生物多様性の保全

基本的な考え方

JALグループは、就航地における美しい海や森、健全な生態系といった「豊かな自然資本」に深く依存し、同時に影響を及ぼしうる存在であることを認識しています。自然の保全・回復は社会基盤を強固にするものであり、社会の持続可能性において極めて重要な課題であると捉えています。また、生物多様性と気候変動は密接な関係にあり、CO2排出量の削減は気候変動の緩和のみならず、生態系の保全や生物多様性の損失抑制にも資するものです。JALグループでは、これら双方への対応を重要課題と位置づけ、その包括的な解決を目指しています。

生物多様性の保全においては、「ネイチャーポジティブ」実現に向け、これまで、違法な野生生物の取引防止による種の保全、植物防疫を通じた生態系の維持、世界自然遺産における自然資源の保全などを積極的に推進してきました。また、気候変動への対応として、当社は2020年6月に、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す「ネット・ゼロエミッション」を宣言しました。この実現に向け、省燃費機材への更新・運航の工夫・SAFの活用に取り組んでいます。(TCFDに基づいた気候変動に関する情報開示)

さらに、食品廃棄量や資源(プラスチック・紙)使用量の削減などを通してサーキュラーエコノミーの実現にも取り組んでいます。紙資源の使用量削減やリサイクルは森林破壊を抑制する他、森林資源に配慮された国際的な認証紙を使用することは、森林が保全されてそこに生息する生態系が守られ、結果としてその森林が気候変動の原因であるCO2を吸収するという好循環を生み出します。

JALグループは、事業活動を通じた自然と人が共生する社会の構築を目指し、自然への影響の低減を前提に、自然の保全や体験による「人流」や、豊かな生態系の産物である食材・商材による「商流・物流」を創出してまいります。このように移動を通じた関係・つながりを創造し、「ネイチャーポジティブ」の実現を通じて誰もが豊かさと希望を感じられる未来を創り、企業価値の向上につなげていきます。
これらを実現するために、「自然に関するコミットメント」の下、取り組んでまいります。

自然に関するコミットメント

JALグループは、豊かな地球を次世代へ引き継ぐ責任を果たすため、生物多様性を含む自然の保全・回復に貢献します。

私たちの暮らしや経済活動は、自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。自然の恵みは自然資本というストックに支えられており、自然資本の持続可能性を考慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。

JALグループは、そのような自然の重要性を認識した上で、生物多様性保全のための優先地域を特定し、設定した目標への進捗を把握しながら保全に取り組むことで、2030年までに生物多様性の損失を防ぐことを目指します。そして、2050年までに森林破壊停止の実現とともにネットポジティブインパクトを生み出し、自然と共生する社会を目指します。

そのために、私たちはサプライヤーやお客さまなどのステークホルダーの皆さまとともに、以下を約束します。

  1. バリューチェーン全体が自然へ与える影響や自然への依存および事業上のリスクと機会を把握します。
  2. 事業が自然へ与える負の影響に対しては、回避・低減・回復・相殺の優先順位で対応します。
  3. ステークホルダーの皆さまとともに生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組みます。
  • 2026年8月取締役会において報告・承認
  • 本コミットメントはJALグループ、サプライヤーおよびパートナーを適用範囲とする

TNFD開示にあたって

JALグループは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の情報開示フレームワークに基づき、JALグループの事業と自然の関係性(依存と影響)やリスクと機会の整理を行い、以下のとおりTNFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の4つの視点から情報開示を行っています。これまで、2023年3月に「The TNFD Forum」に加盟し、2023年8月には、TNFDベータ版フレームワークに基づき、先行開示を行いました。

また2023年12月には、生物多様性ビジネス貢献プロジェクト(ターゲット2,3)への応募とネイチャーポジティブ宣言の発出を行い、航空会社として初めて、「TNFD Early Adopters」への登録を行いました。その後もさまざまな分析や取り組みの拡充を行い、TNFDの最終提言に基づいて開示しています。

さらに、以下の社外有識者とのダイアログを実施し、方針策定や取り組みに活かしています。

  • 2023年:WWFジャパンの有識者をお招きし、自然への依存と影響についてワークショップを実施。
  • 2023年:環境省の生物多様性主流化室室長の浜島直子氏(当時)をお招きし、生物多様性と航空業界の関わりについて弊社役員とのダイアログを実施。
  • 2024年:TNFDタスクフォースメンバーであるMS&ADインシュアランスグループホールディングスの原口真氏をお招きし、TNFDの最新動向と弊社の取り組みの立ち位置や航空事業のバリューチェーン全体を考慮した取り組み、ステークホルダーとのかかわり方について、社長および役員とのダイアログを実施。
    ダイアログでは、リスクを機会に変えていくには、一定の広がりのある場所で、その地域全体がネイチャーポジティブになることが重要であり、専門家と議論をして野心的なビジョンを描き、地域住民、関係者と取り組んでいくことが大切であるとの示唆をいただきました。

また、2025年10月より、TNFDの代替燃料セクターガイダンス策定に向けたWGに参画するなど、早期からTNFD開示を行っている航空会社として、業界全体のネイチャーポジティブ実現を目指しています。

今後も地域の方々、自治体や企業体などさまざまなステークホルダーとの対話を大切に、沖縄での有性生殖サンゴの育成、北海道でのタンチョウ保全、鹿児島でのマングローブの植樹、沖縄・鹿児島での世界自然遺産遺産の保護や自然を活かした地域振興の取り組みを推進していきます。

