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整備
1. 整備の概要
(1)整備の目的
(2)航空機材 flight equipment
a.機体 airframe
b.原動機 power plant
c.装備品 component
(3)整備組織 maintenance organization
(4)整備士 maintenance engineer
(5)整備規程 maintenance rule
(6)予備部品 spare parts
(7)整備施設・設備 maintenance facility
2. 整備方式 maintenance system
(1)整備の概念 maintenance concept
a.ハードタイム HT:hard time
オーバーホール overhaul
b.オン・コンディション OC:on-condition
c.コンディション・モニタリング CM:condition monitoring
(2)予防整備,プリベンティブ・メンテナンス preventive maintenance
(3)信頼性管理に基づく整備
(4)信頼性管理体制,リライアビリティ・モニタリング・システム reliability monitoring system
3. 整備作業の分類
(1)作業目的による分類
a.定例作業 routine work
b.非定例作業 non-routine work
c.特別作業 project work
モディフィケーション,改修 modification
(2)整備の段階による分類
4. 機体整備 ship maintenance
(1)飛行前点検 preflight check
(2)A整備 A check
(3)B整備 B check
(4)C整備 C check
(5)D整備 D check
5. 機体構造の検査
(1)構造検査の目的
(2)構造検査の方式
(3)構造検査の方法
a.目視検査 visual inspection
b.特殊検査 special method inspection
6. 工場整備 shop maintenance
(1)エンジンの整備 engine maintenance
a.エンジン・オーバーホール engine overhaul
b.エンジン重整備 EHM:engine heavy maintenance
c.オン・コンディション on-condition
モジュール整備 modular maintenance
オン・ウイング・メンテナンス on-wing maintenance
(2)装備品の整備 component maintenance
7. 試験・検査の方法
(1)自動試験装置 ATE:automatic test equipment
(2)バイト BITE:built-in test equipment
(3)オイル分光分析検査,ソープ SOAP:spectrometric oil analysis program
(4)非破壊検査 NDI:non-destructive inspection
a.放射線透過検査 radiographic inspection
●ラジオ・アイソトープ検査 radio isotope inspection
●X線検査 X-ray inspection
b.超音波探傷検査 ultrasonic inspection
c.磁粉探傷検査 magnetic particle inspection
d.渦電流探傷検査 eddy-current inspection
e.蛍光浸透探傷検査 fluorescent penetrant inspection
(5)ボアスコープ検査 borescope inspection
(6)テレビ・スコープ TV scope
8. 部品補給
(1)部品とは
a.部品 parts
b.予備部品 spare parts
c.循環部品 rotable parts
d.非循環部品 non-rotable parts
(2)部品補給業務
(3)部品の流れ
(4)部品の管理区分
(5)予備部品在庫高
(6)部品配備
(7)プール部品
9. 機体外部の整備
(1)クリーニング
a.ナンバー1クリーニング
b.ナンバー2クリーニング
c.自動洗機装置
(2)除雪・除氷
a.除雪
●除雪作業I
●除雪作業II
●除雪作業III
b.除氷
●除氷液による除氷
●高温空気による除氷
(3)塗装
a.塗装
●プライマー primer
●トップ・コート top coat
b.塗装作業
●美観・標識のための塗装
●防食のための塗装
●その他の目的による塗装
10. 関連用語
1.整備の概要
(1) 整備の目的
 航空機材の信頼性(安全性・定時性・快適性)を維持向上させるために行う業務活動を整備という。整備作業(maintenance work)には,点検,検査,サービシング(燃料補給,給油,液体気体類の補充,クリーニング)などの,保守,修理および改修作業のほか,限定された範囲の部品製作や,航空機材の移動,固定,保存などの作業を含む。
(2) 航空機材(flight equipment)
 航空機材とは,航空機そのもの,および予備部品(材料)の総称で,「機体」と「原動機」と「装備品」に大別される。
a. 機体(airframe)
 航空機から原動機および装備品を除いた部分で,機体構造と諸系統の配線,配管類や室内装備(客室,洗面所,調理台など)から成る。
b. 原動機(power plant)
