BATON PASS バトンタッチ

BATON PASSEPISODE 03

食物アレルギー対応ツアーが
実現するまで

 

JALグループ では、すべてのお客さまに安心してご旅行いただけるよう、さまざまな場面でのバリアフリーを目指し、アクセシビリティを向上するための取り組みを進めています。

その一環として、食物アレルギーをお持ちのお子さまと、そのご家族にも安心して旅行を楽しんでいただきたいと、医師と「食物アレルギーの子を持つ親の会」のサポートをいただきながら、イオングループ各社との協業など複数の企業と連携し、2010年より食物アレルギー対応のツアーを展開・実施しています。

卵、乳、小麦といった食物アレルギーのある方が増えているといわれる昨今、レストランなどではアレルギー表示が義務付けられておらず、アレルギーのある方は旅行や外食の機会が限られています。

「どんなお客さまにも、安心して気兼ねなく食事をし、旅行する楽しみを知ってほしい。」
そう考えたJALスタッフの想いが、どのように食物アレルギー対応のツアーの企画・実施に結びついたのか、JALグループのバトンタッチのエピソードをご紹介いたします。

 

SCENE 01

発端、企画・提案

「すべてのお客さまに、
安心してご旅行を楽しんでいただきたい」
という想い

PHOTOGRAPHY BY TOMOYUKI SUGAI

THE BEGINNING, PLANNING & PROPOSAL
発端、企画・提案

発端

このツアーの実施のきっかけとなったのは、食物アレルギーの子供を持つ社員の声でした。
お子さまからの「お父さんは飛行機のお仕事をしているのに、どうして僕は飛行機に乗れないの?」という問いかけに悲しい思いをしたと聞き、同じような方々の力になりたいという想いが沸いたのです。JALグループには飛行機もホテルも旅行会社もある、専用ツアーの実現が出来るのではないかと。
しかし、当時は食物アレルギーに関する十分な専門知識もなく、アレルゲンフリーの食事提供や機内の特別清掃など、クリアすべきさまざまなハードルがあり、実現に至るまでに2年を要しました。

企画・提案の根幹にあるもの

食物アレルギーを持つお客さまにも、安全に快適に空の旅を楽しんでいただきたいという想いから始まったツアーですが、受け入れホテルに正しい知識をつけていただくことも目的の一つです。
食物アレルギーに関する正しい知識が広がることにより、適切な対応ができるホテルが全国に増え、本ツアーに限らず、食物アレルギーのお客さまがストレスを感じずに、さまざまな場所へ旅行できる。そんな未来を創ることが私たちの最終的な目標です。

SCENE 02

実施に向けて

安全で楽しいご旅行のために、
万全を期すこと

PHOTOGRAPHY BY TOMOYUKI SUGAI

PREPARATIONS TOWARDS EXECUTION
実施に向けての事前準備

食材確認、
メニュー構成

食事は最も気を使う部分です。症状を引き起こす頻度の高い食材は使用しないメニュー作りと、原材料の徹底した調査を行います。
専門的知識が必要なため、外部機関との連携やツアーに対するアドバイスをいただききます。

事前試食会

旅行の大きな楽しみの一つに食事があります。食物アレルギーをお持ちのお子様やそのご家族に安心しておいしく召し上がっていただくための準備の一環として、事前に試食会を行います。
地域の食文化を大切にしたアレルギー対応食なので、独特な食材もあります。試食会では参加者のアレルゲンも考慮しながら、料理長と打ち合わせを行います。さらに厨房や調理器具、食器も確認して、より安全でおいしい食事を目指しています。

提携先との連携

同じ想いにご賛同いただいたイオン(株)からは、トップバリュ「やさしごはん」といった特定原材料7品目を使用していない食材提供を受けています。
本格的なホテルの食事をお楽しみいただくため、食材の利用方法についての細かいアドバイスなど、さまざまなサポートをいただいています。

