安全の推進

JALグループは歴史の中で得られた教訓を基に、安全意識・安全文化の醸成に取り組んでいます。

教育・訓練と安全啓発

JALグループでは、安全に係る業務に必要な技能、知識および能力を身につけるため、社員それぞれの役割・地位に応じて必要な教育・訓練を実施しています。また、必要な安全に係る情報を周知し、定期的な安全啓発を実施しています。

三現主義に基づく取り組み

三現主義とは、安全アドバイザリーグループの畑村洋太郎氏が提唱する、現地(事故現場)に行き、現物(残存機体、ご遺品など)を見て、現人(事故に関わった方)の話を聞くことで安全の本質を理解するという考え方です。

JALグループでは、「現地」である御巣鷹の尾根に慰霊登山を行い、安全啓発センターで残存機体などの「現物」と向き合い、さらには、事故に直接関わった「現人」の話を聞くことにより、意識の奥底から安全の重要性を啓発しています。

新入社員安全セミナーにて
慰霊登山する様子
安全啓発センター
安全講話~語り継ぐ~
事故当時の状況を知る
現人の講話を聴講する様子

安全に係る教育

JALグループ存立の大前提である安全を堅持するため、日常業務に必要な知識・技術・能力を身につける教育に加え、常に高い安全意識をもった社員を育成するための教育を実施しています。

JALグループ共通の安全教育

JALグループ全社員を対象に、「安全を大前提とする意識」を醸成することを目的として、自らの業務と安全を結びつけるための教育を定期的に実施しています。さらにはJALグループや他社・他業界で発生した飲酒問題を振り返ることで意識の形骸化を防ぐとともに、自己管理の徹底に向けアルコールに関する正しい知識を再確認する教育を毎年実施しています。

JALグループ階層別安全研修

「三現主義(現地・現物・現人)」に基づき、御巣鷹の尾根への慰霊登山や安全啓発センターの見学、事故に直接携わった方々の映像視聴などを通して安全について考えます。そして、最後に自らの考えを安全宣言として言語化することで、日々の自らの行動と結びつけています。

御巣鷹の尾根への慰霊登山の様子

JALグループ安全啓発セミナー

JALグループ社員と業務委託先スタッフを対象に、安全啓発センターの見学や御巣鷹の尾根への慰霊登山、
2.5人称の視点(*)セミナー、異業種交流安全セミナーなどの社員が自発的に参加するセミナーを開催しています。国内外から職種や地域を越えて社員が参加し、安全について対話することで安全意識の向上に努めています。

  • 2.5人称の視点: JALグループでは社員一人一人がお客さまの立場に立って考えるため、航空のプロフェッショナルとしての専門性を備えた「3人称の視点」に、自分や自分の家族がお客さまだったらという「1人称・2人称の視点」をあわせ持った「2.5人称の視点」を大切にしています。
安全啓発セミナーでの慰霊の様子

安全文化

安全文化は、組織文化の一部であり、組織に属する人の安全に対する共通意識であり、安全管理システム(SMS)の機能を最大限に発揮させるものです。
JALグループは、歴史の中で得られた教訓を基に、2.5人称の視点や三現主義による安全意識・安全文化の醸成に取り組んでいます。加えて、これまでに培われた安全意識・安全文化をさらに育み、SMSをより一層機能させるために、「公正な文化」、「報告する文化」、「柔軟な文化」、「学習する文化」の4つの要素で具体的な行動に落とし込み、習慣化することを目指しています。
さらに、JALグループ全社員が、安全文化に対する共通の価値観を持ち、具体的に「行動」することで、SMSをさらに強化していきます。

「公正な文化」

「公正な文化」は信頼の文化とも呼ばれます。JALグループでは、社員が安全のプロフェッショナルとして行動し、知識、技術、能力を尽くして運航の安全に貢献することを前提にして、「全ての社員の安全に関わる判断や行動は、結果を問わず、尊重され、許容される」ことを安全管理規程に定めています。ただし、真に許容されない行為が発生した場合は厳正に対処し、許容される行為でも安全性を回復、維持または向上させるために必要な措置は実施します。透明性と一貫性を確保することで、社員は不利益を恐れることなく安心して安全の実現に向けて行動することができます。JALグループでは、この「公正な文化」を他の要素の大前提と位置づけ、社員の理解を促進しています。