 エンジン本体のほか,エンジン交換の際にひとまとめにして取り扱われるエンジン補機類や艤装類など。
c. 装備品(component)
 諸系統(動翼,着陸,油圧,気圧,航法,通信など)に使用されている,特定の機能を持つまとまった部品。
(3) 整備組織(maintenance organization)
 直接作業を実施する現業部門(直接部門)と,現業部門での作業が良品質で効率的に実施されるようバックアップしているスタッフ部門(間接部門)とに大別される。航空会社の代表的な整備組織を図2-7-1に示す。
図2-7-1 航空会社の代表的整備組織
(4) 整備士(maintenance engineer)
 航空機の整備は,個々の整備士の知識,経験,技能の差により品質に差が生じることを防ぐため,メンテナンス・マニュアルに従って作業を行い,国家資格者(一,二,三等航空整備士,航空工場整備士)が法定確認を行うことにより品質を保証している。
エンジン整備中の整備士
コックピットを整備中
(5) 整備規程(maintenance rule)
 整備規程:航空法に基づいて,航空会社が航空機の整備作業に関し,航空機の安全性の確保と,確実,迅速な整備作業の遂行とを目的に設定した技術的規則および基準などを定めたものを整備規程という。
(6) 予備部品(spare parts)
 航空機材の整備のためには,あらゆる予備部品が必要なときにすぐ利用できるようになっていなければならない。しかし,高価な予備部品を必要量以上保有することは,莫大な資金を寝かせることになる。過不足なく絶えず適当な量の部品を保有するために,各航空会社はコンピューターを応用した損耗予測,購入,配置,保管,払い出しの一連の管理を行っている。(→部品補給
(7) 整備施設・設備(maintenance facility)
 整備のためには航空機を収容する格納庫,エンジン整備のための原動機工場やエンジン試運転場,装備品整備のための装備工場,スタッフ部門のための事務所などの各種の施設が必要である。また,各種の施設には,付属する各種の機械装置,試験装置,試験台,作業台などの設備,各種の作業用車輌,器具,工具類などの莫大な量の器材が必要となる。
ハンガーで整備中の747
2.整備方式 maintenance system
(1) 整備の概念(maintenance concept)
 最近の航空機の整備では,構成部品や装備品個々の重要性,信頼度,構造などに応じて,「ハードタイム」,「オン・コンディション」,「コンディション・モニタリング」の三つの整備方式のいずれかが,もしくはそれらが組み合わされて適用されている。
a. ハードタイム(HT:hard time)
 一定の時間を定めて,定期分解手入れをしたり,部品・装備品を交換・廃棄する方式。定期的に分解手入れ,あるいは廃棄することが有効と分かっている部品や装備品などに適用される。従来から行われているオーバーホール(overhaul)は,この方式に含まれる代表的な整備方式である。
b. オン・コンディション(OC:on-condition)
 定期的に点検,試験を行って品質を確認し,不具合な箇所があれば,部品交換,あるいは修理に適切な処置をとる方式。状態の良否を判定することが適当な,機体構造,諸系統および装備品に適用される。
c. コンディション・モニタリング(CM:condition monitoring)
 定期的な検査や手入れをせずに,発生する不具合状態に関する情報を解析・検討し,随時的確な処置をとってゆく方式。そして部品や装備品の信頼度をグループ全体として監視し,一定の品質水準を割るような場合に,適切な対策処置がとられる。故障を起こしても安全性に直接問題のない一般の部品や,装備品に適用される。この整備方式を採用するためには,「信頼性管理体制」の確立が前提として要求される。
(2) 予防整備,プリベンティブ・メンテナンス(preventive maintenance)
 航空機材の整備では,従来から,故障の発生を前提にしており,故障を予防するという考え方に立った整備の概念。特にエンジンをはじめとする多くの装備品は,調子の良否に関係なく,一定の使用限界時間に達したら機体から取り卸して分解手入れ(オーバーホール)することが定期的に実施されきた。このような,ハードタイムを中心とした予防整備には,長年の経験から次に述べるような多くの不合理のあることが分かってきた。
〈1〉 本来,使用時間と故障との相関関係のない部品が多く,さらに長時間満足に作動できるはずの部品や装備品をわざわざ多数取り卸している。
〈2〉 部品や装備品の取り卸し,取り付け,分解作業に伴う初期故障の発生の可能性をわざわざつくっている。
〈3〉 満足に作動している部品も早期に取り卸しているため,部品本来の欠点がなかなかつかめず,したがって部品の改良も進まない。
 すなわち,満足に作動している部品や装備品は,そのまま使用した方が,全体としての取り卸しが少なく経済的で,故障も少なく,部品の改良も早く行われ,結果として品質が向上するはずである。
(3) 信頼性管理に基づく整備
 定期的な分解手入れ(ハードタイム)を主体とした予防整備の概念に代わって,航空機材の品質状態をオン・コンディションもしくはコンディション・モニタリングを中心とした整備方式により常時監視し,あらかじめ設定された品質水準を割るような場合に,直ちに原因究明と対策処置がとれるような体制(信頼性管理体制)を設けて,合理的で効率的な整備を行うことを目的としたもの。この信頼性に基づく整備は,1964年頃から世界の航空会社の間で部分的に行われ,結果をみながら徐々に拡大されてきたが,1970年代に入って747やエアバスの導入を機に,全般的に適用されるようになった。なお,信頼性管理に基づく整備を可能にした要因には,