TNFDに基づく本開示内容は2026年8月に取締役会において報告・承認されています。

それぞれの団体・イニシアティブの詳細については、外部イニシアティブへの参画をご参照ください。

MS&ADインシュアランスグループホールディングス 原口真氏
2024年12月 ダイアログ風景

ガバナンス

JALグループは、生物多様性を気候変動と並ぶ経営の重要な課題として位置づけ、トップマネジメントによる以下のようなガバナンス体制を構築しています。

〔監督〕取締役会

取締役会は、グループ全体の気候変動・生物多様性の戦略の進捗を定期的にモニタリングし(2025年度実績: 2回)、自然関連リスクおよび機会への対応方針について強い監督機能を発揮しています。

 

〔審議・決定〕サステナビリティ推進会議体

社長が議長を務めるサステナビリティ推進会議で、基本方針の策定、重要な目標の設定と進捗管理を実施するとともに、課題に対する対応方針を審議・決定します。

また、環境マネジメントシステム(EMS)を通じて把握した課題や関係・つながり創造役員会を通じて確認した個別課題はサステナビリティ推進部担当役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会で審議の上、サステナビリティ推進会議に報告します。

人権に関するガバナンス体制

JALグループでは、2019年に制定した「JALグループ人権方針」に基づき、毎年、人権デューデリジェンスプロセスを実行し、人権リスク調査や社外有識者との対話を通じて人権重点課題を特定し、人権への負の影響の防止・軽減に向けて取り組んでいます。

また、強制労働や人身取引などの現代奴隷の防止に関する各国法への対応ついては、取締役会の承認のもと、適切な情報開示を行っています。

さらに、調達活動に関する人権尊重の取り組みとしては、サプライチェーンにおける人権尊重や適正な労働慣行の推進ならびにリスク評価とモニタリングの実施、人権に配慮した商材の調達に努めています。

主なエンゲージメント活動

2024年度:

「生物多様性を含めた自然に関わる人権の尊重」を人権重点課題として特定し、取り組み項目に加え、当社の生物多様性保全の対象地域としている奄美群島での事業にかかわる当事者に社内ヒアリングを行いました。

2025年度:

タンチョウ保全で協力する北海道長沼町とステークホルダー対話を実施し、農家や専門家を交えた地域住民の声を反映しながら「人と自然の共生」を目指す現地の状況を直接確認しました。また、人権尊重に関する研修プログラムに生物多様性に関する人権尊重を組み込むことで、社員の理解促進に努めました。

今後もFPIC*原則を尊重した対話を大切にしながら、施策に地域の声を反映し、生物多様性保全と人権尊重に努めていきます。

  • FPIC:free, prior and informed consentの略

戦略

JALグループは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱する、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのLEAPアプローチ*に則り、ダブルマテリアリティの概念の下、自社の事業が自然に依存している面と影響を及ぼしている面の両方の観点から、優先地域の特定をした上で、リスクと機会の評価を行っています。

特にJALグループの売り上げの大半を占める航空事業については、航空機製造からお客さま体験に至るバリューチェーン全体の「自然との接点」をマッピングしています。

  • LEAPアプローチ:「LEAP」とは、Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズの頭文字をとったもの。バリューチェーン全体を対象に自然との接点を発見し、優先すべき地域を特定する(Locate)、自社の企業活動と自然との依存関係や影響を診断する(Evaluate)、診断結果を元に、重要なリスクと機会を評価する(Assess)、自然関連リスクと機会に対応する準備を行い、投資家に報告する(Prepare)情報ガイダンス。JALグループでは、LとEを反復的に分析・特定することで、取り組みの有効性を検証しています。
LEAPアプローチを使用した分析例
航空事業におけるバリューチェーン上の自然との接点、
事業上のリスクと機会の例

「戦略」:自然への依存と影響(Evaluate)

淡水・海・陸・大気から成る自然は、JALグループの事業に対してさまざまな恵み(生態系サービス)をもたらしています。例えば、安定した気候による運航環境の維持(調整サービス)をはじめ、観光の場と機会(文化的サービス)をもたらし、人流創出につながっています。また、供給サービスによる食料などの恵みは商流・物流創出につながります。

自然への依存・影響を特定にあたっては、2023年3月にWWFジャパンの講師を招いて開催した社内ワークショップや、組織横断の生物多様性分科会での議論に加え、ENCORE*を用いた分析なども行っています。

バリューチェーンそれぞれのフェーズにおける代表的な依存と影響

上流(サプライチェーン):機内食・機内搭載物品などの食材・商材調達プロセスにおける、生産地の土地利用や森林資源・水資源への依存。SAFの製造過程における生態系への影響。

CO2削減に必須であるSAFおよびクレジットについては、公的機関が定めた認証制度に基づき、厳格なサステナビリティ基準を満たしたものを調達することで、バリューチェーン上の生物多様性リスクの低減に努めてまいります。

直接操業:洪水や暴風雨などの自然災害からの植生による保護への依存。GHG排出、空港周辺の環境汚染や、外来種や違法な野生生物の輸送の媒介による影響。

下流(お客さま):自然遺産・ビーチリゾートなど自然が豊かな就航地の観光資源への依存。オーバーツーリズムなどによる生態系への影響。

  • ENCORE: 企業が自然資本に与える機会やリスクを評価するためのツール

「戦略」:優先地域の特定(Locate)

