| a. | 必要推力(required thrust): 飛行機が水平定常飛行するときに要する推力で,そのときの機体の抗力に等しい。つまり,飛行機が水平定常飛行するためには,P.53の図1-2-5のように,機体重量Wに等しい揚力Lを主翼によって発生させて上下方向の力を釣り合わせるとともに,主翼,胴体,尾翼などによって生じる抗力Dに等しい推力Tをエンジンによって発生させ,前後方向の力を釣り合わせてやらなければならない。この推力Tが,必要推力TreqまたはTrで表される。必要推力(抗力Dに等しい)は速度によって変化するが,その傾向を図2-2-4に示す。
図2-2-3 ピストン機の上昇速度(最大上昇率)
図2-2-4 ジェット機の上昇速度(最大上昇率) |
| b. | 利用推力(available thrust): ジェットエンジンが実際に発生する推力のことで,TavまたはTaで示される。この推力はパワーレバーを動かしてエンジンの回転数または圧力比を変えることによって増減できるが,飛行速度が変わっても増減するので,操縦士はその飛行状態に適した推力が得られるようパワーレバーを調整する。
たとえば,水平飛行において,必要推力をTreqとして,Tav=Treqとなるようにエンジン推力を調整すれば,前後方向の力が釣り合うので,速度の変化がない,いわゆる水平定常飛行となり,Tav>Treqとなるようにエンジン推力を調整すれば,機体は加速または上昇する。 |
| c. | 最大上昇推力(MCL:maximum climb thrust): 通常の上昇時に使用できる最大の推力。使用時間の制限はない。一般に最大連続推力よりも小さいが,エンジンの信頼性が高い場合は,最大連続推力と同じ場合がある。 |
| d. | メト・パワー(METO:maximum except take-off power): 離陸最大出力以外の最大許容出力のこと。ピストンエンジンにのみ用いられる定格出力のひとつで,ジェットエンジンの最大連続推力に相当する。
上昇を続ける767 |