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着陸 landing
(1)着陸速度 landing speed
●接地速度 touch-down speed
(2)デシジョン・ハイト decision height,D/H
(3)着陸距離 landing distance
●必要着陸滑走路長 required landing field length
●横風着陸 cross-wind landing
 クラブ crab
 スリップ slip
 デ・クラブ de-crab

●タッチ・アンド・ゴー touch-and-go
●着陸復行 go-around
●進入復行 missed approach

 着陸とは,航空機が空港に近づき,フラップを着陸形態(モード),着陸装置を下げとし,2.5〜3度の進入角を維持しながら,滑走路端末部の上方50ft(15m)の高度を所定の速度で通過して機首を引き起こし,沈下速度を減じて接地し,完全に停止するまでの一連の操作と機体の運動をいう。着陸の安全を確保するため,この間の性能に対しては離陸と同様種々の制限を設けているが,航空機の性能を表す要素として着陸性能の良否は航空機の評価に大きな関係をもっている。着陸性能はまた離陸性能と同じように巡航性能と相反する性質をもっているので,その両立は極めて困難である。
 着陸に関する性能には,そのときの重量(着陸重量)に対して定められる着陸進入速度,着陸距離および必要着陸滑走路長,着陸復行または進入復行の際の上昇性能などがある。また,着陸操作に関連して進入高度,最低気象条件,デシジョン・ハイト,低速時の操縦性などを考慮する必要がある。
 飛行機がいったん進入を開始した後,滑走路の状態や飛行機の態勢が着陸に不適当と判断された場合には,着陸復行または進入復行を行う。この場合,プロペラ機ではプロペラの後流によって比較的短時間で揚力が増加するが,ジェット機では揚力を増加させるためには,機体を加速させるか迎え角を大きくしてやる必要があり,したがって,ジェット機では着陸復行の際の高度損失を最小限にするため,操縦桿を引き迎え角を増して揚力を増加させ,同時に推力を増すことによって機速を保持するという操作を行う。また,最近では空港周辺に及ぼす騒音の影響を低減させるため,飛行機の騒音を低減する着陸進入方式をとることが定着化している。