JALグループは、水を気候変動や生物多様性に影響する重要な資源と認識しており、その持続可能な利用に努めています。

JALの取水地域は、Aqueduct*を活用して分析した結果、水ストレスレベルが低いとされる日本国内が主であり、リスクは低いと認識していますが、総取水量の8割を占める首都圏(羽田・成田)を優先地域として特定し、引き続き航空機部品洗浄のための水のリサイクルなどを通じて水資源の保全に努めていきます。また、海外についても分析を行い、取水量が少ないため優先地域としていないものの、今後、当該地域での取り組みを拡大してまいります。

  • Aqueduct: 世界資源研究所(WRI)が提供する洪水、干ばつ、ストレスなどの水リスクをマッピングするツール。
Aqueductによる分析イメージ

JALグループは、水以外にも、森林や海洋などの生態系、また、そこに生息するさまざまな種など、生物多様性そのものにも注目し優先地域を特定しています。

国内の就航地における優先地域

WWFが提供する生物多様性リスクフィルターにおける重要な生物多様性が存在する地域と照合した結果、JALグループの国内の就航地の多くが生物多様性リスクの高い地域であることであることを認識しました。このうち、特にリスクが高いとされたエリアをSensitive Locationsとしました。また、自然観光需要の高いエリアを「事業が自然に依存している地域」、主要空港である東京を「事業が自然に影響を与えている地域」としてMaterial Locationsとしました。

これらを総合的にかけ合わせ、北海道・鹿児島・沖縄・東京を優先して生物多様性の保全に取り組むべき地域と特定しています。

〔取り組み例〕

沖縄:有性生殖・サンゴ再生プロジェクト。2025年には、石垣島のサンゴ産卵ファームが、自然共生サイトへ認定。

外来植物駆除活動、「野生動物の傷病救護個体などにおける搬送の協力に関する協定」の締結

北海道:タンチョウの保全活動(鶴居村、長沼町)

鹿児島:マングローブ植樹活動、アマミノクロウサギ保全活動、奄美・徳之島からの動植物持ち出しに関する共同文書発出を通した生態系保全など

詳細およびその他の取り組みについては「リスク緩和と機会創出に向けた具体的なアクション」に記載しています。

様々なツールをかけ合わせることによるSensitive Locationsの特定イメージ図(上:IBAT、下:GFW)

海外の就航地における優先地域

TNFDが推奨する4つのツール(Aqueduct x IBAT* x GFW* x ENCORE)とIWT(違法野生生物取引)ホットスポットをかけ合わせ、重要な生物多様性や水リスクが存在する地域をSensitive Locationsと特定しました。また、JALグループの就航地に関わるMaterial locationを特定しました。これらの分析を基に、観光需要が大きく、事業が自然に依存し影響を与えている地域であるハワイ・オーストラリアを優先して生物多様性の保全に取り組むべき地域として特定し、取り組みを推進しています。

〔取り組み例〕

ハワイ:2022年10月よりダイヤモンドヘッドでのレストレーション活動を実施している他、2024年6月から「JAL Mahalo運賃」の販売を開始、お客さまとともにハワイの環境・文化保全に取り組んでいる。2025年3月にはハワイでの心地よさをテーマとしたJALの体験プログラム『`OLU`OLU!Honolulu!』にも組み込んだ。

オーストラリア:生態系保護のため、機内にて、害虫の侵入を防ぐための措置を実施している。

詳細およびその他の取り組みについては「リスク緩和と機会創出に向けた具体的なアクション」に記載しています。

  • IBAT:バードライフ・インターナショナル、国連環境計画の世界自然保全モニタリングセンター(WCMC)、国際自然保護連合(IUCN)、コンサベ ーション・インターナショナルの4団体によって作成された生物多様性評価ツール。
    GFW:世界資源研究所(WRI)が提供する生物多様性評価ツール。

「戦略」:事業上のリスクと機会(Assess)

生物多様性の損失は、航空運送事業のサステナビリティへの重大なリスクとなる可能性がある一方、それを管理することは機会にも繋がります。2023年にWWFジャパンの有識者と実施したワークショップでは特定した依存と影響を基に自然に関連するリスクと機会の評価も行いました。その後も毎年見直しを行い、下表のとおり整理しています。今後、財務上のインパクトも分析の上、リスクと機会の評価を深めていきます。

リスク

リスクの種類 リスクの概要 リスクの低減に向けた対応

移行リスク

・制作・規制

・技術

・市場

・評判

希少種保護に向けた野生生物利用の規制強化に伴い、使用する食材や商材が制限されるリスク

・IUCNレッドリストなどを参考にした社内ガイドラインの遵守

・持続可能性に配慮して生産された食材・商材の使用

SAFの製造過程における生態系への影響懸念により、SAFの確保が困難になるリスク 原材料や生産地の土地利用、生態系保全などに配慮したSAF(ICAO CORSIA適格燃料など)の使用
カーボンクレジットの創出に伴う土地利用の変化によって、生物多様性への悪影響が懸念され、同クレジットが使用できなくなるリスク

