株主総会における質疑(抜粋)および事前に当社ホームページにてお受けしたご質問の一部に関し、以下のとおり、回答要旨をご紹介いたします。
なお、事前に当社ホームページにてお受けしたご質問のうち、「株主優待制度」、「国際線のネットワーク戦略」、「役員のダイバーシティ」については、質疑に先駆けて、株主総会の場でご説明いたしました。
その詳細は、動画形式にて、株主総会(動画)② 対処すべき課題・事前にいただいたご質問・議案上程からご覧いただけます。
1. 株主総会における質疑(抜粋)
質疑でのご質問の順番ではなく、内容別にご紹介しています。
(1)事業関連
(質問)航空事業が厳しい状況にあるが、航空以外のマイレージ収入などの拡大戦略について教えてほしい。
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(回答)
特典航空券をはじめ、マイルの価値を高く評価頂いている一方で、自社商品である航空座席や発行時に比べて低いレートで償還ができていることから、このマイルの発行時と償還時のレートの差により、高い利益を生み出すビジネスモデルとなっています。今後も航空利用だけにとどまらず異業種パートナーとの提携などを積極的に進め、発行と償還のサイクルを高速化し、利益を拡大してまいります。また、JALグループの顧客基盤やマイルの強みなどを活かし、金融・物販などの領域においても、新たな収益を生み出すことに取り組んでまいりますので、ぜひご期待ください。
(質問)生産労働人口が減っていく中で、例えば、航空機整備の領域において、業務効率化や人財の確保の観点で、どのような取り組みを進めていくのかについて教えてほしい。
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(回答)
社会環境あるいは航空機自体も変化していく中で、どのように航空機の高い品質を維持していくかは非常に重要な課題と認識しています。業務効率化の観点では、従来であれば、航空機が壊れてから整備するというやり方であったところ、IT・テクノロジーの活用により、ビッグデータ解析を通じて、故障する予兆を捉え、実際に故障する前に手を打つことにより、効率的な整備を行うような方法にシフトしてきています。また、人財確保の観点では、整備士を目指したいという若い方を増やしていくべく、専門学校などとも協力し、航空機整備の魅力を知って頂くように努めています。今後もより高品質な航空機を提供できる整備体制を構築してまいりますので、どうぞご安心ください。
(質問)グループ内での柔軟な人財活用、さらには、事業の多角化を推進する観点で、持株会社化のようなことを検討してはどうか?
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(回答)
コロナ禍における経験から、事業の多様化を図らねばならないという認識をもっています。また、社員が客室や空港など、自身の職域以外でも活躍することができるよう、マルチスキル化にも取り組む必要があります。これらの取り組みについて、持株会社の形態でなくとも、現在の組織形態でも対応可能と考えています。以上の取り組みを通じて、中期経営計画に掲げる事業構造改革を実現してまいります。
(質問)今後、超音速旅客機の導入計画はあるのか?
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(回答)
当社は超音速旅客機の開発を進めているBOOM TECHNOLOGY. INC社に出資をしています。同社はマッハ1.7、現在の航空機の約2倍の速度の超音速旅客機の2029年の商用飛行を目指しており、また代替航空燃料を利用すると聞いています。当社においては、超音速旅客機の導入に関し、決定したものはありませんが、安全性や機内の客室仕様などの観点で情報共有を行うなど、株主として同社を応援し、時間の短縮という価値をお客さまにご提供出来るように頑張ってまいります。
(2)財務関連
(質問)株価の下落を招くような、新株発行を考えているのか?もしも新株発行を考えているならば、コミットメントラインを先に行使するなど、資金調達のステップを工夫できないのか?
