今年2011年は、国連の定めた「国際森林年」です。テーマは「Forests for People(人々のための森林)」。居住環境や食料、水などの供給や生物多様性保全、そして気候変動緩和など、森林からの恩恵が、私たち人類の生存に欠かせないものであることを改めて認識し、世界の森林を保全していこうというものです。
国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、昨年の世界の森林面積は約40億ヘクタール。1990年からの20年間に、日本の国土の約3.6倍にあたる1.4億ヘクタールも減少したそうです。過剰・違法な伐採のほか、森林火災も原因のひとつと言われており、その影響を抑えることも森を守る有効な方策といえます。
JALは、2003年より、夏季にシベリアやアラスカなどの上空を運航中のパイロットが森林火災を発見した場合、研究機関への情報提供を行っています。JALインテグレーテッドオペレーションコントロール(IOC)では、パイロットからの情報を24時間態勢で受信し、人工衛星による森林火災検知システムの開発を行う宇宙航空研究開発機構(JAXA)にタイムリーに提供。JAXAでは、この火災の情報を人工衛星による赤外線画像等と照合し、検知システムの精度向上を図っています。
今年の観測期間は6月20日〜 9月20日の3カ月間。8月末までに、118件の火災情報を通報しました。2003年からの累計報告件数は1,108件に上っています。
「森林火災を知ったのは、学生時代に読んだ本からでした。現在、運航管理者として、森林を守る活動に協力でき、やりがいを感じています」(IOCの池田さん)
運航管理者は、24時間365日運航を支え、飛行中の航空機との通信も担当します。この仕事の中で森林火災通報にかかわり、火災は1カ所ではなく広範囲に及ぶこと、発見数も時期によって差があることなど、さまざまなことに気づくようになったといいます。
「本で学んだことは、いま実際に地球上で起きていることなんだと実感しています。これからもこの活動を通して、少しでも森林保全に貢献していきたいと思っています」(同)
世界の森を守りたいという想いは、空から地上へしっかりつながっています。
JALグループでは、さまざまな環境活動に取り組んでいます。航空会社ならではの取り組みを、現場の声を交え て、これからもお伝えしていきます。また、ホームページでも多彩な活動をご紹介しています。