創出地の土地利用や生態系保全などに配慮したクレジットの購入

自然豊かな観光地におけるオーバーツーリズムの発生により、当該地域の魅力が損なわれ旅客が減少するリスク 適切な人流管理に基づく観光の実現
違法な野生生物取引への非意図的な加担により、ブランド価値が毀損されるリスク 違法な野生生物取引の防止に向けた社員への教育、および空港関係各所との連携
侵略的外来種の非意図的な輸送により生態系や健康へ悪影響が及び、ブランド価値が毀損されるリスク 侵略的外来種を発見した際の対応手順の徹底
空港周辺の環境汚染により、空港の使用が制限されるリスク 予防措置および発生時の対応手順の徹底

物理リスク

・急性リスク

・慢性リスク

生態系変化に起因する感染症のパンデミック発生により、航空運送事業の旅客数および売上高が減少するリスク

・感染症対策の徹底による「安全・安心」な航空輸送環境の提供

・旅客需要の動向を見極めた運航計画の策定

生態系変化に起因する自然観光資源の損失、およびそれに伴い旅客数が減少するリスク 地域と連携した自然観光資源の回復に向けた取り組みの推進
周辺環境の変化に起因する自然災害により就航空港が使用不可となり、運航便数および売上高が減少するリスク 地域の空港と連携した周辺環境の保全

機会

機会の種類 機会の概要 機会拡大に向けた対応

事業上のパフォーマンスに基づく機会

・資源効率

・製品・サービス

・市場

・キャピタルフローと資金調達

・評判

自然観光需要の創出

・ツーリズムガイドの育成などを通じた適切な観光の促進による、観光と自然保全の両立

・グループ航空会社のネットワークを活用した、関係・つながりの創出

豊かな生態系の産物である食材・商材の輸送を通じた、商流および物流の創出 食材・商材の高速鮮度輸送を通じた、地域経済の活性化への貢献

サステナビリティ・パフォーマンスの機会

・生態系の保護・修復・再生

・天然資源の持続可能な利用

生態系の保護・修復・再生を通じた、観光資源の確保

サンゴの有性生殖プロジェクトやタンチョウの保全など、各種施策の実施

生態系の保護・修復・再生を通じた、商材の安定確保 サプライヤーと連携した、持続可能な商材(認証商材など)の利用
航空会社ならではの技術の活用を通じた、生物多様性への貢献 産学連携による新しい取り組みの検討および実施

リスクと影響の管理

JALグループでは、リスクを組織の使命・目的・目標の達成を阻害する事象または行為と定義し、半期ごとにリスク調査と評価を行っています。特に重要と評価されたものを優先リスクと位置づけ、社長を議長とするグループリスクマネジメント会議でリスク管理の状況を確認し、対応策を審議・決定します。

JALグループは、気候変動リスクと自然関連リスクを、相互に関連するビジネスリスクとして捉え、関連する国際社会の法・規制や政策動向などを踏まえつつ、環境マネジメントシステム(EMS)にもとづくPDCAサイクルを通じてリスク管理を実施しています。

生物多様性には、気候変動をはじめとするさまざまな環境課題が影響していると認識し、包括的な解決を目指しており、特定されたリスク・影響を適切に管理・低減し、機会を最大化するため、指標と目標を設定し、取り組んでいます。

詳細はリスク緩和と機会創出に向けた具体的なアクションをご覧ください。

指標と目標

生物多様性の保全に直接的に関わる目標に加え、CO2排出量や廃棄物、水使用量などの環境データについても開示しています。また、TNFDで求められているコアグローバル指標*1に沿った開示をESGデータで進めており、今後も拡充していきます。

取り組み 指標 目標
CO2排出量の削減*2 スコープ1 〔航空〕排出量 2050年までにネット・ゼロ
使い捨てプラスチックの削減*³ 客室・ラウンジ:新規石油由来不使用率100%の維持 100%の維持
空港・貨物:環境配慮素材配合アイテム利用率100%の維持 100%の維持
機内食廃棄量の削減*⁴ 食品廃棄率 2.5%以下の維持(達成済FY25目標の維持)
調理残渣の堆肥化による資源の循環 堆肥化率 100%の維持(FY22達成済み水準の維持)
産業廃棄物の削減*5 最終処分率 1%以下の維持
観光資源の保全・拡大 〔沖縄〕有性生殖サンゴの育成数 2026年中に1000群体
〔沖縄〕有性生殖サンゴ関連のツアー拡大状況 2026年中にツアーの拡大

〔北海道〕

タンチョウ保全を通じた地域連携・参加者の拡大

〔北海道〕「保全活動」および「学習プログラム」への累計参加者数 FY30までに700人
連携する自治体・組織団体の累計数 FY30までに20
〔鹿児島(奄美・宇検村)〕産官学連携のもと、マングローブの植樹:エコツアー催行回数 年3回
認証取得済み商材の活用*⁶ 認証紙を利用している機内アイテム数の割合 100%の維持
違法な野生生物取引の防止 違法な野生生物の輸送回数 0回の維持
取り扱い食材・商材における生物多様性への配慮 ESGリスク低減に向けた食材・商材の社内ガイドラインの違反件数 0回の維持
空港周辺の生態系への影響抑制 〔東京〕有害物質を含む水の不適切管理発生数 0回の維持
  1. コアグローバル指標:自然に依存、影響をもたらすとTNFDで定義されている指標
  2. CO2の排出による気候変動は生物多様性にも影響を与えるため、気候変動と生物多様性をはじめとする諸課題の包括的な解決を目指しています。CO2削減についてはTCFDで開示しています。
  3. プラスチックは石油由来資源を原料とした化合物であり、気候変動の一因になっています。また海洋へ流出すると生態系に深刻な被害を与えることが指摘されており、新規石油由来の使い捨てプラスチックの削減に努めています。
  4. 食品の生産・輸送・加工・流通・廃棄を含めた食料システムはCO2を排出し、生物多様性の損失の要因となるため、機内食廃棄量の削減に努めています。
  5. 法令に則った廃棄物の適正管理に加え、定期的に分別率とリサイクルの実現率をモニターし、資源の循環に努めています。
  6. 森林破壊による気候変動や生物多様性への悪影響を低減するために、持続可能性に配慮した責任ある調達に努めています。

