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日々の運航での工夫

運航方式の工夫

JALグループでは、安全運航の堅持を大前提に、運航中の操作のタイミングや選択の工夫によるエコ・フライトの取り組み、運航する機体の軽量化や定期的なエンジン内部の洗浄による燃費の向上など、二酸化炭素(CO2)削減に向けたさまざまな工夫を行っています。また、組織横断的に活動する「燃料節約プロジェクト」により、各取り組みの状況をモニターし、進捗を社内で共有することで、CO2削減に向けたPDCAサイクルを回しています。

定期整備中

水のリサイクル

飛行機の整備作業では、機体そのものや修理部品の洗浄、部品にメッキを施す作業などに水を使用するため、大量の汚水が排出されます。JALではこれらを自社の処理施設に集め、有害物質を取り除いて処理するなどしてリサイクルし、貴重な水資源を有効に使う努力を続けています。

水処理施設 内部

エンジン洗浄

飛行機のエンジンは、飛行により内部に空気中の細かなちりなどが蓄積されることで徐々に汚れていきます。この汚れは、エンジンの燃費性能を低下させ、結果として余分なCO2を排出します。そこでJALグループでは、エンジン内部を定期的に洗浄し、飛行中に付着してしまった汚れを落としています。これにより、およそ1%の燃費回復につなげています。このようなエンジン洗浄はボーイング777型機(PW4000型エンジン)、767型機(CF6型エンジン)、737-800型機(CFM56型エンジン)に対して概ね200~300日間隔で実施されています。

エンジン洗浄作業

駐機中

補助動力装置(APU)の利用削減

飛行機は、地上に駐機中も機内の照明などのために電力と機内の空調を必要とします。そのため、多くの大型旅客機の尾部には補助動力装置(APU:Auxiliary Power Unit)が備えられています。APUは小型のジェットエンジンと同じ構造で、航空燃料を使用しています。従って、このAPUを稼動させることで、CO2が排出されます。またAPUは、駐機場から滑走路へ続く誘導路に向かって、トーイングカーにより後ろ向きに押し出されるプッシュバック中のエンジンスタートに必要不可欠です。
飛行機の出発時、このAPUの稼動開始を可能な限り遅らせ、APUの利用時間を短くすることが、CO2削減につながります。APUを利用しない時の電力や空調は地上設備により行われますが、この地上設備は飛行機への搭載を前提として設計されたAPUと比較して、効率が良く、排出されるCO2量や騒音低減の面でも有利です。
JALグループでは運航乗務員、出発作業を担当する整備士、地上係員が連携し、お客さまの快適性を損なうことなくAPU利用時間を可能な限り短縮し、出発作業に起因するCO2の削減に努めています。例えば、羽田空港で、ボーイング777型機のAPUによる電力と空調の供給を、地上設備に10分間切り替えると、100kg以上のCO2が削減できます。

補助動力装置(APU)は機体の尾部にあります

客室シェード施策

JALグループでは、気象条件や時間帯により駐機中の機内において、窓のシェード(日よけ)をおろす取り組みを進めています。
駐機中の飛行機は機体尾部に装備されたAPUもしくは地上設備の空調により、機内を快適な温度に保っています。しかしAPUは航空燃料を使用していることから、稼動させるとCO2を排出します。 そこで窓のシェードをおろし、機内をより長く適切な温度に保つことで、エアコンの利用時間を短くすることが可能となり、余分なCO2排出を抑制することが出来ます。

天候などを考慮しながら取り組んでいます

出発前

搭載重量の削減

飛行機は自動車などと同様に、重量が軽いほど消費燃料は少なく済み、排出するCO2は少なくなります。2005年以降、機内の搭載物(食器等)について、積極的に軽量化を進めてきました。また、2014年以降、軽量化コンテナを順次導入しています。これにより、従来品は約100kgあったところ、最も軽いものは約60kgに軽量化されました。
また、機内で使用する水の搭載量を使用実績に合わせて適正化し、機体重量の軽量化を図っています。