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(回答)
コミットメントラインは、万が一に備えての手元流動性確保の手段ですので、まずは、それ以外のあらゆる手段による資金調達については、前広に行ってまいります。具体的には、先般、社債の調達を実行していますし、これから先も、金融機関様、あるいはそれ以外のマーケットからの調達などの可能性を常に検討してまいります。新株発行に安易に頼ることなく、事業構造改革とコストマネジメントの徹底により、23年度には、一株あたりの利益水準をコロナ前に回復させ、希薄化の影響を打ち返してまいりますので、ぜひともご期待ください。
(質問)長期保有株主に対しては、コストをかけずにFLY ONポイントを付与するなど、新たな株主還元の方法を検討し、株価向上を目指してはどうか。
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(回答)
貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございます。株主還元につきましては、まず何よりも継続的、かつ、安定的に配当をもって行うことを基本方針としています。現在、その配当が実施できておらず、大変申し訳ございません。当社としましては、株主割引券のご利用を通じて、当社の商品やサービスを体験していただき、そして社員を知っていただきたいと考えています。3年以上の長期保有の株主さまには、株主割引券を追加で配布しており、大変ありがたいことに対象の株主さまが増えています。これからも株主還元のあり方については、株主さまのお声をふまえながら検討してまいりますが、まずは何よりも最大のミッションである早期復配の実現を目指して頑張ってまいります。
(3)事業・財務以外
(質問)2010年の経営破綻時に整理解雇となった元社員との係争に関し、過去の株主総会においても経営としても解決をしたいと発言されている。一日も早く解決をしてほしい。
※整理解雇に関しては、上記も含め、5件のご質問をいただきました。また、整理解雇に関して、1人の株主さまからは、役員報酬全額返上を求め、第1号議案「取締役9名選任の件」に対する修正動議が提出されましたが、否決されました。
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〔補足〕整理解雇に関する裁判の概要
当社は2010年に経営破たんし、3割を超える大幅な事業規模の縮小と、それに見合った人員削減を行うことが再建の必須条件となりました。当社としましては、特別早期退職や希望退職の募集などあらゆる努力を行いましたが、職種別に設定した削減目標を達することができず、やむを得ず2010年末に計165名の社員の方々について整理解雇するに至りました。その後、本件整理解雇の有効性をめぐり、一部を除く被解雇者より訴訟が提起されましたが、最高裁の決定を受け整理解雇の有効性が法的に最終確定しています。
(回答)
本件については法的に決着がついたものの、当社はその後も解決を求める一部労働組合との間で真摯に話し合いを続けてまいりました。そして、解決へ向けた一歩踏み込んだ対応として、2018年度からは、整理解雇となった方々を含め過去に当社に在籍した社員を対象とした経験者採用を開始しました。その結果、これまでに客室乗務員やZIPAIR Tokyoの運航乗務員、訓練教官を始めとした地上職など、経営破たん当時に希望退職や整理解雇で会社を去られた方々約1万6千名のうち約100名(内、整理解雇対象者は7名)が再就職され、活躍しております。新型コロナウィルス感染拡大による厳しい経営環境をふまえ、当社は2021年度新卒採用の中止に続き、2022年度の新卒採用も見送らざるを得ない状況にありますが、そうした中でも、この一年、労働組合を通じ被解雇者の中で再雇用を希望する方の話を伺い、ご本人の経験や専門性をふまえ、数名を地上職として再雇用するなど解決へ向けた努力を懸命に行ってきています。
その一方、一部労働組合からは、再雇用に加えて「解決金」のような「金銭の支払い等により補償を行うこと」といった要求も受けています。本件につきましては法的に決着していることから、当社としては「解決金」のような金銭の支払いについては、考えていません。
コロナ禍により当社は経営破たん以来、再び厳しい局面に立っています。しかしながら、株主の皆さまを始め多くの方々にご迷惑とご負担をおかけし、同時に整理解雇となった方々を含め多くの社員が会社を去らなければならなかった11年前の経営破たんを、社員全員が二度と繰り返すまいとの強い決意のもと、必死に努力を重ねています。全社員が思いをひとつにして、必ずやこの苦境を乗り越えてまいります。どうぞ株主さまにおかれましては、引き続きご理解、ご支援のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
※上記のほか、第1号議案「取締役9名選任の件」に対する修正動議に際し、役員報酬の現状について、以下のとおり、ご説明いたしました。
当社の役員報酬は、業績への連動性が非常に高い制度となっており、ご理解頂きやすいように、報酬の各配分を大まかな数字でお答えします。全体の報酬を100といたしますと、業績連動部分が50、基本報酬が50という構成となっています。2020年度の業績をふまえ、2021年度の業績連動部分については一切支給をしないということをすでに決定しています。加えて、基本報酬につきましても10%カットを行っていますので、現状は、標準報酬を100としますと、45の支給となっています。
役員一同、今回の無配に対し、改めて深くお詫び申し上げます。中期経営計画をしっかり遂行していくことにより、必ずまた成長軌道に戻し、株主価値の向上を実現できるものと確信をしており、これを実行することで、株主の皆さまのご期待に応えてまいります。
2. 事前に当社ホームページにてお受けしたご質問(一部)
事前に当社ホームページにてお受けしたご質問のうち、複数の株主さまからお受けしたご質問など、その一部について、ご紹介します。お受けしたご質問のうち、「株主優待制度」、「国際線のネットワーク戦略」、「役員のダイバーシティ」については、質疑に先駆けて、株主総会の場でご説明いたしました。
その詳細は、動画形式にて、株主総会(動画)② 対処すべき課題・事前にいただいたご質問・議案上程からご覧いただけます。
なお、今回お受けしたご質問に対しては、個別に回答をいたしかねますのでご了承ください。
また株主総会および以下にて取り上げなかったご質問につきましては、今後の参考とさせていただきます。
(質問)航空需要の回復をどのように想定しているのか?