〈1〉 最近の航空機設計思想の進歩と機材品質水準の向上
〈2〉 非破壊検査を中心とした検査手法の発達とオン・コンディション方式の可能な構造の採用
〈3〉 コンピューターを応用した故障データ処理やモニタリング手法の発達
などを挙げることができる。
(4) 信頼性管理体制,リライアビリティ・モニタリング・システム(reliability monitoring system)
 航空機材の信頼性に関しての「モニタリング→解析→対策処置→モニタリング」の一連の活動を機能的に行っていく体制。モニタリングにはあらゆる故障情報が系統的に確実に収集整理され活用される。解析では問題点の原因が敏速かつ的確につきとめられる。対策処置では日常の故障対策活動に重点を置くと同時に,整備プログラムの改定,運航・整備方法の改善,改修(設計変更)による故障原因の除去などの効果的対策が採られる。この信頼性管理活動は,航空機メーカーとも密接に結合されている。(図2-7-2)。メーカーと航空会社とそれぞれの役割を果たしながら,共通の信頼性目標に向かって大きなサークルを形成し,それが回り続けることにより,さらに高い信頼性が形成される。
図2-7-2 航空機の信頼性管理の体制
3.整備作業の分類
(1) 作業目的による分類
 整備作業は,その目的別に「定例作業」と「非定例作業」と「特別作業」の三つに大別される。定例作業は航空機材の信頼性の維持を目的とした作業で,また,非定例作業は信頼性の回復を目的とした作業であり,両者を合わせて通常作業(regular work)と呼ばれている。これに対して,特別作業は主として,信頼性の向上を目的とした作業である。
a. 定例作業(routine work)
 整備要目を行うため,定期的に繰り返し実施される点検,検査,サービシングなどの作業。
b. 非定例作業(non-routine work)
 故障や不良箇所の探求,修理,調査などの作業。なお,故障の原因となっている不良箇所を探しだすことを故障探求(trouble shooting)という。
c. 特別作業(project work)
 故障原因の除去,あるいは装備の変更を目的として航空機材の原設計を変更する作業をモディフィケーション,改修(modification)と呼ぶが,この改修や一時的検査などの作業を特別作業という。
図2-7-3 整備作業の目的による分類
(2) 整備の段階による分類
 整備作業を別の角度から分類すると,航空機そのものに対する「機体整備」と,取り卸されたエンジンや装備品に対する「工場整備」とに分けられる。機体整備では,原則としてエンジンや装備品を分解したり,複雑な修理や調整をすることはせず,必要があれば良品と交換するだけである。したがって,故障などで航空機から取り卸されたエンジンや装備品は,工場整備において十分な設備と時間的余裕を持って修理される(図2-7-4)。
 機体整備にはいくつかの整備の段階,エチェロン(maintenance echelon)があり,通常,最も頻度の高い「飛行前点検」から,最も複雑で作業量の多い「D整備」まで,5段階に分けられていて,それぞれ所定の時間間隔に従って繰り返して実施される。
フラップの整備
分解整備中のADI
成田のエンジン整備工場
図2-7-4 航空機整備の段階による分類
4.機体整備(ship maintenance)
(1) 飛行前点検(preflight check)
 毎飛行ごと出発前に実施され,T整備(T check)とも呼ばれる。航空機全体の外観点検,燃料補給,出発態勢の確認などが行われる。
(2) A整備(A check)
 エンジン・オイル,作動油,酸素などの補充をしたり,発着回数や飛行時間に応じて傷みやすい動翼類,タイヤ,ブレーキ,エンジンなどを中心とした点検が,運航の合間を利用して行われる。
(3) B整備(B check)
 A整備の作業に加えて,特にエンジン関係を中心とした詳細な点検が,運航の合間に行われる。B整備を設けず,必要な作業をA整備に分散実施してしまう航空会社も多い。
(4) C整備(C check)
 運航を5〜10日間中止して行われる整備。A,B整備の内容に加え,諸系統の配管,配線,エンジン,着陸装置などについて入念な点検が実施されるほか,機体構造の検査,各部の給油,装備品の時間交換などが行われる。
(5) D整備(D check)
 3〜4週間機体をドックに入れて行われる最も重い整備。機体構造の内部検査および防錆処置,各システムの諸系統について徹底した点検,機能試験,機体の再塗装を行うほか,大規模な改修もこの時期に実施される。
表2-7-1 日航機の整備時間間隔
5.機体構造の検査
(1) 構造検査の目的
 近年の大型民間航空機は,機体構造に損傷が発生しても,その損傷が発見されるまでは機能を喪失することなく所定の荷重に耐えられるように設計されており,このような設計を損傷許容設計という。
 構造検査の目的は,機体の荷重を受け持つ構造部が,偶発的な損傷(製造ミス,整備ミス,他の物体の衝突など),環境による劣化(金属の腐食など使用される環境によって発生する劣化)および金属の疲労によって生じる構造劣化を適時に発見し,その機能を回復させることにより,損傷許容設計を保証するものである。
(2) 構造検査の方式
 機体構造は,損傷によって残存強度が大きく低下してしまう重要構造部とその他の構造部に大別される。