軽量化コンテナ

ルート計画技術の向上

ハワイ、オーストラリア、北米西海岸(ロサンゼルス、サンフランシスコ、バンクーバー)路線ではUPR(User Preferred Route)による運航が採用されています。これまでの画一的に決められた複数のルートの中から選択したルートを飛ぶ方式と異なり、一定の制約のもと、気象条件などにより航空会社が飛行ルートを自由に設定し飛行するもので、近年の航法システムの精度向上により、自機の位置を知ることができるようになったことで可能となりました。これにより、飛行機は最適な気象状況の中を飛ぶことで、飛行時間を短縮することが可能となり、消費燃料、ひいては排出するCO2削減につながります。この運航方式を積極的に利用し、例えば、追い風のより強い場所、揺れの少ない場所を飛行すべく、経路や高度を選択するよう努めています。これら先進的な運航方式によるCO2削減量は、JALグループ全体で年間推定3,000トン程度と試算されています。

UPRの例
青線:成田からホノルルまでのUPRの例
赤線:従来の経路

離陸時

早期加速上昇

離陸後早期に加速を行い上昇する方式は、早い地点で巡航高度に達し燃料消費量の削減が図れることから、積極的に実施し、CO2を削減しています。

降下中

空気抵抗の削減

安全を確保しつつ、浅いフラップの利用や車輪・フラップを出すタイミングを遅くすることで、飛行中の空気抵抗を少なくし、CO2を削減しています。

連続降下方式(Continuous Descent Operations)

飛行機は管制官の指示により、決められた高度への上昇・降下を行うため、その航跡は階段状になります(下図)。着陸に向けた降下中は、エンジン推力を小さくする、もしくはアイドルとすることにより低い高度へ降下し、決められた高度を水平に飛行し、管制官からの次の高度への降下指示を待ちます。水平飛行中は高度を維持するためにエンジン推力を適度に大きくして飛行する必要があり、水平飛行が長くなるとより多くの燃料を必要とし、排出するCO2量は増加します。そこで、事前に管制官とのやり取りすることで降下経路を早期に特定し、従来の階段状の降下ではなくスロープを滑らかに降りるように連続的に降下する方式がヘルシンキ国際空港、鹿児島空港の特定時間帯で採用されており、JALグループでも積極的にこれを利用しています。これにより、CO2の削減に加え、管制官との高度確認のための複数回に及ぶ無線交信によるパイロットの負荷も軽減され、安全運航にも大きく寄与しています。

低フラップ角着陸方式(Reduced Flap)

飛行機は安全のため、着陸時にはより遅いスピードで地表に近づくことができるように主翼の形状を変えています。このとき、主翼の後端を延長するように出てくるのが高揚力装置(フラップ)です。このフラップは、飛行機が浮く力(揚力)を大きくし、より遅い速度で飛行機が飛ぶことを可能にする助けになりますが、その反面、空気抵抗(抗力)も大きくします。利用できるフラップは機種ごとにいくつかの角度が定められており、大きな角度のフラップはより大きな揚力を生み出しますが、同時により大きな抗力も生じます。そのため、大きな角度のフラップを利用する場合は、エンジンをより高出力に保つ必要があり、その燃料消費がCO2排出量を増加させます。
そこで、パイロットは滑走路の長さが十分にあることなど、着陸時に一定の条件が許す場合、より浅い角度のフラップを選択して着陸することにより、CO2削減はもちろんのこと、地上への騒音もより少ない着陸を心掛けています。

フラップや車輪をなるべく遅く出す(Delayed Flap & Gear)

着陸に必要なランディングギア(矢印部分)やフラップ(丸印部分)は、大きな空気抵抗を生み、エンジン出力をより必要とします。フラップやランディングギアは飛行機の着陸時には不可欠な仕組みです。しかし飛行機にとってこれらを機体から出すことは、巡航時と比較して、より大きな空気抵抗を生むことにもなります。これには、より大きな燃料消費、CO2排出を伴います。
そこで、運航乗務員は着陸時の条件により、フラップやランディングギアを出すタイミングを少しでも遅らせることで、CO2を削減する努力をしています。

