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安全管理の実施

安全管理の方針に則り、安全管理システムを円滑に機能させるために次のような安全管理を実施しています。

安全に係わる情報の収集と周知

情報の収集

不安全事象に関する各部門からの報告、飛行データ解析プログラム、乗務員の疲労リスク管理プログラム、アルコールに係るリスク管理プログラムなどから得られる情報を幅広く収集し、不安全事象の発生防止に活用しています。

疲労リスク管理プログラム

運航の安全性向上と品質の改善に資するため、運航乗務員および客室乗務員の疲労に関するデータを収集してこれに基づき適切に是正措置を講じるリスク管理を実施しています。

(疲労リスク管理方針)

運航の安全性向上のために、運航乗務員および客室乗務員の業務において、疲労が常に存在するハザードであると認識し、疲労リスクを管理し、低減することに努める。
日本航空の疲労リスク管理は、会社が行うすべての運航に適用され、科学的見地や実績に基づいたデータドリブンによる継続的なリスク管理により実施される。疲労リスク管理は、会社や乗務員がそれぞれの責務を果たすことで成り立つ。

社員への周知

収集した情報の中でも、不安全事象の再発防止や、安全意識向上の目的で社員に周知することが重要な情報は、社内周知文書や安全に関するホームページでJALグループ社員に周知を行っています。
安全に係る情報の主な周知媒体は以下のとおりです。

  • JALグループの安全方針を示すための社内文書「Corporate Safety」
  • JAL Webサイト「安全・安心」ページ
  • 社内イントラネット「安全」ページ
  • 安全情報誌「FLIGHT SAFETY」

JAL Webサイト「安全・安心」ページ

安全情報誌「FLIGHT SAFETY」

リスクマネジメント

JALグループでは、安全対策の策定や事故・トラブルなどへの対応の推進にあたり、以下のステップによる、リスク管理を実施しています。

ハザードの特定

収集した不安全事象などの情報をもとに、航空事故・重大インシデントなどにつながる可能性のある危険要素(潜在的なものを含む)であるハザードを特定します。
安全に関するすべての発生事例は、JALグループ共通のデータベース(JSD:JAL Safety Database)で管理しています。グループ内で発生した事例は、データベースにより速やかに共有されます。
JALグループでは、社員が経験した不安全な行動、発見した不安全な状態、およびそれが起因となった不安全事象に関する報告をしやすい環境を整備し、社員の報告を奨励しています。

リスクの評価

特定したハザードの影響の重大性や発生の確立を見極め、その結果としてもたらされるリスクが許容可能であるかを評価し、対策の必要性を検討します。複数のリスクに対しては、必要に応じリスクの優先順位付けを行います。
発生部門におけるリスク評価に加え、安全推進本部ではERCによるリスク評価を行い、潜在リスクの早期発見と低減を図っています。

■ERC(Event Risk Classification)によるリスク評価

発生した事象が、「どの程度、深刻な事故に至る可能性があったか」と「事故に至ることを防ぐ現状のしくみ(防護壁)はどの程度有効か」という視点で評価を行い、事故へ発展することの未然防止の強化を図っています。また、リスクを点数化して分野ごとに一定期間積算することで、事例の集中傾向や発生頻度も監視しており、設定したしきい値を超えると、Safety Issue (安全上の懸念点) を探り、必要によりリスクの低減を行います。

対策の立案

優先度の高いリスクから、リスクが許容レベル以下に低減されるように個々のハザードに対する対策(ハザードの除去など)を各本部が主体となって対策を立案し、実施しています。

■HFACS(Human Factors Analysis and Classification System)による要因分析

ヒューマンエラーを削減するため、直接的な不安全行動だけでなく、背後にある手順や作業環境、組織的な影響に至るまで幅広く分析し、深層要因に対策を講じます。また、抽出された要因を統計的に分析し、組織に潜在する課題に対応することでヒューマンエラーの未然防止に取り組んでいます。

モニターおよびレビュー

JALグループでは安全管理指標としてSPI(Safety Performance Indicators)を定め、対策の実施状況をモニターし、有効性評価を行います。リスクが許容できるレベルと判断されない場合は、さらに追加対策を立案・実行することで安全管理システムが有効に機能するよう努めています。