医療機関との
連携確認

万が一アレルギー症状が発生したときに備え、事前に万全の体制を整えています。
アレルギー指導医に同行いただき、迅速な初期対応ができるようにしているほか、現地の救命救急医療機関と連携して、搬送の手段と所要時間を確認します。
ドクターヘリの要請が必要な場合に備えて、速やかな搬送に向けた運用体制を確認し、連絡体制を整えます。

ホテル厨房清掃指導・
立会い

ツアー当日に使用する厨房にアレルゲンが残留しないようにするには、徹底的な清掃が必要です。各種清掃については、専門的な知識をお持ちのイオングループの(株)生活品質科学研究所にご指導いただきながら実施しています。
まずは通常営業時の厨房にどれほどのアレルゲンが付着しているかを検査し、現状を把握します。
その後、アレルゲン除去用の専門的な清掃方法の指導を行い、ツアー実施までに現地に何度も足を運んで、清掃状況を確認します。また、厨房内のみならず、利用する食器類や調理器具の清掃も事前に行います。
ツアー当日は料理の配膳動線も専用に確保するなど、徹底的にアレルゲンの混入を防いでいます。

搭乗便選定

ツアー行程に合わせ、利用する便を決定します。空港から遠くにお住まいの方や小さなお子さまも参加されるため、復路の到着時間をあまり遅く設定しないなどの工夫をしています。

特別機内清掃の確認

アレルギーの症状とカテゴリーに応じて、事前に作業範囲や清掃作業内容の相互確認を行います。

参加者リストの確認

参加者によりアレルゲンが異なるため、出発前に原材料を確認していただけるように、メニューと全原材料表を作成してお送りします。

SCENE 03

ツアー当日、お客さまの声、今後へ向けて

より多くの、さまざまなお客さまに
旅の楽しさを知っていただけるように

PHOTOGRAPHY BY TOMOYUKI SUGAI

THE DAY OF THE TOUR, VOICES
FROM CUSTOMERS & OUTPUT TO FUTURE
ツアー当日、お客さまの声、今後へ向けて

特別機内清掃

座席下の水拭きや床面、座席前収納の細かな隙間の掃除機かけなど、目に見えないところまで丁寧に清掃作業を行います。

機内対応

お客さまの声、ホテルからの声

参加されたお客さまからは「何を食べても大丈夫という安心感があるので、ゆったり旅行が楽しめる」「魔法みたい!こんな日が毎日続けばいいのに!」という、うれしい声をいただきました。
また、協力いただいたホテルからも「今回のツアーを通じ、正しい知識を理解して清掃とアレルゲン検査を重ねれば、安心してお食事をご提供できることがわかり、今後の糧になりました」との言葉をいただき、想いの広がりを感じました。

常設ツアーの造成・販売

ツアー実施にあたり、予約部門、手配部門スタッフ向けの勉強会を開催し、ツアーに組み込んだホテルやレンタカー会社でのアレルギー対応状況などお客さまからの問い合わせに的確に答えられるよう知識レベルの向上に努めました。
難しいツアーに挑戦したため「本当にお客さまにご迷惑をかけないか、発症しないか」という不安もありましたが、さまざまな場面で係わる方々の協力により、今では常設の食物アレルギー対応ツアーの造成・販売につなげることが出来ました。
食物アレルギーを抱えるお子さま、ご家族のみなさまに、多くの笑顔をお届けできればと思います。

今後へ向けて

これらの取り組みが、バリアフリー・アクセシビリティー向上の取り組みとして評価され、国土交通省より「国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰」をいただきました。
さまざまな事情により、気軽に旅行を楽しめない方々の助けになりたい。その想いを胸に、私たちはこれからも挑戦を続けます。

Next Baton

その想いを、
バトンをつなぐ新たな力に

採用情報

JALグループ社員たちによるバトンタッチ。
それは一人一人のお客さまにご搭乗いただくまで、営業・予約・整備・空港・客室・運航といった多くの仲間の力によって成り立っています。あなたもその仲間へ。

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