 重要構造部ではないその他の構造部に対しては,従来の経験および製造メーカーの意見により検査の方法および間隔を決定する。
 重要構造部のうち構造上損傷許容設計にできない部位があり,これらに対してあらかじめ使用寿命を設定して定期交換を実施する。
 損傷許容設計部材の偶発的な損傷,環境による劣化に対しては,損傷または劣化の「起こりやすさ」「影響度」「発見のしやすさ」を評価し,適切な検査の方法および間隔を決定する。これらは運航開始直後から発生する可能性があるため,就航後ただちに検査を開始しなければならない。
 損傷許容設計部材の金属の疲労に対しては,「疲労寿命の解析」「亀裂の進行に関する解析」「亀裂の長さと残存強度との関係」「発見できる亀裂の大きさ」を総合評価し,適切な検査の方法および間隔を決定する。金属疲労の場合,ある一定期間の後に発生してくることが知られているので,就航後ただちに検査を開始する必要はない。777の場合,30,000飛行回数経過後から開始する予定である。
図2-7-5 777の機体構造検査の概要
(3) 構造検査の方法
 構造検査の方法は,次のように区分される。
a. 目視検査(visual inspection)
 主として視覚を用い,必要により対象に触れ,押す,叩くなどの手段を用いるほか,手鏡,拡大鏡,双眼鏡などの常用検査器具を利用する検査。
b. 特殊検査(special method inspection)
 目視以外の特別な方法が指定された検査方法であり,X線検査,超音波探傷検査,磁粉探傷検査など特殊な器材を用いる非破壊検査である。
図2-7-6 構造検査の方法
6.工場整備(shop maintenance)
(1) エンジンの整備(engine maintenance)
 機体から取り卸したエンジンを工場に搬入して行う一連の分解整備作業で,点検,修理,改修作業が含まれる。原動機の整備には年代別に次の三つの方式がある。
a. エンジン・オーバーホール(engine overhaul)
 一定の使用時間限界内で機体から取り卸し,総分解手入れする方式。主としてピストン・エンジンに採用されている。
b. エンジン重整備(EHM:engine heavy maintenance)
 時間限界内でエンジンを機体から取り卸して行う一連の分解整備作業であるが,分解整備の時期と内容とが,エンジンの構成部品単位に設定されていて,オーバーホールのように総分解手入れは行われない。なお,重要な構成部品についてはサンプリング検査が並行して実施される。主として727,737,DC-9などの在来型ジェト・エンジンに採用されている。
c. オン・コンディション(on-condition)
 使用時間限界を設定せず,機体に装着したままの状態で外部からボアスコープ(borescope)や,ラジオ・アイソトープ(放射性同位元素)などを用いてエンジン内部を検査したり,エンジン・オイルの分析などで内部の状況を判定し,その結果によって取り卸して必要な整備をする方式。最近の747,DC-10,767やエアバス用大型ジェット・エンジン(JT9D,CF6,RB-211など)のほとんどが,この方式を採用している。
 また,これらの新型エンジンは,いずれもモジュール構造となっていて,不具合のあるモジュールのみを交換するだけで,エンジンを使用可能な状態に容易に戻すことができる。このように,モジュール単位の管理を行う整備をモジュール整備(modular maintenance)と呼んでいる。なお,機体から取り卸すことなく,機上で部分的な分解や,部品またはモジュールの交換を行うことをオン・ウイング・メンテナンス(on-wingmaintenance)という。
(2) 装備品の整備(component maintenance)
 機体から取り卸された装備品は,取り卸し理由に応じて整備要目,修理,改修などの作業により良品に戻される。装備品の整備方式には,「整備の概念」で述べたハードタイムとオン・コンディションとコンディション・モニタリングの三つの方式がある。従来は「予防整備」の考え方からハードタイム方式が主流を占めていたが,最近は「信頼性管理に基づく整備」への移行が広く行われ,コンディション・モニタリング方式が主体となっている。
7.試験・検査の方法
(1) 自動試験装置(ATE:automatic test equipment)
 デジタル・コンピューターによる制御で働く試験装置。工場における製品の良否判断から,航空機装備品の故障診断まで,広範囲に使用されている。コンピューター制御によるため,試験に要する時間が極めて短くてすむこと,試験装置を操作するために,常に人間を固定しておく必要のないことがATEの特徴。手動による試験装置(MTE:manual test equipment)と,試験に要する時間を比較すると約1/3〜1/10の速さで済む。
 ATEに適する被試験体は,被試験体の数量が多いもの,試験項目が多く試験に要する時間の長いもの,試験の結果が良と判断される場合が多いものとなっている。一例として747のオートパイロットシステムの装置をMTEでテストするには,500〜600項目を10〜14時間かけて行うが,ATEでテストすると約2時間で済む。
 最近の航空機器については,その設計段階からATEによる試験を考慮に入れており,ATEは必要不可欠なものである。
(2) バイト(BITE:build-in test equipment)
 機体に装着したまま,テスト・スイッチにより内蔵されたテスト装置を作動させ,自分自身の機能の良否を判定する装置で,最近,多くの計器類,電気装置および電子関係装備品などに組み込まれている。
