移動・生活の利便性向上
基本的な考え方
JALグループは、社会インフラとして地域社会に貢献するため、社会課題の解決や変化する消費者のニーズに対応し、移動と生活の利便性向上に取り組みます。
これまで培ってきたノウハウ・ヒューマンスキルと顧客基盤を、新たな技術と掛け合わせ、毎日の暮らしと人生をもっと豊かにする商品・サービスを展開します。
そのために、空港を中心とした移動の検索・手配をサポートするMaaS*を実現します。また、エアモビリティでは、航空安全技術と運航管理の知見を活かし、シームレスな輸送の実現に取り組みます。
* Mobility as a Serviceの略。すべての交通手段を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな移動の概念。
具体的な取り組み(ドローン)
奄美 瀬戸内町でのドローン事業化に向けた取り組み
JALグループは「奄美群島サステナブルプロジェクト」として、地域の伝統・文化・風土を活かした永続的な関係人口拡大の取り組み(ビレッジプロジェクト)および、ドローンを活用した地域課題の解決を目指す取り組み(ドローンプロジェクト)を推進しています。
ドローンプロジェクトにおいては、2020年10月に鹿児島県大島郡瀬戸内町とドローンを活用した地域課題解決を目指す連携協定を結び、「災害発生時の孤立集落への救援物資輸送」および「日用品や医療関係品の輸送サービス」について検証・実証を行っています。これらを踏まえ、瀬戸内町離島モデルの2023年度の実装・事業化を進めていきます。

瀬戸内町で実施した実証のようす(2022年10月)
オペレーション支援プラットフォームの構築に向けた取り組み
ドローンや空飛ぶクルマなど、多様なエアモビリティが多頻度で飛び交う世界の実現を目指し、より多くの事業者が安心してエアモビリティを利活用できるよう、安全かつ円滑なオペレーションを支援するプラットフォーム(Air Mobility Operation Platform:AMOP)の構築を進めています。AMOPは「安全管理、運航管理支援サービス」、「高密度運航に向けた最適化調整」、「操縦者訓練プログラム」など、エアモビリティの運航に必要なサービスを統合的に提供することを目指します。
2022年2月には、KDDI株式会社と運航管理の体制構築やビジネスモデルの共同検討に関する基本合意書を締結しました。KDDIが開発した複数ドローン事業者の運航管理を行うシステムに、JALが培ってきた空の移動に関わる安全管理を含む運航管理といった航空運送事業の技術・知見を組み合わせることで、上空での衝突回避などの運航管理業務を行う体制構築を目指し、着実に歩みを進めています。

ドローンの社会インフラ化に向け、KDDI株式会社と協業
機体開発事業者との技術協力
2022年12月、ドローンを利用した安全な航空運送の実現を目指し、株式会社プロドローンと技術協力に関する基本合意書を締結しました。技術協力については、JALグループの航空機整備を担う株式会社JALエンジニアリング(JALEC)が進めていきます。
2022年12月5日の有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)等に係る改正航空法の施行により、今後のドローン市場の拡大が予想されると同時に、従来以上に機体の製造、整備や運航などに関する安全性、信頼性の向上が求められています。航空機とドローンは、「安全に着陸できる地点まで飛行を継続する」ための設計や整備の考え方において類似性があり、高度計など使用される部品にも親和性があるため、JALECとプロドローンは、JALECの安全運航に対する知見や航空機整備で培った技術力とプロドローンの持つ機体開発力をともに活かし連携することで、新しい社会インフラであるドローンの発展に寄与していきます。

パイロットの訓練ノウハウを活かした無人航空機オペレーターの人財育成プログラム
2020年10月より、ドローンなどの無人航空機を、安全に管理・運航できる人財の育成のための講座「JAL Air Mobility Operation Academy(JAMOA)」を運営しています。JAMOAの座学カリキュラムでは、現代の航空機事故や不安全事象における主な要因であるヒューマンエラーの防止に効果的な、最新のパイロット訓練ノウハウを応用したプログラムを提供します。無人航空機の産業利用に必要な操縦技能である「Technical Skills(テクニカルスキル)」を学べるコース、認知力・判断力・コミュニケーション力といった「Non-Technical Skills(ノンテクニカルスキル)」の能力向上を図るコースを用意し、無人航空機を安全に管理・運航できる人財の層を厚くしていくことを目指しています。

具体的な取り組み(空飛ぶクルマ)
エアタクシーの2025年度事業開始に向けた取り組み
環境にやさしく機動性の高い「空飛ぶクルマ(eVTOL)」は、地域内・間の移動(エアタクシーサービス)、救急救命、災害対応など幅広い分野での活躍が期待されます。JALは、2025年度に空飛ぶクルマの社会実装を目指しており、同年に開催される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では「空飛ぶクルマ」の運航事業者として選定されました。会場の夢洲周辺を空から眺める遊覧飛行や、会場へのアクセス手段となるエアタクシーサービスを計画しています。

大阪・関西万博の会場イメージ(提供:2025年日本国際博覧会協会)
機体開発事業者との業務提携
2020年2月に、有望なスタートアップ企業への投資を行うコーポレート・ベンチャーキャピタルファンド「Japan Airlines Innovation Fund」を通じ、エアモビリティ分野における新規事業の創出を目的として、機材を開発するVolocopter GmbH(以下「Volocopter」)へ出資しました。
2020年10月には、Volocopterと日本における市場調査や事業参画などの共同検討に関する業務提携を締結しました。本提携により、両社は日本における移動・物資輸送サービス提供に共同で取り組むことに加えて、JALは、Volocopterの持つ最先端技術やビジネスモデルとの連携を深め、よりスピード感のある価値創造の実現を図っています。

Volocopterが開発する「VoloCity」