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航空事故・重大インシデントの概要とその対策

過去に発生した事例と、その後の対策をご説明します。

2017年度

航空事故

航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災などの事態が該当し、国土交通省が認定します。

2017年度は、航空事故はありませんでした。

重大インシデント

航空事故には至らないものの、事故が発生するおそれがあったと認められるもので、滑走路からの逸脱、非常脱出、機内における火災・煙の発生および気圧の異常な低下、異常な気象状態との遭遇などの事態が該当し、国土交通省が認定します。

日本航空006便の離陸後の引き返し

概要

2017年9月5日、日本航空006便(東京国際空港発 ニューヨークJFK空港行)が、離陸中に左エンジンの不具合が発生したため、当該エンジンを停止し、燃料投棄を行った後、東京国際空港に引き返しました。
到着後のエンジン内部の検査において、エンジン後部の低圧タービンなどに損傷があることを確認されたことから、国土交通省航空局より、重大インシデントと認定されました。

原因究明など

本件は、国土交通省運輸安全委員会による調査が行われ、2019年10月31日、航空重大インシデント調査報告書が公表されました。報告書には、「同機が離陸した直後に、第1(左側)エンジンの低圧タービン(LPT)の複数段の静翼及び動翼が損傷したため、それらの破片の一部がタービン・リア・フレーム(TRF)に衝突して開口が発生したものと推定される。低圧タービンの複数段の静翼及び動翼が損傷したことについては、LPT 第5 段静翼の1 枚が破断したことによるものと推定される。LPT 第5 段静翼の1 枚が破断したことについては、アーチバインディング*による応力集中により生じた亀裂がエンジンの運転に伴う繰り返し応力により破断に至ったものと推定される。」と述べられています。
*隣り合う静翼セグメント同士が密着して互いの動きが拘束された状態のこと。エンジンの各構造部はエンジン運転時の熱により膨張するが、静翼セグメントが周りの構造部よりも早く膨張した場合、静翼セグメントの膨張を逃がす隙間がなくなり、静翼セグメント同士が強く密着することになってしまい、その結果静翼上に応力が集中します。

対策

本事象の発生後、当社では以下の対策を行っています。

  • 777-300ER全機のエンジンについて、低圧タービン第5段静翼の健全性を確認する緊急点検を実施し、他のエンジンに不具合のないことを確認しました。その後さらに250飛行サイクル毎の繰り返し検査を実施しています。
  • 第5段静翼破断の原因となる静翼セグメント同士の密着が発生することを防止するため、メーカーは静翼セグメント間の隙間を広げる改修を指示する技術通報を発行しました(2019年8月)。同技術通報に従い、777-300ER型機のエンジンについて11 月取り卸しのエンジンより改修を始めます。
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