世界的に生物多様性の損失に歯止めがかからない中、2010年10月に名古屋で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」では、
困難な交渉を乗り越えて、多くの成果があげられました。
その一つである「愛知ターゲット」は、2050年までに「自然と共生する世界」を実現するというビジョンの下、2020年までに達成すべき20の個別の目標を掲げ
ています。国連総会は、この「愛知ターゲット」達成に貢献するために国際社会が協力して取り組んでいくことを目指し、2011年から2020年までの10年間を
「国連生物多様性の10年」と宣言。政府や専門家だけでなく、企業や個人も、生物多様性保全のために取り組むことが求められる10年です。
2010年5月、JALグループは「エコ・ファースト企業」の認定を受け、それを契機として、環境保全や生物多様性の大切さを社会に伝えるため、さまざまな活動を進めてまいりました。
そして、2011年。大空に美しく舞う「鶴」の姿をモチーフとした「鶴丸」ロゴマーク刷新を機に、「エコファースト企業」の活動の一つとして、「国連生物多様性の10年」の取り組みへの協力や、日本の美しい自然を守り、その大切さを伝える活動の推進についてお約束いたしました。
COP10の成功と共に、国連生物多様性年(2010年)は終わりましたが、生物多様性保全は地球温暖化防止と同様に地球的課題のひとつ。息の長い活動と捉え、2011年からの「国際生物多様性の10年」に協力し、さまざまな活動を通じて貢献してまいります。
航空会社としてJALは、「国連生物多様性の10年」にどんな形で貢献することができるでしょうか?
これまでの取り組みを通じて、私たちは、文化の多様性を生み出す豊かな生物多様性は、旅の魅力を高める源の一つであることを実感しています。
だからこそ、私たちJALグループは、旅を通じて豊かな生物多様性、文化の多様性を守ることに貢献できるのではないかと考えています。
JALグループは、これからも、生物多様性の大切さを社会に広くお伝えしていくと同時に、さまざまな地域の魅力や旅の情報を多くの方々に発信し、旅のお手伝いをすることを通じて、生物多様性保全に航空会社ならではの貢献をしてまいります。
今年3月11日に起こった東日本大震災。世界中の人々が、自然の猛威の前で私たち人間がいかに無力かということを改めて感じたあの日。
多くの方が犠牲になり、多くの方の穏やかな生活が奪われました。そして、同時に、漁業や農業などの生活の基盤である自然も破壊され、
地上や海に暮らす多くの生きものも多大な影響を受けました。
震災から3ヶ月。今、たくさんの苦しみと悲しみの中で、被災された方々はそれでも自然を受け入れ、人と人、人と自然との繋がりのもとに、
その地で新たな生活を築こうと、力を振り絞って歩み始めています。共に生きていくこの絆が、明日への大きな力となるよう、願ってやみません。
私たちは、復興への願いと共に、いのちの繋がり、自然との共生の大切さをお伝えしてまいります。
(2011年6月)
東日本大震災で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。