「報告する文化」

安全管理を適切に行うには、ヒヤリハットや潜在的な不安全要素の報告が不可欠です。自発的報告制度を導入し、軽微なヒューマンエラーであってもそれを報告し、未然防止対策に活用しています。また、報告された事象に対して、「公正な文化」に基づいた透明性と一貫性のある対応がなされることで、社員が安心して報告しやすい環境を整え、報告を奨励しています。

「柔軟な文化」

不測の事態であっても安全を確保するためには、定められた規則やルールについて、その目的や設定背景を理解し、さまざまな事態への対応事例の知識を蓄積しておくことが必要です。JALグループでは全社員が常に「なぜこの手順なのか」などを自問自答することで、マニュアルの真意を理解するよう努めています。また、状況の変化に応じてスタッフの配置を見直したり、必要な増員をしたり、権限を委譲したりするような柔軟な対応ができるよう意思決定プロセスの見直しなど改善を図っています。

「学習する文化」

JALグループは、急速に変化する環境に適応し、持続的な成長・発展の実現を目指しています。安全性を継続的に向上させるために、マニュアルの定期的な見直しや改善、組織や施設、事業計画の最適化など、あらゆるものを対象に改善のサイクルを回し続けることで、常に最良の安全対策を実施しています。

安全に関わるコミュニケーション

JALグループでは、経営から現業部門へのトップダウンのコミュニケーションに加えて、現場部門から経営へボトムアップされる、双方向性を持ったコミュニケーションに取り組んでいます。さらに職場で気軽に意見や相談ができる雰囲気作りや、日々の業務に真摯に取り組む社員の貢献に対して賛辞を送るなど、職場風土や社員のやりがいに着目するさまざまな取り組みにも力を入れており、安全文化の醸成に取り組んでいます。

CLM(コミュニケーションリーダーミーティング)活動

CLMとは、風通しの良い企業風土の醸成や自発的・主体的な行動の促進、さらには現場力の強化を目的として、全国各地からさまざまな職種の社員が部門の壁を越えて集い、社内相互コミュニケーションを図る場です。参加者は、JALグループに顕在・潜在化するさまざまな課題を解決するために肉声で議論し、解決に向けて主体的に取り組むことで、つながりや幅広い視野を形成するために取り組んでいます。

経営に対する活動報告会

役員による職場訪問

経営トップをはじめ、運航、整備、客室、空港、オペレーション、貨物郵便など生産に携わる部門の役員が日頃から積極的に国内・海外の現場に出向き、社員と直接コミュニケーションを図る機会を設けています。加えて、夏期安全キャンペーンや年末年始輸送安全総点検実施時には、生産に携わる部門だけでなく、総務、経理、人財、IT企画など一般管理部門の役員も現場を訪問し、現場の抱える課題の抽出に努めています。

役員による職場巡回の様子
社員と経営による車座ミーティングの様子

社員表彰

褒める文化の醸成と安全意識のさらなる向上を目的としてJALグループ全社員を対象とした社員表彰を行っています。
「安全憲章の趣旨に則り行動したことでトラブルなどを未然に防いだ」事例や、「各種イレギュラー事例などの分析・報告を行い、知識の共有と再発防止に大きく寄与した」社員などに対して実施しています。表彰状や感謝状は、経営から直接授与しています。

安全情報の発信

経営からのメッセージなど、JALグループ全員に周知すべき安全に係る重要情報を積極的に発信しています。それらの情報の周知は紙媒体に加え、動画でも配信しています。また、安全に関わるコンテンツを含む動画は社内のポータルサイトにアップロードし、オンデマンドでいつでも視聴できる体制を構築しています。