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気候変動への対応

JALグループは、社会の持続可能性にとって、気候変動への対応が特に重要な課題であると認識しています。航空運送事業者の責務として、CO2排出量の削減をはじめとした気候変動への対応を着実に進めていくべく、2020年6月に開催した株主総会の場において、2050年までにCO2排出量実質ゼロ(ネット・ゼロエミッション)の実現を目指すことを宣言しました。
また2021年2月に、金融安定理事会(FSB)「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。以降、TCFDの提言に沿って気候変動関連の情報を開示します。

ガバナンス

気候変動に関する「リスク」と「機会」については、重要な経営課題として取り扱うため、社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」およびその傘下に「サステナビリティ推進委員会」を設置し審議・決定しています。その内容は「取締役会」に報告され、討議・評価されます。取締役会の実効性評価に基づき、取締役会は気候変動を含むサステナビリティに関する議論を深めることを決議しています。JALグループは、自らの事業が環境に与える影響と開示した気候変動への取り組みの成果を定期的に評価し、取り組みに反映をしていくPDCAを実践することで、継続的な改善に努めます。
なお、2020年11月にはJALグループ環境管理規程を改定し、環境マネジメントシステム(EMS)の構築・運営により、気候変動への対応を加速させています。
さらに、サステナビリティ全般においては、事業を通じた社会課題の解決に向け、4つの領域・22の課題・約180の取り組みを定め、SDGs達成に向けたESG経営をJALグループ全体で推進しています。

基本的な考え方

環境方針を定め、当方針の下で推進体制を構築し、社会の一員として環境の保全に取り組むとともに、それを妨げる事象の未然防止に努めています。

環境マネジメント

環境マネジメントシステム(EMS)を確立、実施・維持し、継続的な改善を行い、環境保全活動を的確かつ効率的に推進しています。

戦略

シナリオ分析

JALグループは2018年に、環境省が主管する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」へ参画し、国際エネルギー機関(IEA)および、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などを参照して、今世紀末までの平均気温上昇が「4℃未満」と「2℃未満」の2つのシナリオを設定し、2030年の社会を考察しました。

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大以降、欧州におけるグリーンリカバリー計画の深化、米国のパリ協定への復帰、中国の2060年ゼロエミッション宣言、そして、日本政府のカーボンニュートラル2050宣言とNDC(国別削減目標)の大幅な見直しなど、今後の国際社会は1.5℃シナリオの世界に向けて動き始めています。
航空業界においても、 脱炭素に対する社会的な要請を踏まえ、ICAO(国際民間航空機関)が2050年に向けた長期のCO2削減目標の検討に入っており、今後の各国におけるCO2の排出規制強化や排出権取引の活発化が想定されることから、JALグループは、1.5℃シナリオの世界の実現を目指すこととし、2050年のネット・ゼロエミッションの目標を掲げるとともに、気候変動への対応を加速させることを2021年5月7日発表の「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画」に織り込みました。

リスクと機会

気候変動は、「安全・安心な社会」での事業運営を前提とした航空運送事業へ悪影響を及ぼし、結果として、事業の持続性に大きなリスクとなりうる可能性があります。
また、航空会社によるCO2削減などの気候変動への対応は、省燃費機材への更新やカーボンプライシングへの対応など、さまざまな財務上のインパクトを与える可能性があります。
JALグループの事業に影響を与えるこうした要素を、TCFDにおける気候変動関連のリスク・機会の分類に沿って整理・検討し、下表に記載しています。なお、ここでいう「短期」「中期」「長期」は、次のように定めています。

  • 短期: 2021~2025年度 現中期経営計画対象期間
  • 中期: 2026~2030年度 SDGs達成までの期間
  • 長期: 2031~2050年度 JALグループのネット・ゼロエミッション達成までの期間

リスク管理

JALグループでは、リスクを組織の使命・目的・目標の達成を阻害する事象または行為と定義し、半期ごとにリスク調査と評価を行っています。大きな影響をもたらすと評価されたものを優先リスクと位置づけ、社長を議長とする「グループリスクマネジメント会議」を頂点にPDCAを実践しています。
気候変動のリスクについては、優先リスクのひとつとして認識し、環境マネジメントシステム(EMS)のPDCAサイクルのなかでも都度リスクの特定を実施しながら、気候変動に関わるグローバルな法規制や政策動向などを踏まえたリスク管理を行っています。その内容は、「取締役会」に報告され、討議・評価されます。

