| ● | 必要着陸滑走路長(required landing field length): 着陸距離は,航空機メーカーの実機によるテストや計算によって求められるが,実際の運航においては,飛行機の状態,滑走路面の状態,あるいはパイロットによる着陸操作がテストのときと完全に一致するとは限らないので,着陸距離で性能を表した場合は,条件の相違によっては指示された着陸距離で飛行機が完全に停止できないことも考えられる。
このため,民間輸送機では,着陸距離に安全係数を乗じた必要着陸滑走路長を用いて性能を表すようにしている。すなわち,利用できる滑走路の長さが,この必要着陸滑走路長より短い場合は,滑走路の長さと必要着陸滑走路長とが等しくなるか,それより短くなるように着陸重量を減じなければならない。
なお,民間ジェット輸送機の必要着陸滑走路長は,乾いた滑走路に対しては着陸距離の1/0.6(約1.67)倍に相当する距離と定めている。また路面がぬれていたり滑りやすい滑走路に対しては,この路長をさらに1.15倍した距離,すなわち着陸距離の1.15×1/0.6(約1.92)倍に相当する距離と定めており,実際の運航に十分な安全余裕が確保できるよう考慮されている。しかし冬季の雪氷滑走路においては非常に滑りやすく,航空機のブレーキ効果が低下するため,着陸のみならず離陸における加速停止を含め,安全運航のための重量制限や横風制限を厳しくしている。
図2-2-8 必要着陸滑走路長 |
| ● | 横風着陸(cross-wind landing): 滑走路方位以外の方向から風が吹いているときの着陸。この場合,飛行機は横風に抗して滑走路中心線の延長上を飛行しなければならない。その方法として,翼を水平にしたまま機首を風上側に向けて飛行する方法(クラブ(crab)をとるという)と,風上側にバンクをとって横すべりしながら機首を滑走路に正対させる方法(スリップ(slip)という)とがある。
通常,高い高度ではクラブをとりながら進入を続け,接地直前にスリップに移り(デ・クラブ(de-crab)という)機首を滑走路に正対させて,風上側の車輪から接地する方法をとる。安全上,横風成分の大きさには限界が定められ,日本航空では滑走路面が乾いた状態のときは25kt,路面が滑りやすくなるにしたがい制限値を小さくしている。メーカー側のテストでは,この値より大きい値を得ている(747-400で30kt)が,この値で安全に着陸できるとは限らないので,航空会社側で上記のような小さめの値を決めている。世界的に主要空港では,通常使用する滑走路のほかに横風用の滑走路を併せ設けているのがふつうで,強い横風の離着陸を行わないようにしてある。 |
| ● | タッチ・アンド・ゴー(touch-and-go): 航空機の離着陸訓練の一つで,機を滑走路に着陸させてある速度まで減速させた後,速やかにフラップを離陸形態にするとともにエンジン推力を増し,再び離陸すること。 |
| ● | 着陸復行(go-around): 航空機の着陸に際して,デシジョン・ハイトで滑走路が視認できれば,機はそのまま進入降下を続けて着陸するが,デシジョン・ハイト以下に降下した時点で,滑走路上に障害物を発見したり,または先行機と十分な間隔がないと判断されたとき,航空機が着陸をやり直すため直ちに上昇すること。 |
| ● | 進入復行(missed approach): 前項と同様に航空機が着陸のため進入降下したが,気象条件が不良(たとえば雲中)のためデシジョン・ハイトで滑走路を視認できなかった場合,航空機が直ちに所定の方式により上昇して待機コースに入ったり,再度進入を行うこと。 |