 初期のバイトは,機能が正常な場合に計器の針が規定の値を指示したり,テスト・ライトを点灯させたりする簡単なものが多かった。しかし最近では,故障原因や故障内容をバイト表示装置に文字で表示させるものが増えてきている。
(3) オイル分光分析検査,ソープ(SOAP:spectrometric oil analysis program)
 エンジンの潤滑油の中に含まれている微量の金属元素を探知し,ベアリングや歯車に異常がないか検査する方法。エンジンから採取したオイルを分光分析装置により発光させ,そのときのスペクトルと光量から金属元素を定量分析する。分析の結果,あらかじめ定められた量を超えた元素がある場合には,必要に応じ,エンジンの分解検査などをする。ジェット・エンジンのように潤滑油消費量の少ないエンジンには特に有効な方法である。
(4) 非破壊検査(NDI:non-destructive inspection)
 航空機部品や構造物を破壊または分解することなしに,その欠陥や特性を検査する。代表的な方法としては次のものがある。
a. 放射線透過検査(radiographic inspection)
 検査するものに放射線(X線とか放射性同位元素から発生する線や線など)を照射し,透過させ,フィルムまたはテレビのブラウン管に映し出し,内部の状況を観察するもので,次の二つの方法が用いられている。
ラジオ・アイソトープ検査(radio isotope inspection)
 コバルト60やイリジウム192という放射性同位元素を使用し,エンジン内部の状況を調べているが,エンジンを機体に付けたままで相当の精度で検査できるため,効果は大きい。
X線検査(X-ray inspectionn):
 人体の場合と同様に,X線により胴体や翼の重要構造部を検査している。
X線による非破壊検査
b. 超音波探傷検査(ultrasonic inspection)
 人間の可聴周波数は20Hz〜20,000Hzであるが,これ以上の周波数の音波を超音波といっている。超音波探傷検査には0.1〜10MHzの超音波を被検査物に送り,その通過または反射エコーをブラウン管に表示し,内部の状況を観察する。エンジン部品あるいは翼や胴体の機体構造などの検査に広く使われている。適用方法によっては欠陥の大きさ,位置など,的確な情報が得られるので,構造物の状態を見るには効果的な検査方法といえる。
c. 磁粉探傷検査(magnetic particle inspection)
 金属材料を磁化させ,細磁粉をその上からかけ,欠陥のある場所に磁粉を集中させることによって欠陥を見つける。通常磁粉は鉄粉に蛍光塗料または着色塗料が塗布されているので識別性が高く,きわめて微細な欠陥でさえも検査できる。エンジン部品や着陸装置部品の検査に広く使われている。
d. 渦電流探傷検査(eddy-current inspection)
 電磁誘導法を利用した方法。コイルに交流を流し,これを金属の表面に近づけると,金属材料中に渦電流が流れるが,金属材料の表面に割れのような欠陥があると,渦電流の分布が変化し,コイルに流れる電流値も変化する。この電流の変化を観察し欠陥を検出する。高周波の交流を用いると金属表面の目に見えないような微細な欠陥を発見することができ,機体胴体外板のリベット孔周りの亀裂検査に使われる。交流の周波数を低くすると,渦電流は表面より深く浸透し,外板の下層部材に生じている亀裂や腐食を検査することができる。渦電流探傷検査は欠陥の検出能力が高く,検出の信頼性も高いので機体構造の検査に広く用いられる。
e. 蛍光浸透探傷検査(fluorescent penetrant inspection)
 X線検査や超音波探傷検査が内部欠陥の検査を主眼とするのに対し,蛍光浸透探傷検査は表面欠陥検査を目的とする。被検査物表面の欠陥に有機蛍光体を溶かした油性溶剤を浸透させ,これを紫外線(約3,600A°)で発光させることよって欠陥を検出する方法。被検査物の表面開口欠陥部に浸透液をしみ込ませ,いったん表面の浸透液を除去し,次に欠陥部にしみ込んだ浸透液を表面に吸い上げて紫外線を当て,発光させて検査する。
蛍光浸透探傷検査
(5) ボアスコープ検査(borescope inspection)
 分解しないと見えない部分を外から容易に観察しようとする検査方法の一つで,ボアスコープという光学器具を使う。主にジェット・エンジンのコンプレッサー部やタービン部の部品の異常を監視するのに用いられる(燃焼室用のものはチャンバースコープという)。人間の場合の胃カメラと似ていて,照明灯とレンズを組み合わせた端部をエンジンの特定部に挿入し,その映像を接眼レンズで観察する。747のエンジン(JT-9D)には,重要部20カ所にボアスコープ検査のための「のぞき穴」が設けられている。
ボアスコープ(内視鏡)
(6) テレビ・スコープ(TV scope)
 テレビとボアスコープとを組み合わせて,その映像をテレビの画面で観察できるようにした装置。複数の検査員が楽な姿勢で異常や欠陥の観察,検討,および判定を行うことができる。
 日本航空ではこの装置全体を搭載した専用検査車を利用している。これによればすべての操作が検査車内で可能なため,機動性に優れ,また昼夜の別や天候に左右されることなく検査が実施できる。
8.部品補給
(1) 部品とは
a. 部品(parts)
 航空機の一部分を形成するもので,単独に取り外しできるもの。大はエンジンから単純なボルトやピンに至るまで,総括的にこの名で呼ばれている。