リスク緩和と機会創出に向けた具体的なアクション(Prepare)

JALグループは、2020年6月、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指すネット・ゼロエミッションを宣言しました。CO2排出量の削減は気候変動を緩和させるだけでなく、生態系の保全にもつながり、生物多様性の損失を抑えます。JALグループは、ネット・ゼロエミッションの実現を目指すとともに、サステナビリティに関する主な取り組み項目を特定し、食品廃棄量や資源(プラスチック・紙)使用量の削減目標も設定しています。紙資源の使用量削減やリサイクルは、森林破壊を抑制します。また、森林資源に配慮された国際的な認証紙を使用することで、森林が保全され、そこに生息する生態系を守ることになります。森林がCO2を吸収し、気候変動の原因であるCO2の削減につながるのです。このように、生物多様性と気候変動は密接な関係にあることから、両方に対応することを重要課題として取り組んでいます。

例えば、外来種を防ぐための植物防疫や違法野生生物の取引防止、世界自然遺産の保全など、さまざまな活動を行っています。

また、JALは2020年1月にWWFジャパンの法人会員として、WWFの環境保全活動を応援し、事業活動を通じて生物多様性保全活動を推進しています。

野生生物の違法取引防止

2018月6月、JALグループは、国際航空運送協会(IATA)が推進する野生生物の違法取引を減らすことを目的とした「野生動物保護連盟特別輸送委員会、バッキンガム宮殿宣言」に調印しました。

野生生物の違法取引は、薬物や人身売買に次ぐ、取引額は数兆円にもなる世界規模の犯罪の一つです。JALグループでは、実際に石垣空港のスタッフが絶滅危惧種であるヤシガニが航空機によって持ち出されるところを発見し未然に防いだケースや、奄美空港のスタッフが希少種のカエルやヘビの持ち出しに気付いた事例がありました。

このように、輸送の段階で防ぐことが非常に重要であることから、JALグループでは社内で普及啓発を増やすとともに、社外関係者と連携し、情報共有ならびに野生生物の違法取引撲滅に向けた取り組みを強化しています。
例えば、2020年と2021年には公益財団法人・世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の方を招き、野生生物の違法取引の現状や輸送の過程で生きた動物を発見した場合の対応方法などについての勉強会を開催しました。

さらに、2021年12月には、WWFジャパンとTRAFFICが主催する、野生生物の違法取引防止に向けた課題認識向上と取り組み促進をテーマとしたシンポジウムに参加しました。当シンポジウムにはJALグループスタッフが登壇し、沖縄地域、奄美群島地域における「希少な野生動植物の密猟・密輸対策連絡会議」や、空港における密猟・密輸対策研修会といった、省庁・地域と連携した積極的な取り組みを紹介しました。
2024年6月には、WWFジャパン主催のセミナーでJAL社員が登壇し、奄美空港での希少生物の持ち出し防止に向けた連絡体制の整備や対応の難しさについて説明しました。加えて、希少種だけでなく島の野生生物が大量に持ち出されることによる島の自然の未来への懸念についても持続可能な観光地域づくりの観点から、課題を提起しました。

これらの課題は地域全体で取り組むことが重要であるため、JALグループは志を同じくする企業や団体との連携を深めるとともに、自治体や関係官庁への働きかけを継続しています。その一環として、2025年6月には、弊社社員が代表を務める世界自然遺産推進共同体が地元行政機関や県、環境省と共に「奄美・徳之島からの動植物持ち出しに関する共同文書」を発表し、多くの人に理解と協力を呼びかけました。島の生物多様性を守るために関係者と連携し、引き続き水際対策を強化し、取り組んでいきます。

植物防疫への取り組み

2020年は、植物病害虫のまん延防止の重要性に対する世界的な認識を高めることを目的に、国連により「国際植物防疫年2020」と定められました。JALグループは、農林水産省認定の「国際植物防疫年2020オフィシャルサポーター」として、植物防疫の重要性の社内外への周知に努めています。

世界の食料の80%は植物由来であり、このうち20~40%が植物病害虫により損失しています。一度病害虫が侵入すると、根絶するために莫大なコストがかかります。例えば、農作物に重大な被害を与えるウリミバエの根絶には、日本で約20年、204億円もの費用がかかっています。

日本でも海外旅行者の増加などにより、植物防疫の重要性がさらに高まっています。海外への持ち出しや国内への持ち込み時に注意が必要なだけでなく、国内においても植物の移動規制があります。例えば、南西諸島(沖縄県・鹿児島県の奄美群島)や小笠原諸島からは、サツマイモなどの持ち出しが規制されています。