ERCを活用し実際に洗い出されたリスクとそのリスクを緩和するためにとった対策の例

【不安全事象】
B767型機において、中央列の頭上手荷物収納棚の扉が離着陸中に不用意に開き、手荷物が落下する事象が複数件発生した。

ハザードの特定

調査の結果、当該収納棚扉のラッチ機構(ロック機構)が離着陸時の振動等で外れやすいことが判明した。

リスクの評価

機内における負傷リスクの観点でのERC評価で90日間の積算値がしきい値を超えたためSafety Issueに認定した。

対策の立案

・扉が開いても手荷物が滑り出ないよう、収納棚内に滑り止めテープを装着
・改良型ラッチ機構(ロック機構)に変更

モニターおよびレビュー

対策実施後、手荷物の落下事例の発生はない

【不安全事象】
冬の新千歳空港において、大型野生動物(鹿)が滑走路内に侵入した。

ハザードの特定

調査の結果、侵入経路付近において、積雪により柵を乗り越えやすい状態になっていることが判明した。

リスクの評価

機体損傷および滑走路逸脱のリスクの観点でのERC評価の結果、対策を実施することとした。

対策の立案

定期的な除雪を実施することとした。

モニターおよびレビュー

対策実施後、大型野生動物の侵入事例の発生はない。

【不安全事象】
A350型機において、頭上手荷物収納棚の扉が離着陸中に不用意に開き、手荷物が落下する事象が複数件発生した。

ハザードの特定

調査の結果、扉の閉め方が十分ではないとラッチ機構のかかりが甘くなり、離着陸時の振動等で扉が開いてしまうことが判明した。

リスクの評価

機内における負傷リスクの観点でのERC評価で90日間の積算値がしきい値を超えたためSafety Issueに認定した。

対策の立案

客室乗務員による目視および触手によるラッチ機構のロック確認方法の変更した。

モニターおよびレビュー

対策実施後、手荷物の落下事例の発生はない。

【不安全事象】
B777型機において、電動ビジネスクラスシートを子供が操作し、体を挟まれてしまった。

ハザードの特定

調査の結果、シートの可動域内に物や人が挟まると自動停止する機能はあるが、小さいものの場合には自動停止しない可能性があることが判明した。

リスクの評価

機内における負傷リスクの観点でのERC評価の結果、Safety Issueに認定した。

対策の立案

リフレットおよび客室乗務員による乗客への注意喚起を実施した。

モニターおよびレビュー

対策実施後、子供が挟まれる事例の発生はない。

緊急事態発生時の対応

事故・重大インシデントおよび事件の処理業務に係わる基本事項や処理手順は、航空事故処理規程に定められています。 事故・重大インシデント発生時は、それぞれ事故調査委員会および重大インシデント検討会を設置し、原因調査を行い再発防止を図ります。事故・重大インシデントおよび事件以外の緊急事態の処理業務に関しては、リスクマネジメントマニュアルに定めています。

災害に対する措置

近年、⾃然災害の頻発化・激甚化が日常生活を含む社会経済活動全般の脅威となっており、運送事業者には、発災時の被害軽減・拡⼤防⽌、事業活動の維持や早期回復など、⾃然災害への対応能⼒の向上が求められています。JALグループでは、これらの状況をふまえて「JALグループ災害対策規程」を新設し、防災・減災に向けた平時の備えの強化と発災時の事態対処体制を整備しています。

内部監査

国土交通省や国際航空運送協会(IATA)が定める要件に基づく内部監査を定期的に実施し、安全管理体制の改善事項を自発的に抽出し、安全水準の向上を図っています。

マネジメントレビュー

グループ安全対策会議にて、方針や計画について、毎年見直しを図るとともに、安全管理システムが有効に機能しているかの評価・改善を行うなど、定期的、継続的なレビューを行っています。

変更管理

安全に影響を及ぼす可能性のある組織の拡大・縮小や設備、システム、プロセス、手順の変更などに伴い生じるリスクを確実に管理するために、変更管理プロセスを設定し、対策しています。

第三者による評価

国土交通省

国土交通省大臣官房による運輸マネジメント評価および航空局による安全監査立入検査を受け、指摘事項や助言事項に対し要因分析を行い必要な是正措置を講じています。

IOSA (IATA Operational Safety Audit)