(1)着陸速度(landing speed)
 着陸進入を開始してから接地する間にとる速度の総称。進入操作速度(mamoeuvering speed),進入速度(approach speed),着陸進入速度(threshold speed)および接地速度(touch-down speed)が含まれる。民間輸送機の場合,これらのうち法規で定められている速度は,着陸進入速度のみで,着陸面上50ft(15m)の高度を着陸形態の失速速度(Vs)の1.3倍以上の速度で通過するよう規定されている。ここに至るまでの速度は,すべて着陸進入速度を基準にして,フラップの下げ角および着陸装置下げの形態に応じて決定され,いずれも失速に対する余裕,操縦性に対する配慮,地上付近の突風などに対する操作の余裕などを考慮して定められている。なお,一般に着陸速度は接地速度と混同されていることが多い。
接地速度(touch-down speed)
飛行機が着陸するとき,タイヤ滑走路面に接触する瞬間の速度。民間輸送機では,この速度に対する規定はないが,着陸進入速度で着陸面上50ft(15m)の地点を通過し,接地までにエンジン推力を絞り,機首の引き起こしを行って減速していることから,ふつうは接地速度は失速速度の1.25倍程度となる。なお、接地直前の沈下率は、着陸時の条件にもよるが、2〜4ft/sec(約1m/sec)程度の値となっている。
(2)デシジョン・ハイト(decision height,D/H)
 計器着陸装置による精密進入の場合に,着陸進入中にパイロットが進入を続行するか,着陸を断念し進入復行を行うかを決定する高度。飛行場の着陸援助施設の状況,航空機の関連装備の状態,パイロットの判断および航空会社の方針により決定される。たとえば計器着陸装置による着陸の場合,D/Hは200ft(60m)とするのが標準である。
(3)着陸距離(landing distance)
 着陸距離とは,飛行機が滑走路端末部の上方50ft(15m)の地点を通過した地点から,定常的に進入し,機首を引き起こして接地し,完全に停止した地点までの水平距離をいう。滑走路端末部上方50ftの高度を1.3Vsの速度で通過した後,滑走路端末から1,000ft(300m)の前方の地点(接地点標識で表示されている)をねらってわずかに機首を引き起こして接地する。接地直前にエンジンをアイドルとし,主車輪を接地させてから前車輪を付け,逆推力,車輪ブレーキ,スポイラー(自動的に展張する形式が多い)を含む減速操作を行う。
 法規上の着陸距離の算定には,逆推力装置やプロペラの逆ピッチによる制動効果は含まれていない。しかし実際の着陸ではこれらの装置を使用しているので,これらによる制動距離の短縮分が安全上の余裕を与えている。逆推力使用による着陸距離の短縮は,滑走路面が乾いていれば6〜10%,ぬれた路面で17〜24%,雪氷路面で25〜30%となり,滑りやすい滑走路面ほどその効果が大きくなる。
 着地後,直ちに逆推力を操作するが,完全に逆推力が得られるまで数秒の遅れがあるので,この間に車輪ブレーキを操作する。ジェット機では優れたアンチスキッド・ブレーキを装備しており,着陸距離の短縮に効果を発揮する。したがって,アンチスキッド・システムが不作動の場合は,着陸距離が大幅に延びることを考慮する必要がある。また自動ブレーキを装着している場合は,操縦者が接地後機体の方向維持のみに専念できるので,特に滑りやすい滑走路の着陸において安全性向上に有効とされる。
必要着陸滑走路長(required landing field length)
着陸距離は,航空機メーカーの実機によるテストや計算によって求められるが,実際の運航においては,飛行機の状態,滑走路面の状態,あるいはパイロットによる着陸操作がテストのときと完全に一致するとは限らないので,着陸距離で性能を表した場合は,条件の相違によっては指示された着陸距離で飛行機が完全に停止できないことも考えられる。
 このため,民間輸送機では,着陸距離に安全係数を乗じた必要着陸滑走路長を用いて性能を表すようにしている。すなわち,利用できる滑走路の長さが,この必要着陸滑走路長より短い場合は,滑走路の長さと必要着陸滑走路長とが等しくなるか,それより短くなるように着陸重量を減じなければならない。
 なお,民間ジェット輸送機の必要着陸滑走路長は,乾いた滑走路に対しては着陸距離の1/0.6(約1.67)倍に相当する距離と定めている。また路面がぬれていたり滑りやすい滑走路に対しては,この路長をさらに1.15倍した距離,すなわち着陸距離の1.15×1/0.6(約1.92)倍に相当する距離と定めており,実際の運航に十分な安全余裕が確保できるよう考慮されている。しかし冬季の雪氷滑走路においては非常に滑りやすく,航空機のブレーキ効果が低下するため,着陸のみならず離陸における加速停止を含め,安全運航のための重量制限や横風制限を厳しくしている。
図2-2-8 必要着陸滑走路長
横風着陸(cross-wind landing)
滑走路方位以外の方向から風が吹いているときの着陸。この場合,飛行機は横風に抗して滑走路中心線の延長上を飛行しなければならない。その方法として,翼を水平にしたまま機首を風上側に向けて飛行する方法(クラブ(crab)をとるという)と,風上側にバンクをとって横すべりしながら機首を滑走路に正対させる方法(スリップ(slip)という)とがある。
 通常,高い高度ではクラブをとりながら進入を続け,接地直前にスリップに移り(デ・クラブ(de-crab)という)機首を滑走路に正対させて,風上側の車輪から接地する方法をとる。安全上,横風成分の大きさには限界が定められ,日本航空では滑走路面が乾いた状態のときは25kt,路面が滑りやすくなるにしたがい制限値を小さくしている。メーカー側のテストでは,この値より大きい値を得ている(747-400で30kt)が,この値で安全に着陸できるとは限らないので,航空会社側で上記のような小さめの値を決めている。世界的に主要空港では,通常使用する滑走路のほかに横風用の滑走路を併せ設けているのがふつうで,強い横風の離着陸を行わないようにしてある。
タッチ・アンド・ゴー(touch-and-go)
航空機の離着陸訓練の一つで,機を滑走路に着陸させてある速度まで減速させた後,速やかにフラップを離陸形態にするとともにエンジン推力を増し,再び離陸すること。
着陸復行(go-around)
航空機の着陸に際して,デシジョン・ハイトで滑走路が視認できれば,機はそのまま進入降下を続けて着陸するが,デシジョン・ハイト以下に降下した時点で,滑走路上に障害物を発見したり,または先行機と十分な間隔がないと判断されたとき,航空機が着陸をやり直すため直ちに上昇すること。
進入復行(missed approach)
前項と同様に航空機が着陸のため進入降下したが,気象条件が不良(たとえば雲中)のためデシジョン・ハイトで滑走路を視認できなかった場合,航空機が直ちに所定の方式により上昇して待機コースに入ったり,再度進入を行うこと。

 
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