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航空事故・重大インシデントの概要とその対策

過去に発生した事例と、その後の対策をご説明します。

2023年度

航空事故

航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災などの事態が該当し、国土交通省が認定します。

日本航空 516 便と海上保安庁機の衝突事故について

概要

2024年1月2日、日本航空516便(新千歳空港発 東京国際空港 羽田行)が羽田空港に着陸後、海上保安庁の航空機と衝突し、滑走路脇で停止、炎上しました。この衝突により、海上保安庁の機体に搭乗していた6名の乗務員のうち5名がお亡くなりになりました。当社便にご搭乗されていたお客さま、乗務員は全員脱出しました。
本件は、同日、国土交通省航空局により航空事故に認定されました。

原因究明など

本件は、国土交通省運輸安全委員会に原因究明などの調査が委ねられています。 JALグループは同機関の調査に全面的に協力してまいります。

重大インシデント

航空事故には至らないものの、事故が発生するおそれがあったと認められるもので、滑走路からの逸脱、非常脱出、機内における火災・煙の発生および気圧の異常な低下、異常な気象状態との遭遇などの事態が該当し、国土交通省が認定します。

日本航空585便着陸時の予備燃料の不足

概要

2023年7月12日、日本航空585便(東京国際空港発 函館空港行)において、函館空港視界不良のため代替空港である新千歳空港へ向かいました。新千歳空港へ向かうに当たり、着陸時に残存させる予備燃料が、社内規定量(30分間の飛行が可能な燃料量)を下回る可能性を考慮し、管制官に対して着陸にあたり優先的取り扱いを要求しました。実際に着陸した時には5分間分不足し、25分間飛行が可能な量の燃料が残る結果となりました。お客さまにお怪我はございませんでした。また、乗員にも怪我はございませんでした。
本件は翌日に「航空法施行規則第166条の4(事故が発生するおそれがあると認められる事態)」に掲げる「緊急の措置を講ずる必要が生じた燃料の欠乏」に該当するとして、国土交通省航空局により、重大インシデントに認定されました。

原因究明など

本件は、国土交通省運輸安全委員会による調査が行われ、2025年3月27日、航空重大インシデント調査報告書が公表されました。この報告書において、原因は「飛行計画上のオルタネート・フューエル(目的地から代替飛行場までの飛行に必要な燃料)の計算根拠となっていた滑走路とは異なる滑走路に着陸する場合に必要なオルタネート・フューエルが搭載されているとの考えの下で同機運航乗務員による燃料の管理が行われていたため、函館空港から新千歳空港に目的地を変更して飛行中、新千歳空港着陸時の残存燃料がファイナル・リザーブ・フューエル*を下回ることが判明し、緊急事態を宣言したものと推定される」とされています。
*ファイナル・リザーブ・フューエル:飛行場標高から450m(1,500ft)の上空で、30分間待機速度で飛行するのに必要な燃料の量

対策

本重大インシデント発生後、当社は以下の対策を講じました。

    1)Operations Manual(運航規程) を改訂し、燃料の使用について、「着陸時に少なくとも飛行計画上のファイナル・リザーブ・フューエルを確保すること。」と記述し、運航乗務員、地上運航従事者に周知しました。

    2)ルート・マニュアルのオルタネート・フューエルの算定方法に係る記述を改訂し、運航乗務員に周知しました。

  • 一部の空港を除き、目的地を変更した後、代替飛行場に着陸するまでの飛行距離がより長くなる滑走路を想定してオルタネート・フューエルの算出を行うこととしました。
  • 飛行計画に示される目的地から代替飛行場までの距離には、燃料消費量の計算補正値として10nm(ノーティカル・マイル)が加えられていることを明記しました。
  • 3)記録の保存について
    同種事案が発生した場合、Cockpit Voice Recorder(操縦室用音声記録装置)およびDigital Flight Data Recorder(飛行記録装置)を含む機体の保全処置を図った上で、その後の対応を行うことを関係者向けの教育資料にまとめて周知しました。

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