b. 予備部品(spare parts)
 通常の航空機整備では,故障した部品を良品の部品と交換するだけである。したがって,航空機の整備作業が支障なく,かつ限られた時間内に行われるためには,航空機に装着されている部品のほかに,多数の予備の部品が必要で,これらを予備部品という。予備部品はさらに循環部品と非循環部品の二つに大別される。
c. 循環部品(rotable parts)
 故障した場合に反復修理が可能で,修理を繰り返すことにより何回でも使用可能とし得る部品を循環部品という。これは機体またはエンジンに対して循環(rotate)するためである。循環部品は経理上の固定資産として扱われ,償却の対象になる。
d. 非循環部品(non-rotable parts)
 故障や損傷した場合,原則として修理をしない部品を非循環部品という。非循環部品は経理上の流動資産として扱われる。このうちで,特に取り卸しと同時に廃却処理される部品を消耗部品(expendable parts)という。
(2) 部品補給業務
 整備作業に必要な予備部品を,必要なときに必要な量だけ整備員に提供することが部品補給業務の目的である。
 特に航空機部品は,特殊性が強く,需要が少ないうえに,高度の製作技術が要求される(政府機関の耐空性証明が必要となる)ため,また注文生産的なものが多く,一般の自動車用部品などに比して極めて高価である。したがって過不足なく絶えず適正な量の部品を保有するために,各航空会社はコンピューターを応用した需要予測,購入,配置,保管,払い出しなどの一連の部品補給管理を行っている。
(3) 部品の流れ
 部品補給業務の各機能と,部品の流れとの関係は次のようになる。
購入:補給計画→購入要求→注文
受入:輸送→通関→検収
ストアー業務:保管→払い出し→要修理部品受入→(修理/工場)→修理完了品受入→保管
不要品処理:廃棄(検査不合格品)または棚上げ→売却
(4) 部品の管理区分
 日本航空では,予備部品をその重要性や購入価格により,A,B,C,Dx,Dの5クラスに格付けしている(表2-7-2)。
 すべての部品にはメーカーの付けた部品番号(parts number)があるが,多種,多量,多額の予備部品の購入,保管,受け払いをより円滑に行うために,保有するすべての部品の品目ごとに表示される番号体系として,クラス別(前記のA,B,C,Dx,Dの5クラス)とストック・ナンバー(stock number:3桁で部品の使用場所と使用機種を示したもの)とを併用することで大まかな階層分けをし,さらにインベントリー・ナンバー(inventory number:5桁の一連番号)で区分している。
表2-7-2 予備部品のクラス別区分
(5) 予備部品在庫高
 日本航空における予備部品の在庫高(1996年3月31日現在)は,表2-7-3のように約20万品目,1,124万個,1,529億円にも達する。
表2-7-3 予備部品の在庫高
(6) 部品配備
 整備作業が行われる場所では,ほとんどの場合に部品を必要とするため,必要な部品の品目,使用数量,使用時期,使用場所を可能な限り予測し,あらかじめ配備をしておかねばならない。
 日本航空では,羽田と成田の両整備基地にある各工場のストアと,国内・海外の空港支店に部品を配備している。特に国内・海外空港支店の配備計画は,主基地に対するよりはるかに複雑で,路線便数,投入機種,整備能力,支店の格付け,運用許容基準,故障取り卸し率,プール部品の可否などを考慮して設定されている。
(7) プール部品
 プール部品(pool parts)とは国際定期航空会社が他の航空会社と締結した協定に従い,提供あるいは利用しあうようにした部品をいう。同一空港で,同機種で運航している航空会社が2社以上ある場合,そのうちの1社が代表して部品を用意し,他社がそれを共有しあうことで無駄な投資が避けられる。
 部品の提供会社をプロバイダー(provider),利用会社をユーザー(user)と呼び,ユーザーはプロバイダーに対し部品の使用のいかんにかかわらず,定められた額の分担金を支払うことになっている。日本航空の場合,成田の主基地ではプロバイダーとして乗り入れ航空会社にプール部品を提供し,海外空港支店ではユーザーとしてプール部品の恩恵を受けている。
9.機体外部の整備
(1) クリーニング
 航空機外部の美観を維持するとともに,腐食を防止する目的で,汚損を定期的に除去する作業がクリーニングである。
 日本航空では,15日に1回(国内線は10日に1回)のナンバー1クリーニングと,45日に1回のナンバー2クリーニングとがある。
a. ナンバー1クリーニング
 航空機外面のうち,運航により汚損しやすい部分が対象で,汚損を比較的新しいうちに除去するクリーニングである。
 準備作業として,まず機体の指定された開口部(主としてエンジンの前後および周囲の開口部)に洗剤および汚水の侵入を防止するための栓や目張りをする。
 洗剤には通常,マイクリーンなどの水溶液が,また特にひどい汚損部分には万能クリーナーが用いられる。
 作業はまず,スプレー装置を用いて汚損部分に洗剤をスプレーする(必要に応じてモップやブラシでこする)。スプレー後2〜3分間放置して汚れを浮かす。次に高圧水(通常のホース)で汚れと洗剤とを洗い流す。
 このスプレー装置は,水と洗剤とを搭載した小型のタンクで,内臓のポンプで加圧した洗剤をホース先端のノズルからスプレーさせる。最近では,クリーニング作業の機動性の向上と効率化のため,スプレー装置をそのままトラックに組み込んだ専用のスプレー車も用いられている。
