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ステークホルダーとの対話

航空事業のグローバルなサプライチェーンに関して、社会情勢および事業環境の変化を把握し、取り組みに活かしていくため、2019年3月に下田屋毅氏との対話を行いました。

下田屋 毅 氏
1991年大手重工メーカー勤務を経て、2007年渡英。英国イースト・アングリア大学環境科学修士、英国ランカスター大学MBA修了。2017年にASSCを設立。サプライチェーン上の環境・社会課題の解決を行うべく活動を行っている。

一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)
代表理事 下田屋 毅 氏

明確な基準の設定

サプライチェーンマネジメントを行うにあたっては、多角的に見ていかなければなりませんが、特に社会面については、ビジネスと人権に関する指導原則にのっとって、人権・労働の権利を尊重し、優先順位を設定する必要があります。ここでは何が自社のサプライチェーン上にかかわる人々に対して顕著なリスクなのかを考え、それらが顕在化した場合には、自社のリスクとなることも理解し何が本当に優先されるべきかをしっかり理解することが必要となります。自社の取り組みの優先度の設定にあたっては、自社の取引額や、活動を行う国の人権リスクが高いところを選定するなど、何を基準に優先順位を設定しているのか明確にし、そのうえでJALグループの方針などに明示していくことが重要となると思います。

求められる取り組み

サプライチェーン上の人権・労働課題においては、企業に苦情を直接訴えることができない労働者やコミュニティの人々など権利所持者の声をいかに吸い上げることができるかがカギとなります。そのためには苦情処理メカニズムの実効性の高い仕組みづくりが必要となります。自己評価アンケートの分析から、さらに監査を行うことが必要なサプライヤーを選定し実施することで、関係する労働者やコミュニティの人々の状況を確認することができます。しかしすべてのサプライヤーを監査することは不可能であるため、労働者などが使いやすい方法で、労働者側から直接、苦情を受け付ける仕組みを構築し、その中で人権侵害があった場合には救済を速やかに行えることが必要となります。また、この仕組みの構築に際しては、第三者を介在させるなど、苦情や意見を申し出た労働者などの人々が、そのことにより不利益を被らないよう保護される状況をつくることも実効性を高める大きな要因となります。また、サプライチェーン上の環境課題においては、近年より重要視され各国でも法規制が始まっている海洋プラスチック問題への対応を行うこと、また紙を含む原材料調達について配慮することも必要でしょう。

最後に

JALグループでは既に人権課題の洗い出しを行っています。これら人権影響評価を実施した上で基本的なことではありますが、たとえハードルが高くても顕著なリスクのある優先度の高い分野から人権デューディリジェンスに着手することが必要です。その中でサプライチェーン上の課題が上位に来る可能性が高いと思われますが、現段階においてもサプライチェーンマネジメントの一環として、まず一次サプライヤーにはJALグループの人権尊重に関する考え方やサプライヤー行動規範をしっかりと伝え、その上流の二次サプライヤー以降へも影響(レバレッジ)を効かせてJALとして働きかけることが重要になります。勉強会や研修を重ねてサプライチェーンマネジメントに対する理解を社内外でさらに深め、JALグループとして進んで情報開示していくことが企業ロイヤリティを高めるうえでも価値のある取り組みになっていくでしょう。

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