CSR 機内誌SKYWARD連載中「空のエコ」

機内誌SKYWARD連載中「空のエコ」 JALグループの環境活動を毎月お伝えしています

温暖化により発達するシベリアの積乱雲 (2008年7月撮影) ボーイング777 川瀬機長

9月号 コックピットから見た地球の変化を伝える

 澄み渡った青空、どこまでもつづく輝く海原、サンゴ礁に囲まれた美しい島々、雄大な平原をうねるように流れる大河、雪を頂いた峻厳な峰々、巨大な入道雲、オーロラや無数にきらめく星、そしてたくさんの流れ星─。大空を巡航中のコックピットからは、地上で私たちが見るものとは別次元の、さまざまな感動的な景色を目にすることができるそうです。しかしながら、上空1万メートルから見えるものは、美しい地球の姿だけではありません。

 24時間365日、いつも世界のどこかの空を飛んでいるJALグループの航空機。そのコックピットから日夜、地球の姿を観察している運航乗務員が、地球の変化を意識するようになったのは、今世紀に入ってしばらく経った頃でした。年間を通して厚く氷結していた北極海が、夏には氷が溶けて海面が見える。雪と氷に覆われていたグリーンランドは、地表が現れている。アラスカの氷河が、徐々に、しかし確実に後退している。そして、以前は積乱雲のあまり出現しなかったシベリアの夏の空に、巨大な積乱雲がわき出ている─。

 地球温暖化について説明をされても、現実と結びつけることは難しいかもしれません。しかし、百聞は一見にしかず。そのような光景を目の当たりにする運航乗務員は、地球の変化を強く実感しています。

「私が空の上で仕事を始めた約20年前と比較すると、現在は大きく気候が変わってきています。たとえば、夏の積乱雲も、当時は都市部で発生することはほとんどありませんでした。ところがここ数年は、関東の市街地で発生し、ゲリラ豪雨によって毎年大きな被害をもたらすようになりました。この積乱雲が空港周辺で発生すると、航空機の運航に大きな影響を与える障害となります。積乱雲は、機上に備えてあるレーダーでもはっきり捉えることができ、急速に発達していく様子が上空からも手に取るようにわかります」

と、川瀬機長。地球環境の変化を強く感じているひとりです。空を飛ぶ仕事だからこそ見えるこのような現実を、多くの人に知っていただき、美しい地球を次世代につなげるために役立ててほしい─。そのような考えから、安全確保などの条件を満たした場合に、コックピットから地球のいまの姿を写真に収めています。

 撮影された写真は、出前講座「空育」や報道機関などを通じて、地球の変化を広く伝えています。皆さんの目には、いまの地球の姿がどう映るでしょうか。

*最新号は機内でお楽しみいただけます。

JALグループでは、さまざまな環境活動に取り組んでいます。航空会社ならではの取り組みを、現場の声を交え て、これからもお伝えしていきます。また、ホームページでも多彩な活動をご紹介しています。

JAL Happy Eco Project トップへ