撮影:古萱久雄様

着陸時

逆噴射抑制(Idle Reverse)

飛行機は着陸後、滑走路内で適切な速度に減速し、滑走路を出てから適切な誘導路へ進みます。その減速にはエンジンの逆噴射と車輪に装備されたブレーキを利用しますが、着陸直後の高速時は大きな減速力を発揮する前者が有効です。この逆噴射はエンジンの機械的な仕組みにより推力を斜め前向きにすることで飛行機を減速させますが、その力となるのはエンジンの回転そのものです。つまり、逆噴射を大きな力で行おうとすれば、より多くの燃料を消費してエンジンの回転数をあげることになります。しかし実際の着陸では、向かい風が強い時、滑走路が乾いている時など、いくつかの条件を満たす場合は、アイドルで逆噴射を行うだけで必要な減速が可能になる場合があります。そこで、パイロットは着陸時の条件を判断し、十分な減速効果が得られる場合は、こうした逆噴射を行い、CO2削減に努めています。

撮影:古萱久雄様
着陸後に逆噴射が作動している様子

着陸後

地上移動時の片側エンジン停止

駐機場への地上移動では、所定の条件を満たす場合、片側のエンジンを停止させることで、CO2を削減しています。

運航時以外での取り組み

ウイングレットおよび機体の改良

従来の飛行機は、主翼の先端が真っすぐ伸びていましたが、それを立たせることで、主翼の先端に発生する翼端渦の発生を抑えることができます。翼端渦の発生を抑え、誘導抗力を減少させることで燃費が向上し、CO2削減につながります。
JALグループでは、ウイングレットの取り付けにより大きな効果が見込めるボーイング767型機の長距離路線用機材9機の改修を行いました。なお最近の飛行機では、ボーイング737-800型機、787型機、エアバスA350型機がウイングレット、または同等の効果のある主翼形状をしています。

ウイングレット

エンジンのアップグレード・交換

JALグループのボーイング787型機には、米国のゼネラル・エレクトリック社製のGEnx-1Bエンジンが装備されています。同エンジンにはPIP (Performance Improvement Program) と称される、エンジン性能を向上させるための様々な設計変更が施されており、現在PIP-1、PIP-2の2種類を保有しています。
このうちPIP-2エンジンは、PIP-1エンジンの大部分の部品を大幅に改良設計したもので、ファン、低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼器、高圧タービンを改良することで、PIP-1エンジンに比べ燃費を約1.2%向上させています。
JALグループでは環境に与える影響を考慮して、今後保有する全てのPIP-1エンジンをPIP-2エンジンに改修する予定です。

ボーイング787型機に装備されるGEnx-1Bエンジン

CO2排出量削減のための投資

JALグループでは省燃費機材への更新だけでなく、地上施設でもCO2削減の投資を実施しています。具体的には、整備施設のLED化、オフィスでのさまざま節電活動、節電照明器への更新を実施しています。

航空機ドックのLED化

定時運航率向上

飛行機の出発時、パイロットはお客さまの搭乗や貨物の搭載など、すべての出発準備が整うと、管制官に対して無線で駐機場を離れ出発する許可を求めます。管制官が出発の許可を出すと、飛行機は初めて滑走路へと動き出すことが出来ますが、この許可は原則として先着順に与えられます。また飛行中に目的地までの経路や高度について、その日の天候や揺れの状況などにより当初の予定から変更したい場合も、パイロットは管制官に希望を伝え、管制官の許可により初めてそれらの変更が可能になります。これも原則として先着順で処理されます。飛行機は時刻表に基づいて運航されていますが、遅延無く出発することは、目的地に定刻で到着できるばかりでなく、揺れが少ない高度の選択による快適性の向上や、追い風が強い経路や高度の選択による消費燃料の削減など、環境面でも非常にメリットが大きいのです。

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