離をいう。離陸の距離の設定条件などについては,この章の最初の節で解説済みのため略す。
(2)加速停止距離(accelerate-stop distance)
 離陸開始地点から,離陸を断念し飛行機が完全に停止する地点までの距離。
 すなわち図2-2-2下段のように,飛行機がV1に達して2秒後の速度まで加速するのに要する距離と,その速度で離陸を断念して制動操作を開始し,飛行機を完全に停止させるのに要する距離とを加えた距離である。この場合,制動距離の決定には,車輪ブレーキ,ブレーキのアンチ・スキッド装置,およびスポイラーによる制動効果は考慮に入れるが,エンジンの逆推力装置による制動効果は考慮に入れていない。したがって,実際の離陸断念時には制動装置の一部として,エンジンの逆推力装置やプロペラの逆ピッチ装置を使用しているから,逆推力装置による制動距離の短縮分は,安全余裕とみなされる。
(3)離陸滑走距離(take-off roll, take-off run)
 飛行機が,離陸開始地点から離陸滑走を開始し,リフト・オフ速度VLOFに達して地面から離れる地点まで,つまり主車輪が地面を離れるまでに滑走した距離をtake-off rollという。また,take-off runは,クリア・ウェイのみを考慮した不釣り合い滑走路長の離陸のときに使用される法規上の用語で,離陸滑走の開始点から,機が浮揚した地点と離陸面上35ftに達した地点との中点までの水平距離をいう。
4.横風離陸(cross-wind take-off)
 滑走路方位以外の方向から風を受けているときの離陸。ジェット機では後退翼を採用しているので,横風を受けると風上側の翼の上がる傾向が,後退角なしの翼に比べて強い。そこで補助翼を操作して主翼を水平に維持しようとするが,一方,機首を風上側へ振る傾向も生ずるため方向舵操作による修正も必要となり,通常の向かい風の場合に比べパイロットの操作も困難となる。したがって,あまり強い横風中の離陸は好ましいことではなく,最大値を定めて安全を確保する(限界値は着陸時も同様で,日本航空では乾いた滑走路では25ktとしている)。→横風着陸
5.関連用語
スタンディング・テイクオフ(standing take-off):
滑走路の中心線に機体を正対させ,いったん停止して,エンジンを離陸出力にセットした後,ブレーキを放し,離陸滑走を開始する離陸の方法。
ローリング・テイクオフ(rolling take-off):
誘導路から滑走路へ進むとき,いったん停止することなく滑走路の中心線に機体を正対させながら,エンジンを離陸出力にセットして,離陸滑走を開始する離陸の方法。
タキシング(taxiing):
航空機が自力で,地上(または水上)のある地点から別の地点まで走行すること。
クリアウェイ(clearway):
滑走路の先に続く障害物のない平坦な区域で,空港の管理下にある部分をいい,このような区域を離陸に際し利用することにより,離陸滑走中に1エンジンが不作動となって離陸続行する場合に,次の二つの条件を満足すれば離陸の条件が緩和される。
〈1〉機の出発点から離陸面上35ftの高度に達するまでの水平距離が〔滑走路〕プラス〔クリアウェイ〕の長さより短いこと。
〈2〉前期のtake-off runの長さが滑走路より短いこと。
ストップウェイ(stopway):
前項と同様に滑走路の先に続く平坦な区域であるが,飛行機が加速停止のため同区域を滑走しても機体構造に損傷を与えない状態(注:舗装面)であることが定められている。このような区域を利用することにより,1エンジン不作動となって加速停止したときの距離は,〔滑走路〕プラス〔ストップウェイ〕の長さより短ければよいので離陸の条件が緩和される。
臨界発動機(critical engine):
多発機のエンジンに故障を生じた場合に,飛行性に最も不利な影響を与えるような1基またはそれ以上のエンジンのこと。

 
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