 スプレー装置を用いずに,モップやブラシに洗剤を付け,汚損部分をよくこすって除去し,次にきれいなモップに水をつけ汚損と洗剤とをぬぐい取る方法もある。
b. ナンバー2クリーニング
 機体外面全体および着陸装置を対象に,所定の洗機場で洗剤と水とを多量に用いて行うクリーニング作業である。
 なお,準備作業,洗剤および作業方法については,ナンバー1クリーニングのスプレー装置を使用した場合と同様である。
c. 自動洗機装置
 日本航空と川崎重工業が共同で,コンピューター制御航空機自動洗機装置を研究開発した結果,その最初の装置が完成。新東京国際空港に設置され,1988年6月から稼動している。
洗機中の747
(2) 除雪・除氷
 地上に停留中またはタキシング中の航空機に積雪または着氷が生じると,空力特性上から離陸が危険になるので,出発前の除雪・除氷作業が必要になる。
a. 除雪
 除雪方法は,外気温度および雪質によって異なり,日本航空では次の3種類の方法が用いられている。
除雪作業I
 高圧空気を導管から吹き出させて雪を吹き飛ばす(pneumatic blow-out),または雪カキや竹ボウキなどを使用して人力で雪を機体外面から除去する。
除雪作業II
 除氷液(エチレングリコールなどを水で薄めたもの)を機体外面に散布して,雪を溶かして除雪する。除氷液の散布には除氷車が用いられる。除氷車は前述のスプレー装置もしくはスプレー車と同様の小型タンク車で,除氷剤と水とを搭載しており,内蔵のヒーターで加熱した除氷液(もしくはお湯)を,ポンプで加圧してホース先端のスプレー・ノズルから噴出させる。
除雪作業III
 多量のお湯(60〜90℃)を除氷車で機体外面に散布して雪を洗い流す。
表2-7-4 除雪作業
b. 除氷
 除氷には,除氷液による方法と高温空気を用いる方法とがある。
除氷液による除氷
 除雪作業IIの場合と同様に,除氷液を機体の着氷部に散布して氷を溶かす。
高温空気による除氷
 気圧系統もしくは温風器からの高温空気を,導管で着氷部に吹き付けて氷を溶かす。
(3) 塗装
 航空機外部構造の保護(腐食防止)と美観,標識などのため,機体外面に各種の塗装が施されている。
a. 塗料
 塗料には下塗り塗料(プライマー)と上塗り塗装(トップ・コート)とがある。
プライマー(primer)
 プライマーには金属に対する付着性の優れた,ウォッシュ・プライマー,エポキシ・プライマー,ポリウレタン・プライマー,あるいはこれらの組み合わせが用いられる。
トップ・コート(top coat)
 トップ・コートとしては,各種塗料の中でも塗膜が強靭で,光沢がよく,耐候性に優れた,ポリウレタン樹脂塗料が最近の主流となっている。
b. 塗装作業
 塗装作業は塗膜の付着性をよくするため,まず塗装個所を完全に洗浄することから始められ,下地処理,プライマー,トップ・コートの順に進められる。以下に日本航空の747の場合について述べる。
美観・標識のための塗装
 胴体上半面垂直尾翼には,ナイロン・パットによるサンディング(下地処理)後,ウォッシュ・プライマー,ポリウレタン・プライマー,ポリウレタン・トップ・コートの順に塗布される。
防食のための塗装
 胴体下半面と主翼の前後縁部には,アロジン処理(下地処理)後,エポキシ・プライマー,ポリウレタン・トップ・コートの順に塗布される。また主翼の上下面と水平尾翼の塗装では,トップ・コートとして,ポリウレタンの代わりに,アルミ粉末を混合したビニール樹脂(通称コロガード)が塗布される。
その他の目的による塗装
 航空機の特殊性により,レドームのエロージョン防止塗装(ポリウレタン系),部品同士が擦れ合う部分の耐アブレーション塗装(ポリウレタン系),胴体フェアリング部の帯電防止塗装(ポリウレタン系)整備員の作業安全のための滑り止め塗装(ビニル系),エンジン関係の耐熱塗装(シリコン系),脚関係の耐作動油塗装(エポキシ系)など,各種の特殊塗装が施されている。
10.関連用語
エヌ・エッチ・エフ(NHF:normally hidden function)
 日常の運航では使用されないか,また使用されていても不良であることが,発見されにくい機能で,以下のようなもの。非常機能,保護機能,代替機能,警報機能など,システムとして持つ場合とユニットが持つ場合がある。
オーバーホール時間間隔(TBO:time between overhauls)
 オーバーホールの間で許される最大使用時間。前回のオーバーホールからの使用時間の累計をTSO(time since overhaul)という。
改造(alteration)
 航空機や部品についてその形式の基となる原設計を変更すること。この改造と同じ意味で改修(modification)という言葉が使われるが,不良箇所を元の状態に戻す修理(repair)とは区別されている。
格納庫(hangar)
 航空機を整備するため収容する建物。日本航空が成田新国際空港に建設した整備用ハンガーは,間口が190m,奥行き90m,高さ45mで,付属棟を合わせると40,000m2を超す。747機が2機,DC-8機が1機の計3機を収容できる。
規格(specification)
 航空機および部品,材料などの品質を保持するために設けられた規格としては,日本の場合JIS-W-0000(4実数字)で定められているが,航空機以外のものと共通のものもあり,JIS-W以外の規定によるものも多い。アメリカでは,MIL spec(米陸軍規格),AN standard(米空海軍標準),NAS standard,SAE(society of automotive engineers)aeronautical standardがある。