2020年2月に農林水産省の方を招いて開催した社内の講演会では、植物病害虫による被害、植物防疫、ならびに航空業界との関係について話していただきました。参加者からは「人の検疫、肉の検疫だけでなく、植物の検疫も非常に重要だと分かった。今後社内に周知を図りたい」と声がありました。病害虫の駆除には莫大なコストがかかるため、病害虫の侵入・まん延防止が非常に重要です。JALグループは今後も関係者と連携し、植物防疫の重要性の周知を図っていきます。

植物防疫に関する詳しい内容は、農林水産省のホームページをご覧ください。

タンチョウの保全活動

JALグループの飛行機の尾翼に描かれるシンボルは、国の天然記念物である、タンチョウをモチーフにしています。
日本の美の象徴ともいえる存在でありながら、同時に絶滅を危惧され、国内希少野生動物種にも指定されているタンチョウの保全活動として、2016年から年に1回、北海道鶴居村で、JALグループ社員有志によるタンチョウの採食地の環境整備を実施しています。

北海道長沼町では、町が掲げる「タンチョウも住めるまちづくり」に共感し、タンチョウに関わるバスツアーへの協力や地域産品のJAL ECサイト「JAL Mall」での販売、タンチョウのスノーアートの制作など、これまでにさまざまな活動をサポートしています。
また2025年から、同じく長沼町のタンチョウ保全に取り組んできたイオン北海道と連携し、生物多様性の保全を地域の皆さまと共に学び、考えることで人間社会と自然環境の調和を目指す活動「エコハーモニープログラム」*を実施しています。
2025年度は、タンチョウとの共存をテーマとした生態系ネットワークの形成について学べるプログラムを、活動地域となる千歳川流域の子どもたちを対象に提供しています。

また、タンチョウの保全に加えて、2024年2月に設立された「石狩川流域生態系ネットワーク推進協議会」の一員として自治体や他の参加企業とともに流域の生物多様性の保全に取り組み、豊かな自然資本の持続的な活用による地域振興・経済活性化に向けた方策の検討と取組の推進に努めています。

  • 「エコハーモニープログラム」という名前には、生態系「ecosystem」の保全を目的とし、環境と人間社会が調和「harmony」するという意味を込めています。

JALタンチョウフォトコンテスト

タンチョウの写真と温かいメッセージに、生物多様性の大切さと美しい自然を守り続けたいという皆さまの想いをこめてご応募いただく、JALタンチョウフォトコンテストを開催しています。

 

過去の結果については以下をご確認ください。

世界自然遺産登録への挑戦

数百万年前に大陸から離れ、アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコといった希少種たちの宝庫である奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島において、その生物多様性と豊かな自然を世界自然遺産として登録・保全しようという動きが活発化しています。2021年の夏に奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島が世界自然遺産に登録されましたが、登録にあたってはJALグループも大きく関わってきました。

鹿児島地区の日本エアコミューター(JAC)とJAL鹿児島支店、沖縄を本拠地とする日本トランスオーシャン航空(JTA)や琉球エアーコミューター(RAC)では、密猟・密輸対策連絡会議への参画、希少種のロードキルを防ぐ道路標識の設置、奄美群島を巡る「奄美トレイル」の整備やPR、海岸のごみ拾いを行うビーチクリーン活動など、地域と一体となって自然環境の保護や啓発に努めています。

2019年には、地元企業や団体をつなぎ世界遺産登録を推進する「世界自然遺産推進共同企業体」(沖縄)、「世界自然遺産推進共同体」(鹿児島)を発足。参加企業・団体の強みを生かし、自然環境保護や自然を生かした地域振興に取り組んでいます。

世界自然遺産登録後の持続的な活動 「世界自然遺産推進共同企業体(沖縄)」

「世界自然遺産推進共同企業体(沖縄)」は、JTAが代表となり、世界自然遺産登録地を始めとする沖縄県内での環境保全・地域振興を目的とし、企業の垣根を超え、想いを結集した連携を進めています。2021年の遺産登録後も活動を継続・強化しており、民間企業が中心となり自治体や地域と連携して希少種および自然環境の保護、世界自然遺産に関する普及啓発などを行っています。具体的な活動としては、やんばる地域や西表島でのビーチクリーン活動や外来植物(ツルヒヨドリ、ナガエツルノゲイトウ)の駆除作業を含む環境保全イベント、世界自然遺産をテーマとしたシンポジウムや、小学生向けのワークショップなども開催しています。
さらに、共同企業体は「世界自然遺産沖縄基金」を造成・運営し、基金による助成事業を通じて、自然環境の保全活動、調査研究、普及啓発などを支援しています。企業体は今後もこのかけがえのない美ら島の自然を未来へとつなぐため、企業連携の強みを活かし、環境保全と地域振興策を、行政や地域とともに力強く継続してまいります。

有性生殖・サンゴ再生プロジェクト

沖縄の魅力の一つに、青い海、たくさんの生命に溢れたサンゴ礁があります。
サンゴ礁は、観光資源という目で楽しむ景観機能の他にも、多種多様な生物の共存・生産の場であり、消波効果による国土保全・防災機能などさまざまな役割があります。
しかし、近年は海水温上昇による白化現象やオニヒトデの大量発生などにより、サンゴ礁の減少が問題となっていましたが、特に近年、その傾向が高まり自然界の自律的な回復が追いつかない状況に陥っています。
この危機的状況に対し、活動実施主体である八重山漁業協同組合サンゴ種苗生産部会は、2018年から、国内初の実用レベルでのサンゴ再生に取り組んでいます。
この取り組みを支援するため、日本トランスオーシャン航空(JTA)は2020年、一般社団法人水産土木建設技術センターや県内企業(設立時6社)とともに「有性生殖・サンゴ再生支援協議会」を設立しました。協議会は、技術的・資金的支援を継続しており、2022年には八重山地区に加えて、久米島地区での支援も開始しています。協議会は2026年までに1,000群体(サンゴの集まり)を育成することを当面の目標としています。