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(回答)
国際航空運送協会IATAは、世界の航空需要が19年レベルに戻るのは、23年以降になるとの見通しを示しています。ウェブ会議の浸透などでビジネス需要が元には戻らない一方で、人の移動がなくてはならない観光・訪問需要は今後も着実に成長していくものと考えられています。こうした想定のもと、当社は、中期経営計画でお示しした事業構造の改革を行ってまいります。
(質問)航空と鉄道のすみわけを考えるべきではないか?
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(回答)
海に囲まれた日本の地理的特性をふまえると、航空輸送ネットワークは日本に必要な社会インフラであると認識しています。また、欧米と比べ、日本では台風や地震などにより、地上交通が寸断される事例が発生していることをふまえると、交通インフラとして複数の手段を備えておく必要があるとも考えています。2050年にはCO2排出量実質ゼロとする取り組みを着実に進めつつ、社会インフラとして貢献してまいります。
(質問)飛行機の旅が好きなので、出発地と到着地が同じでも、飛行機に搭乗できれば満足します。新たな旅の提案はないか?
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(回答)
出発地と到着地が同じ周遊チャーターについては、コロナ禍で海外旅行ができない中、台湾、タイ、オーストラリア、ハワイなどの雰囲気を楽しんでいただけるものや、機内での航空教室など、お客さまに少しでも旅行気分や、フライトを楽しんでいただける企画に取り組んでいます。今後も、安全・安心を最優先に新たな企画、旅のご提案に取り組んでまいります。
(質問)ワクチンなどの医療品輸送体制について教えてほしい。
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(回答)
契約状況もあり詳細は差し控えますが、4月よりコロナウィルスのワクチンをベルギーから関西空港に輸送しており、今後もワクチン輸送に最大限貢献してまいります。当社が乗り入れていない空港から、マイナス20℃を長時間維持するといった厳しい温度管理をはじめ、きめ細やかなサービスが求められますが、安全に留意しつつ、しっかりとした体制を組んで、確実な輸送を実現してまいります。
(質問)運航乗務員志願者向けのインターンシップの対象が4年制大学に限定されているが、6年制大学にも対象を広げてはどうか?
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(回答)
前回の募集要項では対象者について「現在4年制大学または大学院に在籍している方」と記載していましたが、一般的な6年制大学に在籍する方も対象であると考えています。判断に迷われる方は、ご遠慮なくインターシップ事務局にお問い合わせください。
(質問)航空機から降りる順番を、座席の前方、中央、後方の順に案内されていたが、それを守らない方に対して、どのような対応をしているのか?
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(回答)
お客さまの降機の順番については、機内アナウンスや降機時に放映する機内ビデオなどを通じて、お客さまへソーシャルディスタンスを確保した降機方法のご案内をしています。また、客室乗務員もお急ぎのお客さまには直接お声がけするなど、ご協力依頼をこまめにさせていただいています。
今後もお客さまに安全・安心して降機いただけるよう、取り組んでまいります。