安全を支えるスタッフの業務
安全・安心な空の旅をお客さまにご提供するために、多くの空のプロフェッショナルが携わっています。
運航乗務員
出発前にはまず、空港内のオフィスで、出発および到着空港、飛行ルートの気象情報などを確認し、より安全な飛行に向けての準備を行います。
飛行機に乗り込むと、整備士から整備状況の詳しい報告を受けます。また、運航乗務員自らも機体を点検し異常がないか確認することで、飛行に万全を期すようにしています。
次に、客室乗務員と打ち合わせを行い、緊急時の対応手順、保安に関する情報、飛行ルート上の揺れの予想や目的地の天気などの情報を共有します。
たとえば揺れについては、予測される揺れの程度や時間、それを踏まえたシートベルト着用サイン点灯のタイミングや、機内サービスの工夫を話し合うなど、乗務員が一体となってより安全で快適なフライトに向けた準備を行います。
その後、コックピットでは、飛行に必要な装置類が正しく作動するかを点検します。出発直前には、チェックリストに従い装置類の最終確認を行い、機材の安全性を十分に確認した上で、すべての準備を整えます。そして、管制官から出発の許可を得ると、飛行機は飛び立ちます。
飛行中は、普段の訓練や教育などで培った知識や能力を生かして、天気や空港の状況、自機ならびに周りの飛行機の状況などに注意を払います。
そして、その時々の最適な判断を下しながら、安全で快適なフライトを目指して操縦しています。
目的地に到着した後も、そのフライトを振り返り、安全に関する定められた報告を行います。また、飛行ルートの気象状況や機材の状況をそれぞれの担当者に伝えることで、次の便の安全運航を支えています。
客室乗務員
客室乗務員は、乗務前に機内での一人一人の安全上の役割や、非常用装備品の使用方法などを確認します。また、飛行機が万一の事態に陥った場合に備え、お客さまの脱出方法などについては、映像を用いたイメージトレーニングを行います。
飛行機に乗り込むと、非常用装備品が正しい場所に必要な数揃っているか、ドア(非常口)に異常がないかなどを点検します。その後、お客さまに提供するお食事、お飲み物、サービス用品や機内の清掃状況を確認します。
運航乗務員との打ち合わせでは、緊急時の対応手順、保安に関する情報のほか、飛行ルートや天気、揺れの予報などについて確認し、安全にサービスができるよう計画します。機内の保安点検を行い、全ての準備を整えると、お客さまをお迎えします。
離着陸前には、お客さまがシートベルトを締めていらっしゃるか、手荷物はきちんと収納されているかなどを確認します。飛行中は、客室に異常がないか、体調の悪いお客さまがいらっしゃらないかなど、常に注意を払っています。
お客さまが体調を崩されたり、怪我をされた場合には、機内に常備されている医療関連キットを用いて応急手当を行います。
目的地に到着した後も、フライト全般を振り返り、気づいた点を客室乗務員同士で話し合い、次の乗務に備えます。
航空機内の搭載医療品・医薬品についてはこちらでご確認ください別ウィンドウで開く
整備士
整備士は、飛行機が到着すると、次のフライトに備えた飛行前点検と、運航乗務員や客室乗務員から報告された飛行中の不具合の修復にとりかかります。
飛行前点検では、前のフライトでの飛行機の状況を確認し、また飛行機全体の外観を点検して、機体にへこみや傷がないか、燃料の漏れがないか、タイヤは磨り減っていないか、ブレーキの磨耗具合が正常な範囲に収まっているかなど、数々の点検項目をチェックします。
整備士は、自らの五感を最大限に働かせ、エンジン音の違いなど、飛行機のわずかな異変も見逃しません。鳥の衝突や落雷の形跡があれば、特別検査も行います。
不具合があれば、その原因を的確に突き止め、迅速・確実に修復します。飛行機の安全性だけでなく、お客さまに快適な空の旅を提供できるよう心がけ、日々整備を行っています。
飛行前点検と不具合修復を終えた整備士は、次のフライトを担当する運航乗務員や客室乗務員にその状況を報告し、飛行機の安全性を約束する証として航空日誌(ログ・ブック)に自らの名前を署名して手渡します。
こうして整備士から安全のバトンが手渡され、一便一便の安全運航が確保されています。
運航管理者