IOSAとは、航空会社の安全管理体制が有効に機能していることを確認するための国際的な安全監査プログラムであり、JALグループでは、日本航空、日本トランスオーシャン航空、ジェイ・エアが、IOSA登録航空会社となっています。IATA加盟の航空会社は定期的に受検する必要があります。

安全アドバイザリーグループ

JAL グループは、2005年8月より、ヒューマンファクター、失敗・欠陥分析、組織運営・文化、安全などに幅広い知識、経験を有する5名の先生方からなる安全アドバイザリーグループを設置しています。客観的かつ専門的見地から、安全に関する幅広い助言や提言をいただき、グループ経営や安全業務に活かしています。

安全アドバイザリーグループの先生方
後列左から、芳賀氏、小松原氏
前列左から、畑村氏、柳田氏(座長)、鎌田氏

経営とのフォローアップ会議

教育・訓練と安全啓発

JALグループでは、安全に係る業務に必要な技能、知識および能力を身につけるため、社員それぞれの役割・地位に応じて必要な教育・訓練を実施しています。また、必要な安全に係る情報を周知し、定期的な安全啓発を実施しています。

三現主義に基づく取り組み

三現主義とは、安全アドバイザリーグループの畑村洋太郎氏が提唱する、現地(事故現場)に行き、現物(残存機体、ご遺品等)を見て、現人(事故に関わった方)の話を聞くことで物事の本質が理解できるという考え方です。

JALグループでは、「現地」である御巣鷹の尾根に慰霊登山を行い、安全啓発センターで残存機体などの「現物」と向き合うこと、さらには、当時のニュース映像の視聴や事故に直接関わった方による講話などにより、事故を経験した 「現人」と接することを通して意識の奥底から安全の重要性を啓発しています。

新入社員安全セミナーにて
慰霊登山する様子
安全啓発センター
安全講話~語り継ぐ~
事故当時の状況を知る
現人の講話を聴講する様子

安全に係る教育

JALグループ存立の大前提である安全を堅持するため、日常業務に必要な知識・技術・能力を身につける教育に加え、常に高い安全意識をもった社員を育成するための教育を実施しています。

JALグループ安全教育

JALグループ全社員を対象に、「安全を大前提とする意識」を醸成することを目的として、自らの業務と安全を結びつけるための安全教育を毎年実施しています。

第3回JALグループ安全教育イメージ図

第3回JALグループ安全教育

JALグループ新入社員安全セミナー

JALグループの新入社員を対象に、「日本航空の過去の事故について知る・感じる・考える」、「社員一人一人が、安全を堅持するために、当事者意識を持って何をしなければならないかを深く考える」ことを目的としてグループ共通の教育を実施しています。この教育では、安全啓発センターの見学や、御巣鷹の尾根への慰霊登山、事故に直接携わった方のインビュー映像の視聴を通して安全について考えます。そして最後に、自らの考えを安全宣言として言語化することで自らの行動と結びつけることにより、安全の層を厚くしています。

御巣鷹の尾根への慰霊登山の様子

新任管理職安全セミナー

JALグループの新任管理職を対象に、「管理職として組織や部下を率いる立場として業務と安全とのつながりを認識し、安全を守っていく覚悟を新たにする」ことを目的として、グループ共通の教育を実施しています。 改めて過去の事故に向き合い、三現主義に触れることで、管理職の立場から業務や組織と安全のつながりを考え、自らの覚悟を安全宣言という形で言語化することによって、安全意識の醸成と浸透を図っています。

安全啓発セミナー

JALグループ社員と業務委託先スタッフを対象に、安全啓発セミナーを実施しています。
これは、社員が自発的に参加するセミナーであり、安全啓発センターの見学や、御巣鷹の尾根への慰霊登山などを通して安全意識を啓発する機会を提供しています。

安全啓発セミナーでの慰霊の様子

アルコールに関する教育

JALグループ全社員を対象に、JALグループの飲酒問題を振り返ることで安全意識を新たにして形骸化を防ぐとともに、自己管理の徹底に向けアルコールに関する正しい知識を再確認することを目的として、アルコールに関する教育を毎年実施しています。