有性生殖法と産卵ファームの成果

無機物のように見えるサンゴですが、クラゲやイソギンチャクの仲間の生物であり、年に一度産卵します。
サンゴ部会が核とするのは、サンゴの卵(有性生殖)から育成する手法です。この方法は、サンゴの自然な営みを助け、遺伝子の多様性を保つメリットがあります。具体的には、天然のサンゴに頼らず、遺伝的に多様なサンゴから毎年海域で卵を採取し、種苗(稚サンゴ)を生産し続ける「完全養殖サイクル」という手法を用いています。
稚サンゴが約5年かけて成長し産卵できるようになると、そのサンゴは周辺海域へ幼生を効率よく供給する「サンゴ産卵ファーム」として機能し、群集回復を促します。
協議会の支援後、有性生殖によって繁殖した株によるサンゴの産卵が、2024年5月22日に石垣市崎枝湾で初めて確認され、2025年6月にも確認されています。これは、サンゴの多様性を保ちながら再生を目指す上で、大きな一歩となりました。

自然共生サイト認定と未来への展望

八重山漁業協同組合サンゴ種苗生産部会が管理する「石垣島のサンゴ産卵ファーム」(崎枝湾と八島地先)は、令和7年9月の新たな「自然共生サイト」初回認定において、全国201か所の一つとして認定されました。
これは、サンゴ礁生態系においてサンゴ再生を主目的とした自然共生サイトとして、旧制度を含めて全国で初めての認定事例です。また、劣化した生態系を「回復」させる活動として認定されており、全国的にも珍しい例です。
2025年10月15日には、環境省沖縄奄美自然環境事務所により認定証授与式が行われ、当協議会からもJTAを始めとする支援企業が出席しました。
サンゴ再生による繁殖拠点の維持は、サンゴに依存する生物を集め、水産資源の増加や漁場再生といった持続的な効果の向上につながります。さらに、この活動は再生型観光など海の利活用価値向上にも貢献し、「ネイチャーポジティブ経済」(自然資本の回復を経済成長につなげる考え方)と親和性が高い取り組みです。
当協議会は、支援が公的に認証される「支援証明書制度」を積極的に活用し、支援の輪を広げ、沖縄の豊かな海を未来へ引き継ぐため、協賛企業と共に活動を推進します。

JTAの活動は、ホームページをご覧ください。

サンゴ産卵の様子
©八重山漁業協同組合
自然共生サイト認定授与式の様子

奄美大島(宇検村)でのマングローブ植樹活動

JALグループでは、2023年9月に奄美大島・宇検村(うけんそん)、上智学院、伊藤忠商事、日本航空の4者が締結した「宇検村における環境保全・地域振興に関する産学官連携協定」に基づき、宇検村が目指す2050年までのゼロカーボンシティの実現や生物多様性の保全・回復を推進するとともに、自然と人が共生する関係の構築および新たな人流の創出による持続的な地域活性化に取り組んでいます。
2024年3月には産学官協定に基づく取り組みの第一弾として、宇検村の自然と文化およびマングローブ植林を体験するエコ・スタディツアーを、上智大学の学生と伊藤忠商事の社員を対象に開催し、植林地を開墾し100本の苗を植林しました。その後も4回のエコ・スタディツアーを通じて、約2,000本の植林を実施しました。マングローブ植林活動は、ブルーカーボン生態系*として気候変動対策で注目されています。植林だけでなく周辺の生態系調査や持続可能な管理方法についても議論が行われ、ツアー参加者からは、「生態系を守る取り組みを自分事として捉えるきっかけになった」という声が聞かれました。このような取り組みを通じ、地域の資源を活かしながら持続可能な観光を実現し、自然環境の保全と地域経済の活性化の両立を目指しています。

JALグループは、「人」と「自然」をつなぐ新たな取り組みを通じて、地域資源を活かした観光振興や人流創出を推進し、生態系豊かな地球環境を未来へ引き継ぐことを使命としています。宇検村での活動を通じ、環境保全と地域経済の活性化に寄与し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。

  • ブルーカーボンとは、沿岸・海洋生態系に取り込まれ、そのバイオマスやその下の土壌 に蓄積される炭素のこと。2009年に公表された国連環境計画(UNEP)の報告書の中で定義され、気候変動対策の新しい選択肢として注目されている。ブルーカーボンの主要な吸収源としては藻場や塩性湿地、マングローブ林が挙げられ、これらはブルーカー ボン生態系と呼ばれている。

アマミノクロウサギ保全活動

JALグループの日本エアコミューター(JAC)創業の地でもある奄美大島は2021年に世界自然遺産に登録されるなど、豊かな自然が残る美しい島です。その奄美大島と徳之島のみに生息する絶滅危惧種アマミノクロウサギは、国の特別天然記念物で、現存するウサギの中で最も原始的な形態を残す、世界でも極めて貴重なウサギの種とされています。

