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上昇 climbing
(1)上昇率 rate of climb
(2)上昇勾配 climb gradient
(3)上昇限度 ceiling
(4)上昇速度 climbing speed
(5)最良上昇率速度 best rate-of-climb speed
(6)定常上昇 normal climb
a.必要推力 required thrust
b.利用推力 available thrust
c.最大上昇推力 MCL:maximum climb thrust
d.メト・パワー METO:maximum except take-off power

 航空機が高度を増しながら飛行すること。離陸を終わった段階から巡航を開始するまでの間,巡航中に高度を変えるとき,および,進入復行などがこれに相当する。高度を増すには,経路角(水平面と飛行経路とがなす角度)を正にすればよいから,昇降舵を操作するとともに,スラスト・レバー(スロットル・レバー)を進めてエンジン推力(出力)を大きくする。このときのエンジン推力は,最大上昇推力(MCL)または上昇推力を用いるが,ピストンエンジン機ではメト・パワー(METO)までの出力を用いる。
 上昇には,
〈1〉上昇率が最大になるよう上昇する方式(最良上昇率速度を用いる)
〈2〉上昇勾配が最大になるよう上昇する方式(最大上昇勾配速度を用いる)
〈3〉定常上昇方式(一定指示対気速度が用いられる)
などがあり,それぞれ上昇速度(飛行経路に沿う速度)が異なっているので,そのときの要求に応じて上昇方式を使い分ける。
上昇する747-400

(1)上昇率(rate of climb)
 上昇の度合い。すなわち単位時間内に獲得できる高度をいい,1分間に得られる高度,つまり,ft/minまたはm/minで表される。
(2)上昇勾配(climb gradient)
 上昇角(climb angle)ともいう。上昇の飛行経路と水平面とのなす角度で,水平距離に対して獲得する高度の割合。つまり上昇角の正切を用い,%で表される。上昇勾配は飛行機の姿勢とは一致しない。
(3)上昇限度(ceiling)
 航空機が自分の持つ能力で到達し得る高度の限界で,上昇率を基準として決定される。すなわち,上昇率は利用推力と必要推力の差(余裕推力―ピストン機の場合は利用馬力と必要馬力の差である余裕馬力)によって決まるが,余裕推力は高度の増加とともにエンジン推力(出力)が低下するため小さくなってくるので,上昇率もそれにつれて低下してきて,ついには上昇率がゼロとなり,それ以上の高度には上昇できなくなる。この高度を絶対上昇限度(absolute ceiling)という。
 しかし,この絶対上昇限度は,まったく理論値で,実際にこの高度に到達するには,無限の時間がかかる。そこで上昇率が30m/min(100ft/min)になる高度を実用上昇限度(service ceiling)として使用する。ただし,この高度に到達するにも実際にはかなりの時間を要するので,民間機では別に運用高度限界(上昇率が300ft/min)が設定されている。
(4)上昇速度(climbing speed)
 上昇飛行中の飛行機の上昇経路に沿った飛行速度で,上昇中に進出距離に対して高度をとりたい(上昇勾配)か,あるいは単位時間内に高度をとりたい(上昇率)かで上昇速度が異なる。上昇時には,エンジン推力を最大上昇または最大連続推力にセットし,上昇方式に対して決められた速度が得られるように,飛行機の姿勢を調節しながら上昇を続ける。なお上昇速度は上記の上昇勾配を最大にする速度と,上昇率を最大にする速度のほか,通常上昇速度として航路全体を通じての総合的な性能(経済性と所要時間)を重視した上昇速度を用いる場合もある。
(5)最良上昇率速度(best rate-of-climb speed)
 上昇率を最大にする上昇速度のこと。上昇率は余裕推力と飛行速度との積(余裕馬力)の大きさによって変化し,余裕馬力が大きいほど上昇率は増加する。余裕馬力は,余裕推力と同様,飛行速度によって変化するが,ある飛行速度で余裕馬力は最大になり,このときに最大の上昇率が得られる。この速度は最良上昇率速度と呼ばれ,短い時間のうちに最も高度を得たい場合に用いられる。
 ジェット機では,ある高度までは飛行高度を高くするほど燃料消費量が減少して,経済上有利となるので,特定の路線の運航において,短い時間内に巡航高度に達し,区間飛行時間に占める上昇時間の割合が小さい,つまり上昇率の優れた飛行機ほど経済性が高いということになる。こうした理由から,上昇率は使用者にとって重要な性能の一つである。ジェット機においては,最良上昇率速度は最大上昇角(勾配)速度より若干速いので,定常上昇速度を決定する基準となっている。
 なお,最大上昇率が得られる上昇速度は,高度が高くなるにつれて低下してくるので,一つの指示対気速度で代表させることはできない。したがって民間航空では便宜上,海面高度と特定の高度における最大上昇率速度の平均値を使って,最良上昇率速度(または最良上昇速度)と呼んでいる。
(6)定常上昇(normal climb)
 輸送機が離陸の最終段階を終えて計画された巡航高度に上昇する場合の方式で,ジェット機の場合は,上昇推力により所定の速度に加速して指示対気速度(IAS)一定の定常上昇にはいる。この場合IAS一定で上昇を続けると,高度とともにマッハ数が増加するので,ある高度で所定のマッハ数に達した以後そのマッハ数一定で上昇を続ける。
 上昇速度は運航路線や運航方式に応じて,前記の最大上昇角(勾配)速度,または最良上昇率速度のいずれかが選択される。また,国内線のような短距離路線で,比較的低い高度の運航では,経済的観点から最良上昇率速度よりさらに高速域を常用上昇速度として用いる場合がある。
a.必要推力(required thrust):
飛行機が水平定常飛行するときに要する推力で,そのときの機体の抗力に等しい。つまり,飛行機が水平定常飛行するためには,P.53の図1-2-5のように,機体重量Wに等しい揚力Lを主翼によって発生させて上下方向の力を釣り合わせるとともに,主翼,胴体,尾翼などによって生じる抗力Dに等しい推力Tをエンジンによって発生させ,前後方向の力を釣り合わせてやらなければならない。この推力Tが,必要推力TreqまたはTrで表される。必要推力(抗力Dに等しい)は速度によって変化するが,その傾向を図2-2-4に示す。
図2-2-3 ピストン機の上昇速度(最大上昇率)
図2-2-4 ジェット機の上昇速度(最大上昇率)
b.利用推力(available thrust):
ジェットエンジンが実際に発生する推力のことで,TavまたはTaで示される。この推力はパワーレバーを動かしてエンジンの回転数または圧力比を変えることによって増減できるが,飛行速度が変わっても増減するので,操縦士はその飛行状態に適した推力が得られるようパワーレバーを調整する。
 たとえば,水平飛行において,必要推力をTreqとして,Tav=Treqとなるようにエンジン推力を調整すれば,前後方向の力が釣り合うので,速度の変化がない,いわゆる水平定常飛行となり,Tav>Treqとなるようにエンジン推力を調整すれば,機体は加速または上昇する。
c.最大上昇推力(MCL:maximum climb thrust):
通常の上昇時に使用できる最大の推力。使用時間の制限はない。一般に最大連続推力よりも小さいが,エンジンの信頼性が高い場合は,最大連続推力と同じ場合がある。
d.メト・パワー(METO:maximum except take-off power):
離陸最大出力以外の最大許容出力のこと。ピストンエンジンにのみ用いられる定格出力のひとつで,ジェットエンジンの最大連続推力に相当する。
上昇を続ける767

 
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