安全文化

安全文化とは、組織文化のことであり、組織に属する人の、安全に対する共通意識のことです。JALグループは、これまでの歴史の中で得られた教訓をもとに、安全文化の醸成に取り組んでいます。

「報告する文化」

安全管理を適切に行うには、不安全事象の報告が不可欠です。このため、安全上の問題が顕在化する前に未然防止することを目的として、自発的報告制度を導入し、軽微なヒューマンエラーであってもそれを報告し、未然防止対策に活用しています。
また、2007年からは、十分注意していたにもかかわらず発生したと会社が判断するヒューマンエラーは懲戒対象としないとする主旨の非懲戒方針を本邦航空会社の先駆けとして導入することで、社員が率先して報告しやすい環境を整え、報告を奨励しています。

「自ら意思決定し、挑戦する文化」

JALグループは、急速に変化する環境に適応し、持続的な成長・発展の実現を目指しています。社員一人ひとりが権限と責任のもとに自ら意思決定することは安全の観点からも極めて重要なことであり、円滑、迅速な意思決定ができるよう意思決定プロセスの見直しなど改善を図っています。

「コミュニケーションする文化」

JALグループでは、コミュニケーションを促進し、社員同士が対面して肉声で情報を共有し、情報を相手の血肉として伝える「場」を意図的に創出しています。社員が部門の垣根を超えて集まり、組織活性化のための活動を2006年から継続しています。また、些細な確認不足を防ぐために、双方向性を持ったコミュニケーションとして「確認会話」を用いています。確認を徹底し、職場における作法として根付かせるために取り組んでいます。

「マニュアルを磨いていく文化」

JALグループでは全社員が常に「なぜこの手順なのか」など自問自答することで、マニュアルの真意を理解するよう努めています。また、マニュアルは守るためにありますが、変えるためにもあります。そのため、マニュアルを運用する立場から工夫すべき余地を見出し、メーカーなどと一体となって改変するなど、質、量の観点から定期的に棚卸しする枠組みを整備しています。

「「2.5人称の視点」の文化」

JALグループでは社員一人ひとりがお客さまの立場に立って考えるため、航空のプロフェッショナルとしての専門性を備えた「3人称の視点」に、自分や自分の家族がお客さまだったらという「1人称・2人称の視点」を合わせもった「2.5人称の視点」を大切にしています。

安全文化醸成に向けた取り組み

社員と経営とのダイレクトコミュニケーション

JALグループでは、経営トップをはじめ、運航、整備、客室、空港、オペレーション、貨物郵便など生産に携わる部門の役員が日頃から積極的に現場に出向き、社員と直接コミュニケーションを図る機会を設けています。加えて、夏期安全キャンペーン、年末年始輸送安全総点検実施時には、生産に係る部門だけでなく、総務、経理、人財、IT企画など一般管理部門の役員も、国内外の空港や、運航、客室、整備、オペレーション、貨物郵便などの現場を訪問しています。

役員による職場巡回の様子

役員による職場巡回の様子

社員と経営による車座ミーティングの様子

社員と経営による車座ミーティングの様子

CLM活動(コミュニケーションリーダーミーティング)

CLMとは、風通しの良い企業風土の醸成や自発的・主体的行動の促進、さらには現場力の強化を目的として、全国各地からさまざまな職種の社員が部門の壁を越えて集い、社内相互コミュニケーションを図る場です。
職種や職場を超えた仲間が、JALグループに顕在・潜在化するさまざまな課題を解決するために肉声で議論し、解決に向けて主体的に取り組むことで部門を越えた繋がりや、幅広い視野を形成するための取り組みです。

経営に対する活動報告会

経営に対する活動報告会

社員表彰

JALグループでは、褒める文化の醸成と安全意識のさらなる向上を目的として社員表彰を行っています。JALグループ全社表彰制度「JAL Awards」の「安全の砦」部門では「安全憲章の趣旨に則り行動したことでトラブル等を未然に防いだ」事例や、「各種イレギュラー事例等の分析・報告を行い、知識の共有化と再発防止に大きく寄与した」社員を表彰しています。

また、上記の表彰に加えて、「わずかな異変も見逃さず、トラブルを未然に防いだ」事例などに対して、安全推進本部長が、関わった社員に直接感謝状を授与する取り組みも実施しています。

感謝状授与式の様子

感謝状授与式の様子

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