機能不全(malfunction)
 システム・コンポーネントまたは部品が規定の機能を失うこと。航空機では,故障が起こってもそれが直ちに飛行の安全性に影響を与えることのないよう,エンジン,油圧系統,航法装置の多重装備,電源((1)エンジン駆動発電機,(2)ラム・エアータービン,(3)バッテリー)などの代替機能,計器において故障となったことを自動的に検出し,そのシステムを使用しないよう警告するセルフ・チェック機能などを持たせている
キャリー・オーバー,修理持ち越し(carry-over)
 不具合状態の修理を,やむを得ず他の整備基地や以後の整備の段階に持ち越すこと。この場合は,所定の検査従事者が耐空性に著しい影響をおよぼさないことを確認して,処理区分,方法,時期,および必要な暫定処置を,所定の用紙に記載しておかなければならない。
故障通報システム(MRS:malfunction reporting system,SMI:specific maintenance instructions)
 地上滞留時間を縮め,定時運航を守るために,故障をできるだけ早く知り,航空機が到着する以前に修理の準備手配をしておくことが望ましい。747ではこの目的で,機上と地上に,トラブルごとに集録したコード・ブック(MRSマニュアル)を置き,飛行中の機上の不具合をコード化し,VHFまたはHFを使用して地上に通報する。地上では,通報を受けたコードをMRSマニュアルと対照し,故障状況の把握,必要部品の手配,修理準備を行う。DC-10でもこのMRSと同様のフェッフィー(FEFI:flight environment fault indication)/タフィ(TAFI:turn-around fault isolation)と呼ばれるシステムが用いられている。
試運転(run-up)
 エンジンを運転して,エンジンの性能またはエンジンに関連する系統の機能や状態を点検すること。
新東京国際空港のランナップ用ノイズ・サプレッサー
スクォーク(squawk)
 航空機またはその部品になんらかの不具合や故障が生じた場合,なんらかの処置を要求するために,所定の様式に記載された不良状態をいう。運航中に発生した異常をflight squawk,地上で発生した異常をground squawkという。
早期取り卸し率(URR:unscheduled removal rate)
 スケジュール(定期点検,オーバーホール)以外の理由,つまり故障で取り卸された件数の発生率。作動時間(1,000飛行時間)当たりの故障取り卸し件数で示す。これはMTBF(平均故障時間間隔)の逆数である。たとえば,あるエンジンの早期取り卸し率をいま0.33とすると,MTBF=1000/0.33≒3000時間ということになる。早期取り卸し率の低いほど,信頼性の高い装置であるといえる。PRR:premature removal rateともいう。
地上電源車(GPU:ground power unit)
 地上にある航空機に,外部から電力を供給するための交流発電機を積んだ車。外部電力(external power)とも呼ばれている。電源車1台の容量は,大型機用としては60〜90kVA程度,超大型機では電源車2台を同時に接続することもできる。
超音波洗浄(ultrasonic cleaning process)
 音波を液体中に発生させると,圧力の波(疎密波)として液体中を伝わる。超音波洗浄はこの音波の正負の圧力を利用して,洗浄物に付着している油やヨゴレを除去する方法である。使用される周波数は約20〜50kHzまで,人間の聴覚に感じない高い超音波帯域である。内部洗浄や,ミニチュア・ベアリングのような極微小部品で,直接ブラシがかけられないものの洗浄に適している。
チョーク(chock)
 木製または金属製のブロックやトラス構造でできた車輪止め。
トーイング,牽引(towing)
 牽引車(towing car)で飛行機を他の場所へ移動させること。飛行機の前輪にtowing barを付けて牽引する。
飛行中エンジン停止率(IFSDR:in-flight engine shutdown rate)
 飛行中エンジンが不具合のため停止したり,もしくはエンジンを停止せざるを得なかった不具合が発生した場合の,総エンジン使用時間に対する発生率。ふつう,1,000エンジン使用時間当たりの発生回数で表される。このIFSDRは,エンジンの信頼性を示す重要な指標の一つとして利用されている。
ビルド・アップ,艤装(build-up)
 本体に付属品を装着すること。エンジン関係では,本体に配管・配線と補機類を装着し,機体に取り付ける直前の姿まで仕上げること。機体関係では,胴体骨格に配管・配線・壁材・窓取り付けから内部仕上げまでを含む。
平均故障時間間隔(MTBF:mean time between failures)
 故障と故障の間の平均作動時間で,通常MTBF2,000時間というように表す。MTBFの逆数(1/MTBF)を故障率といい,単位時間当たりの故障件数を示す。MTBFが長ければ長いほど,その機器は信頼性が高いといえる。また長期的に見て,MTBFが長くなっていく(故障率が小さくなる)場合は,そのオーバーホール,定期点検時間はもっと延長できる。


 
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