キャリア/リスキル
基本的な考え方
事業構造改革による人財ポートフォリオの最適化と急速な社会環境の変化の中で社員に求められる役割が変化しており、その変化に対応していけるよう、自律的キャリア形成への転換とリスキルの支援を行います。
社員が自ら希望する部門を指定できる立候補型人事制度の導入や、社員一人一人が持つスキルや能力を活かせる社内副業制度などの自律的キャリア施策、またDX教育やセカンドキャリアに向けた学び直しを行うことにより、社員が自らのキャリアを責任を持って形成していけるよう支援していきます。
自律的キャリア形成
社員の自律的キャリア形成を促すために、社内イントラネットの「CAREER Page」による情報発信や、JALグループで活躍する社員がキャリアについて対談する「JAL CAREER TALK LIVE」の開催、キャリア研修の導入など、社員がキャリアについて考える機会を創出しています。また、社員が国家資格を持つ社内キャリアコンサルタントとキャリア形成について相談できるキャリアコンサルティング面談を導入しました。
今後も、社員が自らキャリアを形成できる環境をつくり、社員エンゲージメントの向上を目指します。
JALグループ基本教育・研修体系
リーダー人財、安全・サービスのプロフェッショナル人財の育成に主眼を置き、2012年度からJALグループ共通の基本教育・研修体系を策定し、この体系に基づき教育・研修に取り組んでいます。従来からある階層別研修に加え、ビジネス・マネジメントスキル向上を目的とした経営力向上研修や公募型のチャレンジ研修など、組織横断的に実施するプログラムを拡充しています。

JALフィロソフィをベースに
JALグループでは、多様な背景や価値観を持つ社員一人一人が1つのチームとして結びつき、多様性を受容しながら自律的に成長できる環境を継続的に提供しています。特に、JALフィロソフィ勉強会やリーダー勉強会は、多様な部門や職種、雇用形態(正社員・契約社員など)、世代を超えてお互いの経験を共有しながら学ぶ場です。全社員が「人間として何が正しいか」を判断軸に日々の行動を振り返り、仲間と対話を重ねることで、多様性の受容と、自律的な行動を生み出しています。
多様な人財が協働するときに共通の判断軸があることは、社会に対する一貫性ある価値提供を継続的に生み出す原動力になっています。
階層別研修
JALグループでは、新入社員教育や新任管理職研修やエリア責任者研修の共通の研修に加えて、各社のキャリアパスに応じた教育・研修を実施しています。各階層において求められる基礎知識の習得と、役割認識を深める場としています。

キャリア研修
若手からシニア層まで、各年代においてJALグループで活躍する姿をイメージし、自身のキャリアを振り返り、今後のキャリアビジョンを描く目的で実施しています。

ライフプランセミナー
定年を5年以内に迎える予定の社員を対象に、高年齢者雇用に係わる社会的な要請、企業としての効率的な人員配置、多様化するライフプランへの対応などの観点を踏まえ、より充実した人生を過ごすために、今後のキャリアについて考えるためのセミナーを開催しています。
職場改善プログラム(アドバンス)
将来の管理職候補者の育成を目的に、入社4年目の社員を対象に問題解決手法や論理的思考を学ぶ研修を実施しています。研修終了後、半年間にわたって職場の業務改善に取り組み、その後、発表会で成果を発表し、各職場の業務改善の成果を共有します。
ビジネススキル研修
業務遂行に必要とされる、論理思考力や問題解決力、タイムマネジメントなどのビジネススキルを学ぶ機会を提供しています。
一般的なビジネススキルに加えて、航空業界に特化したエアラインビジネス研修やダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)研修にも力を入れています。

活動型研修
JALグループでは、活動型研修を通じて自発的・主体的行動を促進し、自燃性のコミュニケーションリーダーの育成を行っています。各種プログラムをとおしてグループ共通の課題解決に向けて実践する活動型の研修です。

グループマネジメント研修
リーダー候補の育成プログラムをグループで共通化し、会社の垣根を越えて実力を高め合う機会を設けています。その上で、JALグループの経営やマネジメントにおける役割の大きさが一定以上のポストを「グループマネジメントポスト」と位置づけ、能力と意欲のある社員が出身会社の枠にとらわれず登用される、グループマネジメント制度を導入しています。

JALグループ次世代リーダー育成研修
JALグループ次世代研修は、JALグループのさまざまな分野の会社(航空、貨物、販売、予約、整備、グランドハンドリングなど)の次期管理職候補を対象に毎年開催しています。この研修では、JALグループの管理職として求められる役割、JALグループの経営戦略、マーケティング、財務・会計、3C分析手法、PEST分析手法などを学びます。当社のシリコンバレーのスタッフにより「新しい価値の創造」の理論と実践をテーマに講義をおこないました。これらの学びを基に、1チーム基本5名で構成される7チームにより、JALグループの企業価値向上と事業上の利益を上げる事業変革企画書の作成に、約3か月間取り組みます。そして、私たちは、各チームの企画書の発表会を開催しています。
DX人財教育
デジタル技術の活用により、顧客や社会のニーズに応えるサービスやビジネスモデルの構築、社内における旧来のプロセスや組織風土などを変革し新たな価値を創造するDX人財の育成を実現するため、グループ全社員(約36,000名)を対象としたDX基礎教育を実施しています。加えて、経営層や実務者層など各レベルに合わせたDX教育も実施しています。
エンパワーメントプログラム
具体的な事例を元に解決の手法を議論する「ケースメソッド」と、先輩社員との対話や助言で気付きを得る「メンタリング」という手法を用い、マネジメントを行う際の実践的な思考に触れていきます。また、“組織を運営する”ということをより身近に、より現実的に捉えることで、自分自身はどのようなリーダーになりたいのかを具体的にイメージし、日々の業務での課題克服や自己啓発につなげることを目的とした研修です。
社員一人当たりの平均研修時間・研修費用
評価制度
当社では、社員が自ら掲げた目標に対する成果と実践状況を振り返り能力開発の契機とすること、また、上司は評定を通じて部下に対する人財育成に繋げることを目的に、人事評価を行っています。
具体的には、個人目標の成果と、各目標の達成に向けて発揮した行動を、「会社の求める人財像における主要な要素」と結びつけて評価を行う、PFO(Performance for Objectives)と呼ぶ独自の評価方式により行っています。
個人目標は、年度の初めに所属する組織の目標に基づき、上司との対話を経て設定します。
半年後には中間レビューとして、上司とともに個人目標の進捗に関するレビューを行います。年度の終わりに、「人財レビュー・ミーティング」が開かれ、複数の部門により多面的に人事評価を行います。その後、社員は上司とともに目標達成の成果と過程(実践状況)をそれぞれ確認し、自身の強みと啓発点を上司と共有します。強みと啓発点は、評価の過程で用いられた「会社の求める人財像における主要な要素」に沿って示されますが、それぞれの要素に合わせた教育・研修メニューが用意されており、評価を受けて、各自にあったメニューを選ぶことができます。
このように上司と高頻度に対話しつつ、目標に対するフォローアップや成果に対するフィードバックを受けることで、社員の育成へとつなげ、最終的には所属組織の目標達成へとつなげていきます。
また、2023年度からは、組織のマネジメント層に対する360度評価も導入しています。