大空を舞う鳥のように、自由に空を飛びたい─。そんな夢への第一歩として、ライト兄弟が世界初の有人動力飛行に成功してから、今年で107年。航空機は飛躍的な進歩を遂げ、より速く、より高く飛べるようになりましたが、まだ鳥のように軽やかに飛ぶことはできません。
鳥には及ばないまでも、機体の軽量化は、環境負荷を減らすためにとても大切です。たとえば、2リットルの水が入ったペットボトルをボーイング777型機で東京からニューヨークに運ぶためには、およそ1リットルもの燃料が必要とされます。そこで、JALグループは幅広く機体の軽量化に取り組んでいます。
今年10月31日で運航を終えた「貨物専用機」ですが、その貨物専用機に無塗装の機体を採用していました。機体塗装に必要な塗料は、ジャンボ機で約150kg。この分を軽量化することで燃料消費とCO2排出量を削減できるうえに、塗料や塗装をはがす薬剤の使用も抑制できます。ただ、機体の腐食防止のため、定期的に表面を磨く必要があるため、客室窓のない貨物専用機のみの導入でした。
また、航空機を飛ばすための燃料も、それ自体の重さにより燃料消費が増えるため、適正な量を搭載することが大切です。従来、燃料の搭載量計算は千ポンド*単位で行っていましたが、現在は百ポンド単位に変更し、より細かく適正化を図っています(*1ポンド=約454g)。
さらには、航空機に搭載するサービス用品や飲料水、貨物コンテナなどについても、同様に軽量化を進めています。機内食用に、従来より20%軽い軽量食器を採用、スプーンやフォークも1本あたり2g軽くしました。小さな積み重ねではありますが、ジャンボ機1機で約6kg軽量化できます。2009年夏には、エコノミークラスに、アジアで初めてペットボトル容器のワインを導入しました。また、従来は飲料水タンクを満タンにしていましたが、調査の結果、多くの便で相当の残量が確認されたため、適正量の給水に変更し、ジャンボ機で最大400kgの軽量化につながっています。
お手荷物や貨物を収納するコンテナについても、ガラス繊維系新素材「ツインテックス」を採用して、1台あたり26kgの軽量化を実現。すべて軽量コンテナを搭載すれば、ボーイング777型機1機あたりで、約1トンも軽量化できます。
もちろん、乗務員も手荷物の減量に取り組み、シャンプーや化粧品などを小分けにするなどの工夫をしています。
このように、環境負荷を減らすため、小さな積み重ねも含め、これからもさまざまな努力をしていきます。
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JALグループは、地球温暖化防止への取り組みをはじめ、さまざまな地球環境プロジェクトを実施しています。ぜひ、「JALと環境」ホームページをご覧ください。