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航空事故・重大インシデントの概要とその対策

過去に発生した事例と、その後の対策をご説明します。

2018年度

航空事故

航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災などの事態が該当し、国土交通省が認定します。

日本航空514便の揺れによる客室乗務員の負傷

概要

2018年6月24日、日本航空514便(新千歳空港発 東京国際空港行)が巡航中に突然の大きな揺れに遭遇した際に客室乗務員が転倒し、左足首を負傷しました。診断の結果、左足外果骨折が判明し、同日、国土交通省航空局より航空事故と認定されました。なお、お客さまにお怪我はございませんでした。

原因究明など

本件は、国土交通省運輸安全委員会による調査が行われ、2019年9月26日に事故調査報告書が公表されました。報告書には、「本事故は、同機がジェット気流の側縁を通過中、晴天乱気流に遭遇したため、機体が大きく動揺し、機体後方通路にいた客室乗務員が転倒して、重傷を負ったものと推定される。同機が晴天乱気流に遭遇したことについては、同機の飛行経路上に運航乗務員が飛行前に確認した予報よりも強まった鉛直方向のウインドシア域が存在したことによるものと考えられる。」 と述べられています。

対策

本事故発生後、当社では以下の対策を速やかに実施しました。

  • 「シートベルトサインの運用に関するガイドライン」を改定し、客室乗務員は揺れが大きく安全上問題があると判断した場合は運航乗務員へ報告し、シートベルトサインの点灯を要請すること、要請を受けた運航乗務員は直ちにシートベルトサインを点灯させることを明確化。
  • 客室乗務員に対し、以下の内容について再周知。
    • 飛行中は常に揺れる可能性があることを踏まえ、突然揺れた際には自身の安全を確保すること
    • 運航乗務員とサービス可能時間に対する共通認識を持ち、サービス内容が適切であるかを検討すること
    • 客室乗務員が負傷し業務不可となった場合には役割・担当ドアを再アサインすること、など
  • 客室乗務員の定期安全教育において、揺れに遭遇した場合の対処方法を実技訓練に追加。
    また、運航乗務員が気象の変化をより的確に把握できるよう、以下に取り組んでいます。
  • 運航乗務員が運航中の機内でiPadを用いて最新の気象情報を確認出来る仕組みの構築。2019年度内に一部機種において運用開始予定。
  • 飛行中の運航乗務員から逐次報告される揺れの情報を地上システムへ自動的に取り込み(2019年度内に実用化見込み)。取り込まれた揺れの情報は、飛行経路の最新の状況として、ブリーフィング時などに運航乗務員へ提供。

重大インシデント

航空事故には至らないものの、事故が発生するおそれがあったと認められるもので、滑走路からの逸脱、非常脱出、機内における火災・煙の発生および気圧の異常な低下、異常な気象状態との遭遇などの事態が該当し、国土交通省が認定します。

日本航空632便の離陸後の引き返し

概要

2018年5月24日、日本航空632便(熊本空港発 東京国際空港行)が、離陸上昇中に左エンジンの不具合が発生したため、熊本空港に引き返しました。 また、熊本県上益城郡益城町にて、当該エンジンの部品の一部と見られる落下物が発見されました。
到着後の検査において、エンジン後方のタービン部などに損傷があることが確認されたことから、国土交通省航空局により、重大インシデントと認定されました。

原因究明など

本件は、国土交通省運輸安全委員会による調査が行われ、2020年7月30日、航空重大インシデント調査報告書が公表されました。この報告書において、原因は「同機が上昇中、第1(左側)エンジンのHPT(高圧タービン)2段目13番ブレードが破断したため、その後段のブレード(動翼)およびステーター・ベーン(静翼)等を破損し、これらの破片がLPT(低圧タービン)ケースに衝突して、開口(裂け目)が発生したことによるものと推定される。13 番ブレードの破断は、TA(Turning Around(ブレード内部を流れる冷却空気の分岐・折り返し))部に生じた亀裂が進展したことによるものと推定される。13番ブレードのTA部に生じた亀裂は、ブレードのコーティング層に生じた高温腐食による膨らみ(ブリスター)や亀裂を起点とする低サイクル疲労により生じたものである可能性が考えられる。」と推定されています。

対策

本重大インシデント発生後、当社は以下の対策を講じました。

  • 767全機のエンジンについて、高圧タービンブレードの健全性を確認する緊急点検を実施し、 ほかに不具合のないことを確認しました。その後、従来の400飛行サイクルごとの定例検査に加え200飛行サイクルごとの追加検査を実施しました。
  • 今回破断に至ったものと同型かつ同時期に製造された第2段ブレードが取り付けられていた7台のエンジンを優先して、内部形状等を変更した新型のブレードへの交換を、2018年11月までに完了しました。また、製造時期が異なるブレードについても、2020年3月までにすべて新型のブレードへの交換を完了しました。

琉球エアーコミューター804便着陸滑走路への他機の進入

概要

2018年6月14日、琉球エアーコミューター804便(宮古空港発 那覇空港行)が、管制官からの着陸許可を得て滑走路へ進入中に、他機が停止位置を超え滑走路に進入したため着陸許可が取り消される事例が発生いたしました。その後、琉球エアーコミューター機は管制官からの指示に従って進入を続け、再度管制官より着陸許可を得て着陸しました。お客さまのお怪我はございませんでした。また、乗員にも怪我はございませんでした。
本事例は、「航空法施行規則第166条の4(重大インシデント)に掲げる事態」に該当するとして、国土交通省航空局により、重大インシデントと認定されました。

原因究明など

本件は、国土交通省運輸安全委員会による調査が行われ、2019年7月25日、航空重大インシデント調査報告書が公表されました。報告書には、「緊急発進中の航空自衛隊編隊機2機が、航空管制官の指示を思い違いをしたため、琉球エアーコミューター機が着陸許可を得て着陸進入中の滑走路へ誤って進入したものと推定される。緊急発進中の編隊機が航空管制官の指示を思い違いしたことについては、一時的に那覇基地で勤務していた編隊長及び2番機機長がタイムプレッシャーの下で地上走行に多くの意識が向いていたこと、那覇空港の灯火設備等の環境に慣れていなかったこと並びに那覇基地の無線交信等の運用を十分習得していなかったことが関与したものと考えられる。」と述べられています。

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