JALグループは、生物多様性保全ならびに奄美の観光振興の観点から、2013年には公益社団法人日本ナショナル・トラスト協会の推進するアマミノクロウサギ・トラスト・キャンペーンに協力し、奄美の豊かな自然を国民の財産として将来世代に引き継ぐ活動を応援しました。「JALアマミノクロウサギの森」と名付けて区画の取得に協力するとともに、JALマイレージバンク(JMB)のチャリティ・マイルプログラムを通じて、358名もの会員の皆さまから合計1,428,000マイルが寄せられ、その資金により「JMBみんなのアマクロの森」が実現しました。

また、奄美大島では、野生生物のロードキル防止や一部のエリアにおける観光の過剰利用対策が重要な課題となっており、2021年10月からは該当エリアでのナイトツアー時の夜間利用適正化ルールが運用されています。JAL奄美営業所は、世界自然遺産推進共同体の幹事社として、このルールの周知や現地での立ち合いに参加し、地元の方々と連携しながら持続可能な観光の実現に努めています。

JALグループは、今後もアマミノクロウサギを始めとする奄美地域の野生生物保護に積極的に取り組むとともに、地域の皆さまと協働しながら生物多様性の保全と観光の両立を推進します。

写真提供:(公社)日本ナショナル・トラスト協会

JALショッピングにおける森林保全の取り組み「カレーで豊かな森づくり!?」

地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を吸収する森林は日本の国土の7割を占め、古くからから私たちの水源や暮らしを支えてきました。しかし、林業における産業構造の変化や、急速に進む人口減少・高齢化により、増加する放置林への対応が社会課題となっています。
JALグループは、お買い物を通じてこうした環境に配慮したアクションを取れるオプションを、JALショッピングの一部商品に導入しました。同店で売上1位を誇る「JAL特製オリジナルビーフカレー」のご購入時に、追加で500円をお支払いいただくと、収益の一部が三重県尾鷲市の森林や生態系の保全と再生に役立てられます。2024年に行われた、三重県尾鷲市の「みんなの森」での「生物多様性の森づくり」のワークショップには、延べ700人が参加しました。この活動は、「みんなの森」を含む尾鷲市有林において、年間6000トン以上のCO2吸収量の増加*に貢献します。

  • 出典:尾鷲市J-クレジット プロジェクト

佐賀県唐津湾ワカメ養殖体験プログラム

日本航空九州支社は、からふさ研究会(佐賀玄海漁業協同組合員の有志)、九州大学、佐志小学校、唐津市役所と共同で、養殖ロープを使用したワカメ養殖体験プログラムを実施しています。子どもたちは毎年11月にワカメの種付けを体験し、翌年2月に育ったワカメの収穫を体験しており、日本航空は空の仕事やSDGsの取り組みに関する講話、九州大学はCO2排出量実質ゼロに関する講話を行い、ワカメ養殖体験後に参加者全員で海岸清掃を行うなど、地域の産学官民が一丸となって子どもたちの環境問題への学びを深めています。

ワカメの養殖を通じて藻場が豊かになることで生物多様性に貢献するとともに、ワカメの大部分は収穫せずにブルーカーボンとして海に残置し、海中・海底に貯留させることで気候変動緩和策に繋げています。子どもたちへのアンケートでは、体験が身近な環境意識の高まりや恵まれた環境にある唐津への郷土愛の醸成に結び付いたことが確認できました。今後も引き続き藻場を活用した気候変動緩和策の拡大、未来を担う子どもたちへの学びの機会の継続的提供、地域の養殖産業の維持・活性化などに努めます。

ワカメの養殖体験

ハワイでの固有種保全とレストレーション活動

2025年3月、JALグループが運航するホノルル線で「ʼOLU ʼOLU! Honolulu!」企画を行い、「固有種の植樹」と「ダイヤモンドヘッドの麓でのレストレーション*」を実施しました。
固有種の植樹は、一本一本を手作業で行ったため、土を掘り、苗を植え、水をやる過程で、参加者にとって、自然との強いつながりを感じるきっかけになりました。
また、ハワイのNPO団体が主催するダイヤモンドヘッドの麓でのレストレーションでは、侵略的外来種の伐採と芝の整備を実施しました。もともと外来種や雑草で茂みになっていたこの地は、不法投棄や手つかずの自然が問題になっていましたが、今では地元の方や観光客が集う憩いの場となっています。
多くのお客さまに愛されているハワイの自然環境の美しさを守るため、これからも取り組みの可能性を模索していきます。

  • レストレーション…自然環境が悪化・消失してしまったところを、人間が手を加えて再び健全な自然・生態系に戻す行為。

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人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言

ワンヘルスとは、「人」「動物」「生態系」の健康をひとつと捉え、それぞれがバランスよく健全にあるべきとする「ワンヘルス(One Health)」の考え方です。

人が健康であるためには、感染症の発生原因となる自然破壊を止めて生態系を健全に保ち、感染症を拡大する動物の健康も、同時に守らなければなりません。

JALグループは、このワンヘルスの考え方を取り入れた生物多様性の保全のための取り組みが重要と考え、2021年に公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が呼びかける「人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言」に賛同し、宣言への1クリック賛同キャンペーン「ワンヘルスで守ろう、私の大切なもの」に参加しました。

JAL×MISIA

MISIAさんとのコラボレーションを通じて、JALは生物多様性の重要性を多くの方々にお伝えしました。詳しい活動についてはJAL×MISIAをご覧ください。