飛行機の運航は、霧・降雪・台風・火山などの気象現象や機材故障、その他のさまざまな要因により、影響を受けることがあります。これらの状況を、24時間365日体制でリアルタイムに監視・分析・対処しているのが、本社ビルに設置されたインテグレーテッドオペレーションズコントロール(IOC)です。IOCでは、運航管理者をはじめとするスタッフが、国内・海外を飛行するJALの全ての便の運航を集中管理し、お客さまの安全な空の旅を見守っています。
出発前、運航管理者*1は、気象状況や各種運航情報を確認の上、飛行ルートや飛行高度、機体に積み込む燃料の量などを記したフライトプランを作成します。これらの情報は、各空港のオフィスで、乗務前の運航乗務員に伝えられます。
*1 運航管理者になるためには、国家資格を取得後、社内審査に合格する必要があります。
IOCでは、飛行機が離陸した後も、飛行状況を常に監視しています。天候など刻々と変化する状況の中で、運航に必要な情報を運航乗務員とやり取りし、安全性・快適性の確保を地上から支えています。また、目的地の天候不良、機材故障など不測の事態には、安全のための目的地の変更や出発空港への引き返し、飛行ルートの変更などを、運航乗務員と協議しながら対応します。
また飛行機が到着した後も、今回の飛行について気づいた点などを運航乗務員と情報交換します。
貨物スタッフ
飛行機の貨物室には、電子部品・貴重品・食品・動物など、さまざまな物が搭載されます。貨物スタッフは、これらの貨物が安全運航に影響を与えないよう、注意を払って作業しています。
まず、お客さまから貨物をおあずかりするときは、輸送が禁止されている貨物が含まれていないか、飛行中に貨物が飛行機を傷つけることがないかなどを、書類や貨物の梱包状態などから確認し、必要な場合はその場で検査を行います。
次に、おあずかりした貨物を、容易に積み降ろしができるよう、コンテナなどに積み込みます(小型の飛行機の場合は、おあずかりした貨物を直接飛行機に積み込みます)。
このとき、飛行中に貨物が転倒したり荷崩れするようなことがないよう、一つ一つの貨物の重量・重心に応じた積み方に配慮し、コンテナ上(または飛行機)にしっかり固定します。
最後に、飛行機が安全に運航できるよう、貨物全体の重量を計量し、その結果を貨物や手荷物、燃料などの搭載量を決める部署へ報告します。
貨物の重量は、運航する飛行機の重心位置や制限重量に大きく関係するため、細心の注意を払い、正確に計量して報告します。
グランドハンドリングスタッフ
飛行機が着陸し、駐機場に近づくと、飛行機が駐機場の定められた位置に停止できるよう、運航乗務員に合図を送り、誘導します。マーシャリングと呼ばれるこの作業は、視界の狭いコックピットの運航乗務員に代わり、地上に障害物がないか、別の飛行機と接触しないかなど大きな飛行機を安全かつ正確に動かすため、非常に重要です。運航乗務員に正確に合図が伝わるよう、堂々とした動作が求められます。
飛行機が完全に停止すると、ボーディングブリッジを飛行機に装着します。その際は、飛行機とボーディングブリッジの床に段差やすき間ができないよう、慎重に装着します。
飛行機の種類によって、板を渡して段差を埋めるなど、お客さまがつまずいたりすることのないよう細心の注意を払います。
到着後は、貨物の取り降ろしと次の便のための積み込みを行います。このとき、搭載計画に基づいて作成した書類に従って、慎重に貨物の積み降ろしを行う必要があります。
貨物室内の貨物の位置によって、飛行機が前後のバランスを崩してしまうのを防ぐためです。作業責任者は、計画どおりに作業が進んでいることにたえず目を光らせています。
このように、飛行機が地上にある間も、お客さまや飛行機の安全のため、多くのスタッフが日夜懸命に努力を重ねています。
グランドサービススタッフ
お客さまに安心してご利用いただくため、チェックインカウンターではご搭乗手続きの際は、お座席やご搭乗口などを正確にご案内するよう心がけています。
また、お手荷物をおあずかりする際は、安全のため、貨物室におあずかりできない物品が含まれていないかなどをお尋ねし、お客さまにご協力いただいています。
搭乗口では、お乗りいただく全てのお客さまが搭乗されたかどうか、自動改札機の通過状況によって確認しています。
出発時刻までに搭乗口にお見えにならないお客さまがいらっしゃった場合には、機内でのお呼び出しなどを行います。
万一、どうしてもお客さまがいらっしゃらない場合は、安全のため、おあずかりした手荷物を取り降ろさせていただいてから、飛行機は出発します。