リスクマネジメント体制

気候変動のリスクについては、移行リスク・物理リスクともにJALグループ全体のリスクマネジメント体制のなかで管理しています。

指標と目標

JALグループでは、豊かな地球を次世代に引き継ぐため、CO2排出量をはじめ、廃棄物や水使用量などの環境データについて、目標を定め、その結果を開示しています。

2020年6月の株主総会で2050年のネット・ゼロエミッションの目標を掲げるとともに、気候変動への対応を加速させることを「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画」に織り込みました。航空運送事業の特性上、CO2排出の割合は航空機からの直接排出が約99%を占めていることから、まずは航空機からのCO2排出量削減に注力するものの、地上施設からのCO2削減についても、高い目標を掲げ、真摯に対応していきます。実現に向けた道のりは容易なものではありませんが、国内外のさまざまなステークホルダーとの連携・協働を強化しつつ、CO2削減の国際的な枠組みに則り、日本政府の「グリーン成長戦略」 にも沿った形で、最先端の取り組みで業界をリードしていきます。

JALグループのネット・ゼロエミッション実現に向けたシナリオ作成の前提

航空機から排出するCO2の削減については、ICAOやIATAでの最新の検討資料やATAG※1の「Waypoint 2050」※2などの最新のシナリオを参照しつつ、2050年までのCO2削減のシナリオを検討し、今後の課題と打ち手について議論を進めています。

※1 ATAG (Air Transport Action Group):航空業界のサステナビリティを推進するグローバル連合
※2 Waypoint 2050別ウィンドウで開く(英語のみ)

2050年のネット・ゼロエミッションに向けたシナリオ

総需要に基づくRTK(有償トン・キロ)の伸びを国際線・国内線それぞれに設定して、2050年までのCO2総排出量を算出し、以下の3点を反映しました。

2030年までのCO2削減の目標・取り組み

JALグループの2030年の目標(2019年対比で総排出量を10%削減)は、世界のエアラインのなかで最も野心的な目標の一つです。安定した財務基盤に基づく最新鋭機材への着実な更新、および、「JAL Green Operations」の推進による日々の運航の工夫、ならびに、SAFの搭載量の拡大などの取り組みにより、目標の達成に挑戦します。
なおSAFについては、海外でのSAFの製造・流通の動きが加速していますが、日本国内でも、政府の「グリーン成長戦略」のなかで、SAFの製造・流通に向けた2030年までの具体的な道筋が示されました。JALグループは、2030年に全搭載量の10%をSAFに置き換えるという野心的な目標を掲げ、官民で連携し、国内外のステークホルダーと協働してSAFの商業化に取り組んでいきます。

具体的な取り組みと情報開示(航空)

省燃費機材への更新

2019年9月の国内線へのエアバスA350型機就航に加え、2012年から国際線に就航していたボーイング 787型機を、2019年10月から国内線にも就航させました。これらの機材は省燃費かつ低騒音であり、従来機と比較してCO2排出量を15%~25%程度削減することができます。
2020年に実施した公募増資で調達した資金も活用し、2021年度以降も省燃費機材への更新を着実に継続していきます。

運航の工夫

安全運航の堅持を大前提に、運航中の操作のタイミングや操縦の工夫によるエコ・フライトの取り組み、運航する機体の軽量化や定期的なエンジン内部の洗浄による燃費の向上など、 CO2削減に向けたさまざまな工夫を行っています。
また、組織横断的に活動する「JAL Green Operations」の推進により、各取り組みの状況をモニターし、進捗を社内で共有することで、CO2削減に向けたPDCAサイクルを回しています。

SAFの活用

SAF利用のリーディングエアラインを目指し、米国のSAF製造会社Fulcrum社への出資、国内で初めて製造に成功した国産SAFの定期便での利用、国産SAFのサプライチェーン構築に向けたパートナー企業との協働など、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。

排出権取引への対応

ICAO CORSIAへの対応に加え、独自の取り組みとして、ご搭乗いただくフライトで排出するCO2を、お客さまご自身でオフセットできる選択肢として、「JALカーボンオフセット」をブルードットグリーン株式会社の協力の下で提供しています。

JALグループ地域別CO2排出量

具体的な取り組みと情報開示(地上施設)

地上施設分野において、エネルギー消費原単位を平均1%以上低減する目標を掲げて取り組みを推進し、経済産業省が実施する省エネ法「事業者クラス分け評価制度」において、2015年から6年連続で優良事業者(Sクラス)に認定されています。
航空や地上施設におけるCO2排出量削減に加え、機内食やラウンジでの食べ残し・調理時の食品廃棄の削減・食材の生産も含めたサプライチェーン全体のCO2排出量削減などに取り組むことや、航空機による大気観測「CONTRAILプロジェクト」への協力など、さまざまな形で、気候変動への対応に取り組んでいます。

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